どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
Roseliaのレッスン日。
俺は紗夜さんとギターについて話していた。
「ここの運指がどうにも上手くいかなくて……」
「そこって紗夜さんどこの指で抑えに行ってます?」
「薬指で抑えに……」
「俺、そこは小指で行ってるんですよね。小指の操作ってキツイんですけど使えたら3本が4本に増えてかなりやりやすくなりますし」
「小指って……ちょっとどうやるのか見せてもらってもいいかしら」
「あいあい。……あれ?ピックってどこやったっけ……」
ジャズマスのネックを握り、いざ問題のフレーズを弾いてみようとするもピックがない。
あれっれぇ……おっかしいなぁ。
そういや俺ってピック最後どこに置いたっけか。たまーにこういう忘れ物ってあるよな。
あんま意識せずに物を置いて、後で必死こいて探すってやつ。
家の鍵とかもよくそれで無くすわ。机の上に置いたのに必死こいてカバンの中を探すんだよな。マジ滑稽。
うーわ、やらかしたかなぁ。
家の鍵ならアクセサリーとか付けてるからわかりやすいんだけど、ピックとなると難易度は爆上がりする。
小さいし、何よりなくした場所がここじゃあなぁ……。
家の何倍も広いし、何より自宅並みに周りのインテリアを熟知してるわけじゃない。
ピックとか無くしたことあんまり無かったんだけどなぁ……。
俺って結構物は大事に扱うタイプだし、きっちり保管しておくタイプだ。
今でも当たり前だがギターやベースは弾き終わったら弦を緩めとくし、ボディもちゃんと磨くからな。
ジャズマスのストラップピンは普段からジャズマス振りまくってるせいでゆるゆるのガッタガタになってたけど。
ちゃんと治したからな!爪楊枝ぶっ刺してボンドで補強したからな!
「うおっ!?」
「ふむふむ……愛斗くん。あなたの捜し物はこれかな〜?」
「あっ!俺のピック!」
いきなり綺麗な手で視線を隠されたと思った。
誰だ?あこ辺りか?
そんなこと思うと聞き覚えのある耳障りのいい声が聞こえると同時に視界が開ける。
いきなり視線が明るくなったかと思うと、目の前に俺が愛用しているピックを摘んだ手がでてきた。
ベーシストとは思えないほど手が綺麗だよなぁ。
やっぱり女の子だしちゃんと手入れとかしてるんだろうな。
俺なんてもうボロボロになっても勝手に指の腹とか固くなるからガッツリ放置してるわ。
「もー、ちゃんとピックぐらいどこに置いたか把握しとかなきゃ駄目だよ?」
「ありがとリサ姉!どこに置いてあったん?」
「アンプの上、さっきギター置いた時に一緒に置いてたでしょ?」
「……あっ」
……完全に忘れてたわ。
ギター立てかけた時に一緒にピックも隣においてあったアンプの上に置いてたわ。
そもそも、なーんで俺はギターを持ってった時にピックの存在に気が付かなかったんですかね……。
アンプの上に流れで置いてたなら、ギター持ってく時に流れでアンプの上にも手をかけろよ。
「愛斗の事はなーんでもお見通し! おねーさんの観察眼舐めたら駄目だぞ☆」
「リ、リサ姉……!」
ウインクしながらにししと微笑むリサ姉にキュンと来る。
あんなんされたら並の男は告白してるわ。やっぱリサ姉は最高だぜ……!
俺は将来リサ姉みたいな人を嫁にしたい……!
てか願うことならリサ姉を嫁にしてぇ!
