どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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ヘタレの恋愛観は非常に面倒くさい

 とある学校終わりのカフェ。

 千聖さんに呼び出され、つぐの店ではないカフェに行ってブラックコーヒーを煽る。

 

 うん、つぐの店の方が美味いな。

 十分美味いけど。

 カフェの2人用の席で千聖さんと一体一で向き合う。

 こんな所じゃなくてつぐの店ので良かったのに。

 

 

「今日愛斗くんを呼び出したのは他でもない、彩ちゃんの事よ」

「あいつになんかあったんすか」

「いやむしろ愛斗くん側に問題があるというか……」

 

 

 一体何を言っているのだろう。

 いつもあいつを介護しているのは俺の方なんだが。

 

 

「てかつぐの店でもよかったじゃないですか。わざわざなんでいつもと違うお店になんか」

「羽沢珈琲店じゃ駄目なのよ。あそこには知り合いが多すぎるわ」

「隠し事かよ」

「そういうことね」

 

 

 認めるんかい。

 まぁ個人的なことと言っていたし正しい判断かもしれない。

 内容は実際知らんけど。

 

 千聖さんが真剣な眼差しでこちらを見つめて口を開く。

 

 

「単刀直入に聞くわよ。愛斗くん。貴方はほんとに彩ちゃんと付き合う気がないの?」

「ないです」

「迷いが一切ないのはちょっと予想外よ……」

 

 

 千聖さんが予想外の返答が来たと言いたげに本気で頭を抱えている。まぁそう言ってるんだけど。

 迷いとかんなもんあるわけねぇだろ。

 俺は彩に見合う男じゃねぇって何回言ったらわかるんだよ。

 あっ、直接言ったことはないか。

 

 

「私が言うのもなんだけど彩ちゃんってかなりの優良物件だと思うのよ?」

「その事は多分誰よりも俺が知ってますね」

「その彩ちゃんが好意丸出しで来てるのになんで受け取らないの?据え膳食わぬは男の恥ってことわざ知ってる?」

「千聖さん、そのことわざはまずいです。バチバチ下ネタに聞こえます」

「そういう意味で使ってるのよ、高校生にもなってそういう知識がない女の子なんて2次元くらいにしかいないのよ。ちなみに私はまだ清い身よ?彩ちゃんもね」

「薄々感づいてはいたけどキャラとかそういうのがあるよね?千聖さん一応アイドルだからそういうのは辞めよう?あと彩の情報はいらないよ?」

 

 

 千聖さん爆弾発言がすぎるぜ。

 アイドルはう〇こしないって思ってるピュアピュアな子もこの世の中にはいるんだぞ。

 まぁ同じ生理現象なので仕方ないといえば仕方ないのであるが。

 そりゃあ俺だって自家発電くらいはする。

 何を暴露してんだ俺は。

 

 

「彩ちゃんは現役アイドルよ?スタイルとかに不満でもあるの?」

「一切ない。彩のスタイルはパーフェクトだ、誰にも文句は言わせん」

「彩ちゃんが他の男に取られるのは嫌でしょう?」

「嫌だけどそれで彩が幸せなら受け入れる」

「なんでそんなに彩ちゃんの事考えてるのに肝心なところが後ろ向きなのよ……」

 

 

 自他ともに認めるヘタレだからな。

 いや彩に関してはヘタレじゃないぞ。

 まじめにあいつのことを考えての結論だからな。

 それに付き合ったとしてもなぁ……。

 今やってるあいつの行為がぶっ飛びすぎててなぁ……。

 

 

「現役アイドルを抱けるまたとないチャンスなのよ!? 男としての意地はないの?」

「ない。そんなものより彩の将来を優先する」

「彩ちゃんのことを考えてるのか考えてないのかわからないわ、ほんとに……」

 

 

 馬鹿野郎俺はいつでも彩優先だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そもそもなんで彩ちゃんと付き合わないのよ。彩ちゃんのこと好きじゃない風にはどう見ても見えないのだけど」

