どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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放送事故は思わぬ撮れ高を産んだりする

 キーを差し込み、エンジンを掛け、アクセルを入れる。元気よく震えるボディが、発信の合図だ。

 いやー、快適快適。夏休みの間に免許を取りに行っていたのだけれど、ちゃんと一発で取れてよかったよかった。内容的にはめちゃくちゃ簡単だったから、そりゃ取れるよなって感じだったんだけも。

 学校で資格取るより全然楽だった。バイクの免許の難易度があれくらいキツかったらそれはそれで鬼畜だけどな。

 

 夏休み明けから原付という名の足を手に入れたおかげで、職場にも学校にもとにかく移動が楽になっていい。椅子の横にも荷物入れを取り付けたことでとにかく大容量だし。ギターはさすがに入らんから背負ってるけども、それでもモーマンタイだ。

 

 あと特に理由はないけど、俺のバイクは二人乗りになってる。その癖、免許は中型だけど乗ってるバイクは小型というヘンテコ仕様。大は小を兼ねるなんて言ってたけどそんな事もない気がした。まぁ結果論である。バイクの免許を取ったことを周りに自慢しまくってた時に、何故か色んな人からなんかすごい勢いで二人乗りを勧められて無理矢理二人乗りの出来る小型バイクを買うことになったんだけど……まぁ良いだろう。

 

 普通に一人乗り用の原付でもよかったんに、みんな鬼の形相で言うんだもん。二人乗りにしないとあかん空気になってんだもん。

 まぁ乗せる相手はいないし、夏休みから地味に乗ってたとはいえ、誰一人として乗せたことすらない。まっさらの綺麗な状態ではある。規約的にも、免許取ってから一年は二人乗りできないし……ま、バレなきゃいいんだけどな!(クズ)

 

 そんな事を思いながら走ってると喉が乾いて来た。ちょっくらコンビニにでも寄っていこう。ワン〇ースの最新刊とか出てねぇかな。

 

 原付を駐車場にすいーっと止めて、蒸し焼き状態になってた顔面を開放するようにフルフェイス型のヘルメットを取り外す。まだこの時期は暑いからあんまりヘルメットは被りたくないんだが、原則上仕方がない。事故った時に責任取れないしね。

 ヘルメットと言えばフルフェイスだろうと思って買ったはいいものの、なんだかバイクのサイズ的にも着られている勘が半端じゃない。ま、まぁ?安全第一ですし?(震え声) 見た目なんて機能の前にはゴミとなりますから……

 

 児童扉の開閉と共に、耳馴染みのある音楽が真上から降りてくる。そんなことよりも、冷房の風があまりにも天国だ。

 

 

「いらっしゃいませー☆」

「さんしゃいーん」

「……ん? サンシャイン?」

「あちゃーバレちゃいましたかー」

「流石に無理だってー☆ おっ?愛斗じゃん! 珍しいねー!」

「えっ? 愛斗くん!?」

 

 

 なんか店内に知っている顔がいっぱいいた。モカとリサ姉、二人とも今日バイト入れてたんか。

 てかそこでスイーツ漁ってる二代目アホピンクは何でいるんだよ。こっちにまだ気が付いていないじゃねぇか。どんだけ真剣なんだ。

 

 

「偶然だねぇ、こんなに知り合いが集まるなんて」

「まぁ同じ街に住んでるんですからたまーにはこんなエンカウントもするんじゃないですかね」

 

 

 ていうか、この街に俺が知ってるだけでも近しい知り合いが10人くらいいるって、なんだかすさまじいな。俺の地元が特段学生が少なかったとか、そう言った覚えはないが、やはり都会は違うということかもしれない。

 なんの用もない時に外で知り合いとエンカウントするとめちゃくちゃ嬉しいのってなんなんだろうな。俺だけかもしれんけど。

 

 

「愛斗くん何買いに来たの?」

「んー……コーヒーとか適当に」

「愛斗って結構コーヒー飲むよねー」

「高校生にもなれば結構男は飲むもんですよ」

 

 

 これはイキリでもなく、冗談っぽい本当のお話。

 ブラックに限定してコーヒーって言うと、少し人は少なくなるだろうけど、苦み体制がついてくると、今まで分からなかったコーヒーの旨みがわかるようになる。なんなら違いもわかるようになる。やっすいやつは水で薄めただろお前感凄いからな。

 

 

「ひまりは何買いに来たんよ」

「ご褒美!」

「スイーツだな」

 

 

 見りゃわかるけども。

 ついこの前、太ったとかつぐの店で喚いてたけど大丈夫なのか? とは言わないでおこう。人のご褒美を邪魔するのは邪道。ナンセンス文学である。後のリアクションがおもろいだろうなとか考えてないよ? ほんとだよ? マナトクン、ウソツカナイ。タブン。

 

 俺は何買おっかなぁ……缶コーヒーと……他にはあとなんかねぇかなぁ。そういやワン〇ースの新刊出てるか確認しねぇと。先にそっち見に行ってから決めるか。

 

