どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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テスト勉強の時は集まると集中出来ないからやめとけ

 6月は一般的に=梅雨の季節なんてもんだが、ここ最近は6月でもあまり雨が降らない気がする。体感ここ数年の話なので、実際のデータは知らない。7月の方が雨多いんじゃねぇの? そんな6月。

 おかげで、日が経つ毎に気温が上がっていっても、どんどん増していくあの独特のジメジメ感が少なくて個人的にはだいぶ助かる。なにより、湿気が少ないおかげか知らないが、ナメクジが出ないのが本当に感動的。

 

 さて、そんなわけで今月も早、下旬。この時期になると、学生にはある試練が待っている。インフルやホラゲみてぇなちゃちなもんじゃねぇ。本当の恐怖の対象。もっと強大な、対学生殺戮兵器とまで呼ばれる。誰しもが知ってる、あの恐ろしいもの。

 その名は……

 

 

「愛斗くん助けてええええええええええええ!!!!!」

「……は?」

「テスト前なのに全教科わかんないよぉ……」

「…………は?」

 

 

 そう、学生の敵。

 テストである。

 

 自宅で黙々と現代社会の暗記をしていた俺に、突如電話をかけてきたピンク頭のベーシストからのヘルプ。平成主人公ってこんな気持ちなんだろうなというヤレヤレと、ひと時の青春を噛みしめるべく、俺は羽沢珈琲店に緊急出動することになったのだった。後半へ、続く!(キー〇ン山田)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「俺が聞いてた問題児は1人だけだった……お前もなんだね。まぁ、予想は出来てたよ。俺の勝ち。何で負けたのか、明日までに考えておいてください」

「範囲的に明日だともう間に合わないんじゃないか?」

「何、そのニヤニヤ顔。余計むかつくんだけど」

「おいーっす~。まーくん、なぜ貴様がここにいるのだー」

「そこにいる二つのおさげみたいなやつがキューティハニーなピンク頭の子に呼ばれたからだよ」

「名前で呼んでぇ……」

「アホピンク」

「色は名前じゃないよ!」

 

 

 羽沢珈琲店に行きつくと、当たり前のようにAfterglowの面々が既に店内の一角を陣取っていた。

 ほんと仲良いなお前ら。バンドメンバー全員でテスト勉強とか、平和の象徴か?にしても、アホピンクという響き。なんだかとっても懐かしい響きだ。ちっちゃい時、年上の女の子を馬鹿にするときに使ってた。今思えば、幼少期とはいえあまりにもクソガキだが、今でも心はクソガキなのか、やけに口になじむ。ピンクってアホそうな色だもんな(語弊)

 

 それにしてもあの先輩、元気にしてるのかなー。まだ、確か俺が小学生くらいの頃。小学生の一つ差とかいうとんでもない年齢差がある癖に、年下の俺にやけに懐いて、やけに泣きついてきてた先輩がいた。あの先輩も、ピンク頭でアホだったな。

 本当に結構な頻度で泣きついてくるもんだから、当時の時点で学年の区別がついていない説が浮上していた気がするが、流石にそうじゃないだろう。あの先輩、大きくなったら可愛くなってんだろうなー。今となっては過去の栄光。良い思い出だ。

 

 

「で、もうこんなになってるんですか。彼女」

「国語の漢字暗記してただけなんだけどな。こんなんになっちまった」

 

 

 そんな二代目アホピンクこと上原ひまりさんは、そこが最初から定位置でしたよ? みたいな雰囲気を出しながら、堂々と机に突っ伏している。なんなら、頭から湯気吹いているようにも見えるんだけど。さっき一瞬だけ元気だったのに。人間って進化してるんだな~。

 

 漢字の暗記程度でそんなんになってたら、この先やべーぞ~? 先生にもよるけど、国語の漢字で死んでたら理社あたりで死ぬぞ~?

