どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい 作:as☆know
どのバンドも人生に一度は解散沙汰になるもの
元気ですかお前らァ!
今、俺がいるのはCiRCLEのスタジオ! えっ? 知ってたって? お前、毎回そのパターンだよな? うるせぇ!(全方面に喧嘩売るマン)
今回、私が弾かせて頂いているのは、妄想感傷代償連盟。歌っているのは、みんな大好き、あ〇き&n〇rse! このバージョンほんまに好き。あんな高音が出せたらいいなと、毎回寝ながらお月様にお願いしています。
今日、持ち込んでいるのはみんなジャズマスター!ではなーい! 騙されたなワッハッハ!
今日の相棒はベースでございます。その名も5弦ジャズベース(違う)
正式名称は、SQUIER Vintage Modified Jazz Bass 70sらしい。正式名称とか全く覚えていない人類なので、めっちゃスマホガン見しながら言ってた。長い! 5弦のジャズベで良いね!
なんで5弦? ベースって4弦なんじゃない? ……そう思う気持ちもわかるぞ。だがしかし、これにはマリアナ海溝よりも深い理由があるんだ。
5弦→4弦は普通だし、6弦だと変態すぎる&高い
ジャズベース→好き
ボディがメープル→好き
見た目→かっこいい!!!
な!深いだろ?(浅い)
ちなみにこのベース。ガチでクッソ高かったです。値段だけで言えばジャズマスター以上で、おかげさまでバイト代全額吹っ飛ばすハメになりました。値段のあれそれで6弦を断念したのに、なんでこんなに高いんだよ……いや、楽器ってそういうもんだけども……
本当はWarwickのメープル柄の5弦ベースが欲しかったのは内緒。あれは高すぎる。好きなベース弾いてみた動画を上げてる人が、そのベースを使ってたからすっげー憧れていたんだけど、値段が高すぎて手が出なかったです。大人の金銭力って凄いんだな。
だがしかーし! ただでは転ばないのがこの俺! その時、店に置いてあったこのジャズベからは、確かにWarwickと同じくらいの魅力と魔力を感じた。こいつが俺を買ってくれと叫んでいる気がした。そりゃあ買うよね。楽器に呼ばれた時が、楽器を買うときです。
俺は性格上、一定周期で弾きまくる楽器が変わる。
それは月単位だったり、週単位だったり、短い場合は日によって変わることだってある。そう考えると、今回のギター周期はかなり長かった。俺からしてみればギターが本業だから、ギター好き好きっていう期間が一番長いのは当たり前なんだけどさ。
そんなこんながあったこの子だけれど、スタジオっていう環境が整い切った場所で使うのは初めて。つまり! こいつが真価を発揮するのは今!
はーい、アンプに繋いで……べんべんべべんと……!
「この重低音! スラップの響き! ジャズベ特有のオサレサウンド! そんでもって……アァ!↑ あ〇なるの高低ボイス堪らねぇ! ここのビブラートいい! いいよぉ! ここのキモチイイとこでっ、ご飯5杯は行けるぜぇぇぇぇぇ!!!」
「おっはよー☆」
「おはようございます、浅尾さん……今日はベースなんですね」
「ほんとだ! 地味に愛斗がベース弾いてるところ、初めて見たかも。ってか、それ5弦じゃん!」
ガチャリ、なんていう開閉音の聞こえた約0.5秒後。リサ姉の元気な挨拶が耳に飛び込んできたりして。俺の息の根も、一緒におやすみなさいしたりしちゃったりして☆
相変わらず、陽キャ心に溢れたとても可愛らしいお声をしていますね。声を聴くだけで顔面が良いってわかるもんね。そうそういないよ? そんな人。
「……? 今日はリサさんと氷川さんだけですか?」
