個性:梁山泊   作:ルーニー

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なんかいろいろ飛ばしてる感しかないし無理やり感もひどいけどこれで行こうと思います。だってこのキャラ好きなんだもん(震え声


新しい弟子

段々と暖かくなってきている今日この頃。師匠たちは各々好きなことをしていた。ある人はビール瓶片手に競馬の予想をして、ある人は寄ってくる鳥たちにエサを与え、ある人は屋根の上でのんびりとしている。

平和だ。ここだけを見たらすごく平和なのは間違いない。俺もこんな平和な日にはゆったりとしたいと思う。でも、俺は声を大にして言いたい。今は決して平和なんかじゃないと。

 

「んぎゃあああああああああ!」

 

両腕から電気を発してる木でできた人形が四方から襲い掛かってきてるのに平和だとか言えるわけねぇよな!

 

「ほらほら~。素早く打たないとビリビリしちゃうぞ~」

 

「いや、これ、前より、固い、てか重い!重くないこれ!?」

 

「そりゃ君も成長しているからね。ちゃんと鍛えられるように調整するのは当たり前のことじゃないか」

 

「ちくしょおおおおおおおおお!」

 

今ほど自分に才能があることを恨んだことは、いや結構あるわ。今まで全部結構早く重くなってきててそのたびに思ってるわ。そのたび約1名が頬をひくつかせていたけど、俺は見なかったことにしている。あれは才能について複雑な気持ちになっていたんだろう。俺も複雑ですよコンチクショウ。

しかし、これがまた冗談抜きできつい。四方から起き上がってくる人形を全力で打ち抜く。しかもどんなふうに作ってるのか電気が走っている両腕が不規則に頭と腹を移動しているから瞬時に打ち込む場所を変えないといけない。死なないとはいえ電気に当たったらめちゃくちゃ痛いから必死になって打ち込む。いったいいつになったら終わるのだろうか。

 

「あぱ。ケンジにお客さんよ」

 

息も絶え絶えになりつつあったとき、アパチャイ師匠の声が玄関から聞こえてきた。

 

「え、俺?」

 

いつもは師匠たちに用がある人がほとんどなのに、俺に客なんて珍しい。年に1回あるかどうかだ。というか俺に用がある人は学校で済ませられるか、家のほうに行ってもいないから帰るかの2つが大体だからわざわざここに来ること自体が稀だ。いったい誰がこんなところに来たんだ?

そんなことを考えたせいだろう。一瞬自分の現状のことが頭から離れてしまった。

 

「ぃぎゃああああああああああああああああ!」

 

そしてお約束となりつつある電気が体を走る激痛に耐える作業へと変わっていったのだった。

 

 

 

「……なんか、焦げてねぇか?」

 

「……気にしないでくれ」

 

服には若干の焦げ目があり、頭もチリヂリとなっている。あの岬越寺師匠が作り上げたものだから死にはしないけど激痛は逃れられない。気絶する前にまた想定の出力を上回っていたとか聞こえたような気がしたけど、たぶん気のせいだろう。

さて。数十秒の気絶からたたき起こされてお客さんがいる部屋に入ったんだけど、そこにいたのは俺と仲のいいクラスメイトだった。珍しい、というレベルじゃない。俺が常識外れの修業をしているのを知っている人はここに来ようとはしない。あんなものを知っていたらそらかかわろうとは思わないよね普通(震え声)。

 

「んで、なんでここに来たんだ?」

 

思い出したくもないことは忘れるか話を逸らすに限る。とりあえず最初っから気になっていたここに来た理由を聞いてみることにした。

 

「……お前に、というよりここの人たちにお願いがあって来たんだ。お前の名前を出したらお前が呼ばれたんだ」

 

ここの人たち?はて。ここの人たちというと師匠たちのことなんだろうけど、なんで師匠たちに用があるんだろうか。犬顔警部のように依頼でもないだろうし、かといって整骨院や針治療が必要なほどのケガをしているようにも見えない。あと師匠たちに用事があるとしたら……。

 

「俺、ここの人に鍛えてもらいたいんだ」

 

「おいバカ死ぬ気かお前」

 

予想外なことを聞いてしまったせいで思わず本音がポロリと出てしまった。いや、マジかこいつ。よりによって自分から崖から落ちていくようなことをしようとしているのか。俺の死ぬ気かという言葉をどうとらえたのか、真剣みを帯びた表情を浮かべてひざの上に置いた手を強く握りしめ始めた。

 

「……俺ってさ、男気だなんだの言っておいて、結局情けねぇ奴なんだって、気づいたんだ」

 

真剣でありながらも苦々しい表情になりつつ語り始めたのは、昨日の帰り道で起きたことだった。

見た目が怖い人が同級生に事務所の場所を確認していたところ、何も言わなかった生徒たちにキレかけていた。本当ならそこで自分がかばうべきだったのに、怖くて足が動かなかった。結局別のクラスメイトがとっさに適当な場所を伝えたら立ち去って行った。

まるで懺悔をしているかのように、クラスメイトはとても悔しそうに告げていった。

 

「ビビってたんだ。怖がってたのに、俺が行かなくちゃって思ってたのに、ビビッて動けなかったんだ。今のままじゃダメなんだ」

 

自分の手を見つめ、力いっぱい握りしめる。同時に固いもの同士が擦れる音が辺りに響き、その音を鳴らしながらゆっくりと手を開いた。

 