 俺の場合は工業科ってのもあって、専門分野の科目でも死ぬ。工業科目の暗記の多さは異常。普段耳に挟まないようなことを覚えさせるなよカス。じゃあなんで女もいないのに工業科に入ったかって? 知らねー! 中三の俺に聞けバーカ! 女もいないし、なんて高校だ。

 機械科と工業科はやめとけ。女もいないぞ。やめとけ。

 

 

「頭がパンクするぅ~……」

「はいはい、人間の脳みそ舐めたらアカンでー。そんなやわちゃうでー」

 

 

 ただでさえ伸びていた体が、さらに奥まで溶けていく。人間ってここまで溶けるんだな。初めて見た。多分。

 

 何十年分のもの思い出を全て記憶している脳みそ先輩を舐めてはいけない。某禁〇目録でも一番最初に起きた事件で、禁〇目録の頭がパンクするとか言ってたけど、あれも嘘っぱちだったしな。事例はあるかもしれないけど、人の頭なんかそうそう爆発しないだろ。へーきへーき。

 

 

「……そこで呑気にパン噛じってる君はテスト大丈夫なん?」

「だいじょーぶ。モカちゃんクラスの天才ならば、勉強しなくても高得点~! ぶいぶい」

「なにそれ羨ましい」

 

 

 なるほど。モカちゃんは地頭が良い、もしくは容量が良いタイプなのね。どちらにせよ羨ましい。要領良く生きられる方法とか、調べたら出てこないのかな。それを知ってたら、こいつらに変な弱みを握られることだってきっと無かったろうに。

 

 そんな仲良し五人組に交じって勉強していると、色々とわかってきた。

 巴は正統派。しっかり書いて覚えるタイプ。ぱっと見豪快に見えて、しっかりと平均点以上はキープして取ってくる、優等生だ。

 つぐみは、大方の予想通りというか、解釈通りというか。本当に真面目を突き通した真面目。勿論テストの点も良いらしい。メンバーによると、一番テストの点数は高いとか。流石大天使。

 

 さて、問題はこのアホメッシュとアホピンクである。

 苦手科目を聞いたところ、全てと答えよった。冗談だろ? とつぐや巴に聞いたら、ちょっと目をそらしながら無言で首を振られる始末。おいおいマジかよ……ひまりはともかく、蘭も普通に勉強は苦手とか。お前らどうやって高校受験したんだ。裏口か? 音楽の推薦で入ったのか???

 

 

「いいか? 社会はストーリーで覚えろ。単語だけで覚えるのはNO! 物語の中の知識の一環として単語を頭にぶち込め。F〇OやれFG〇!」

「理科はどうするのさ」

「イメージと気合い」

「無理いいいいいいいいい!!!!!」

 

 

 そんな無理って泣きつかれても困りますー! やらないと終わるからやるしないやん。

 こういうおバカちゃん達に数学や国語など技術の応用を使ったり、感覚でやるものを教えるのは無理なのかもしれん。イメージとかで覚えさせるの、わかりやすくていいと思ったんだけどなぁ。教えるって難しい。

 ということで、シンプルな暗記からやらせることにしてみよう。暗記するんだったら、ついでに後で英語もやった方が良いかもしれん。あれも単語と文法覚えりゃ楽だしな。やっぱ暗記って神なのか? もう全部暗記で良いやん! そうしよ! ぼく、天才!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あ゛ぁ゛~……無゛っ理゛」

「すっごい声だね……」

「キモイ」

「おい。手ぇ止まってんぞ、蘭」

「うるさい」

 

 

 マジ疲れた。C言語鬼門すぎる。なんで俺達人間様が機械の言語をわざわざ覚えなきゃならないんだ。俺らを機械にでもするつもりかよ。あっちがこっちに合わせろよ。機械は人間が使う物だろ。俺、今デト〇イトの世界に飛ばされたら真っ先に死ぬんだろうな。

 

 勉強を始めてから、もう一時間も経った。集中していると、時の流れは速い。

 可愛げのない声を出して、蘭に悪態をつかれながら、もう一度大きな伸びをしてみる。眠気覚ましには羽沢珈琲店のブラックコーヒー。カフェインで眠気も吹き飛ばして、更には美味しいと来た。一石二鳥。

 対面でケーキのカロリーとにらめっこして格闘してるひまりを茶菓子にすれば、一石三鳥というやつだ。にらめっこしてる顔可愛い。食うか悩むんなら、なんで頼んでしまったんだ。食うだろ。絶対。

 

