どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

3 / 138
You〇ubeはみんなの味方

 今日は金曜日。決戦の金曜日だ。なんにも戦うことは無いけど。

 学校も終わり、土日休みに入る。通称、解放の金曜日。そんな天才的な曜日。命名は俺。ちなみに今5秒で考えた。

 

 

「ここのカッティングアレンジ堪らねぇ! このアレンジ作った人天才だわ! いやマジ天才だわ! 気持ちいいぃぃぃぃぃいい!!!」

 

 

 今、何してるかって? 決まってるでしょ。ストレス解消の為に一人で喚き散らしながらCiRCLEでギター弾き散らかしてんだよ! 片付けが出来ない男の子みたいだね。

 

 弾いてるのは、脳漿炸裂ガールというボーカロイド楽曲。

 邦楽ロックにハマってる時なんかは、『ボカロなんかクソ喰らえ、電子音より人間の声の方がいいに決まってんだろ』なんてイキリちらかしてたけど、あの時の俺には土下座からバク宙二回転して、そのままガオガエンの復帰ヨロシク頭から真夏の砂場に顔を突っ込んで欲しいね。ボカロサイコー!

 

 真夏の公園って地獄だよね。

 滑り台はアッツアツのフライパン化してるし、砂場も下にガスコンロ弾いてるのかって言うくらい熱いし、すべての遊具が火傷させにかかってるよね。下手な毒キノコよりも殺意高いよね。実際に火傷した記憶は無いんだけど。

 

 

「さぁさっ! 狂ったように踊りましょ!」

 

「おはよー!」

 

 

 

 完全に忘れてた。いや忘れたかった。

 

 ノリノリでサビで首を振ってた俺は、無慈悲なドアの開く音と共に、ひまりの元気な挨拶が聞こえた瞬間、ギターごと急速冷凍された。

 例えるならそうだな……床に置いてたDS本体の存在に気がつかず、蹴り飛ばした衝撃でカセットが抜け、セーブしてないまま画面がフリーズして絶望したときよう。

 あの時のポケモンのデータはもう戻ってこないんやで。小学三年生の時の俺よ。バクフーンと共に強く生きろ。

 

 てか現実逃避してたけど、俺ってばついこの前にこいつらに捕まってたんだったわ。嗚呼無情なり。現実は無情なり。

 

 

「おはよ……あぁ、ギターは弾いてなよ。参考になるし」

「まーくんのギターは映えますからな〜」

「」

「……あれ? 愛斗?」

「」

「愛斗くん固まってるね……」

「何してんの……」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「モカ、そこの弦は小指で抑えてみ?」

「んん~……上手く動かないー」

「そんなもんだよ。俺の小指も最初は反抗期真っ盛りだったけど、スーパーお母ちゃんの俺にかかれば一気に大人しくなったから。ひまりは弦を抑える手首を立てて抑えてみ? あと右手の角度もう少し外側に寄せてみ?」

「お父さんじゃなくてお母さんなんだね……うわっ、抑えにくい」

「最初のうちにちゃんとした抑え方をしないと、変な癖がつくからな。慣れよ、慣れ。お母さんは貴方達に同じ苦労をさせたくないの!」

「急にどっか行かないで」

「お母さん、来るの遅かったんだね」

 

 

 あの黒歴史大拡散事件(仮)から約一週間。俺は今、CiRCLEを拠点に、Afterglowというガールズバンドに楽器のあれこれを教えている。

 あれ? 覚えていないだって? 人に自分の黒歴史を説明させるなんてゲスだなぁ。しょうがないから教えてやるよ。

 

 一週間前。銀髪ロングの美少女こと、湊友希那に脅され……ゲフンゲフン! 勧誘されRoseliaというこれまたガールズバンドのコーチをやる羽目になった際、その場にいたAfterglowの面々の面倒もなんだかんだで見る事になったのだ。

 

 何があったのかって? なんだかんだあったんだよ野暮なこと言わせんな。蘭にも脅されました、はい(涙目)

 初対面の女の子に脅されて言うこと聞くとか情けないなんて言うな、俺が一番悲しいんだよ。あんなの突き出されたら、嫌でも条件の飲むしかねぇだろ。

 

 

「愛斗、ここのリズムってどうやってとるんだ? ごちゃごちゃしてわかんねぇよ」

「ちょっとスティック貸してみ……一回俺が叩くから、聞いといてな」

 

 

 皆様はすでにこの違和感に気が付いて頂けたであろうか。そう下の名前呼びである。キャー!

