どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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お店がなくなると困ることは沢山ある

 やぁ皆さんこんにちは。

 今日は浅尾じゃないです、柳田です。みんな知ってるかな?

 そうです、はい。Black historyのサブギター担当の柳田聖一です。

 敬語きついなこれ。もういいや。

 普段は敬語とか使わないからな。

 

 フルネームを言ったのは地味に初めてな気がする。まぁバンド内では基本的にメンバー全員がお互いのことを苗字呼びだからな。

 仲が悪いって訳じゃないけど、なんとなく苗字呼びになってる。

 

 ……で、なんで俺の視点になってるかって?

 

 

「一段落着いたかな……」

「これでもう十分じゃねぇか……」

「問題ないと思います……」

「なんとか間に合いそうだね……」

 

 

 CiRCLEの中にある特設会議室。

 その中でぐちゃぐちゃに殴り書きされたホワイトボードに、ダンボールの中にはポスターの山。

 3つくっつけられて綺麗に揃えられた長テーブルの上には飲み物とペンとポスターが置かれ、6人の女性と1人の男が死にかけの顔と髪の毛をボサボサにして突っ伏している。

 

 時刻は朝8時くらい。

 あさイチで集まったんじゃない。集まったのは昨日の昼間、3時くらいだったはずだ。

 これでも紗夜さん達常識人の言うように予定より早めに集まって準備を始めたつもりがまぁかかるかかる。

 これ絶対7人でやる作業量じゃない。猫の手も借りたいって人生で使う日が来るとは思わなかった。

 

 ……え?なんでもっと大人数で集まらなかったって?

 みんな優しいから言わなかったんだよ!

 ちなみに俺は新庄に押し付けられた。あの野郎俺より手先が器用な癖に自由人なのがほんとに……。

 うちのリーダーさんもバイトで来れないし俺に白羽の矢がたったって訳。

 にしても眠い……。オールとか高校に上がってからやった記憶しかねぇ。

 

 

「眠い……」

「もう帰っていいですかぁ……」

「このあとリハーサルですよ……」

「そーだったわ……」

 

 

 今日このあとリハーサルだったわ……。

 机に突っ伏したまま意識を人差し指1本で引っ掛けた状態で他の面々と会話をする。これみんな顔上げられてねぇんだろうな。

 意外と男よりも女の子の方がこういうのには強いのかもしれない。

 クラスの女子とか息をするようにオールしてるしな。人間とは思えねぇ(直球)

 

 畜生なんでもっと早めに準備やっとかなかったんだよ……。

 6つのバンドのメンバーが集まれる日が1日しかなかったんだわ。そうだよ。

 afterglowのつぐみちゃんはお店があるし、パスパレの麻弥さんもアイドルだから仕事があるし、紗夜さんもRoseliaの練習で忙しい。

 俺とりみちゃんと美咲ちゃんは暇なんだけどな。

 美咲ちゃんもあのハロハピのメンバーだから大概忙しいんだけど。

 

 

「紗夜さん……」

「なんです……」

「集合時間って何時でしたっけ……」

「集合……時間……?」

 

 

 あぁ、駄目だ。

 この中で恐らく1番しっかりしてるであろう紗夜さんですら、もう頭動いてない。

 

 

「集合時間なら8時10分だった気がする……」

「美咲ぃ……今何時……」

「自分で見て……」

 

 

 そんなこと言われても顔が上がらない。

 マジで崖際で指一本で粘ってる状態だ。一瞬でも気を抜けばそのまま10時間睡眠タイムに突入してしまう。

 てかもうマジ限界……リハまで寝る……。

 

 

 ガチャッ! バタン!!!(迫真)

 

「おっはよー!!!」

 

 

 ナイスタイミング(白目)

 元気のいいドアの開く音と共にゾロゾロと大人数が入ってくる。

 もう今Sansの川が見えてたぜ。てか全力でルパンダイブ仕掛けてたのにキラキラちゃんにガッツリ邪魔された。

 

 

「リハーサル頑張りましょう!」

 

「はい、これ差し入れ☆」

 

 コトッ

 

「はい、これうちのパン」

 

 ガサッ

 

「コロッケもあるよ!」

 

 バンッ!