「ううん。まだ集合時間じゃないし、後から来ると思うよ」
「湊さんが遅刻するなんて、そうそう無いですから」
「そっか。そりゃあそうですね」
「あれっ、今日は私たちがいるのにまだ弾くんだ」
「なんかもう、慣れてきたんで……別にいいかなって……」
そう、なんかもう慣れてきた。あと、こういうスタジオでベースを弾ける機会って言うのも、中々ないことだからね。
さっきもちょろっと言ったけど、自分の楽器が真価を出せる環境づくりって言うのは、学生身分だとまだまだキビいものがあるので。こういう機会は大事なのです。
なにより、家でちゃんと弦楽器類は毎日毎日触っているとはいえ、こんなんでも人に教える立場にある身なので。ギター一辺倒です、なんていうわけにはいかないのです。
Roseliaに限った話じゃないけど、バンドの質を上げるには、リズム隊の質を上げるのが何よりも先決だったりするしね。リズム隊がしっかりして来れば、聞ける音楽になるから。
「それは良かった良かった」
「良いことなんですかね?」
「浅尾さんに実戦でベースを弾いて頂けるなら、同じベーシストである今井さんの技術向上にはつながると思います。……私も、浅尾さんがギターを弾いてる姿は、勉強になりましたから」
「そうそう! だから勉強させてもらうね、先生っ!」
うっお、これはとんでもなく効く。氷川さんのツンデレと、リサさんの小悪魔的な笑み。あまりにも俺の心臓にどストライク。今ならこの感情とアドレナリンぶっぱ具合で、富士山くらいなら丸腰でも全速力で駆け上がれそうだ。
こんなんだったら、さっさとベースを持ってこればよかったなー、なんて。あまりにもチョロい男である、俺。照れてるのがバレるのは恥ずかしいので、ベースを弾くのに没頭しているふりでもしてごまかそう。指は動いても、頭は全く違うけど。
……実際に一緒にやって、その場でお手本を見せる。口先だけで教えるだけじゃない、そういう教え方もあるんだな。そんなこと考えたことも無かった。俺は気持ちよくギターを触っていただけだし。紗夜さんって、そんな俺から技術を盗もうとしてくれてたんだな。生徒役があまりにも優秀過ぎない?
今度からはギターだけじゃなくて、色んな楽器をスタジオで弾いたり叩いたりして見るか。コーチ始めてからギターしかスタジオに持ってきてなかったしな。良い機会にも程がある。クッソ可愛いおにゃの子に感謝や神様。
「ごめんなさい。遅れたわ」
集合時間から約15分ほど後だろうか。ドアのあく音にビクリと反応して振り向いてみると、相変わらずなオーラの友希那さんがご登場。。
おいそこ。ビクッてしただろとか言うな。したけど。確実に別の理由でビクリとしたけど。
「……湊さん。貴方はこのバンドのリーダーでもあります。本番も近いんですから、遅刻などは控えてください」
「……ごめんなさい」
「……友希那?」
「……?」
まぁ、遅れた友希那さんが悪いとはいえ、なんだか歯切れが悪いような、そんなこともないような。
いつもなら、ちゃんと遅れた理由とか説明したり、遅れた分を取り返そうとすぐに練習に取り掛かったりしそうなようにも思えるけど。なんだか、今日はそんな様子に見えない。あ、でも練習には入ろうとしてるや。気の所為かもしれん。
普通に寝坊でもして恥ずかしくて言えなかったんかな。あるよねぇ~、そういうこと。俺はあんまりないけど。シンプルに何の言い訳もなく、ちゃんとガチの寝坊をした時とか、もうあまりにもシンプルな寝坊すぎてなんも言えんもんね。酷いと恥ずかしいって感情を一切覚えないもん。
少しだけ不思議といえば不思議ではあったけど、まま、人間だもの。こういうこともあるんでしょう。友希那さんから人間らしい一面が見えて、僕は嬉しいナ!