 

 

 なんでって言われてもなぁ……。

 あいつに俺は見合わないってだけだし、そもそもあいつに抱いてるのが恋愛感情なのかもわからない。

 一緒にいて幸せな気持ちにはなるが、ドキドキはしない。

 温泉の時とか借り物競争の時みたいなことをされたら流石にドキドキするけど。

 

 

「そもそも彩は俺の事好きなのかよ」

「今更何言ってるの。頭悪い?」

「頭は悪いけどそんなド直球に言われると来るもんがあるんだよなこれがまた」

 

 

 うーん、思春期にありがちな「あいつ……俺の事好きなんじゃないか」勘違い病ではなかったらしい。

 ガチのマジでアイツは俺の事がほんとに好きだったパターンとかなんちゅうレアパターンだ。

 まぁ、俺のやることは変わらないんだけどな。

 

 

「絶対にないけど告白して振られるのが怖いの?」

「いや?別に俺の黒歴史になるだけだろ。今更どうとも思わん」

「なら付き合えばいいじゃない」

「ないです」

「わからないわ……」

 

 

 そうでも無いと思うぞ?

 大切だからこそ手を出さないってやつだ。

 アニメとかでたまに見るだろ。

 

 淡い恋心を抱いてるけど彼のことを思って胸にとどめておく報われない系ヒロイン。

 あぁいう人が同人誌で報われてるのめちゃくちゃ好きなんだよ。

 

 

「……まさかとは思うけど。愛斗くん、彩ちゃんと付き合うのが怖いとかじゃないわよね?」

 

 

 ピシッという効果音付きで体が凍る。

 

 ……は?付き合うのが怖い?

 まさかそんなことホンジャマカマッキンリーの頂上ベイベー{冷や汗}

 

 

「……図星ね。大方自分にはもったいないからもっといい相手を見つけて欲しい……とかそんな所かしら?」

「……」

「目が泳ぎまくってるわよ」

 

 

 何この人怖い。

 なんでそんなに俺の考えがわかるんだよ。

 怖すぎる。

 俺に一転攻勢を仕掛けてくる千聖さんがトドメを刺してくる。

 

 

「あとはそうね……。俺には彩を幸せにすることが出来る自信が無い……とかかしら?」

 

 

 この言葉の矢が体を突き刺し、貫通していく。

 死体にダイナマイト投げつけてぶちとば!してくるようなものだ。

 ただでさえダメージを食らっていたのにオーバーキルにも程がある。

 

 そうだよ。ずっと認めたくなかったけど結局はこういうことである。

 いくらあいつが俺の事を好いていようがどうであろうが。

 俺にはあいつを幸せに出来る自信がない。

 

 アイドルであるあいつの収入を将来的に考えても越せるとも思えないし、あいつに見合う優しい性格も持ち合わせてはいない。

 顔だってイケメンという訳でもないし、俺より上の男なんてそこら中にいるんだよ。

 

 

「……なんで分かるんすか」

「最初の予測が当たってる時点でほぼほぼ答えは出てるわよ。このことが彩ちゃんにバレたら泣いて怒られるわよ?」

「それはないと思いますけどね……」

「絶対よ」

「マジですか」

 

 

 まぁ簡単に言うと怖いんだよな。

 丸山彩という偉大な女性を支えきれる自信が俺にはない。

 俺はただ、小学生の時によく彩に頼られてただけの人間だしな。

 それ以上でもそれ以下でもない。

 だから時間が経てばあいつもより良い相手を見つけるだろうと思ってたけど、まぁ今のところその気配はない。

 たった半年で運命の相手が見つかれば苦労はしねぇよな。

 

 

 

「あの子は多分この先何十年生きても貴方以上の男性は見つけられないわよ?」

「なんで思考読んでるんですか」

「女優業を舐めたら駄目よ?……まぁ正しく言うなら『あの子にとって貴方以上の男性はこの世にいない』って言った方がいいかしら?」

「……買い被りすぎですよ」

「事実よ?恋する女の子は強いんだから」

 

 

 小悪魔的な笑顔を見せてくる。

 これ演技でもなんでもなく、ただ俺の事をからかってるな。

 

 彩にとって俺以上の男はこの世にいない。

 

 買い被りすぎだ。あまりにも。

 過大評価がすぎる。

 

 

「愛斗くんは彩ちゃんの事、好きじゃないの?」

 

 

 ……俺は彩のことをどう思っている?