 

 

 差し入れの気持ちが染み渡るぜ……。

 ただ見えてないけど、おそらくはぐみちゃんが持ってきてくれたコロッケは食いきれないと思う。

 

 

「おっ、柳田くんじゃないか。お疲れ様」

「あらら〜、大丈夫?」

「うぐぉ……浅尾てめぇ……バイトなんか入れやがって……」

「しゃーないやん」

 

「うぅ……」

「うわっ!おねーちゃん顔酷いよ!?大丈夫!?」

「本番前日にそんなことでどうするの。しっかりして」

「うおー、手厳しいー」

「皆さん。あとはこっちでやっておくから、少し休んで?」

 

 

 ここは存分に千聖さんの言葉に甘えさせて頂こう。

 あと心配してくれたリサさんは神。どこぞの無能リーダーとは違うぜ。

 周りはカラオケボックスの中並に煩いはずなのに一瞬で意識が闇の中に落ちていく。

 とりあえずあれだ。

 起きたら浅尾と新庄1発ぶん殴る。

 

 

「よーしみんな!リハーサルも全力で!キラキラしよーねー!!!」

「お前明日までその気合いとっとけよ……」

 

 

 薄れゆく中で最後に聞いた言葉は、キラキラちゃんの号令と有咲ちゃんのやれやれツッコミでした。

 お疲れ、俺はもう寝る(死んでない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柳田が死んだ翌日、CiRCLE合同ライブの本番の日だ。

 客席には既に観客がパンッパンに詰まっている。

 ちなみにCiRCLE合同ライブの正式名称は『キラキラ愉快な商店街 狂乱のブシドーパーティ』である。

 いいのかそれで。いいのか商店街の人達は勝手に愉快にされて。

 

 キラキラ愉快な商店街はまぁいいだろう。

 やっすいなんかのパンフレットみたいな紹介文だけど。

 狂乱のブシドーパーティってやばくね?

 ブシドーパーティですらやばさ際立ってるのに狂乱してるからな。

 俺の頭の中ではサイコパスの武士が血みどろのパーティという名の殺し合いしてるんだけど大丈夫かなこれほんとに。

 しかも何が不味いって、これの前にキラキラ愉快な商店街って言ってるからな。

 キラキラ愉快な商店街で狂乱のブシドーパーティしてるって何も知らん人に言ってみ?

 その人は絶対に110番する。

 少なくとも俺だったら110番する。

 

 

「お客さん、いっぱいだねぇ」

「おっ、リサ姉緊張してんの?」

「まっさかー☆」

 

 

 リサ姉の横顔は凛としている。

 やっぱこう言う大舞台で燃える精神はRoseliaのメンバーらしいよなぁ。

 

 俺も気合が入ってくる。

 リサ姉の隣から一旦離れ、スタンドに立てかけてある俺のギターの元に向かう。

 スタンドには茶色いボディを光らせた相棒のジャズマスターが堂々と佇んでいる。

 しゃがんでギターのボディを真正面から見つめ、ボソッと話しかける。

 

 

「頼むな」

 

 

 ジャズマスターのボディをそっと撫でる。

 何だかんだお前とは長い付き合いだからな。ストラップピンをユルユルにしたのはほんとに悪かった。

 あと一時期とも〇ちさんに憧れて燃やそうとしたのも悪かった。あの時テレキャスじゃないやんって思い留まってマジで良かった。

 とにかく今日もしっかり頼むぜ。相棒。

 

 

「今のイケボ!保存しといた!」

 

 

 後ろから聞き覚えのある声が聞こえて体が固まる。

 そのまま後ろを振り向かずに後ろでスマホを構えているであろうアホピンクに質問する。

 