 Afterglowの面々はカフェラテとか紅茶が多い印象。珈琲店の娘なのに、つぐみはブラックコーヒーが苦手らしい。かわいいね。女の子だもんね。

 それでも、みんな揃ってカフェインを摂取している当たり、やはり現代にカフェインは欠かせないのだろう。そこでモカは既に寝てるし。こいつの場合は、カフェイン不足関係なく寝て良そうだが。

 おっと蘭、お前は寝かせねぇぞ。カフェインだけじゃなくて、消しゴムもプレゼントしてやる。そのうつらうつらと前後運動している綺麗な頭に向かって、ちぎった消しゴムをFoy! 投げた消しゴムの5倍くらいデカい消しゴムの塊が飛んできたが、起きてきたなら良しとしよう。必要な犠牲だった。

 

 

「なー。今年夏休みさ。またどっか行くの?」

「夏といえば海でしょ! 海! 行かなきゃソンだね! ソンソン!」

 

 

 巴の発言により死んだ魚のような目をしていたひまりが、水を得た魚のように生き返っる。飛び上がるとお茶零しちゃう。面白いくらいにコロコロと表情が変わるよな。

 これで頭が良かったらモテるんだろうなぁ……顔はめちゃくちゃ整ってるのに、この頭だからなぁ……残念美人と言うやつだろうか。美人と言うより美少女と言うのが似合うが。

 

 

「モカちゃんは海もいいけど、プールがいいですな~。流れるプールに身を任せ、モカちゃんはゆらゆらと~」

「モカちゃん、いつの間に起きたの……?」

「じゃあどっちも行こうよ! 今年の夏は遊びまくろう! けってーい!」

 

 

 コーヒーをチビっと飲みながら、バレないようにこっそり聞き耳を立ててます。今私は勉強をしている。女の子達のガールズトークを聞き耳立てて覗き聞きなんてしていない。変態では無いです。気になってるだけです。

 

 話を振られてもいないのに、まるで最初から参加していましたなんて雰囲気出したら、また蘭に怒られそうだし。そうじゃなくても、ナチュラルにそんなムーブなんかできない。それが許されるのは、ごく一部のゲキツヨ顔面を持ったキングオブイケイケお兄さんだけです。

 

 にしても、迷ったらどっちも行けばいいとかいう恐るべき陽キャ思考。陰キャの俺には眩しすぎるぜ。どっちかで良いじゃんか。水なんか入るのは一回で良いよ。流されるなら波で良いよ。あっちはガチで危ないけど。

 海とかプールなんて小学校の時以来行っていないなぁ。あの頃は、さっきもちょっと出た先輩に付き合わされてよくプールに言ってたっけ。あの人、泳げないからって言って、ひたすら俺が付き合ってクロールできるようについてたんだよな。なんだかんだ昔から苦労してるな、俺。合掌。青春っていいな~!

 

 

「もー! 蘭も愛斗くんも人の話聞いてよ! 他人事じゃないよ? みんなで行くんだから!」

「へ?」

「は?」

 

 今、蘭とハモった。もしかして、運命……! 違うか。

 完全に気配を消していたつもりなのに、圧倒的陽キャのひまりには通用しないのか。おんなじ席にいるんだから、気配を消すも何もないと言われれば、それはそうではある。

 

 てか何? 俺、プールとか海行くの? お前らみたいな美少女と一緒に行くの?

 Oh no……勘弁してくれよ。そんな良い気分を味合わせて貰ったりなんかしちゃったら、とんでもないリターンが来ちゃうじゃないか。タンスの角に小指37回くらいぶつける羽目になりそうじゃん。

 

 

「蘭は分かるけどなんで俺も?」

「なんでって当たり前じゃん! いつも一緒にいるじゃん! 行こうよ!」

「お前らと一緒……一緒かぁ……」

 

 

 高い。お前らと一緒に海とプールはハードルが高い。もう飛べたらギネス更新できちゃうレベル。

 巴とモカの視線が辛い。何言ってんの? みたいな顔で見ないでほしい。お前も来るだろ? じゃないの。そんな都合のいい話が合っていいわけないの。

 そもそも、お前らがスタジオに突っ込んできてるから結果一緒にいるだけで、俺から入りに行ったことは無い、っていうのは言わないでおこう。一回も自分から入ったことないのかよ、ヘタレとかぼっちとか言うな。俺はただこのてぇてぇ空間を崩したくないだけだ。わかるだろ? このてぇてぇ空間。人には邪魔して良いものとダメなものがあるんだ。俺は弁えたオタクだから突っ込まない。OK?

