どうやら俺の黒歴史を美少女達に握られたらしい   作:as☆know

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記念すべき80話目です。
スペシャルガチャ5回引いたら一番引きたかった香澄を引けました。やっとボーカル全員揃えたぜ。


一生寄り添う人とのキスは甘酸っぱくない大人の味

 その事を思ったのは平日に行われたライブの打ち上げ中だった。

 最近のRoseliaの打ち上げ場所はもっぱらファミレスか羽沢珈琲店がほとんどだ。もしくはリサ姉か俺の家。ちなみに羽沢珈琲店で打ち上げをする時は高確率でafterglowとエンカウントするので蘭と友希那さんのバチバチが見れる。最初は胃を痛めてたけどもう慣れたわ。

 

 本日打ち上げの舞台となった俺の家で、いつもの椅子に腰掛けてTwitterでエゴサしてるとあるツイートが目に入った。

 

 

『ミクと結婚して8年が経ちました』

 

 

 そのツイートには4枚の画像からなる漫画が乗せられており、男性と初音ミクが漫画の世界で幸せにイチャラブ生活を送っている様子が描かれていた。

 

 時代は変わるもので、昔は二次元の女の子と結婚するなんて断固ありえない!気持ち悪い! となっていたものから、そういう人もいるんだね、というくらいには周りの目も変わってきた。まぁそれでもヤベー奴認定には変わりないんだけどな。

 ちなみに俺は友達が二次元の女の子と結婚すると言い出したらドン引きして『お、おう……』って言ってその場を去る自信がある。

 知り合いがいきなりそんなこと言い出したと考えてみろ。ビビるぞ。

 

 それでだ。その可愛い初音ミクちゃんと男の人のイチャラブ。いや、その上を行く二人でいるのが当たり前と言うようなまさに文字通り夫婦と言った様子を見て思ってしまったのだ。

 

 

「嫁が欲しい」

 

 

 俺は真剣に、かつ真顔で俺とリサ姉と紗夜さんが作った料理にパクつくRoseliaのメンバーに言い放った。

 

 

「作ればいいじゃない」

「そんな簡単に言わないでください(白目)」

 

 

 なにを変な事言ってるのよ、簡単なことじゃない的な感じで言わないで。友希那さん一番恋愛に疎そうなのに。

 

 最近家に帰るのが寂しくなってきた。

 否、家で一人でいるのが寂しいと言った方がいいのだろうか。

 ただいまと言ってもたまにしか帰ってこないおかえり(大体声の主は彩)

 一人でご飯を作り、洗濯機を回し、掃除をする日々。外ではみんなとわちゃわちゃ出来ても家に帰れば孤独なんだ。たまに彩がいるけど。

 

 というか人の手料理が恋しい。男の一人料理に飽きたんじゃなくてただただ恋しい。女性や母親の作る料理が恋しい。

 なんなら今ある紗夜さんとリサ姉も作ってくれた料理が染み渡ってるからな。最初に一口食ったとき泣きそうになった。

 

 

「つまり、彼女が欲しいってことかしら?」

「彼女も欲しいけど嫁が欲しいんだ」

「……? 違いがよくわからないわ……」

 

 

 紗夜さんの頭ではこの謎理論は捌ききれなかったようだ。だって彼女と嫁の違いって何?って聞かれたら俺もわからんって言うし。

 けど違うやん。嫁と彼女は違うやん。同じプロ野球選手やプロサッカー選手でも若手とベテランは違うやんって感覚で違うやん。

 この例えが一番わかりやすいかもな。

 

 つまり普通の甘酸っぱい恋愛もしたいけどもはや阿吽の呼吸というか隣にいるのが当たり前な中での甘酸っぱいスイートタイムを体験してみたいのだ。人生で1回くらいは夢に見るだろこういうの。彼女が出来ないなりに願望だけでも言うだけ言ってみたいジャマイカ。

 

 

「そもそも、マー兄って彼女いたっけ?」

「丸山さんが事実上の……」

「燐子さん、違います。騙されないでネット社会に。ネットの闇は深いゾ」

 

 

 あいつは彼女じゃないから。みんな何故か勘違いしてるけど違うから。断じて。

 

 最近彩がエゴサしてる時に嬉しそうに教えてくれるのだが、どうやら最近は公式夫婦やら模範的高校生カップルの最上級やら散々な言われようをしているらしい。

 彩はめちゃくちゃ嬉しそうだけどな。あと同時に目でなんか訴えてくるけどそこはガン無視してる。

 