 

「……なぁ、ほぼ確定だろうが動画撮ってたのはまぁ置いといてやろう。今、お前スマホでなんの操作してるんだ」

「Twitterで動画上げてた!」

「お前はよっぽどシバかれてぇ見てぇだなァ!首筋に冷たい缶ジュース5回当てる刑じゃゴルァアアアアアアアア!!!!!」

 

 

 ごめんと悲鳴をあげながらにげまわる彩を容赦なく追い回す。

 ちなみに捕まえたあとは小脇に抱えて自販機の前まで持っていきます。

 

 

「なにやってんの愛斗。香澄達が円陣やるから集まれってさ」

「……あ?円陣?」

「た、助かったよ……」

「覚えてるからな」

「ふぇぇ……!」

 

 

 とりあえず一時休戦にしといてやらぁ。

 後でな(ゲス顔)

 

 

 

 

 

 

 

 

 各バンドのボーカル担当が中心に集まり、その中央に手をかざし円陣を組む。

 西武の牧田召喚の儀式みたいだな。これ何人通じるんだ。

 

 

「みんな準備はいい!?」

「勿論よ」

「おっけー!」

「いつでもいいよ」

「任せとけって」

「最高のステージにしましょう!」

「それじゃあ行くよ!」

 

 

「「「「「「ポッピンパーティラブリー号のスマイルッシャアアアアアア!!!」」」」」」

 

 

 なんて言ってるか全然わかんねぇけどいいのかこれで。

 ちなみに俺らの円陣は毎回「さぁ行こっ!」「シャアアアアアアアッ!!!」

 ってやってる。

 The 男の円陣って感じだよな。

 考えるのも面倒だし気が付いたらこれになってた。

 

 そんな訳で何やかんやあったけど、CiRCLE合同ライブの開始だ。

 しまっていこー!

 

 

 

 

 

 

 先頭はポピパ。

 ちなみに今回香澄は飛ばずに兎も走り回っていない。

 平和だろ?その代わり香澄はなんか変な星の着ぐるみに包まれてた。ス〇フィーとか某ベイス☆ボール球団の前任マスコットみたいに見えるんだけど大丈夫なのか。てかそれ着ながらよく弾けるな。

 おたえは兎のコスプレ、可愛い。

 りみりんはチョココロネを投げてた、ちゃんとラップでまいて落ちても大丈夫なようにしてるの偉いね!

 沙綾は三刀流ドラムしてた。三本目のスティックはどこで使うんだろ。鬼〇りでもするのかな。

 

 

 

 2番手はafterglow。

 センターにパスパレが着るみたいな衣装着てキャピキャピつぐみがアイドルしてた。

 センターにパスパレが着るみたいな衣装着てキャピキャピつぐみがアイドルしてた(迫真)

 大事な事だから2回言ったぞ。めちゃくちゃ可愛い。ほんとに可愛い。

 

 

「はああああああああああ!!!つぐ可愛いよつぐううううううううううう!!!!!」

 

「お前何してんだよ……」

「彩ちゃんほんまにこいつでええんか……?」

「大丈夫!うん!」

 

 

 なんならさっきから写真を撮る手が止まらん。

 有咲がドン引きしてる気がするけどまぁいいだろう。馬越の野郎は後で〆る。

 

 

 

 3番手はパスパレ。

 何故か楽器を持たずに空中ブランコに捕まってる。

 これあれか。この前バラエティ番組でやってたやつか、千聖さん顔死んでるけど大丈夫なんか。

 てか麻弥さん笑顔でぶら下がってるけど鍛えたんやなぁ……。

 オンエアの時は最初っからプルプルしてたもんな……。努力する麻弥さん可愛い。

 

 

 

 4番手はハロー、ハッピーワールド。

 

 

「どっかーん!」

 

 ドパァンッ!!

