どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
最高の昼食でした。女の子に囲まれて満点の青空の下で食べるご飯ってこんなにも美味しかったんだね。毎回この条件でご飯食べたいので、将来大金持ちになったら毎日子これをやろうと思います。人生における夢がもう一個出来たね。
願わくば、友希那さんとも一緒に居たかったけど、超真面目なことに一人で物思いにふけっているっぽい。あこから聞いた話だから、今何をしているのかまでは知らんけど。香澄達とリサさんで呼びに行ってたから、そのうち帰ってくるか。
紗夜さんもそうだけど、こういう所ではしゃぐタイプには見えないからなぁ。でも見て見たいなー、Roseliaの水着。
海と言う事もあって、Roseliaのメンバーもそれっぽい薄着にはなっているけど、海と言えばやっぱ水着でしょ、水着。そうは言いつつも、僕だって水着姿じゃなくて海パンにTシャツ着てるんだけどね。なんか恥ずかしくて……
「みんな、お待たせ~!」
「友希那先輩だよ」
なんて思ってたら、ものすんごいタイミングよく来たねぇ。何、思考読んでた? そういうのは早く言ってよね。頭の中8割くらい水着の事で埋まってたのがバレちゃうじゃん恥ずかしい。実際に思考が読まれてたら恥ずかしいでは済まないんだよな。人として終わる。
「わぁ……! 友希那さん、素敵です!」
……あれ? なんでみんなそんなに驚いてるの。友希那さんなんかしてる……って水着! 友希那さんの水着!? アイエエエ!? ニンジャ!? ニンジャナンデ!?
「……ビーチバレーは、水着でするものらしいから」
「似合うっしょ☆」
へー、そうなんだ。確かに、言われてみたら、ビーチバレーって女の子達が水着姿でキャッキャウフフしているイメージしかないけれども。でも、そんなもんなんだ~で通して着ちゃうんだね、友希那さん。
えぇ、もう最高です。シンプルな黒地のビキニが超絶に会ってますよ! リサさんの水着姿もね! なんじゃそのモデルみたいな体型。バグか? プロポーションお化けか? 来世で女の子になるなら、俺はリサさんみたいなスタイルで過ごしていきたいね。
「湊さん、やるんですか……?」
「フフフ……! ビーチバレーは砂浜のスポーツ、体力をつけるのにもピッタリなんだよ~?」
「あと、足腰強化にも繋がりますね! 足元は大事ですよ。飛んだり跳ねたりなんかはバンドマンの宿命ですから」
案の定というか、ビーチバレーをやる気満々の水着で参上した友希那さんにかみつく体制に入ったのは紗夜さん。けれどもリサさん、流石の御手前。それっぽい理由も付けてくれた。
というかっ! ビーチバレー=水着の方程式で行くのなら、美味い事やれば全員の水着姿が見れるのでは!? 気が付いた時には、もう援護射撃をしていました。欲望って恐ろしい。
「それとも、紗夜だけじっとしてる~?」
「これも練習っすよ、練習。紗夜さんは参加しないんですか~?」
「…………」
俺は今、一つの大きな勝負に勝ち終えたことをここに宣言いたします。
紗夜さん以外みんな運動するからって言ってみんな水着です。紗夜さん以外。
なんで水着になってくれなかったんだ紗夜さん……トホホ……なーんて状態になっていたら、ソレが分かりやすかったらしく、紗夜さんからは冷ややかな目で見られました。別にそういう性癖ではないのでご褒美じゃないんですね。惜しかった。
「有咲はやんないの?」
「運動はいーや」
「私も……」
ノリノリのウキウキでビーチボールを持ったまま屈伸してるバンドリーダーを横目に、有咲さんは巻き込まないでくれと言いたげに視線すら合わせてくれないです。意外とインドア派なんだね。そんなに意外って言うほど意外でもないけど。
「み、みなさん……準備は……」
「何時でも行けまーす!」
「あー……では、Roselia対Poppin'Party……」