 

 めでたく(?)コーチ就任が決定した後、お互いに軽く自己紹介をしたわけなんだけど、よくわからないままお互いのことを下の名前で呼ぶことになったんだよね。

 いやー、リサさんとかひまりとか巴とかのコミュ力お化け度と、あことつぐみの純粋無垢度ってすげーよな。躊躇う間もなく下の名前呼びになってた。なんかこんな可愛い女の子と知り合いに慣れるなんてある意味運がいいじゃん? ポジティブシンキングって大事。みんな天使。はっきりわかんだね。

 

 中学時代の俺よ。俺は高校に入って、超絶可愛い女友達が沢山できたぞ。

 その代わりとんでもない黒歴史が出来て、ほぼ全員に黒歴史を握られたらしいぞ。

 そんな未来背負いたくないって? 安心しろ、絶対に逃げらんないから。俺も望んでない。

 絶対にギター弾く時は、スタジオで一人だったとしても人の目を気にして弾くようにしろよ。フリじゃねぇぞ。絶対だぞ!

 

 初めも初めのうちは、女の子と下の名前で呼び合うなんてやべぇ! 俺勝ち組! なんて浮かれboyしたり、変に照れたりしてたが(あとなんか蘭も照れてた)慣れたらそんなことは全く無くなった慣れって怖いね。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 俺がAfterglowの面々に突撃(普通に集合)され、指導を始めてから2時間ほどたっただろうか。

 てか指導って言い方かっこいいな。まるでコーチみたいだ。コーチだけど。

 学校終わってから家に帰って着替えて速攻でCiRCLEに行ったから時刻は現在5時過ぎくらいである。

 もうそろそろ解散の時刻だろうか。

 

 

「蘭。もう5時だし、今日はこの辺にしとこうぜ」

「……いや、先に帰ってて。あたしはもう少し練習したいし……」

「夕方の5時から明け方の5時までは変態が湧く魔の12時間って親に習わなかったのか」

「習わなかった」

 

 

 そりゃあそうだろうな。俺も親に習ってないし。なんなら今俺が作ったし。賢い。

 まぁ、今のご時世だと不審者は多いし、魔の時間って言うのはあながち間違いでは無い。こいつら見た目が可愛いから余計にな。

 

 

「てか、あんたがただ早く帰りたいだけでしょ」

「そそそそそ、そんなことないもん!」

「バレバレだぞ……」

 

 

 今日は家に帰ったら東京テディベアのカバーを覚えるって言う大事な予定があるんだよ! 早く帰ってやりたいの!

 例の動画投稿サイトって便利だよな。というか、今の時代が便利すぎる。プロ並の腕を持った人達が弾いてみた動画上げてるとか、どんだけ便利なんだという話。下手すりゃ本物のプロが自分の曲を弾いている事すらある。

 手元を映してくれているから手元も見れるし、凄い人なんかTAB譜も上げてくれてる。TAB譜って言うのはギターベース版の楽譜のことな。

 それにあの人たち、アレンジ力が半端じゃない。そのギターの弾き手によって、十人十色音やコードなどがある。世界観も変わる。俺はその中からお気に入りの部分だけバイキングみたいに選り取りみどり選び放題なのだ。

 

 脳漿炸裂ガールのアレンジだって、例の動画投稿サイトで見つけた。実際にある動画だから、暇ならぜひ探してみてくれ! ガチでかっけぇぞ!誰に喋ってんだ俺。精神的に参ってるのかもしれない。

 とにかく俺はあの動画を初めて見た時、興奮とか色々ヤバくて鳥肌が凄かった。みんな、是非探してみてくれよな!

 大事なことだから2回言ったぞ!誰に言ってんだ俺!

