どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
どうしても勝てないものってあるよな
夏休みも開けまだ1週間ほどしか経ってない残暑の厳しい時期にもかかわらず、もうここら辺一帯の三校は文化祭の準備で忙しくなってくる時期に入ってくる。
ちなみにここら一帯の学校は9月中旬に文化祭、9月下旬か10月上旬に体育祭をやる。ちなみに今年の体育祭は10月にやるらしい。ちょっと涼しいくらいで動きやすいし、非常に助かる。もし良かったら体育祭自体やらなくてもええんやで?
今更だけど三校って言うのは花咲川女子学園と羽丘女子学園と俺の通っている桜ノ宮高校な。
わが桜ノ宮高校は普通科と工業科大きく二つに分かれている高校である。東京って思ったより工業高校少ないんだよな。俺の地元が多すぎるだけなのか。
ここの3つの学校は別に姉妹校というわけでも無いのだが何故か昔から繋がりが深いらしく、イベントとかではよく集まったりしている。
「で、また呼び出しておいてなんなんすか近藤先生」
「遠藤な?」
てなわけで俺は夏休み前にいきなり呼び出されている。
しかも俺を呼び出した相手は前回俺の事を呼び出しておいてなんともなかったと言う苦い思い出のある先生。畜生、あの事まだちょっとだけ根に持ってるからな。
俺はなんもなかったからよかったわって人間じゃなくて、なんもないなら巻き込んでんじゃねぇぞアホンダラって人間だからな。
よってなんかあったよりなんもなかった方が印象的には悪い。なんかあったらあったで嫌だけど。平和が1番ってそれ。
「まぁいいや……今日はちゃんと用事があるからな、しかもビッグイベントの」
「面倒事なら断りたいんですけど」
「お前ほんとにはっきり言うな」
いやだって……ねぇ?
一応先生達も俺がやっているバイトは知っている。
ちなみに俺と彩との関係ももちろんバレてるしなし崩し的にRoseliaとafterglowとの関係とかもバレてる。
まぁRoseliaとafterglowはネットとかでも知名度がかなり上がってきたしな。
Roseliaは友希那さんがいる為、元々の注目度が高かったが、afterglowは完全にのし上がってきてる。
実際あいつらめちゃくちゃ演奏うまいし。俺がちょっとむちゃくちゃ加えた譜面にも結果的に普通について行ってるからな。
何よりあいつら5人揃って息ぴったりすぎるから俺が思ってるよりも完成度が恐ろしく高くなるんだよな。
俺が狙ってシンクロさせることもちゃんとあるけど、それ以外でも色々息ぴったりすぎる。寸分の狂いも見えねぇ。
「まぁ色々諸事情はあるんだけどな。お前、うちの高校が文化祭まであと何週間あると思う?」
「2週間くらいでしたっけ?」
「そうだな。今日が金曜だから、来週挟んで再来週挟んでその次の週の木金土と3日間に渡ってやるんだな」
「あれ? 3日間もやるんすか、てかなんでそんなに説明口調?」
「気にすんな、それで本題だ」
ふむ、やっと本題入るのか。これでなんともなかったらブチギレるぞ。
「浅尾、お前1週間ずつ花咲川と羽丘に行ってもらうから」
「は?」
は?
