どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
皆さんこんにちは。今私はどこにいるでしょーか!?
そう! ここはCiRCLEのスタジオ! みんな回答が早い! 早すぎる! ここでーす! ここ、ここ! って言わせて欲しかったですね!
まぁ、それは置いておきましょう。
今日弾くのはシャルル。私、非常にこれすき。俺の相棒であるジャズマスターが吐き出す音にはピッタリなオシャレボカロである。正直、バルーンさんの楽曲ではシャルルよりメーベルの方が好きだったりするんだけどね。気分だ気分! どっちも好きだからセーフ。あと真面目にシャルルの歌ってみた動画はも〇う先生の動画が一番好き。奇跡の噛み合い方してるだろアレ。
「あああああああああああ!!! ジャズマスのこのチャキチャキ音堪んねぇ! これだけでご飯3杯は食えるぜ! brother! やっぱカッティングと言えば新時代はテレキャスではなくジャz」
「おっはよー☆ 愛斗!」
「今日も騒がしいわね」
「闇に飲まれよ!」
「あこちゃん……それちょっと違くないけど違う……」
「浅尾さん、お疲れ様です」
「」
もうなんだろう。ほんとに定期だよね。
無慈悲で無機質なガチャっと言うドアの開く音を合図に、例によって俺の体はフリーズする。お疲れ様です、氷川さん。もう何も驚かないんですね。僕はまだ慣れません。一人でギター弾いてヒャッハーしてたよ。
俺の相棒はそのチャキチャキ音で俺の心を鷲掴みにして離さないんだ。周りが見えなくなるくらい興奮するんだ。よって、これは仕方がないじゃないか。どうにかしてそういうことにしてくれないか。
……いや、僕は男。浅尾愛斗。失敗は受け止めようこの体と心臓をもって。
それを踏まえた上で心の底からこれだけは言わせてくれ。頼むからこんなもんを定期にすんな。
『──────! ──────!!!』
「ほぇ~、相変わらずうっまい」
本日は新曲の合わせ練習。新曲と言っても、まぁカバー曲なんだけどね。曲名はなんとびっくり、あの名曲シャルル。
そう俺がさっきまでノリノリで弾いてたところ、例の如くRoseliaの面々に突っ込まれ、また純情を散らされたあのシャルルだ。勝手に嫌なものを思い出してしまった。なんでだろう。冷や汗が止まらない。おかしいぞ~?
「─────」
氷川さんの音良いなぁ。何のエフェクター使ってんだろ。後で聞いてみようかな。
Roseliaの音楽はとにかく上手い、美しい、大人といった印象。総括すると、曲の雰囲気が完成されていると言う事に尽きるだろう。
実はこのメンバーになってから日にちが経っていないらしいが、とてもそうとは感じない。おそらく、音作りの根底を支える氷川さんと、ボーカルの友希那さんが固まり切っているからだろう。バンドを引っ張る存在って言うのは凄いね。
高校生なんだからもうちょい楽しそうに演奏しろよ、なんて言いよる大人もいるが、ただのバカです。その考えと毛根まとめて撲滅してまえ。
短い間だが、Roseliaと付き合うことでこのバンドの形も見えてきた。
表で引っ張るのがさっきも名前を出した氷川さんと友希那さんだとすれば、根底から支えているまとめ役はリサさんだろう。正直、傍から見たらリサさんが狂犬を飼い慣らす飼い主にしか見えない。彼女の性格などによるものなんだろうけど……リサさんマジお母さん。
というか、あことリサさんを除いて、このバンドの過半数の3人が比較的寡黙な性格をしているので、バンドとしてもクールな雰囲気の曲が似合う。ただ、そんなバンドの雰囲気の中でも、リサさんとあこは少し楽しそうな雰囲気で楽器を演奏している。多少はついて行かなきゃと焦る様子も見られるけど、そんなのは技術が付いてこれば余裕なんかいくらでも生まれてくる。
いやーいい事だ。なんだかんだ音楽は楽しむのが一番だからな。何より可愛い。顔が良い女が楽しく楽器を演奏する。良いことじゃないか。青いバラ達の中で1つ輝く赤い薔薇のような存在になってると思う。例え下手くそかよ。
それにしても、あこのドラムってめちゃくちゃ上手いんだよな。本当に中学生か? 年齢詐称してないか? 見た目と性格的に絶対ありえないか。お姉ちゃんに教えてもらったのかな。姉妹愛って良いものだね。
