なおかわ研究室~世界最高の可愛さ解明奮闘記~   作:べれしーと

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奈緒は真面目でも不真面目でも可愛い。


仕事関係に於ける可愛さ指数連関 01

昼、事務所にて。

 

奈緒「なあ、プロデューサーさん。」

 

P「んー?」

 

奈緒「この漢字なんて読むんだ?」ズイッ

 

P「あー……(へつら)う。」

 

奈緒「意味は?」

 

P「ご機嫌取り。」

 

加蓮「プロデューサーさんじゃん、それ。」

 

P「黙れ。」

 

加蓮「ひでぇ。」ケラケラ

 

奈緒「じゃあ、これは?」

 

P「傾慕(けいぼ)だな。」

 

奈緒「意味は?」

 

P「めっちゃ愛してる、的な。」

 

凛「え、プロデューサー今告白した?」

 

P「黙れ。」

 

凛「……」ションボリ

 

P「というかどうした、奈緒。学校で漢字テストでもあんのか?」

 

P「って、ドラマの台本じゃないかそれ。なるほどな。」

 

奈緒「そ。覚えるのに早すぎるなんて無いしさ。もう練習しておこうかなって。」

 

P「いい心掛けだな!そういうところが好き!」

 

奈緒「キモいから止めてくれ。」

 

P「」

 

加蓮「おお、プロデューサーさんが灰に……大丈夫ー?」

 

P「慰めて……」

 

加蓮「よしよし。」ナデナデ

 

P「バブーッ!」オギャーッ!

 

凛「え、プロデューサー今告白した?」

 

P「幻聴です。」

 

凛「でも今着けてるヘッドフォンから声が。」

 

P「他人の声じゃないでしょうか。」

 

加蓮「いや、プロデューサーさんの囁きボイスでも聴いてたんでしょ。多分。」

 

P「なるほ…………え?」

 

凛「はぁ……加蓮?」

 

加蓮「はいはい。ごめんて。」

 

凛「ヘッドフォンはしまって、と……さて、奈緒。台本の練習するんだよね?」

 

奈緒「ん?ああ。」

 

凛「私達も手伝うよ。その方が良いでしょ?」

 

奈緒「ホントか!?ありがとう!!」

 

P(あのー、囁きボイスって一体、)

 

加蓮(プロデューサーさん。)

 

P(はい。)

 

加蓮(忘れて?)

 

P(無理ですね。)

 

加蓮(忘れてね?)

 

P(だから無理です。)

 

加蓮(秘蔵のコレクション、左から一、下から三、鍵は青色、暗証番号は0810……)

 

P(おい待て何で知ってんだ。)

 

加蓮(ふふ。忘れて、ね?)

 

P(………………背に腹はかえられねぇ。了解した。)

 

加蓮(感謝!)

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

奈緒『漸く来た。ずっと君を待ってたんだよ?……ずっと。』

 

P『わり。妹の愚痴聞いててさ。』

 

凛『待ってるって知らなくて……その、ごめんなさい。』

 

奈緒『……ううん。いいの。待つのには慣れてるし。』

 

P『?……ああ、そう。』

 

奈緒『それじゃあ、一緒に帰』

 

加蓮『あらら?先輩、何してるんです?』

 

奈緒『……』

 

加蓮『奈緒先輩もいるし。』

 

P『別に何も。帰ろうって話してただけ。』

 

加蓮『折角こうやってメンツ揃ってるのに!?ダメですよ先輩!こういう時はご飯食べに~、とか行くんです!』

 

凛『確かにお腹へったかも。』

 

加蓮『でしょ~?』

 

P『あー、まあ、そうだな。それもありか。』

 

加蓮『さっすが先輩!ノリが良いです!』ギュッ

 

奈緒『っ……』ギリッ

 

P『抱き着くなアホ後輩。』

 

加蓮『へへ~。』

 

奈緒『媚び諂うしか能の無い塵芥が私の彼に……』ボソボソ

 