 

「愛斗もいい加減に彼女作りなよ〜」

「貰ってくれる人がいないっす。そもそも俺のこと好きな人がいるんですかね……」

「へー」

「なるほど」

 

 

 なんか紗夜さんとリサ姉がすごいジト目でこっちを見てくる。なんなんすか、何か言いたいなら遠慮なく言ってくださいよ、とはとてもじゃないが言えない。リサ姉にならともかく紗夜さんには言えない、なんとなくだけど。

 いや、リサ姉にも聞けないな。なんかリサ姉のジト目からなんでわからないの的なオーラがひしひしと伝わってくる。

 

 いやでもね、ここで弁解させてほしい。誰に向かって弁解するのかはわかんないけど弁解させてほしい。

 まず大前提におれは童貞だ。

 前に好きな体位を暴露しといてなんだが、生まれて16年間。女の人を抱いたことなんてただの一度たりともない。誰だよ、高校生になったらヤりほうだいのパラダイスとか言ってた奴。絶対高校と大学間違えてるだろ。大学でも大して変わらなさそうだけどさ。泣きたくなるね。

 

 そんな俺なんだ。見て貰えばわかる通り、女心なんていうのはマジでわからん。

 女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かでできているとはよく言ったもので、こちらから見たらマジで謎の存在にほど近い。

 女心がわかるとか言ってるモテ男とか絶対にわかってないだろ。花を渡しておけばいいと思ってそうだわ。花渡すとか俺やん。泣きたくなるね(2回目)

 

 あと千聖さんやリサ姉やモカによく言われるのは優しすぎるとかだな。

 俺ってそこまで優しくはないと思うんだけどな。主に彩とか香澄とかの扱いとか見てればわかる通りである。

 まぁなんでも優しすぎると女の子は飽きちゃうからガツガツ行くくらいでも問題ないらしい。でも俺がリサ姉とか紗夜さんとか蘭とかつぐを押し倒したら反撃の拳が飛んでくるんだろ? 僕知ってる。セクハラだもんね。ヘタレじゃないよ、決して。

 

 

「それじゃあさ、やってみればいいじゃん!」

「なにをですの」

「お嫁さんごっこだよ!」

 

 

 お嫁さんごっこ。ナニソレオイシイノ?

 

 シンプルに聞いたことのない単語が出てきて困惑する。

 女子の間では当たり前のように流通している流行りの単語かと思い、あこ達を見てみるも、全員が全員揃って頭に綺麗な?マークを浮かべている。

 みんな知らないのかよ。じゃあなんなんだ一体。

 

 

「なんなんすか。そのお嫁さんごっこって」

「簡単だよ。その名の通りまるでお嫁さんのようにするんだよ! おままごとみたいに☆」

 

 

 ふむ。全くわからん。

 

 てかおままごとって……もう俺たち高校生なんだからそんなことしてらんないっしょ。

 

 

「まーまー、やって見ればわかるから☆」

「ちょっ、流行らせコラ! どこ連れてくんすか!」

「アタシたちが良いって言うまで愛斗は外に出といて!」

 

 

 バタン!(迫真)

 

 

「……うせやん」

 

 

 リサ姉に言われるがまま外に締め出されました。クソ寒い冬の外に。

 

 あの、一応俺の家……。

 

 

「ぶぇっくしょい!」

 

 

 なんだろ、泣きたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リサ姉が入って良いって!』

『ちゃんとただいまって言ってね!』

 

「寒い」

 

 

 あこからのGOサインを通知で確認してスマホをポッケに突っ込む。

 

 案外待たされなかったな。スマホ見てたらすぐだった。それでも寒かった。

 まだ1月中旬で外が暗くなるのもアホみたいに早い季節だぞ。外はきっちり暗くなっている。

 

 そんな遅くまでいても大丈夫なの?ってことに関しては安心してくれ。

 今日は金曜だから明日は休みだ。そこら辺はきっちりと考えてるしそこまで馬鹿じゃないってそれ。

 

 

「ただいまー」

「おかえりー」

 

 

 あっ(尊死) もうこの流れだけで泣けてくる。

 

 家に入ると奥のキッチンから脳を溶かすような癒しの声色が聞こえてくる。おかえりが帰ってくるだけでも泣きそうなんだけど。リサ姉すここここ。

 

 不思議と足取りも軽い気がする。ルンルン気分でリビングの扉を開けるといたはずのRoseliaのメンバーはどこにも居ない。

 

 

「お疲れ〜。ご飯出来てるよ☆」

 

 

 代わりにいたのはリビングでエプロンをかけて笑いかけてくるリサ姉だった。

 

 ……えっ、何これは。天使か? 天国か?