ぼくちん、思考が二転三転しすぎじゃね? あまりにも頭が死んでいる気がするけれども、まぁいいか。Roselia最高!(思考停止)
『────!!』
「よーしっ☆」
「あい、お疲れさん」
初めての合わせなのにフルで最後まで行ったんだね。お疲れさんの拍手とお茶を進呈しよう。
氷川さんも一息ついてるし、初めての合わせはやはり緊張するものなのだろうか。俺の周りには、楽器出来る人がいなかったからなぁ。バンドあるあるとかなんにもわかんないもんなぁ……なんか悲しくなってきた。やめよう。これ考えるの。
いいなぁバンドって。ちょっと羨ましいや。折角こっちに来たんだし、何とかしてバンドが組めないものだろうか。メンバーを1から集めてバンド結成……なんていうガラではないから無理だな。
ま、今まで一人でやってたお陰で、色んな楽器使えるし。結果オーライ、全てが生きていると思おう。そう思ってないと悲しくて仕方がないからそう思っておこう。私は心の底からそう思っています(半泣き)
「どうだったかしら?」
「ええんちゃう?」
「そんな曖昧な返答は求めてないわ」
「アッハイ」
友希那さん手厳しいでごわす。
俺は3人分のメンタルを持っている男、とはいえ3人ともメンタル弱者なんだからそういう一撃はめちゃくちゃ効く。3人いれば文殊の知恵的なことわざがあった気がするが、あれは間違いだ。3人それぞれに、ある程度の能力がないとただの烏合の衆になるって、それ一番言われてるから。知らんけど。
そもそもこのことわざ合ってんのかな。これ。なんか例に出すことわざが違う気がする。
「まぁいいや、それでどんな所から聞きたいんスか」
「そうね、まずは全体の評価からかしら」
「ええんちゃう?」
「反省してないのかしら?」
「サーセン」
友希那さんは冗談が通じるか通じないかわかんないから怖いでごわす。
リサさん楽しそうに笑ってないで、こっちのフォローして欲しいでごわす。
蘭といい友希那さんといいボーカルって怖い人じゃないと務まらないのだろうか。次同じボケをしたらクビにされてしまいそうだし、とりあえずここは真面目に答えておこう。うん、そうしよう。
「全体としては初合わせですし、大崩れしないで最後まで通せたのはすごく良かったスね。Aメロのドラムとギターが若干噛み合ってなかった部分はありましたけど、修正もしっかりしてたので想定内です。それ含めて、細かい部分は数を重ねれば問題なさそうですね」
「お~、ほんとに真面目に出来るんだ」
「真面目な男です」
「それは違うと思いますが」
弦楽器隊がすっごい厳しいんだけど、どういう事だろう。日頃の行いは良いはず難けれどな。普段のアドバイスから真面目にやっているはずだ。多分。
なんかちゃんとやらないと本当にダメな気がしてきた。こんなんでも僕は一応ちゃんとコーチだ。もう少し、しっかりとしたこと言ってみよう。
「ただそうっすね……曲調とかはキーはこのままで行くんですか?」
「いえ、もちろんここから変えていくつもりよ」
「なら丁度いい。キーは下げた方がいいっすね。今、原キーですよね? ここから2つ3つは下げてもいいと思います」
「かなり雰囲気が変わらないでしょうか」
「勿論、雰囲気が変わると思いますけど、基本的にこういうのは歌いやすさ最優先でいいと思います。歌いやすいキー、それ即ち、一番ボーカルが映えるキーですからね。カラオケじゃないので、原キー至上主義なんて忘れましょう」
「ま、まー兄が真面目だ!」
「おい」
あこちゃんそれはどういう意味でしょうか。どうもこうもないねそういう事だね。悲しい。これからはキャラを変えるのも選択肢に入れようか。いや、これは時すでに遅しってやつだな。僕は賢いからわかるんだ。
「あとは細かいことを言うんなら、各楽器隊。まずリズム隊かな。とりあえずドラムとベースはちょっと走りすぎかなぁ」
「あっバレてた……?」
「は、はい!」
「なんでそんなにかしこまるんだよ……流石に俺もそんくらいは分かるよ、リサさん。あこはもうちょい落ち着いてリズムキープに徹してみよう。ドラムの第一歩はリズムキープ。そこがあると無いとでは大違いだからな」
実際リズム隊が走りがちになるのはよくあるからね。バンドあるあるってネットで見た!