 

「まーくんそっちはえっちな本がいっぱいある場所ですよー」

「それが目的じゃねえよ馬鹿野郎ぉぉおおおおお!!!!」

「ア、アハハ……」

 

 

 あの野郎、俺の事を社会的に抹殺しにかかりやがったな。ほかに客がいたら死んでた。声量的にも色んな意味で。

 危うく、リサ姉やひまりの目から出る軽蔑の視線で串刺しにされて精神的に死ぬところだった。二人ともモカに対して呆れてるだけで、こっちをそういう目で見てないから良かったけど。

 コンビニのえっちな本の表紙だけで興奮するほど猿じゃねぇんだこちとら。美少女に囲まれてるメンタル舐めんな。

 

 店の中にいたのが、そう言うのにある程度耐性のあるひまりと大人なリサ姉で良かった。なんか、リサ姉顔赤いけど。もしかしたら初心なのかもしれない。だとしたら可愛い。普段、おかん体質の人が年相応のところ見せるとめちゃくちゃ萌えるよな。燃えるんじゃなくて萌える。

 とりあえず見たところワン〇ースは無かった。けどダ〇ヤのAがあったからそれは買っておこう。いいよねダイヤのA。マネージャーの子が可愛いのにあんまり触れられてないのが悲しいよ。

 

 

「……おっ、サラダチキン新しい味出てるじゃん」

「あっ!それ美味しいって評判だよ!」

 

 

 ミ〇キーはママの味って書いてあるけど大丈夫なのかよこれ。少なくともご飯のおかずにはならねぇなこれ。あとサラダにも入れられん。

 サラダチキンを手でほぐして茹でたもやしとごまドレッシングで和えるだけで美味しい鶏肉サラダが出来るからおすすめだぞ。サラダチキンは高いけどもやしは安いから無問題だ。

 あとサラダチキンって小腹にいいから助かるよな、カロリー低いとか知らんけど美味いからな。高いけど。ちなみにハーブ味は食えない。あれはダメだ。ハーブとかパクチーは無理なタイプだわ。

 

 

「……とりあえず1個買うか」

 

 

 はい。怖いもの見たさに負けました。

 なんだよミ〇キーはママの味って。しかもミ〇キーって隠し方すると某著作権の化け物ネズミにしか見えねぇじゃねぇか。てか元ネタわかんねぇ人にはそうにしか見えないんだろうな・ごめんな。俺も、もはやミ〇キーがミ〇キーにしか見えなくなってきた。そう、ミ〇キーがミ〇キーに。これもうわかんねぇな、ゲシュタルト崩壊してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとね〜」

「しばたあ〇ぼぼー」

「バイトがんばえー」

 

 

 無事コーヒーとサラダチキンとダ〇ヤのAを手に入れた家に帰るべく原付を走らせる。

 てか、モカあいつ最後ヤバTのベーシストの名前言ってたよな? それ誰に通じるんだよ。バンド好きならほとんど伝わるかもしれないけど、バンド好きってこの世にどんくらいいるんだ。

 あと、ひまりの会計する時にスイーツ通す度に値段じゃなくてカロリー言ってたのくっそ面白かった。弄られてるひまりくっそ可愛かったからまたやって欲しいものだ。

 

 

「明日の分のパン買ってたっけ……?」

 

 

 そんなこんなで、帰り道をブロロロとアクセルを吹かせながら走っていると、いつもの商店街が見えてくる。うーん、いつもの光景。なんて思っていたら、ふと家にあるパンがもう底をついていたことに気がついた。今日、朝絶望してたんだった。

 いやー俺って有能。一旦家に帰ってまた外に出て先程通った道を逆戻りして行くのと、帰りに寄ってくのは天と地ほどの差があるからな。

 

 焼きたてのパンがあったら買ってすぐその場で食べてくか。サラダチキンはいつでも食えるし。あのサラダチキンを食いたいとは正直、あんまり思わねぇけど。なんだよミ〇キーはママの味って。想像もなんもつかんわ。俺はなんであれを買ったんだ。興味って恐ろしい。

 

 そんな事考えてたら着いたわ。ササッと邪魔にならないように、店の前にバイクを止めてウキウキでやまぶきベーカリーの入口の扉に向かう。

 店に入った時のパンの香ばしい香りがフワッと広がるあの瞬間が堪んねぇんだよなぁ! これこそまさに男のロマンである。えっ違う? うるせぇ! 俺がロマンと言えばそれはロマンなんだそういうことにしてくれ。

 

 

「っちゃーっす! 沙綾来たでー!」

「沙綾ー! いるー!?」

 

 

 知らない間に隣に香澄がいたけど、まぁ今に関しては気にするこたぁない。香澄と一緒にドアを開け店の中に入る。

 さぁパンだ! 焼きそばパンはどこじゃあ! 明太フランスはどこじゃあ!? 愛しのクロワッサンはどこじゃあ!!!

