どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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温泉引き当てれば億万長者

 聖徳太子の楽しい木造建築を知っているだろうか。

 あの作品は素晴らしい。某クソアニメと評判名高いポ〇テピピックやボ〇ボーボ・ボーボボに近いものを感じるテンポの良さと、なんぴとたりとも追いつけやしない音速のギャグセンスを武器に数多くの視聴者を爆笑と困惑と失笑の渦に巻き込んだ伝説の作品である。簡単に言ってしまえばカオスを極めたアニメである。俺ああいうの大好き(洗脳済み)

 

 実は聖徳太子の楽しい木造建築ってサブタイトルでホントのタイトルはギャグマンガ日和って名前のアニメなんだけどね。

 あの話だけでどれだけの素材と名言が生まれたのかと思うと、あれこそまさに神回である。

 

 俺ってモンハンをここ数年で始めたんだけどラージャンのあの回転しながら突っ込んでくる攻撃をなんで飛鳥文化アタックって言うのかしばらくわかんなかったからね。なんなら俺の友達はただのビームですら湯のみマッスルアタックとか今日のポピーとか言ってたからね。

 まだ何も知らなかった純朴な頃の俺は何言ってんだこいつらと言う目で友達を見ていた。今では立派な同族に染ったけどな。ネットのネタおもろいからしゃーない。

 けど現実では使いすぎるなよ! 普通に引かれるし何より滑ってるからな!

 ネットのノリを現実にもってきては行けないってはっきりわかんだね。お兄さんとの約束だゾ☆

 

 それでなんでこんな話をしだしたかだったわ。

 そう。その聖徳太子の楽しい木造建築の中のラストシーンにめちゃくちゃ似てるんだよね。

 

 

「……」

「……この始末☆」

 

 

 今の目の前の光景が。

 

 うん。あの時のオチと一緒で目の前に元あった建物に使われてたであろう材木やコンクリートが跡形もなく瓦礫に姿を変えている。

 元あった場所にはヒュ〜とかいう効果音みたいな風の音と共に枯れ葉が舞う。マジでテンプレのアニメの演出みてぇだな。ほんとに綺麗に壊れてる。

 

 

「職探ししなきゃ……」

「ま、まりなさんしっかり!」

 

 

 まりなさんがカタカタ震えながらその場に崩れ落ちる。ガチのマジトーンだったぞ今。今までに聞いたことの無いマジのトーンで崩れてったぞ今。

 そりゃあ職場がただの瓦礫の山になれば誰でもこうなる。

 にしても不憫だ。俺にやってきた数々の所業があるとはいえ不憫すぎる。しかも今までこの人が一人でCiRCLE直してたからな。他の店員やスタッフはどこいったねん。

 

 ささやかなまりなさんへの復讐計画を立ててた俺も流石にドン引きである。

 いやだって流石にCiRCLE全壊は可哀想やん……。倒れる前にまりなさん横目に見たらマジで凄い顔してたからな。

 目ェかっぴらいてたからな。そら(職場が物の数秒で瓦礫の山に変身したら)そう(あんな顔になる)よ。

 

 

「な、なんにも無くなっちゃった……」

「瓦礫は沢山出来たけどな」

「それ出来たって言えないわよ……」

 

 

 そりゃそうだ。瓦礫なんて生み出そうと思って生み出せるものじゃねぇからな。

 瓦礫は生み出されても歓迎されることの無いこの世の敗北者じゃけぇ!

 

 

「はっ!こころちゃん!美咲ちゃん!」

 

 

 半泣きになりながら瓦礫の山に駆け寄る花音さんに続いてはぐみと薫さんも駆け寄っていく。

 いやーあの二人なら大丈夫だろ。ハロハピが世界に誇る超人2人だぞ。

 とは思っていつつも流石にあれに巻き込まれるのは不味い。

 恐らく黒服さん達が用意したミッシェルの中に入ってる美咲はまぁ100%無事だろうが生身のこころが心配だ。

 てなワケで俺も走って駆け寄りに行く。

 

 

 バキッ

 

「ミッシェル!」

 

「さ、流石に死んだと思った……」

「凄かったわね!」

 

 

 瓦礫の山から姿を現したのはミッシェルと抱き抱えられたこころ。二人とも少し煤に汚れているが無傷みたいだ。

 てかミッシェルさっき上の瓦礫ぶん殴って出てこなかったか?お前マジでスーパーマンにでもなったんか?