 

 

「愛斗くんはその……私達と一緒に行きたくないの?」

「うぐっ……」

 

 

 だいてんし の あまえる ! こうか は バツグン だ !

 やめてつぐみ。そんな顔で見ないで。君、顔真っ赤だよ。なんでそんなに恥ずかしがってるんだよ。おい、蘭こっち見ろ。睨めよ。顔逸らすな。逃げるなァァァ!

 てかお前こっち側の人間だろ。いいのかそれで。せめてさ? お前は阻止する側であれよ。均衡だろ。

 

 

「…………行くっす」

「やった!」

「よーし、決まりー!」

 

 

 まなと は たおれた ! なつやすみ の よてい が ふえた !

 ついで に ひととして いろいろ と うしなった !

 

 男には、折れねばならぬ時がある。そのうちの一つが今だ。なんかどっかで同じようなこと言った覚えがあるな。

 とりあえず、新しく水着を買いに行こう……流石に中学のピチピチ海パンは許されない……まぁ男の水着なんで、そんな迷わなくていいだろう。多分。

 あとはそうだな。アイツらの水着を見て俺の息子が大爆発張り手しないように気合を入れてくることにしよう。

 モカが何故かこの前、俺に教えてきたが、ひまりは脱いだらマジで凄いらしい。脱がなくても分かるんだけど……んん! いかん! 万胸引力の法則で視線が下に!

 精神統一するのだ浅尾愛斗! あれはただのメロン! あれはただの2つの大きなメロォン!

 

 

「……? 愛斗、お前何と戦ってるんだ?」

「己」

「まーくんは今、自分の中の悪と戦ってるんだよ。トモちん」

「そうなのか?」

 

 

 ちょっとモカちゃん、解説しないで恥ずかしくなる。てかなんで君わかるの? やめて怖い。己って言ったのが悪いのか? でもあの一言で察しが良すぎるだろ。エスパー青葉かお前。

 蘭は何か察した顔でこっちを睨みつけてるし。お前はずっと睨んでくるじゃん。眉間が戻らなくなっちゃうの。そんでもってこれは違うのよ。不可抗力なの。男の性なの!ひまりに実ってる、その2つの大きなメロンがさ! 俺の中の男としての本能を引き出すの!

 大丈夫だ。それにお前の水着でボンバーすることは無い……痛い! 殴らないで! なんで分かるの! 痛い!!!

 

 

「顔にっ! 出てんのっ! 顔にっ!」

「なんも言ってないよ僕! イッ!?」

「愛斗ー、お前も失礼な奴だなー」

「蘭も脱いだら凄いんだよー」

「ひまりよりも凄いの?」

「ひーちゃんには及ばないけどー」

「ふえっ!?」

「あんたっ、さいってー!」

「なんで!? 俺じゃねぇって!」

「女の子の良さはねー。胸の大きさだけじゃ決まらないんだよー」

「そうだよ愛斗くん!」

 

 

 ひまりの顔が真っ赤になってる可愛い。俺得。これだけで生きて来てよかった。明日、トラックに轢かれるのかな。

 あとひまりよりも凄いか聞いたのは俺だけど、答えたのはモカじゃねぇか! 俺じゃねぇって! 俺は無実だ! 冤罪だ! あとなんでそんなに食い気味に肯定するんだい、つぐみちゃん。君は関係ないよね?

 

 結局、その後もAfterglowの面々の雑談に耳を傾け、参加しながらテスト勉強してたら全教科軒並み点数が下がった。とりあえず死ぬ気で赤点だけは回避した俺は天才だと思う。赤点取りかけてる時点で違うな。うん。テスト勉強は一人でした方がいいかもしれないね。




 浅尾愛斗
 軒並み点数は下がったが、ギリ平均点は守り切った。

 美竹蘭
 平均点、守れず。

 青葉モカ
 モカちゃんは天才なので~。

 上原ひまり
 平均点、守れず。

 宇田川巴
 テスト終わったし三郎行こうぜ!

 羽沢つぐみ
 どこぞの二人のために、お店で甘いものを用意してくれてるらしい。

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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