 

 まさにポカーンとしている俺を見て何か思いついたのか。少し小悪魔的な笑みを浮かべたエプロン姿のリサ姉がこちらによってくるとずいっと顔を近くに寄せてくる。

 

 

「!?」

「〜♪」

 

 

 何を思ったのかリサ姉が俺の頬に両手を添えてクイッと顔を近くに寄せてくる。

 近くで見るリサ姉の顔はあまりにも綺麗で、目を離そうとする考えには全くなれない。

 真っ直ぐこちらの目を楽しそうに見つめてきたと思ったら今度は少し心配したような顔になる。可愛い。可愛すぎる。

 

 ……いやいやいやいや!アカンやろ! 近い近い近いって! あっいい匂いする……(馬鹿)

 

 

「今日も疲れたでしょ? 顔に出てるよ?」

「マママママジすか」

「うんうん☆」

 

 

 あかんテンパりすぎて噛みまくってる。足や手の指の先という先まで伸び切ってる。今の俺は世界で1番姿勢が正しい自信があるくらいには体が竹みたいになってる。今なら真上に伸びていけそうな気がする。

 もしかしたらこれ今までで一番恥ずかしいまである。

 

 

「なーに固くなってんの? 初めてじゃないのに」

「い、いやこんなん初めて……」

「今は夫婦でしょ?」

「あっ」

 

 

 この訳の分からない状況に合点がいった。

 これがお嫁さんごっこか。まさにリサ姉がお嫁さんのように振舞ってくれる高校生のやるガチガチのガチおままごと。

 いやいやレベル高すぎんよー。ネネちゃんもびっくりだわ。

 

 

「そうだね。リサは俺の嫁だったな」

「りっ……!?」

 

 

 そういうことならこちらも全力で甘えさせてもらおう。

 とりあえずタメ口にしてリサ姉の手の上に俺の手を重ねる。めちゃくちゃ綺麗な手してんな。

 

 なんかリサ姉の顔も赤くなってる。というかなんかテンパってね?

 そういや呼び捨てにしたのは初めてだったかな。

 なんだろう。攻める側というのはこんな心境なんだろうか。胸が高鳴る。めちゃくちゃ楽しい。

 

 こういう時は調子に乗るだけ乗るのがベストである。後先のことは考えたら行けないってそれ。

 というわけで普段は絶対に言えない攻めたことも言ってみよう。

 

「今日は俺、ご飯よりリサを食べたいかなー」

「ちょっ、愛斗……?」

 

 

 うっひょおおおおお楽しい甘々幸せええええええええ!!!!!

 今まで足りてなかった愛的な何かがどんどん満たされていく感じがする。

 

 セクハラになりそうで心配という心配はとりあえず置いておいて、臭いセリフを吐いて、リサ姉の手を軽く握ってみる。クラスのヤリチンとかはこういうセリフをキモイほど吐いて抱いてるんだろうな。うらやmキモイな。

 にしても照れてるリサ姉はなんか新鮮な気がする。顔を赤くしながら少し焦る様子は普段では絶対に見られない。可愛い。

 

 そろそろ罪悪感もやばくなってきたので冗談と伝えてこの素晴らしい時間を終わらせようか。

 やっべぇめっちゃ名残惜しい。ダメよ浅尾愛斗! ちゃんと終わらせるの!

 

 

「冗談だよ」

「えっ」

「えっ」

 

 

 えっ、何その反応は(困惑)

 そこは『もー、びっくりしたよ〜』とか言うところじゃないんか。なんで逆に今驚いたような顔してるんですか、

 

 

「冗談なの?」

「アッハイ」

「冗談で、いいの?」

「……はひ?」

「こっち☆」

 

 

 向き合った状態のまま腰に手を回されそのまま連れてかれる。リサ姉後ろ向きで進行方向見れてないと思うんだけど大丈夫なの? 怪我しないで心配だよ?