 兎にも角にも無事でほんとによかった。怪我人が出たら最悪だったからな。

 

 

「良かった〜」

「でも……CiRCLEが……」

「これじゃ来週のライブには……」

「私たちのやった事は無意味だったんでしょうか……」

 

 

 重い空気が流れる。

 無意味だった訳では無い。普段CiRCLEを使ってたバンドのメンバーがこうして有志でCiRCLEを守る為に動いていたんだ。

 その事実が意味のない訳が無い。

 

 

「イヴちゃん。それは違……」

「まだだよ」

 

 

 重く沈み切った空気をひとつの綺羅星が通る。

 夏の温泉の時の岐阜の空に比べれば明るさは足りないものだったが、それでも大きな夜空には外灯や街明かりに負けんと小さな星達が輝いている。

 

 そんな星のようなバンドを率いる戸山香澄は徐に瓦礫の下に耳を当て始める。

 

 

「CiRCLE!まだ生きてるって!」

 

 

 そういった香澄は目の前の瓦礫を避け始める。

 

 ……は?

 まだ生きてるって言ったってつい今目の前でぶっ壊れたばっかだろ……ってそういや……。

 

 

「ふざけてる場合じゃねぇだろ香澄!?」

「ううん!聞こえるの!」

 

「土井。CiRCLEのステージって確か地下にあったよな?」

「? そりゃそうだろ……ってあぁ!?」

 

 

 土井も香澄の言ってることに合点がいったのか。ニターっと口角を上げる。

 

 

「よっしゃ!香澄退いてろ!」

「こういう力仕事は男がやるんだよ!」

「二人とも……ありがと!」

 

「何やってんの……?」

 

 

 土井と俺は香澄のところに駆け寄り目の前の瓦礫を手当たり次第にどかし始める。

 いやいや何やってる見てわかんだろおたえちゃん。発掘だよ発掘。お宝探し。

 

 

「おっ?ここじゃね?」

「見えてる見えてる!ラストスパートだろこれ!」

「っしゃあ!」

 

「「ぶち飛ばしていくぜええええええええええ!!!!!」」

 

 

 少し空いた隙間から除くそれを見て希望を確信に変える。キタコレ。香澄ってやっぱ人間じゃねぇ星の子説あるぞマジで。

 

 ラストスパートとばかりに物凄い勢いで3分程瓦礫をどかし続け先を進めるとついに目的のものが見え始める。

 確信が現実に変わる。

 視界を塞いでいた瓦礫が撤去されて行き、「CiRCLE」が姿を現す。

 

 

「香澄ィ!これでいいだろ!」

「うん!ありがと!」

「あっ……ステージも機材も……まだ無事!」

「ほんとだ!」

「これならライブ出来るかも……」

 

 

 その通り!CiRCLEのステージは地下にあったからな。スタジオは一階だけど。

 前にまりなさんが機材やらなんやらの下敷きになった時はステージが下にあるのが仇になったけど今回はそれが幸をそうした。

 だけど機材まで無事とはすげぇな。現実は小説より奇なりとはよく言ったもんだ。

 

 

「そんな無茶な……」

「いえ、まだ時間はあるわ。もしかしたら……」

 

 

 ラストライブは年明け直前。

 時間は26日から考えて約3日ほど。

 常識的に考えたら無理難題にしか見えないがこちとら常識的な考えが通用しないヤツらの集まりだ。今更この程度どうにでもなる。ご都合主義舐めんな。

 

 

「そうだよ!やろうみんな!だってこんなにキラキラしてるんだもん!」

 

 

 香澄が発したひとつの光が、大きな光になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこからは非常に早かった。

 先ずはこの世界の公式チートこと弦巻家の力も借りて手の空いたメンバーで瓦礫等を除去。

 

 

「お、重てぇ……」

「なんで私まで……」

「ミッシェル力ありそうだしな……」

「私にそんな力はないんだけど……」

「おー、大丈夫かーお前ら」

「なんで巴そない平気な顔してんねん……」

「儚い……」

「なんでポーズ決めてるんですか……」

 

 

 うちのバンドのメンバーは全員こっちの仕事に回された。男は力仕事するものだからね。仕方ないね。美咲はドンマイすぎる。

 それと巴が平気な顔して土嚢2つ担いで歩いてるの見てホントに女の子なのかなとちょっと心配になりました(小並感)

 母は強し。はっきりわかんだね。

 あと薫さんはめちゃくちゃポーズ決めてた。誰に見せてるんですかね、それ……。

 