全く持って意味がわからん。
「そもそも行ってもらうってどゆこと?理解出来ん」
「1週間ずつ花咲川と羽丘に登校してそこで授業受けてもらうから」
「俺が工業科って知ってる?」
「知ってる、でも大丈夫。どちらにせよ来週2週間は工業科の授業準備やら式やらなんやら色々あってほとんど潰れるから」
「羽丘が進学校って知ってる?」
「知ってる、でも大丈夫。学力的には大差ないから」
「あそこ2校とも女子高って知ってる?」
「知ってる、頑張れ」
「誰がそんなこと言い出した、今すぐ会わせろ」
こんなもん戦争だ。横暴杉内俊哉。
問答無用で遠藤の胸元にしがみつき問い詰めまくる。
「まぁ待て気持ちはわかる。だがちゃんと理由があるんだ」
「詳しく」
「ひとつ、弦巻家のお嬢様の命令だった」
「よし、帰るわ」
「ちょっと待てええええええええええ!!!!」
胸ぐらを掴んでた手を離し帰宅しようとするも、今度は俺が思いっきり肩を掴まれる。
だがしかし!残念だが俺はお金や権力には屈しない男。
こころの考えることだ。恐らく俺やafterglowやRoselia、パスパレの面々と仲がいいのを知って「同じ学校に行けばいいじゃない!」とか言い出したのだろう。
ふざけんな、あいつらをこっちに寄越せ。
やっぱいいわ。アイドルの彩とか著名人の千聖さんを俺一人で守れる気がしねぇ。だったら俺が行った方がいいな。
……いや待て、なんで俺が行くことに肯定的になってんだよ!流れに乗るな、相手の策に溺れるな俺ェ!
「まぁ待て、まだ待て。他にもちゃんと理由はある」
「なんですか」
「実はな。今度の文化祭と体育祭は花咲川と羽丘と合同でやるんだ」
合同ってどういうことだ。全くわからん。
「今年の文化祭は3日間って言ってただろ?あれって桜ノ宮、花咲川、羽丘で1日ずつ開催してくんだよ」
「そこそこ距離離れてるけどめんどくね?」
「ノリで決まったんだもん、俺に言うなよ」
ノリでそんな事言うなよ。俺はバイクがあるから大丈夫だけど電車組とか徒歩組は面倒だろ。
てか花咲川と羽丘って駐車場借りれるのかな。
お前行く気やんって?ふざけんな。人間最悪の場合の想定はいつでもしておくべきだ。
「まぁこう言うイベントを起こすことでそれぞれの学校含めた地域を活性化させようって魂胆だよ。それにほら、羽丘にも花咲川にもここにもコアな人気を誇ってるバンドがいるじゃない。文化祭の3日連続ライブなんかしたら大盛り上がり間違いなしよ」
「待って、今俺の存在入れたよね」
「当たり前やん。Black historyって結構有名だぜ? なんの音沙汰もなしにゲリラ的にいきなり出てきてとんでもない演奏見せてすぐ帰るっていうカバーしかやらないバンドって」
「作曲は出来ねぇんだよ……」
作曲は出来ないし自分の曲を好きになれる自信もあんまりないからな。やっぱり人の曲を聴いてぶち上がるのが俺の趣味に合っている。
原曲があればアレンジも自由自在だけど自分から創り出すのは無理ぽ。昔から何かを元にしてやるのが得意で自分で生み出すのは苦手だったからな。
耳コピが得意で自分でアレンジ作るのが苦手なのもそういうことってそれ一番言われてるから。
「いやー……でもやっぱ断らせて貰いますわ。俺が花咲川と羽丘に行く必要性全くないじゃないですか」
「うぐ……確かに……」
ほんとにうぐっ……って言う人おるんやな。初めて見たわ。
「仕方ないな……こうなったら奥の手だ」
「いや行きませんよ?」
「はいこれ」
「は?電話?」
奥の手と言われて手渡されたのは固定電話。
わけも分からず、とりあえず耳に当ててみる。びっくり系じゃないよな。
いきなり断末魔とか悲鳴聞こえたらどさくさに紛れて遠藤の顔をぶん殴ってやる。
「……もしもし」
『あっ!繋がった!』
ガチャン!という音を立てながら固定電話を元の位置に即行で戻す。その間、約0.2秒。
聞こえてはいけない声が聞こえた。びっくり系よりも聞こえてはいけない声が聞こえた。
どんな声かというと、俺がよく知るアホなピンク頭のやつの声に聞こえた。
電話の声って何パターンもの声から1番似てる声が選ばれてるだけのはずなのになー。おかしいなー。
「無駄だよ!マーくん!その手の行動はもう読みきっている!」
「なあんでここに来てるんだよ彩ああああああああああ!!!!!!」
バン!と勢いよく開けられた扉の先には対俺専用兵器丸山彩が仁王立ちしていた。
今回は彩を出しても絶対に行かねぇからな!