「デュエル開始ィィィィィィ!!!」
有咲のやる気のないチーム紹介をかき消すように俺が高らかに開始のゴングを鳴らす。ゴングないけど。今だけ苗字を磯野に変えたい気分。
やっぱりこういうのは高らかに宣言しないと。カジュアルだってそういうのは大事よ。
インドア系な有咲と燐子さんは審判に。うら若き乙女の集団に異物が混ざるなと言う事で、僕も審判になりました。審判は多人数いた方が良いよ。知らんけど。
「そういえば、これってルールはどうなってるんだ」
「普通のバレーと一緒だろ」
「コート内でボールを落とした方が……負けっ!」
ぽーんと腕からはじき出されたボールは、言葉のキャッチボールをしている間にたえちゃんからRoselia側のコートの真ん中にポトリと。ルール確認前のジャッジ着るみたいになったら誰も動けなかったね。牧〇召喚の儀式みたいなお見合いしてたわ。試合でやったら怒られる奴や。
「……砂浜に落ちたらダメなのね」
「実はアタシもよく知らなーい……」
「バレーボールのルール、知らなかったんすね……」
「じゃあ、今度はこっちの番!」
意外と一般JKってスポーツ観戦とかしないのか。しないよなぁ。初見で球技のルールを当てろなんて言う方が無茶だもんね。うんうん。でも、ルール確認は絶対に試合前にした方が良かったわ。なんですっぽかしてたんだろう。それもまたカジュアルだね。
今まさにルールを把握した先輩組を差し置いて、こっちの番と宣言したあこちゃんがとことこと小走りで歩いてくる。そんで燐子さんと耳打ちして……
「戻ってった」
「えっと……とりあえず何してたんですか……?」
「無敵の必殺技ネーミングです」
「ネーミング……」
「フッフッフッ……童のこの龍の右手に宿りし闇の力を解き放とう!」
「おー、飛んだ」
「ね、ネーミング……」
ほんの数秒間で伝授された付け焼刃のネーミングだけど、なんだかカッコイイ。それっぽい必殺技名を叫びながらなんかするだけでも様になるよね。
それも空中でなんかするとなれば、より派手になるよね。イ〇イレの新作でも全員狂ったようにオーバーヘッドしかしてなかったもんね。
「喰らうがいい! 大魔姫究極魔法! えいっ……あれ?」
垂直飛びの形で跳ね上がり、空中で大きなモーションを取りながらぼるに向けて振り下ろしたあこちゃんの白くて細い腕は、無事に空虚を殴りました。
空中で前方向に振り推した腕につられるように、体は前傾姿勢になる訳でして……
「むぎゅっ!」
「あこちゃん大丈夫……!?」
「うえぇ~! 口の中がじゃりじゃりするぅ……!」
「首はとか痛めてない? これでぐちゅぐちゅぺっしなさい。ぺっ!」
「ありがどぉ……」
ものの見事に顔から砂浜に突っ込んでいきました。痛そ~! 砂浜で良かったね。良くないが。
怪我はどうやらしていないようで。若い子って無茶するよな。絶対に怪我したと思っても、無傷だったりするんだもん。若さって無敵なんだな。それはそれとして、じゃりじゃりになった口の中はちゃんと水で洗い流そうね。ばっちいからね。
「くっ、なんて過酷なスポーツなの……!」
「えぇ、油断は禁物のようね」
「おーい2人ともー?」
絶対違うね。今のは単純にミスっただけだねぇ。
もしかしてだけど、友希那さんも紗夜さんもギャップ萌えの民……? いやいや、あのRoseliaが誇る狂犬ツートップがそんなことないない。
そもそも、Roselia自体がもう青薔薇どーん! っていう感じのオシャレで棘もあるわよって感じのバンドなんだから。ギャップなんて求めてないわけですよ。えぇ。
「大丈夫ー?」
「うん。怪我してないからとりあえずはだいじょ……燐子さん?」
「うん……大丈夫です」
心配して寄ってきてくれたポピパメンバーに対して、腕でわっかを作ってOKサインを出す。そんで念のため治療なり試合続行なり……なんて考えてたら、一緒に駆け寄ってきてた燐子さんがなんか覚悟を決めた目で立ち上がる。なんの覚悟?