友希那さんと合流してから練習開始して早15分。ドラムがいねぇと通りがムズい
ってわけで、俺がドラムに入って練習をしている訳だけども……なーんか引っかかる気がする。
氷川さんのギターの音。技術面で問題がある訳ではないんだけども、なんだか歯切れが悪い気がする。するってだけだが。
「あの、氷川さん。なんか最近、変なことでもありましたか?」
「……いえ。どうして急にそんなこと聞くんですか?」
「いやぁ……なんか引っかかりまして。ミスとかしてるわけじゃないんですけど。なんか、いつもと違うなぁって……」
「……? いつも通りだと思いますけど……」
「そうですか? まぁ、そうですか……おぉん……すいません、なんか変なこと言っちゃって」
気の所為かなぁ。いや、やっぱ気の所為かもしれん。いやいや、でもなぁ……
すんごい言語化しずらいというか、基本的に俺って音楽の事は言語化できないんだけど……なんというか、今の氷川さんは思い切りが足りないというか、迷いながら弾いている感が凄い。タイミングがずれてたり入りに遅れてたりするわけではない。寧ろ、そこは相変わらず正確無比だ。
それなのに、なんだか勢いが足りないような……そんな気がする。前はそんなこと感じなかったのにね。なんなんだろうね。
俺の中の感覚的なことやし、やっぱり気の所為かもしれん。
「うわびっくりした」
うんうん頭で考えていると、急になんかあった時に声が出ちゃうよね。急にドアとか開けられると、男の子ならびっくりしちゃうよね。今がまさにそうだよね。決して体に染みついているとか、そういうのではない。
そんな音の主の先には、遅れて登場、白金さんとあこちゃん。知ってる人で良かった。不審者なら思わずブチギレて殴り掛かってたまである。
振り返ってみると、リサさんが苦笑いをしながらこっちを見ていた。なんだろう、とりあえず笑ってもらっていいですか? 多分、今の俺の顔、思いっきりひきつってんだろうな。また一つ、余計なもんを増やしてしまった。
「30分の遅刻よ。やる気はあるの?」
「まぁまぁ……遅れちゃったのは仕方ないから。ほらっ、速く練習しよ!」
「遅刻なんて珍しい。なんかあった?」
「いや……ううん、大丈夫……」
手元の携帯で時間を確認してみると、大体30分と少しの遅刻。今日というこの日に、三人も遅刻するなんてRoseliaの面子に限って珍しい。
このバンド、バンドマンの癖して遅刻魔がいないって言う素的なバンドなんだけどな。こんなに一気に遅刻が重なるだなんて、明日はち〇たん☆でも降ってくるのかもしれないな。ガッハッハ!
遅刻したことに関して凹んでいるのか。なんだかあこちゃんもテンションがガン下がり。ほんとになんかあったのだろうか。おじさん、普通に心配になってます。後で話でも聞きに行ってみるか。どしたん? 話聞こか? っていうかLI〇Eやってる?
「良いですから、早く準備してください。ロスした分を取り戻さなくては」
「…………」
「なーに二人とも辛気臭い顔してんの? 紗夜せんせーに怒られるなんていつもの事じゃーん」
「ぶふぉっ……! さ、紗夜せんせー……!」
「浅尾さん、真面目にやってください。こんなことをしている間にも、コンテストは刻一刻と近付いてるのよ」
「え? 俺だけなんマ?」
「あははっ! ま、ドンマイ!」
「おかしい……こんなん許されん……」
……あれれー? おっかしいぞー?
いつもなら、こんなやり取りをしてれば少しは笑ってくれそうなもんなのに。それをわかっててリサさんも話を振ってただろうに、本当に二人ともびっくりするほどノーリアクション。表情は浮かばず、ずっと暗い顔をしている。
これ、あれか? 本当に何かあったパターンではないのか?