加蓮『んぇ?何か言いましたか、奈緒先輩?』

 

奈緒『何も言ってないよ。気にしないで。』

 

P『そんでどーする?奈緒は飯食べに寄り道しても大丈夫か?』

 

奈緒『そうだね……大丈夫だよ。』

 

凛『……』

 

___

 

凛『奈緒さんって、兄さんの事が好きとか、そういう事あります?』

 

奈緒『うーん……あるけど、でも、恋愛感情とはまた違うものかな。』

 

凛『親愛ですか?』

 

奈緒『……傾慕、だよ。』

 

___

 

凛『あの……加蓮さんって兄さんの事、』

 

加蓮『しー。』ピトッ

 

凛『え……』

 

加蓮『後ろ。』

 

凛『……』クルリ

 

奈緒『……』ジロッ

 

凛『ひっ……』

 

奈緒『彼には、先に外へ行ってもらったから。』

 

加蓮『そっかー。』

 

奈緒『あのさ、彼に近付かないでくれない?』

 

加蓮『私こう見えて幼馴染なんすよね~だからムリっぽいです!ごめんなさい!』

 

奈緒『……あんまり迷惑かけると、知らないからね?』

 

加蓮『……調子にのるなよ妄想女。』ボソリ

 

凛『あの、その、』

 

奈緒『安心して。お兄さんは、私が守る。このゴミから。』

 

 

 

 

 

P「カーットォォォオオオ!!!ちょっっと待てェ!なんだこの台本ッ!!」

 

奈緒「読ませといて言うのもアレなんだが三人ともよく断念しなかったな……あたしはやっぱり慣れない……」

 

凛「私のは常人だし。それより奈緒の肌が真っ赤すぎて心配。オレンジサファイアパッション。」

 

奈緒「だってこれヤンデレじゃん!!恥ずかしくない方がおかしいだろ!!」

 

加蓮「アタシの役ってこの後プロデューサーさんを襲うみたいだよ。狂気だね。ウケる。」

 

奈緒「コイツは例外!」

 

加蓮「コイツ呼ばわりは悲しいなぁ……演技中も変にアタシだけゴミ扱い受けたし……およよ。」

 

P「その前にこれ、こんなに昼ドラな仕事だったっけ……?」

 

奈緒「脚本の人が番組プロデューサーと酒を酌み交わしながら推敲したらしい。」

 

P「えぇ……」

 

奈緒「その結果ヤンデレ物と罪を憎んで人は憎まずにセクシーとにもかくにもほら世界はセクシー物の二つが出来たらしい。」

 

P「?????」

 

奈緒「後者は凛が適任らしい。」

 

凛「!?!?!?!?」

 

加蓮「ヤンデレか……案外、奏とか似合いそうだよね。」

 

P「君もよく似合ってます。」

 

加蓮「浮気者は殺しちゃうぞ♥️」

 

奈緒「キモ。」

 

加蓮「は?」

 

P「落ち着け。愛してるぞ、加蓮。」

 

加蓮「アタシも好き。両想いだね。ちゅーしよ。」

 

凛「分かった。」ガシッ

 

加蓮「待て貴様ではないッ!!!」

 

奈緒「そういえばキスシーンってあるのか?」

 

P「NG出してあるから無い。」

 

加蓮「でもアタシのやつ性的に襲ってる。この後。」

 

P「その役をやるのは君ではないからね。」

 

凛「でもプロデューサーの貞操観念はガバガバでは?」

 

P「この男役も別の人なんだよな。お分かり?」

 

加蓮「おかわり!?性的なアレを!?」

 

P「……調子にのるなよ妄想女」ボソリ

 

加蓮「セリフを奪うのと処女奪うのって似てる。」

 

P「似てねぇよカス。」

 

加蓮「諂いが足りない。」

 

P「伏線回収すんな。」

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

P「今回漢字と演技の勉強しただけじゃね?」

 

奈緒「アイドルは普通そういうものだよ。」

 

P「そういえばそうだわ。」




頭痛にバファ凛……

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