「あこちゃんの代わりに、私が入ります……!」
「……! ……!!!」
あこちゃんの敵は私が取る覚悟ガンギマリじゃん! Roseliaがそんなエンタメ集団なんて聞いてない。もういいよ。ギャップ集団にしよう。
ってか脱いだ! 燐子さん、脱いだ! そりゃあ、ビーチバレーは水着でやるもんだもんな。でもおかしいな~。ボールは1個だったはずなのに、急にボールが3つに増えて
「浅尾さん」
「すいませんでした」
「もうなにがなんだか」
めっちゃ睨まれたわ。こっわい。紗夜さんこっわい。砂浜叩いてoverリアクションしすぎてた。ごめんなさい。
試合開始しましょ、試合開始! ほら、あこちゃんは休ませて再開再開!
「」
「ちょっ、大丈夫!?」
あっ、今度は紗夜さんが頭から行った。いや、あこちゃんみたいなド派手な高度から落ちてないから大丈夫そうだけど。一応、私失敗しないのでモードにして救急箱担いでいこう。せいやー!
あれから何やかんや白熱した展開が続いていたけど、紗夜さんが結構動きにくそうにしている。素人スポーツだからみんな椅子は目立つんだけど、紗夜さんは運動神経云々じゃなくて、なんだか動きにくそう。可動域が狭いとかそんな感じ? 体固いのかな。今、ド失礼なこと考えているかもしれん。やめようね!
「紗夜さん、大丈夫ですか……?」
「……着替えてきます」
「えっ」
すんげぇ何事もなかったかのように立ち上がるじゃん紗夜さん。びっくりしちゃった。こけても何事もなかったかのように振る舞えるようになったら、それは君が大人なったサインだよってどっかでマルチ会員のおじさんが言ってたけど、そんなもんの比じゃなかったよ今の。やっぱり比べちゃダメなんだな。
って言うか、着替えるって言ってどっか行っちゃったけど紗夜さん! あっちって……あぁお手洗いね。お顔洗ってくるのね。
女の人って顔が汚れたら水でバシャバシャ洗えるのかな。化粧とかしてるだろうけど、化粧って水でガッツリ落ちるのかしら。化粧落としなんてものがあるから、それしないと落ちないんかな。彼女がいたらこういうこともわかりそうなのに。悲しいね。
……あ、戻って……もど……って……??? ハッ!!!!!
「さぁ、これで完璧でしょう?」
「……!!!」
「な、泣きながら拍手してる……」
「そんなに紗夜の水着が嬉しかったんだねー……」
「我が人生に一片の悔い無し」
「ここまで来ると清々しいね」
先ほどまで下ろしていた髪は、高めの位置でまとめられたポニーテールに。うなじがsexy……!
そして水着! しかも露出度高い! 爽やかなミント色の水着に、腰にはフリル付きのパンツ。センスが爆発している。もう泣きながら首を縦に振ってスタンディングオベーションしちゃった。
自分、求婚宜しいか? したら間違いなくフラれてしまうのでやめようね。綺麗すぎて本当に泣いてる。
「皆さん、ここから反撃です!」
「どうしよう有咲。俺、前が見えねェ」
「もう好きにしな」
すんごいね。負けず嫌いが爆発して令和のジャンヌダルクになってるね。こっちはこっちで感情が爆発してそれどころじゃない。ギャップ萌えってものすんごいんだね。俺も感情が破壊されちゃったや。
「……どっちが勝ったの?」
「途中まで数えてたんですけど……」
「途中から数えてなかったや……」
気が付けば夕暮れ。海岸線の向こうに夕暮れも沈みそうな様子を、みんな仲良く座って眺めております。どういう流れでこうなったん?
ちゃんと審判してたはずなんですけどね。最終的に残ってる記憶と言えば、目がボールを追いかけたりボールを追いかけなかったり、疲れてきて波を追いかけてたり、流れ弾が直撃して来たりした視界だけ。お前本当に審判か?