まぁ特別年上が好きだとか年下が好きだとかそういう訳では無いんだけどな。
「愛斗さん。イチャついてないでいいので早く例のフレーズの運指を見せて欲しいのですが」
「アッハイ」
ずっとほったらかされてた紗夜さんがジト目で睨んできた。
嫉妬してるみたいで可愛いっす紗夜さん。
嘘ですごめんなさい早く練習っすねはい。
「そう……そこからリズムに乗って……」
「うん……ほっ……」
「そこは手首だけじゃなくて腕ごと持ってくイメージで思いっきり……」
「うん……わかった」
「……」
愛斗さんが今井さんに手取り足取りベースの指導をしている。
比喩ではなく実際に。ほぼゼロ距離で練習している。
ふざけている様子は一切ないので、おそらく2人とも本気で練習しているのだろう。
……それでも近すぎるんじゃないかしら。
愛斗さんから距離を縮めているというよりかは今井さんから距離を縮めているように見える。
元々あんな感じであったといえばあんな感じではあった。
「……おっ」
「やったー!出来たー!」
「うわっ!? ちょっ、ベース痛い!ベース硬い!てか離れて!」
「女の子に抱きついてもらってんだから文句言わないの☆」
「リサ姉当たってんの!何がとは言わないけど!」
「ご褒美だって☆」
「……でもリサ姉、今真っ赤だよね」
「……気の所為気の所為☆」
「おい無茶すんな、あと俺の理性とコンプライアンス的な何か的に色々とやばい離れろおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「いいから受け取っときなって☆」
「……」
……けど流石に最近ちょっとボディタッチが多すぎではないかと思う。
前からRoseliaのメンバーの中でも今井さんや宇田川さんは愛斗さんに大してボディタッチが多かったが、最近の今井さんは以前にも増して多い気がする。
……何か本能的なもので宇田川さんと今井さんのボディタッチはなにか意味が違う気がするし。
「リサ、そんなことやってる暇があったら練習して。愛斗、あなたもよ」
「次のライブも近いです。今日もあと2回は合わせましょう」
「はーい」
「あっ俺も?」
……気にし過ぎかしら。
とにかく、練習に集中しましょう。
次のライブも近いし、CiRCLE合同ライブもこの先に控えている。
練習は本番のように、本番は練習のように。
愛斗さんの言葉を借りるならそれ1番言われてるからというやつだろう。
やまぶきベーカリーに寄っていった足のままコンビニで何かないか見に行く。
どうせモカとリサ姉もいるし、ちょっと会いに行くついでだ。
駐車場にバイクを停め、バイクの鍵をクルクル指で回しながら入店する。
自動ドアの開閉と共に実家のような安心感すら覚えるいつものファンファーレのような効果音が鳴る。
今でこそこれが当たり前になってるからいいけど、最初にこれを考えた人は一体何を考えてこうやったんだろうな。
最初にファンファーレ付きの店内に入ってきた人はビビっただろ。店に入ったらいきなりファンファーレが鳴るんだぞ。
俺だったら狙撃でもされるんかって思うわ。
「いらっしゃいませー☆」
「サンプラザ〇野〜」
「おいせめてさんくらい付けろや。せめてサンプラザ中〇さんって言えや」
こいつはまともな挨拶をちゃんとしたことがあるのだろか。
レジにはゆるふわ中身がよくわからん怖い人系ゆるふわウーマンモカがいた。
リサ姉はデザートの品出し……ってありゃ?ひまりやん。
「よっす。お前ほんとにコンビニスイーツ好きだよな、シュークリーム買っとこ」
「よっ!私の楽しみだもんね〜!シュークリームはこっちの方が美味しいよ!」
「おっ、それ期間限定のやつじゃん☆ アタシも後で買おっかな?」
ひまりのよっ!って挨拶可愛すぎかよ。ちょっと背伸びしてる感が堪らない。
150中盤くらいだと、だいたい俺とは20cm差だからな。
まぁ俺の身長的に157cmまでは20cm差だからな大体ほとんどちっさい可愛いの該当になるんだけどな。
160まではちっさい可愛い。マジ頭ポンポンしたくなる。
てかこのシュークリームって期間限定なのか。
ぜひとも好評につきレギュラー化とかしてほしい。コンビニってそういうのあるからな。そんな訳で期間限定のシュークリームの袋を4つ掴みモカの所まで持っていく。
「まーくんも意外と食べるよね〜、コンビニスイーツ」
「普通に甘いの好きだからな」
「お会計約400円になりまーす」
「約ってなんだよ……電子マネーで」
「あざーす」
お前相変わらず性格女版高田〇次みたいだよな。
流石にアイドルの宮本フレデリカには負けるけど。
大丈夫かやこれ?いきなりクロスオーバーみたいになってるけど大丈夫かやこれ?