 

 

「愛斗くん! 今日の練習終わったら、みんなでつぐのお店に行って二次会やるからね!」

「えっ」

「まーくんも強制参加だよ~」

「えっ」

「諦めろって、残念だったな」

 

 

 神様、神様は俺に試練を与えすぎではないでしょうか?絶対分量間違えてるよね神様。

 えっ、序の口?そもそも美少女達とお茶出来るとか恵まれてる?全くもって間違ってねぇけどおそらく来るであろうデメリットがデカすぎるんだよ! 早く帰りてぇんだよ。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「っはぁ~コーヒーが染み渡るぅ〜」

「凄い声出すね……」

「おじさんみたいだな」

「色々溜まってんだよ」

 

 

 疲れとかストレスとか過労とか疲れとかストレスとかな。ストレスはなんだかんだ解消されて、疲れに変換されてる。あと、ちょっと癒しにも変換されてる。可愛いは正義。目の保養。

 

 

「うわ、キモイ、セクハラ」

「おーっと? 俺はいかがわしいことなんか何も言ってないぜ蘭ちゃん? まさかっ、それっぽいことでそういうムフフなことに変換しちゃうとか、蘭ちゃん中々のむっつイデデデ! 耳引っ張らないで! 取れるか伸びる! 奈良の仏像になる!」

「っ! このっ!」

 

 

 ちょっと煽っただけでめっちゃ顔真っ赤にして耳引っ張ってきやがったこの野郎! 俺様の耳が取れちゃったらどうすんだ!

 付ける予定は無いけど、ピアスが付けれなくなるだろ! いや本気で痛い。めっちゃ痛い離してごめんなさい痛いですちぎれるちぎれる。

 

 

「らーん、まーくんの耳が取れちゃうよ~?」

「別に取れても私は困らないし」

「俺が困るんだよ! 多分! あぁ、俺の耳はまだあるか? ごめんね痛かったねぇ~」

「キモイ」

「いちいち辛辣な言葉をだね。一応性別的女性に言われるのってメンタルにくるから勘弁して」

「っ! っ!」

「痛い痛い! 頭を叩くな! 余計馬鹿になる! 貴方は普通に可愛い女の子だから痛い! 許していってぇ!?」

「かわっ!? ……ッ!」

「ら~ん、顔真っ赤だよ~?」

「う、うるさい!」

「痛かった……」

 

 

 一応って言ったら今度は普通に頭叩いてきやがった。

 やめろよ。これ以上数学が出来なくなったらどうするんだよ。数学ってなんであんなに難しいんだろうな。なんだよ因数分解って。分解するなよ。そのままにしておけよ。

 二次関数とか社会人になって使うのかよ。俺、足し算と引き算と掛け算と割り算が出来りゃ困らねぇとかどっか聞いたことあるぞ。確実に嘘であって欲しい。何のために高校数学をしているのかわからなくなっちゃう。

 

 女の子だと舐めてたけど、普段から楽器を扱ってるから普通に力あんだよ痛てぇ。

 なんで可愛い女の子って訂正したら力強くなんだよ。あと顔赤くすんな。ツンデレかよ可愛いやん。ちょっと照れそうになる。可愛い。惚れてるって勘違いするぞ。

 

 叩かれてる頭が物理的に痛くて、キモイテレ顔が顔に出ないことに救われている。

 バレたらまた黒歴史になるからな。俺はもしかしたら生きる黒歴史製造機なのかもしれない。そんな事実許されない。許してたまるか。

 てか何その不名誉な称号。今すぐダストシュートしたい。

 

 そんな考えと一緒に、俺はちょっと冷めたコーヒーを喉の奥に流し込む。冷えると苦みがより強く感じる。んまい。

 初めて来たけどやっぱここのコーヒーうめぇ、セ〇ンのコーヒーよりも美味いあたり相当の美味しさだ。今度テスト勉強する時は是非ここでやろう。そうしよう。

 

 

 ちなみに数ヶ月後のテスト週間の話だが。

 意気揚々と羽沢珈琲店に乗り込んだ俺は、無事全員集合しているafterglowの面々と共に賑やかなテスト勉強をする事になる。数学? 知るか。楽しかったからオールオッケーだ。




 浅尾愛斗
 最近、ラーメンとコンビニスイーツに強くなった。

 美竹蘭
 愛斗呼び。やけに暴力的なのは、彼がアホみたいにおちょくってくるため。元から暴力女な訳ではない。彼が悪い。

 青葉モカ
 まーくん呼び。蘭を別角度でおちょくる相手が出てきたので、シンプルに楽しんでいる。

 上原ひまり
 愛斗くん呼び。何がという訳では全くないが、近くに顔が良い男が現れたが為に最近余計にスタイルを気にする羽目になった。

 宇田川巴
 愛斗呼び。ガッツリラーメンを食える男友達が増えたので勝ち。

 羽沢つぐみ
 愛斗くん呼び。ひまりちゃんの強化版ガサツ男みたいな存在が急に生えてきたのに、もう受け入れている。強い。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。