人の水着姿見てニコニコしている男子高校生って言う図があまりにも滑稽で情けなさ過ぎて、途中からどこ見て良いのかわからんくなって来たし。
でも弁解はさせてほしい。あれは見るやん。見ないのが失礼やんって話しなワケ! 見ている方が男として失礼? はい、ごもっともです。
「はい! 楽しかったです!」
うおぉ! びっくりしたなぁ! 何の脈略もなく急に大きな声出すじゃんね、香澄ちゃんね。夕日見ながらポケーっと意識を飛ばしかけてたのに、急に現実に意識が引きずり戻されたよ。
起床後の半分頭死んでる状態の時に、切り忘れたアラームがもう一回完全に忘れた頃合いに鳴ってちゃんと目を覚ます現象に似たものを感じる。一発目よりも二発目の方が威力高いの何なんだろうね。寝ている時にデカい音出された方がよっぽどびっくりしそうなのに。人間って不思議だね。
「ねっ! また、みんなで遊びませんか?」
「……私達はRoseliaよ。完璧な演奏をするために……」
「じゃあ! みんなでバンド!」
「はぁ!?」
みんなか~。そうなると5+5で10人でバンドだな。大所帯になるね。流石、戸山香澄! 常識を超えた爆発力であっと言わせる想像力! 流石!
超常識人で敷かれたレースを暴れながら爆走することで有名な紗夜さんも、これには度肝を抜かれた感じ。
いるよね。ぶっ壊れた人。ある程度、レベルが高い所まで行くバンドマンってどっかがぶっ壊れてる人が多いって聞くんだけど、香澄もそっちの方の人類だったんだ。
「10人で、ですか……?」
「そういうバンドもあるけど……」
「あるんだ!」
「知らないで言ってたの……」
「それスカ〇ラじゃね?」
「Roselia'Party……略して、ロゼパ?」
「ロゼパ良いねぇ!」
どんどん話広がってきたな。あこはあこは~! ってちびっ子も言いだしたし、本当にやりたい放題ちゃんねる。
成程なー。戸山香澄って言う女の子はそういう人種なんだ。周りを巻き込んで自分の方向に綺麗に持っていく、アニメの主人公みたいな能力。欲しい~! その能力、俺にも欲しい~! 今から髪を伸ばして猫耳作ったら、俺にもその能力付随されたりしないかな。無理か。
「みんな!準備おっけー!?……それじゃあ八月のif!」
海岸線沿いの夕陽も半分沈んだ頃合い、海の家では、香澄と沙綾ちゃんがマイクを握る。
どういう流れでそうなったのか、エモい雰囲気に誘い込まれて覗いてみると、さっきまでクタクタになってたポピパが海の家でゲリラライブを敢行している。体力バケモンだなぁ。なんてエンジン積んでるんだ。
香澄ちゃん、歌上手だなぁ。上手さで言えば少し歌の上手い高校生止まりなんだろうけど、しっかりボーカルとして成立している歌の上手さ。
人間性から染み出る、人を引っ張る力。それが歌声にも乗っている。ストリートバンドと化してても、待ちゆく人々達がふと足を止めて聞き入ってしまうような、そんな歌声。
ベクトルは違うんだろうけど、歌が上手いだけでボーカル向きの声じゃない人っているよね。逆もまた然り。どういう違いがあるのか、俺にはよくわかんないんですけど。
「行くわよ」
「友希那?」
「合宿の続き。良いフレーズが出来そうなの」
そう言ってコテージに戻っていく友希那さんの足取りは、何処か軽く見えた気がする。
横にいるあことも顔を合わせて、思わず口角が上がる。
「私も、弾きたくなったところです」
「あこも! バンバン叩きまくりたい!」
「私も……いっぱい弾きたいです!」
これもまた、一致団結。バンドとして、より一層絆が深まっていったって訳。
やっぱ、こういう合宿ってやるべきなんだなー! 漫画やアニメでは毎度毎度都合よく合宿で一段階何かが上がってるけど、現実でもそういうことがあるもんだね。
「行こっか。良い息抜きになったでしょ?」
「ヤバいっす。遊び過ぎて全然すっかり忘れてた」
俺以外はね。
そう。もうすっかり遊び惚けて可愛い女の子に鼻の下伸ばして、なーんも考えていませんでした。GG。
物凄い目で紗夜さんがこっちを見てる。ジト目とかそういうレベルじゃない。だって猫背に少し見えてくるもん。普段はあんなに胸を張って、ピンと立ってる風紀委員長様的な雰囲気なのに。レアだね。こんなレアいらんわ。
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
-
今のが好きなので書き直しておk
-
昔のが好きなので書き直したらアカン