 そして俺たちが力仕事をしている間に紗夜さんやりみ達がポスターやチラシなどを作成。

 

 作成したチラシを彩や千聖さんテレビにも出てる知名度のある人達や沙綾のような商店街やここらの地域一帯での知名度や親愛度の高い人が配っていく。これで宣伝効果はバッチリ。

 

 麻弥さん監修でマジでプロが作ったんちゃうかという案内板なども作成された。

 

 

 

 更に言うなら俺がここからもっと人を集めるために普段やらないTwitterでライブを宣伝したり、Roseliaのカバーを出してから一切手をつけてなかったYou〇ubeチャンネルに「脱法ロック」「雨とペトラ」「拝啓ドッペルゲンガー」の豪華ボカロ三連発を全部一人で弾いて叩いて歌って投稿。

 しかも1本の動画につきギター×2、ベース、ドラム、キーボード、ボーカル、コーラス×2の編成でやるというなんと9度手間掛けるというガチっぷり。

 それを3曲分やったからな。もうガチ本気になって全部一発録りで終わらせたわ。こんな俺でも音楽だけはガチれるんやぞ一応。

 

 いつも演奏は本気でやってるつもりだけどもうマジで本気で弾きまくった。ホントに3曲×9回分とかクソ時間かかるからね。

 そんなわけでCiRCLE壊れた翌日に3時間で3曲終わらせてMIXをワクワクさんに全部ぶん投げてその日のうちに動画を出した。ワクワクさんも大概バケモノ。プロってすげーわ。

 ほんでそのコメント欄の1番上に自分のコメントを固定してCiRCLEのライブを宣伝すれば勝ちという寸法よ!フハハ!完璧な計画なり!

 

 ちなみに動画は3日でみんな仲良く40万再生弱再生突破した。あとガチ中のガチで弾いたおかげでいつも以上に暴れまくって無事イメージが大変なことになった。なんでオチ付けなあかんねん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人集まりすぎちゃう?」

「ふえぇ……こんなの初めてだよぉ……」

 

 

 来る本番当日。

 会場には溢れんばかりの観客が訪れた。なんなら入り切らん。地下にまで入りきらない人たちはフェンス越しに上から覗き込んだり、ガチった黒服さん達お手製の簡易巨大モニターでリアルタイムで映像を見れるようになっている。

 やべぇ、ちょっと本気出しすぎた。ネットって怖いわ(確信)

 

 

「みんなー!円陣組むよー!」

「マーくん早くー!」

 

 

 満帆に埋まった観客席とかっぴらいた天井を囲む観客達に見とれてた。どうやらもうそろそろお呼ばれの時間らしい。

 舞台袖から引き上げ、華麗な美少女の元に向かう。

 

 

「今日は今までみたいに空飛んだりできないけど大丈夫か?香澄?」

「へっへーん!あの時とは違うんだから!」

「愛斗もあんまり暴れすぎないでよね」

「いいじゃない!好きにやっちゃいましょうよ!」

「マーくんもこころちゃんもあんまり暴れ過ぎないようにしようね……?」

「行くわよ」

 

「CiRCLE!」

「「「「「「「「「オー!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライブはafterglowが先陣を切り、スタート。その次にはパスパレ、ハロハピと来て俺らの出番だ。

 偶然にもまともなバンド順に始まってるみたいだな。

 ハロハピは最近変わったんじゃなくて普段から馬鹿やってるしafterglowもつぐみが変わっただけだし。なんならパスパレなんかぶら下がってただけだしな。

 俺らに至っては何もしていない。普通に演奏してたら何故か暴れすぎと言われるのだ。理不尽。

 

 

「あとは頼むわよ!」

「誰だと思ってんだよ浅尾さんだぞ?」

「わはー!懐かしー!」

「はぐみちゃん……懐かしいはやめてあげよう……?」

 

 

 斉〇さんが懐かしいと言われる時代もすぎてしまったのか。

 売れる前からハゲラップ好きだったのになんで一発屋みたいな扱いになっちゃったんやろなぁ。一応ブレークする前から知名度はあったのに。

 

 

「今日はチェケラッチョハゲラッチョでもライブでやってやろうかな」

「やめとき。あれは歌ちゃうで」

 

 

 馬越に肩を掴まれて止められた。残当。

 

 熱気に包まれたステージは360度から観客の歓声に包まれている。まるで本物のプロのライブみたいだな。アマチュアがこういうの味わえるなんてそうそうないからいい経験になるよ。

 

 

「今日は何弾く?」

「予定通りで」

「珍しいやん」

 