まぁいっか☆
レジ横の機械にスマホを翳すと、機械からピピっと音が鳴る。
いいよな電子マネー。お釣りも出ないしこれだけで会計済ませるなんて楽な世の中になったもんだ。
「あっモカ、袋いらねぇから」
「ほぇ?わっ」
シュークリームの袋の端を摘んでモカにトスの要領でふわっと渡す。
「ひまり、リサ姉」
「わわっ!?」
「おっ……と!」
3つあるうちの2つもスイーツコーナーにいるひまりと品出しを終えて俺の横に立っていたリサ姉にそれぞれふわっと投げる。
行儀悪いとか怒られそうだな。まぁ多少は許して欲しい。
こういう時って手渡しだとなんかカッコつかないじゃん?リサ姉に至ってはすぐ横にいたけど。
すいませんそれだけの理由です、はい。
「俺のおごりな、リサ姉もモカも頑張りーや」
「わーいありがとー!」
「愛斗くんはおねーさんを物で釣ろうって言うのかなー?」
「んなわけないでしょうに……」
シュークリームの一つや二つでリサ姉くらいの絶世の美女が釣れるなら、俺はシュークリーム100個くらい買ってやるわ。
大体1万円くらいか?シュークリームやっす。
やっぱコンビニスイーツで最強のスイーツといえばシュークリームだわ。
「ジョーダンだって! ありがと☆」
「うおっ!?」
「え゛っ゛」
「おー」
なんの前触れもなく左腕にリサ姉が抱きついてくる。
リサ姉が軽いとはいえビビるわ!前兆も予備動作も皆無やぞ!どう避けろって言うねん!
まぁ来るってわかってても避けないんですけどね。
変態と言われようがなんと言われようが男の性って辛いよな。
でもここは非常に惜しいがリサ姉には離れてもらおう。
周りに他の客がいないとはいえ、いつ一般の客が入ってくるかもわからない。
知り合いがいたらそいつはギルティだ。おそらく彩にバレたら嫉妬で家に居座られる。
まだやられたことないから知らんけど。
「リサ姉、離れてくだせぇ」
「嫌なの?」
「いや全く、むしろこのままがいい」
左腕に引っ付いてるふわふわぷにぷにな感覚を逃したくはない。
死ぬほど恥ずかしいし不味いとは分かってるが男の性が拒否をする。
おかしーなー?彩の時は即行で離せるのにリサ姉の時は無理だもんなー。
いつもなら即行で剥がしにかかるし恥ずかしいはずなのに、それよりもまだ引っ付いていたいって欲が強いもんなー。
これ完全に彩で麻痺してるよな。まずい、これはまずいかもしれん。
でも離れたくない!本能だもん!
「ダメだよ!そんなのダメーっ!」
「おっと☆」
「おっふぉっ!?」
ひまりがいきなり叫びながらこっちに突っ込んでくる。
リサ姉が左腕にくっついてるせいで身動きが取れない俺は真っ直ぐこっちに突っ込んでくるひまりを避けられずに、そのままひまりの頭が俺の胸に直撃する。
いってぇ……ぷにぷにピンクの頭でもやっぱり痛てぇもんは痛てぇんだな……。
おっふ……。
「この浮気者!さいてー!好き!」
「そもそもお前とは付き合ってないんですがそれは」
「彩ちゃんの言うとーりだよ!おねーちゃんと言う存在がマーくんにはありながら!」
「ぶふっ!?ひ、日菜!?」
「おい紗夜さんが俺と付き合ってるみたいにすんな。紗夜さんが可哀想だろ、風評被害えぐいぞ」
いつもの羽沢珈琲店。なんかアホピンクに呼ばれたと思ったらいっぱいいた。
とりあえず手招きされるままリサ姉の隣に座ると、その瞬間彩たちから猛烈な質問攻めに遭う。
「そもそも私という女がいながらなんでリサちゃんに手を出すの!?」
「おい俺がいつからリサ姉と付き合ってたのかを説明しろ」
「先月からだよねー、マーくん☆」
「おいこのタイミングで悪ノリすんなリサ姉ええええええええええええ!!!!!」
「ほら浮気してるじゃんかああああああああああ!!!!」
「あっはっはっ☆」
「ツグミさん!これは地獄絵図って言うんですよね!」
「イヴちゃん……間違ってないけど……」
このあとめちゃくちゃ彩から質問という名の拷問を受けた。
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
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今のが好きなので書き直しておk
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昔のが好きなので書き直したらアカン