ここら辺のリズムキープにおいては、リズム隊はほんとに難しいところではある。まぁ本番ではクリック音をイヤホンで流せるようにしてやればいいんだけどね。けど、それが無くてもしっかりリズムキープが出来るようになれれば、それがベストだろう。リズムキープ力に優れているリズム隊程、頼もしいものは無い。
「次はギターとキーボード……に関しては特にないですね。さっきも言いましたけど、全体で数を重ねれば良いと思います」
「……」
白金さん喋らないけどふわふわオーラがなんか見える。可愛い。嬉しかったのかな。
「あの……もしよければ、明確なアドバイスが欲しいです。できれば、ハッキリ言って頂けると」
「うーん……」
出来ればアドバイス……出来ればアドバイスねぇ……
大まかな部分に関しては、今の氷川さんにも十二分にも出来ていると思うんだけど、お主はまだ上を目指すと申すか。良かろう。このわしが問題点を指摘して進ぜよう。
「まず、ミスタッチ多いっすね。結構同じ部分ばかりミスってるんで、クセも少し混じってると思います。矯正ついでになるべく意識して該当部分を練習しましょう。次、シャルルって結構サビの『嫌』の部分で一拍置いて裏で刻むじゃないですか。そこでしっかり音を切ってミュートして欲しいですね。あそこがキメになるので……これは原曲通りに行くならの話ですけど」
全体的な曲を通す分には問題は無いが、個人として突き詰めるなら細かい点はいくらでも注文が効く。特に、音楽において休符や裏拍を打つ演奏は耳に残りやすい。ここら辺をしっかりとメリハリ付けてキッパリと演奏できるかが、ギタリストの細かい技術の見せ所だ。
「あと……アレンジの話になりますけど、正直、このバンドには白金さんがいるので、曲全体の厚みを出したいのなら、ギターはコード弾くのに徹底した方が良いと思います。これはRoseliaの方向性とか雰囲気の話ですけど、ツインギターで無いのなら、今のギターだと迫力に欠ける部分があって少し中身が薄く感じるので」
「コードを弾くのに徹底、とは、私では力不足ということですか?」
「いや全く? ただ、無理にギターがリードをする必要性がないですからね。この構成なら特にそうです。白金さんがピアノとしてリードに入ればしっかりとハマると思いますし、流れ的にも厚みの問題でも、ここにはリズムギターは必要不可欠なので。そういう意味でも、氷川さんのプレイスタイル含め、氷川さんにはリズムギターとして徹底してもらうのが良いと思います。」
「めっちゃ喋るね……」
「オタク特有の早口……」
「まー兄ってこんな頭良かったっけ……?」
めちゃくちゃ早口で言ってる風になってしまった。って言うか、大分と早口だ。白金さん、ちゃんと聞こえてる。傷つく(涙目)
まぁ早口でまくし立ててはしまったが、言いたいことは全部言えただろう。
氷川さんはタイプ的には、なんとなくリードギターよりコードを中心に弾くリズムギターの方が向いている気がする。
悪く言うなら、リードギターにしては潜在的な尖りが足りない。優等生タイプって感じだ。逆に言うなら、安定に安定を重ねたようなギターなので、正確無比にコードを並べる土台の様なリズムギターに徹してくれるのならば、バンドとしては非常に力強い。
現時点でのRoseliaを聞いた時に、足りない部分は音の厚み。
友希那さんの圧倒的な歌唱力に、バックの楽器隊の音が負けている印象が拭えない。
それを根底から支えるには、バンド内でもローが効いたギターの弾ける氷川さんが土台に入り、逆に力は弱いけど特色の強い音の出せる白金さんのピアノを前に置いた方が合うという話だ。適材適所ってやつだね。
「あの……」
「はい?」
「それでは、私が原曲で言うリードギターの部分を弾けばいいんでしょうか……」
「そうさね。そもそもバンドカバーなんだし、結構イメージは変わってもいいと思いますわ」
「それなら、全体的にアレンジや改良を加えて行っても問題ないわね」
「えぇ。そこら辺の大まかなアレンジについては、皆さんでやってもらうのが良いと思いまっせ」
そういやRoseliaやafterglow作曲やアレンジ担当って誰なのだろうか。やっぱり蘭と友希那なんだろうか。アレンジとか曲作れるってすげーよな。アレンジだけなら出来ないことも無いけど、なんか似たり寄ったりのもんになっちゃうわ。イエーイ! フルパワーカッティング最高!!!