 

 馬越からの厳しい突っ込みに苦笑いしながらマイクに手をかける。

 

 

『お待たせしました皆さん。Black historyです。こんな星降る夜はしっとりとした名曲を……なーんて言うと思ったかァ!?寒い冬空で風邪なんて引いてる場合じゃないでっせ!熱く暑く厚くゥ!盛り上がって行きましょう!ONE OK ROCKで……』

 

 

『努努-ゆめゆめ-』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとさーん」

「またなー!」

 

 

 最後まで盛り上がってくれた観客とのしばしの別れを惜しみながら舞台裏に引き返していく。

 

 

「お疲れー☆」

「あざっす」

 

 

 舞台裏に下がると、そこには次の出番に備えていたRoseliaがいた。

 いつもの軽い調子で労ってくるリサ姉に軽く返して、こちらを真っ直ぐ見つめてくる友希那さんや紗夜さんを見つめ返す。

 

 

「なんか頂上決戦みたいだね」

「おたえちゃちゃ入れんなよ……」

「特になんもしねぇよ……」

 

 

 ただ何となく見つめてただけだ。マジで深い意味は無い。雰囲気的にだ。

 

 

「お疲れ様」

「アッハイ。もしかしてなんにも考えてないんですか?」

「そうじゃないわ。ただ、愛斗も随分とボーカルが板に着いたと思っただけよ」

「目の前で褒められると照れるからやめて欲しいんですけど……」

「恥ずかしがることなんてないじゃない」

 

 

 フッと友希那さんが笑みを浮かべる。

 紗夜さんもめちゃくちゃ柔らかくなったけどこの人も柔らかくなったよな。

 昔はもっとサバサバしてたイメージがあったけど、Roselia解散騒動で壁を1枚ぶっ壊したと思ったらいつの間にかポンコツを披露しまくってて……。

 それでも歌姫としての実力を惜しみなく発揮するんだからお手上げ状態だ。Roseliaも月日を積み重ねる事にどんどんレベルが上がってる。というか正直既にプロ顔負けの実力をもってる。あこは来年から高校生とはいえ余りにも上手すぎると思うんだ。ドラム1曲勝負で負ける気はないけど。

 

 

「いつか引きずり落としに行きましょうか?Roseliaさん?」

「えぇ。いつでもかかってきなさい。Roseliaは貴方達を歓迎するわ」

 

 

 バンドを始めてよかったとつくづく感じるよな。今のガールズバンド黄金期を象徴するようなバンドに相対しているこの事実に震える。

 ただ負けるつもりはさらさら無い。流れで集められたこのメンバーだがどこにも負ける気はしない。それはRoseliaでもBlack historyでも同じだろう。

 

 

「ライバルって奴ですか?」

「そう思ってくれても構わないわよ?」

「恐縮ッスね」

 

「ほら見てよ有咲。やっぱり頂上決戦だよ」

「おたえ今話しかけんな!気配消してたんだから!」

 

「安心しろよ。お前ら二人とも気配消せてねぇから」

 

 

 有咲は物陰に隠れてるだけマシだけどおたえはなんで頭に木の枝貼り付けてんだよ。

 むしろ存在感バリバリだったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あったけぇ……」

「だねぇ……」

「流石のモカちゃんでも蕩けそうになりますな〜……」

「見て見てはぐー!すっごい広いよ!」

「あー!かーくん待ってよー!」

「銭湯は日本の心!まさにブシドーです!」

 

 

 その後CiRCLE跡地から温泉が吹き出し、CiRCLEは銭湯兼ライブハウスという総合施設的な何かに変わった。あと何故か敷地面積は前より大きくなった。物理法則を無視している怖い。

 ちなみに水着着用でCiRCLEに認められた人のみが混浴出来るらしい。

 めちゃくちゃあったけぇくっそ気持ちいい。

 ただネックは周りが美少女だらけで目のやり場に困ることだな。

 

 

「ほれほれ〜。おねーさんのナイスボディを見ても別にいいんだよ?☆」

「ホントに綺麗な体してるんで遠慮しとくっす」

「まーくんは変態さんだね〜」

「おいどうしてそうなった」

 

 

 あとはあれだな。心臓に悪い。混浴はあんまり気が休まらねぇな。体は芯からポカポカ暖まるけど。

 男湯に入ろうとしたら満面の笑みで今掃除してるから混浴してきてと毎回言ってくるまりなさんにはそのうち盛大な仕返しをしてやろう。

 

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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