「だから、俺のわかる範囲でやるべきことをやるって決めたんだ」

 

「んで、そのうちの1つが体を鍛えること、と」

 

「あぁ。そうだ」

 

真剣な表情を浮かべて俺の言葉に神妙にうなずく。

なるほど。確かに、体を鍛えるという結論に至ったのは間違いじゃないと思う。世間一般でいう勇気のある行動。恐怖に打ち勝って悪に立ち向かうそれは、確かに勇気のある人じゃないと難しいだろう。

けど、そんなことができる人は探せば腐るほど、とは言わないがそれなり以上にはいる。当然だ。世の中にはヒーローなんて役職があるぐらいには、そしてそれも飽和しつつある状態にある今、それなり以上には悪に立ち向かう意思はある人がいるということだ。

けど、それが前述した勇気と一緒なのかと言われたらおそらく違うだろう。飽和しつつあるヒーロー職だが、はたしてこの中に力及ばずでも巨悪に立ち向かうことのできる人はどれだけいるのだろうか。自分の力を発揮できない、自分では敵わない相手が出たとき、果たして何人が立ち向かうことができるのだろうか。

それができるからヒーローなんだろう。それができる人だから、尊敬と憧れを抱かれるんだろう。俺が師匠たちにあこがれたときと同じように。

 

「……言いたいことはわかった。確かに、心身を鍛えるのにここほど優れた場所はないと俺も思う」

 

「なら!」

 

「けど、弟子として鍛えるかどうかを決めるのは師匠たちの意思次第だから俺からは何とも……」

 

「話は聞かせてもらったぞい」

 

突然俺の隣から尋常じゃない気配を感じた。

 

「長老!?」

 

何の気配もなくいつの間にか俺とクラスメイトの間に立っていたのは年老いてなお巨木を連想させるほどの存在感を放つ老人、この御方を老人と言ってもいいのか疑問だが、梁山泊の長である、無敵超人風林寺隼人その人だった。

いつの間にかいた巨漢に驚いたのか俺以上の反応を見せているクラスメイトだが、俺の言葉にこの御方がここの長だということが分かったのか正座へと座りなおして頭を下げた。

 

「あ、あの!俺……!」

 

声が震えている。突然のことで心の準備ができていなかったのか何度か言い淀んでいたが、それを長老は落ち着くように諫める。

 

「君はここに弟子入りしたいんじゃろう。しかし、ここに入るからには途中でやめるということはできない。君には達人というところまで転げ落ちてもらうことになるが、それでもいいのかね?」

 

長老から凄まじい威圧感を感じる。俺もここに弟子入りを志願した時も同じような威圧感を感じたが、今では昔以上に威圧感を感じる。ここで修業してきたがゆえにさらに細かく感じ取ることができるようになったのか、それとも気の開放を修めたことによって危険を感じ取っているのか。どちらにせよ、やっぱり長老はすごい御方だ。

弟子級の中でも最上位に近い場所にいると師匠たちから言われている俺でもそう感じているのに、体を鍛えているだけでは、もしかしたら俺以上に威圧感を感じているかもしれない。現に長老を前にして体が震えているのが見て取れる。けど、その恐怖を飲み込んだのか、覚悟を決めたように表情を引き締めた。

 

「……あぁ!それぐらいの覚悟がなくちゃ、俺は夢を手にすることができない!どんな修業だろうとなんだろうとやってやる!これは、俺が決めたことなんだ!だから、お願いいします!俺を鍛えてください!」

 

 

 

「……君も、彼らに負けず劣らずの熱血漢のようじゃな」

 

そういって長老は笑みを浮かべながら視線を戸のほうへと向ける。そこは閉まってはいるが、きっとその先には最も尊敬する師匠たちが聞き耳でも立てているんだろう。

 

「君の頼み、聞き入れよう。ようこそ梁山泊へ。君を梁山泊の弟子として迎え入れよう」

 

長老の目に適ったのだろう。先ほどまでの威圧感は消え去り、代わりに大樹に寄りかかっているかのような安心感すら感じるものへと変わっていった。

長老の言葉を理解できたのか、先ほどまでの表情が一転し嬉しそうに顔を輝かせる。

 

「ありがとうございます!俺は切島鋭児郎といいます!これからよろしくお願いします!」

 

畳を割りそうな勢いで頭を下げる。話を聞いていた師匠たちはこれを機に戸を開けて次々と部屋に入って、1名天井から降りてきたが、鋭児郎を囲み始めた。

いろいろと思う部分もあるけれど。今日、俺に弟弟子ができた。それを素直に喜ぶことにしようと思う。

 

 

 

いや、喜んでいいのか?俺友達を地獄に送る手助けしてないこれ?え?大丈夫かこれ?

あと長老の気配を感じなかったとして修業がさらにきつくなったのだった。解せぬ。

 




切島くん超強化(地獄つき)。いや、体を鍛えるのに梁山泊以上にいい場所ってあとは闇ぐらいだから、切島くん知ってたらこうなりそうじゃないですか。梁山泊の師匠たちもああいう子好きそうだし。まずはしぐれさんの恐怖を克服する修行からですね(ゲス顔)。僕もしぐれさんの修行を受けたい。
目指せケンイチ級の打たれ強さ(ゾンビ的な意味で)。
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