「おいおい……二人とも揃って、本当に大丈夫か? なんかあったのか?」
「……あこ、燐子。早くして」
「え? ちょっと、二人ともどうしちゃったの?」
今思えば、友希那さんも遅れてきた時、なんか変な感じだった気がする。そうじゃなかった気もするけど、ドンドンそんな感じに思えてきた。ヤバいくっそ心配になってくる。心配で胸がドキドキ。これが過保護な親の心情なのか? 親って大変な生き物なんだな……
「……友希那?」
「…………」
リサさんが友希那さんに言葉をかける。なんだか、確認を取っているような、そんな聴き方に聞こえた。ガチ部外者である、この俺にはよく分からん。もしかしたらリサさんにしか分からない何かがあるのかもしれない。
っていうか、リサさんと友希那さんって幼馴染というか、小さいころからの知り合いだったんじゃないっけ。なんかの会話で聴いた気がするぞ。全く思い出せんが。
「……宇田川さん。やる気がないのなら帰っ……!」
「あの……っ!」
「あ、あこちゃん……」
「ごめん。りんりん……」
うんともすんとも言わない。煮え切らない二人と態度に、ついに氷川さんが業を逃がしたのか。語気の強い氷川さんの言葉が全部出切ってしまうよりも早く、あこの声が紗夜さんを遮る。
うーむ。思ったよりも大事そうだし、大事になりそう。あんまりおふざけしているモードでいる状態でもいれなさそう。まま、ここは立場的にも一番フラットな私が、仲介役を買ってみようではないですか。思いっきり部外者ですが。
そういう訳で、ちょっと場所を移動して、少し離れてアンプの上に腰を掛ける。うん。ここからなら、全体が良く見える。
パンと大きく音が鳴るように手を叩いてみる。少し、虚を突かれたようにこちらに視線が集まる。
「はい。注目」
友希那さんと氷川さん。白金さんとあこちゃん。この両者を交互にオロオロと心配そうな目で追っているリサさんに、大丈夫と伝わるように笑いかけておこう。
そんで、縮こまってしまったまま、言いたいことをまだ言えていない様子のあこちゃんに、ゆっくりと声をかけてみる。
「あこちゃんの話。聞かせてもらってもいいかな」
なるべく優しく、語り掛ける様に視線を低くして問いかけてみる。縮こまった様子は変わらない。
刻々と過ぎていく時間にいら立ちを覚えている様子の紗夜さんを、手振りでまぁまぁと抑えていると、あこちゃんはゆっくりと口を開いてくれた。
「うん……あこ……見ちゃったの……」
「何をですか?」
氷川さん、語気! 語気が強いっす! やっと話出してくれたのに泣いちゃうよ!
もしかしたら、お化けに襲われたとかそういうのかもしれないんだから! 傷ついている女の子を追い打ちかけるようなことしちゃダメ!
「友希那さんが……その、スーツの女の人とホテルで話してて……」
「……!」
「それがどうしたって言うの? 湊さんにだって、プライベートはあるでしょう」
「で、でも……」
うわーお、すんごいわかりやすく肩が動くじゃん、友希那さん。やっぱり、こういう少し離れて全体が見れる位置にいるに限るね。こういうのがわかるから。
対面でリサさんも、友希那さんの揺れ方を感じたらしく、少し懐疑が買った目で友希那さんを見ている。
スーツの女の人と友希那さんがホテルで話してた。うーん、この単語を聞くだけでは、具体的なものが見えん……今どきのスカウトの人って、スーツとかで来るのかな。友希那さん程の実力者なら、スカウトが来ても不思議ではないと思うけど……ってスカウト前提で話を進めてもうた。確証なんかないのに。
まぁでも、その事実だけではなんも問題なさそうに感じる。それこそ、氷川さんが言うようにプライベートでの出来事。公私混同をするような空気感ではない、Roseliaにおいては余計に関係の無さそうな話に感じる。
なんて思っていても、当の本人の反応の良さと、あこちゃんの一向に晴れない顔色的には何かありそうだけれども。
「あ、あこちゃん……今は練習を……」
「白金さん、大丈夫。こういうのは、全部話してからじゃないと。練習にも身が入らなくて意味がなくなる。そんなんじゃ、練習をする意味がなくなりますよ?」
「浅尾さん……」
時の流れに身を任せ、なんて言いながらも、ここで止めるのは頂けない。お姉ちゃんみたいな存在として、気持ちはとてもわかる。けれど、本人はまだ全部話せていない。
「……あこだって、あこだってRoseliaっていう5人の為のっ……『自分だけのカッコイイ』のために頑張ってきたし……」
「だから……コンテストに出られないなんて絶対嫌なんだもん!」
「……コンテストに出れない?」
「……どういう事?」
コンテストに、出られない。
おいおい話が飛びすぎだろ。スキャンダル的な意味か。それとも何か家庭的な問題? 皆目、見当もつかない。
つまり、どういうことだ?
過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。
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今のが好きなので書き直しておk
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昔のが好きなので書き直したらアカン