学校で男子が俺一人とかそれハーレムじゃなくて世紀末だからな!俺に自由の2文字はねぇからな!絶対行かねぇからな!
「マーくん来るよね!花咲川に来るよね!」
「絶対行かねぇ!そもそもてめぇとは学年が違ぇだろうが!」
職員室を飛び出そうとする俺の腕にしがみつき意地でも離そうとしない。
こいつ変なところで意地はりやがって畜生……。
「どうにでもなるよそんなこと!まずは学校に来ないと作戦の第一段階が進まないもん!」
「おい作戦ってどういうことだてめぇ!どうせお前今回の件に一枚かんでんだろ!」
「そんな事ないもん!千聖ちゃん達も協力してくれてるもん!」
「何してくれてんだあの人おおおおおおおおおおおお!!!!!」
この前の風呂に彩突撃事件と言いあの人プロ意識が高いんじゃねぇのかよ!スキャンダルとか起きたりしたらどうする気なんじゃボケ!
彩が男子高校生に脅されて乱暴される!なんて記事でも出てみろ!終わりだぞ俺が!
「畜生!離せ彩ァ!」
「やだ!行くって言うまで離さない!なんなら一生このままでいい!」
「てめぇこの後に及んで何をしてくれとんじゃボケ!」
彩を怪我させないように気をつけながら力ずくでひっぺ剥がそうとするも全く離れる気がしない。
こいつ俺の腕びっしり張り付いてやがる……!
いつの間にこんな力身につけたんだこのアホピンク!
「さぁ観念して!抵抗は無駄だよ!」
「俺は花咲川にも羽丘にも絶対行かねぇからなあああああああああああああああああああああ!!!!!!」
月曜、それは学生にもおそらく社会人にも憂鬱な日であろう。
学校と会社が始まり、ここから5日間彼らは檻に閉じこめられる。あぁ、嫌だ。
そしてその中でも俺は他の人の何倍も憂鬱な月曜日を過ごす事になりそうだ。
何故かって?見りゃわかんだろ。
「おっ!ほんとに来ちゃったねー☆女の園の女子校だよ〜、少しは嬉しそうな顔しなって☆」
「これって夢ですよね。俺、今すぐ帰りたいんですけど。日菜さん?出来れば右腕離してください」
「逃がさないよー!マーくんには1週間しっかり羽丘に居てもらうんだから!」
「儚い……」
「ご、御愁傷様です愛斗さん……」
「つぐ、助けるという選択肢かここから逃げるって選択肢ってない?」
「残念だけどそんな選択肢は残ってなさそうだね……てかなんで愛斗くんヘルメット外さないのかな……。ち、ちょっと怖い……」
「もー愛斗くん駄目だよ!つぐが怖がってるじゃん!」
事前に言われてた通り校門前にバイクを停め、俺はフルフェイスを付けたまま絶望に明け暮れていた。絶対にこのヘルメット外さねぇからな。顔を見られてたまるもんか。
校門前には俺の事を盛大に迎えに来た美人たち(俺の知ってる顔多数)
両隣を不思議そうな顔でこっちをチロチロ見ながら通り過ぎていくのは女性のみ。
いつものやんちゃでうるさい声よりもいくつか高い声でみんな会話している。僕こんな光景知らない。
今なら言える。むさ苦しいあの集団の中に戻して欲しい。
ここは羽丘女子学園。
誰だ女子高はロマンって言ったやつ。今すぐ出てこい、バイクで町内を引きずり回してやる。
拝啓、両親様。
元気にしておられますか?
今、僕は何故か女子校に体ひとつで投げ出されました。
女子校は女の園やら男のロマンやらと聞かされておりましたが、僕自身そんな気持ちは一切致しません。
助けて。 まなと
女子校監禁編開幕です。
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
-
今のが好きなので書き直しておk
-
昔のが好きなので書き直したらアカン