 

 

「ま、マーくん!?」

「……あり?なんで彩いるの?お前今日ロケって言ってなかったか?」

「あっこれテレビー!?いえーい!あっちゃん見てるー?」

「戸山さん!ちょっとこっち!」

「うえええええ!?」

 

 

 ……あー。なんか状況把握してきたわ。これあれだわ、放送事故ってやつだな? 俺は賢いんだ。だから俺の顔が引きつってくるのがわかる。

 あれー? おかしいなー? 冷房はしっかりと効いてるはずなのに汗が出てきたぞ〜?

 

 

「愛斗くん!顔!顔!」

「あわわわ……なんか仮面とか無いんですか!?」

「彩ぁぁぁぁああああああ!!!!!」

「大丈夫だよ〜私がいるからね〜」

「あっ、マーくんが壊れた」

 

 

 こっからの記憶が無い。気がついたら彩に頭を撫でられていた。カメラの前でガッツリ。

 放映した時に確認して見たら、沙綾と日菜さんが連携プレーでパンを乗せるあの板みたいなやつで俺の顔を隠してくれてたお陰で、俺が彩に泣きついてた一部始終の顔だけは隠されてた。

 高校生の男がアイドルに泣きついてる顔なんてとてもじゃないが見せられない。エグすぎる。あと、どうせバレる人には絶対にバレた。終わり。

 

 最大の黒歴史地上波生放送の歴史的瞬間かもしれない。

 やっちまったぜ。思ったより心身的ダメージが少ない。慣れって怖いな。

 えっそれ以外? ガッツリ顔写ってるだろ。まぁちょくちょくパスパレのメンツといる所を写真撮られてTwitterに上げられたりしてるし今更だけどな。盗撮、ダメ絶対。

 

 

「よし、パン買うか」

「逃がさないわよ」

「えっ」

 

 

 落ち着いたのでカメラとパスパレの存在を無かったことにしてトングを取りに行く。はずだった右手をガッツリと微笑みの鉄仮面さんに掴まれる。

 

 

「生放送でここまで放送事故したのは初めてだわ。てか事故というか事故とあなたのおかげで撮れ高の両方がすごい勢いで撮れたのよ?」

「……で?」

「撮れ高製造機だから着いてきて?」

「いやです」

 

 

 いやです。絶対にいやです。予定があるわけじゃないけどいやです。

 理由? 今日は仕事じゃねぇだろうがよ! サービス残業は嫌だああああああああああ!!!!!

 

 

「マーくん今日暇?」

「暇」

「デート!」

「嫌」

「なんでさー!」

「彩ちゃん!こういう時は無理やり連れてけば良いってなんかのドラマで見たことある気がするよ!」

「ほんとに? うん!じゃあ無理やり連れてくね!」

 

 

 こいつら馬鹿なのか、馬鹿だわ。無理やり連れてくとかス〇ブラXの亜空の使者でフォックスを引き摺るディディじゃねぇんだぞ。ダメだな。この例え多分誰にも伝わらねぇわ。

 

 

「よいしょ!」

「えいっ!」

「!!!!????wwww!?!?w!?www!??」

 

 

 状況を説明しよう。くぁwせdrftgyふじこlp

 すまん取り乱した。こいつら俺を連れてこうとして両腕にホールドしてきた。

 

 もう一度言おう、こいつらは今俺の腕をホールドしている。

 この状況の何が不味いのか。今、彩と日菜さんはそれぞれが俺の片腕を両腕で抱きついているような形になってる。察したな? 当たってんだよおおおおおおおおおおおお!!!! あー、幸せ。メロンパン×4が当たってんだよおおおおおおおおおおおお!!!!

 

 

「分かった!すまん!行く!行くから離せ! 離してお願い死ぬ!!!」

「やったね!彩ちゃん!」

「うん!ありがとー!」

「いや分かったから彩ちゃん離れて?」

「うん!」

「うん、離れて?あなた抱きつく力強くなってるよ?おいお前この状況美味しいと思ってんだろ。そうだな?俺の精神メーターがゴリゴリ削られてるんだよ離れろ彩ああああああああああ!!!!!」

「嫌だああああああああああ!!!!!」

「……彩ちゃん?」

「撮れ高的には過去最高ですけどね……」

「あのー……ここ一応お店なんだけど……」

 

 

 結局泣き落としされかけたが、俺の威信にかけて無理やりひっぺ剥がした。なおその後めちゃくちゃ連れ回されて死ぬほど食わされた模様。しばらくはぐみの店のコロッケは要らんな。明日まで要らんわ。明日買いに行こう美味かった。はぐみの笑顔だけでご飯3杯は食えそうだったしな。

 

 

 ちなみにサラダチキンはめちゃくちゃ美味しかった。それでもミ〇キーはママの味とは謎だった。なんなんだアレ。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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