 

 

「ハロハピってすっげぇ動くよな……」

「そうか?」

「お前に聞いたのが間違いだったよ」

 

 

 そんなやれやれ顔すんなよ有咲。

 今回は大人しくどでかいクラッカーをどかーんとぶっぱなしただけだった(大人しいとは言っていない)

 花音さん鼓膜大丈夫なんだろうか。黒服さん達がいるから安全面は最強だろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『皆さんはバンド名を変えたいと思ったことは無いでしょうか? 俺はあります。一生。夕〇に誘いし漆黒の天使達で『I want to change the band name』!!!』

 

 

 ドラムとシンセサイザーのハイテンポな演奏に柳田のストラトがゴリゴリな音を奏でる。

 

 

『よっしゃあ!お前ら!どっちが先にバンド名変えれるか勝負しようぜ!(?)』

『謎の力によってバンド名が変わることは一生ないけどな』

 

 

 柳田、俺、馬越が同時に宙に浮く。

 そんなわけで5番手は我々Black history。マジバンド名変えたい。

 ハロハピがめちゃくちゃ動く?あんな普通だわ!

 本物のゴリッゴリのロックバンド見せてやるぜえええええええええ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺らの出番は大盛況だった。

 ちなみに今日の選曲は I want to change the band name. → CQCQ → ブリキノダンスだった。

 我ながら完璧な選曲だと思う。くっそ盛り上がったし楽しかった(小並感)

 

 6番手はRoselia。

 相変わらずどでかい謎の衣装(?)に入って演奏してた。

 あこはなんか口でドンパン言ってたしな。今日は特にハチャメチャだった。めっちゃ可愛かった。

 

 あとこれだけは言わせろ。

 リサ姉に猫耳つけた人誰だ出てきてくれ。マジで殺人級に可愛くて死んだと思ったぞ。

 ……えっ?俺今倒れて魂だけ出てる?

 馬鹿言えこの俺様がそんな事なるはずないやんけ。なんか普段より視線高いけど。

 

 最後はみんなでエクストリームきらきら星を歌った。

 楽しかった(小並感)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライブも無事に終わり、特設会議室が打ち上げ会場に早変わりする。

 相変わらず北沢精肉店のコロッケはうめぇな。何個でも食えそうだ。

 

 

「彩、今日のライブどうだったって?」

「なんで夫婦デュエットが入ってなかったのかだけが疑問だって」

「そのアカウントあとでシバキ倒すか」

「私のアカウントだよ!」

「デュエットなんてやるわけねぇだろ!」

「痛い!」

 

 

 おでこに痛いタイプのデコピンをしてやった。

 彩は湯気の出ているおでこを抑えながら呻いてしゃがみこんでる。残当。

 ちなみに俺のデコピンは掌をおでこに当てて中指の腹でバチーンとやるタイプな?

 

 

「ちょっとみんないいかな?」

「はいはーい!みんなまりなさんにちゅうもーく!」

 

 

 CiRCLE代表としての挨拶だろう。

 そういやまりなさんってCiRCLEではどこの立ち位置についてるんだろうか。

 ただの店員止まりには見えないしオーナーのような感じにも見えないし意外と謎である。

 

 

「みんな今日はお疲れ様。本当にCiRCLEの最後にふさわしい素敵なライブだったよ?特にアンコールのきらきら星歌うところなんか……」

 

「……ファッ!?」

 

「「「「「「最後!?」」」」」」

 

「もうワンクールありますよ!?」

 

 

 千聖さんそれ別の世界線の話や。これ小説やから関係ないで。

 あれ?最後ってどゆこと?今年最後ってことだよな?

 そうじゃないと俺が使えるスタジオがないんやけど。

 

 

「あれ?言ってなかったっけ?CiRCLEは今年いっぱいで閉店することになったの」

 

「「「「「えええええええええええええええええ!!!!!」」」」」

「……うせやん」

 

 

 俺そんなの聞いてないんやけど説明してないで説明しろおおおおおおおおおおお!!!!!!

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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