 恋する相手では間違いなくない。ここはどうあっても変わらないだろう。

 

 あいつはいつも俺の近くで、底抜けの明るい笑顔で俺を癒してくれる。

 俺が傷ついた時には何も言わずに受け止めてくれる。

 隣にいるのが当たり前な存在。

 

 

「……どうなんでしょうね。好きではあるんでしょうけど、多分彩や千聖さんが思ってるのとはベクトルが違います。隣にいるのが当たり前な存在というかなんというか……」

「つまり夫婦ね」

「違います」

 

 

 断じて違う。

 そもそも俺らは未成年ってそれ1番言われてるから。

 付き合ってすらいねぇ。

 

 それにそもそも俺らが付き合えたとして。

 もしもの話だぞ!いいな!?

 俺らが付き合えたとしてだ。

 周りがそれを許すとは思えない。

 現役アイドルが彼氏持ちなんて知れたら、この前の文〇砲レベルでは済まない大バッシングが彩たちを襲うだろう。

 ファン達も許すはずがない。

 仕事にも関わるし、最悪彩の命にも関わる。

 俺一人の個人的な感情でパスパレのみんなに迷惑をかける訳には行かないのだ。

 

 

「あら?何無駄な心配をしているの?」

「……は?無駄も何もまず懸念するでしょう周りの目は」

「なんの為に私や事務所が外堀埋めてきたのと思ってるのかしら? もうそろそろ埋める外堀もなくなって川の方まで包囲してるわよ?今貴方達が付き合ったとしても叩くのは馬鹿なワイドショーと週刊誌だけよ」

 

 

 何それ。ただの詰みじゃん。

 貴様は完全に包囲されている!諦めて投降しろ!って状況やないか。

 確かに外堀が埋まって行ってる自覚はあったが、まさかそんなにでかくなってるなんて思わんやんそれは。

 

 

「それでも彩ちゃんと付き合わないの?正直に言うけどもう式場までのルートは完全に完成してるわよ」

「うせやん」

「本当よ」

「信じたくねぇ……」

 

 

 なんで別れない前提なんだよ……。

 いやまぁもし付き合ったら絶対別れないと思うけど。

 むしろ付き合ってからよくある、付き合う前はこんな人だと思わなかった!ってのがないからな。

 今現在ほぼほぼつきぬけてるしあいつのあかん所はほぼ全て知ってる自信がある。

 付き合うとは言ってねぇぞ!

 

 まぁでも、やっぱり俺の答えは変わんねぇんだろうな。

 

 

「まぁ……俺はまだ、あいつとは付き合えないっすね」

「……理由は?」

「あいつも千聖さんもこれからもっと上に行くべき存在なんですよ。俺がそれを邪魔する訳には行かない。障害になりそうな可能性は捨ててかないと」

 

「本音は?」

「全くもって付き合った時の姿が想像できない&少なくとも高校出るまではそんな勇気も考えもない」

「正直でよろしい」

 

 

 結局全て情報搾り取られてんじゃねぇか!

 いやマジでこの人には敵わん。

 ほんとに同級生か?この人絶対人生5週くらいしてんだろ。

 色々大人すぎる。

 

 

「今日のところはこれくらいにしてあげるわ。いつかちゃんと答えを出しなさい。それに……」

「それに?」

「全く付き合う気がないってところから卒業してから考えるってところまで考えが進んだじゃない。このままどんどん予定を早めていきましょう?」

 

 

 絶対嫌だと言って逃走した。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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