「愛斗」
「ん? なんでございましょう」
「少し、付き合って欲しいのだけど」
「何に?」
「友希那~、言葉が足りてないよ~。 リードギターとして1回合わせに入って欲しい……で合ってるかな?」
友希那さんがこくりと頷いた。あぁ何だそういうことか。愛の告白かと思ってドッキリしてしまった。全くそんなことは無かった。ぐすん。
こういう時ってリサ姉頼りになるよな。友希那さんの通訳みたいな役割してくれる。通訳だなんて、こんなこと言ったら友希那さんに睨まれてそのままぶっ倒れそうだ。
まぁ、断る理由なんかは全くないので。二つ返事で了承をして、立てかけたままになっていたジャズマスターにシールドを差し込む。
「キーはそのままで? あと俺、ちょくちょくアレンジ入れてるんで。あんま気にしないでください」
「問題ないわ」
「浅尾さん、私はどうすれば……」
「今回は俺がリードギターやるので。白金さんはさっきと同じように普通にキーボードのパートを弾いてくれると助かります」
「浅尾さん。私はリズムギターをやればいいんでしょうか」
「やってくれると助かるんですけど、譜面分かります?」
「大丈夫です。アレンジする際に必要な情報になるかと思って、覚えておきました」
さっすが。ほんとにしっかりしてるよね。超絶優等生。頭良さそうだね。
そんな雑談を挟みながら、くるくるとチューニングを済ませ、弦を三回ほどかき鳴らしてみる。相変わらずいい音をしてやがるぜ相棒。テンションが上がりすぎて月までいけそうだがぐっと堪える。大人しく弾こう。これ以上黒歴史を増やす訳にはいかないからな。
というか、家でギターを弾く時は俺、実は全然暴れないんだよね。 なんというか……スタジオに来ると開放感ってあるじゃないですか? それです、それが全部悪い。僕悪くないもん! きめぇ……何してんだ16歳……。
「愛斗? 準備は出来てるかしら?」
「……んぁ。悪ぃ、大丈夫ッス」
「えぇ……あこ」
「行っくよー!」
あこの3カウントにより友希那さんの声と白金さんのキーボードがスタートした。
なんか緊張するな。なんでだろう。バンドを組んだことが無いからだな(爆速理解)
ただ同時にめちゃくちゃわくわくする。横にいる彼女の圧に気おされないように、僕は僕の出来ることを。ついでに、せめて今回は暴れ過ぎないように気をつけるとしよう。
「……予想以上、ね」
「同じギターなのにここまで違うものなのですね……」
結論から言おう。
くっそ気持ちよかった。なんか普段よりめっちゃ上手く弾けた気がする。
普段からミスタッチは0なのが俺の地味な売りなんだけれども、それに加えて、相棒のジャズマスくんが今日はめちゃくちゃ頑張ってくれた。なんかいつもより音が生きてる気がした。気の所為だろうか? 局長の問題だろう。適正万歳! まさか生でやる音合わせがここまでのものだとは思わなかった。
いやーええ経験させてもらったわ!
黒歴史握られてもこの感覚が味わえたからもうね、オールオッケーって感じだよね!
え? 考えが二転三転し過ぎてる?うるせぇ幸せが一番だ。(?)
「いやいや、氷川さん。2回目でここまで修正できるんですか。正直、ヤバいですよ」
「愛斗くんのギター初めて生でちゃんと聞いたけど動画に比べて迫力倍増するね~、てかその棒凄いね! 使いこなせるとかっこいいじゃん! アタシのベースにも欲しい!」
「いやベースには要らないんじゃないすかね……」
「でも動画と違って全然暴れてなかったよ?」
「あ、あこちゃん……あんまりそういうことは言わない方が……」
「でもネックは振ってたよね!」
「2番目のサビ前の棒を使った時も凄いギター上げてたよね!」
みんな褒めてくれていたのに、あこに全て持ってかれた。やっぱ黒歴史握られてたらアカンわ。
ちなみに棒棒って、言ってるけどちゃんとアームっていう正式名称があります。もっと細かく言うんだったら、トレモロアームって言います。とてもかっこいいです。これマメな?
あのくらいで暴れなかったって言うのを褒めてほしい。本当に自制した。ちょっと漏れた部分は仕方がないじゃない。だってギター楽しいんだもん。音合わせ楽しいんだもん。しゃーない。
こうしてまた俺の1ページに新たな黒歴史が刻まれた。
神様、俺ってあんたになんかした? お饅頭あげるからマジで許して欲しい。
けどみんなと離れたら寂しいからやっぱこのままでいいです。あっでも黒歴史の記憶は消して神様たn(ry
浅尾愛斗
最近、年上の扱いが当社比で上手くなった。
湊友希那
愛斗呼び。少しだけ落ち着いたあこみたいな存在が増えたのは気になっているが、楽器がアホみたいに上手いので、素行面には目を瞑っている。
氷川紗夜
浅尾さん呼び。相性自体は見ての通りなのに、馬鹿みたいにギターが美味いので全て黙らされている。死ぬほど練習しているらしい。
今井リサ
愛斗呼び。イマイチ何を言っているのか理解んないけど、それはそれとしてバンドの雰囲気が明るくなったから、まぁいっか☆
宇田川あこ
まー兄呼び。お姉ちゃんみたいな別角度のお兄ちゃんみたいなやつが生えてきたので、一番ウキウキしている。かわいいね。
白金燐子
浅尾さん呼び。彼から全幅の信頼を勝手に寄せられているので困惑中。未だにまともに彼と目を合わせて喋れない。
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
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今のが好きなので書き直しておk
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昔のが好きなので書き直したらアカン