 

 

「……ってうぉあっ!?」

 

 

 リビングに入りベッドが見えたと思うと、腰に回されてた手が背中まで高さをあげ、一気に前に力が加えられる。

 

 いきなりの力の変動に為す術もなく、俺はリサ姉のいる方向に倒れる。

 危ねぇ! そう思いリサ姉の背中に手を回し、片手で地面をつく体制に入る。堅いはずの地面は何故か俺の左手を飲み込み、何故か俺はリサ姉を片手で抱きしめたままふわふわの正体であるベッドに押し倒す形になる。

 

 柔らかいものが胸いっぱいに押し付けられている。少しだけ鍛えられた体の下敷きになる少し華奢なシルエットは、焦る様子も見せずに背中に手を回している。

 

 彼女を下敷きにしてしまった罪悪感と顔のすぐ横に彼女の顔があることの恥ずかしさに気がつくと、直ぐに体を起き上がらせる。

 

 

「ごごごごご、ごめんなさ──いぃっ!?」

 

 

 だが体を起こしたもつかの間。彼女が仰向けになった状態から上体だけを起こし、今度は俺の右手を思いっきり体ごと引っ張る。

 てかなんで仰向けからノーモーションで起き上がれるねん体幹強すぎやろ! そういやリサ姉はダンス部なんだっけ……。

 

 腕を引かれた俺は今度こそ床にリサ姉を押し倒す、通称床ドンのような状態になる。

 部屋の中は何か静かで、リビングで聞こえるのは俺とリサ姉の少し荒くなった息遣いの声だけ。

 

 

「愛斗はさ。今、アタシに何かしたくないの?」

「な、何かって……?」

「夫婦なんだから遠慮なんかしないでもいいんだよ?」

 

 

 彼女の綺麗な手がスルスルっと頭の後ろに回ってくると、今度は赤子をあやす様に俺の後頭部を優しく撫でてくる。まるで、俺に対して我慢しなくてもいいんだよとでもいいたげに。

 

 

「リサ姉……っ」

「リサって……言って……?」

 

 

 抵抗する為に名前を呼んで説得しようとするも呆気なく敗北。ちょっと待て、それは反則だ。余りにも反則だ。

 

 近くなる彼女の顔。荒くなるお互いの息。当たってもいない胸の鼓動は相手にも聞こえそうなくらい暴れている。

 俺の自慢でもあった鋼の理性は、彩の時に力を使いすぎた為なのか、有給をとってどっかに行ってしまったようだ。マジで全然仕事しねぇ。

 彼女の出す母性が俺の理性を崩したのか。それは誰にも分からない。

 

 というかヤバい。近い。何も考えられない。

 止まれない。

 

 

「……リサ」

「うん、いいよ……」

 

 

 求めるように名前を呟く。

 彼女との距離がゼロに近くなる時、周りを暗黒に染めよう。

 彼女だけとの時間を味わうように。暗く。ゆっくりと「今井さん! 愛斗さんっ!」

 

 

「!?」

「やりすぎでしょう! 夫婦の振りをするだけではないのですか!」

「あちゃ〜、やりすぎちゃった☆」

 

 

 押し入れから出てきたのは紗夜さんだった。彼女の声で正気を取り戻し、すぐさまベッドから飛び起きる。リサ姉そんな寂しそうな顔しないで。罪悪感に押しつぶされる。

 というか紗夜さんいつの間に押し入れの中に入ってたんだ。てかそういやRoseliaみんなで俺の家来てたんだったわ、完全に忘れてたでごわす。

 

 

「だいたい最近の今井さんは一人で走りすぎです! 一人で抜けがけはズルいとか言っていたのは貴方だったじゃないですか!」

「あっ、紗夜ちゃんと覚えてたんだね」

「当たり前です!」

 

「今井さん……凄かった……」

「流石リサね」

「リサ姉すっごくえっちだった!」

「みんな見てたのかよぉ!!!」

 

 

 いつの間にかどこからか姿を表してしれっと居ないでくれ。心臓に悪すぎる。

 

 ……あれ? てかあの一部始終全部見られてたの? ヤバくね? ヤバくね???

 

 

 

 後日、俺がリサ姉を襲ったとのガセが知り合い中に出回り、俺は彩と蘭と何故か紗夜さんとモカにこっぴどく叱られることになった。俺は無実だァ!(n回目)

過去のお話の書き方が地雷なので、展開は変えずに描写とか加筆修正したいんです。

  • 今のが好きなので書き直しておk
  • 昔のが好きなので書き直したらアカン

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