ソードアート・オンライン 青纏の剣医   作:破戒僧

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今回、アインクラッド編におけるクラディール先生レベルの原作ブレイク&キャラ改変注意。
苦手な方いましたらすいません。


第43話 この親にしてあの子あり

【2025年1月11日】

 

 昨日『ALO』をプレイしてみたわけだが、感触は上々、と言えるだろう。

 

 SAOでメイン武装だった片手剣+盾ではなく、刀スタイルではあるものの、特に大きな問題もなくプレイで来ている。野良モンスターを相手に何度か戦ったが、クリティカル判定とかはSAOとさほど変わらないようで、あの世界で培った戦闘技能は十分に通用している。

 

 ストレアさんも一緒なので、W火力で一気に攻めて一気に倒す、なんていうやり方もできていた。

 

 加えて、ALO特有の『魔法』と『飛行』。これがまた面白い。

 

 この世界では、魔法の発動には、パラメータとしての『魔力』ゲージに加え、プレイヤーが魔法のスペルを正確に『詠唱』することが必要になる。

 

 そのスペルだが、何語だかわからん。

 というか、文法が成立する言語なのかも定かじゃない。

 

 一応僕、3か国語――日本語、英語、ドイツ語――は常用レベルでいけるんだが、見たことないな。何だろう、定番のラテン語とかだろうか?

 

 一応、スペルの1節1節には意味があり、それを覚えて連ねていくことで記憶するのが一番早い、ってネットの『初心者にもやさしい効率的な覚え方』には書いてあったんだが、面倒くさいので全部暗記した。意味は後付け、もしくは同時進行で覚えよう。

 

 覚えたのはウンディーネらしく、回復と補助の魔法を中心に。

 攻撃系は後回しにした。どうせしばらくは剣、というか刀でやっていくつもりだし。

 

 ストレアさんも強化系の魔法を中心にして覚えているので、ピュアファイター2人みたいな感じになっている。それでも十分戦えているので、もういっそずっとこのままでいいんじゃないかとか思ったりもした。

 

 単純に、僕とストレアさんの使う、種類の違う魔法でそれぞれ能力を強化した上で……近づいて斬る。これだけだ。

 被弾ゼロというわけにはいかないけど、それこそ回復魔法で回復できるので問題ない。

 

 加えて、飛行も……随意飛行までマスターできたので、もうちょっと練習すれば『空中戦』とやらもこなせるようになるだろう。

 自分にないはずの筋肉を動かすようなイメージ、か……少々苦労した。

 

 さて、戦闘はほぼ問題なくやれるようになったからいいとして、だ。

 本来の目的の方も、もちろん忘れていたわけではない。この世界に捕らわれている(かもしれない)SAOプレイヤー達についての情報収集だ。

 

 普通に考えて、そんな表沙汰にできないことをする以上、見つからないところでやるはずだ。加えて、相応の規模を用意する必要があるとなると……それなりに広さも要るだろう。

 

 GM権限を使えば、色々物理法則を無視してそういう空間を用意することも出来なくはないだろう。が、そういう無茶をすると、えてして結構なデータ量を食うことになると龍馬兄さんは言っていたので、最初から広いスペースを選んで設営する必要がある。

 

 加えて、プレイヤー達が絶対に来られないであろうことが絶対条件だ。できれば、近づくことすらできない場所が望ましい。

 

 しかし、MMOという世界でそれは難しい。プレイヤー達は、ダンジョンを、レアアイテムを求めて、未開と呼べる場所がないくらいに徹底的に隅から隅まで探検するからだ。

 

 立ち入らせないだけなら、GM権限で封鎖でも何でもしてしまえば簡単だろうが、どこかに不自然に入り口が明かない建造物オブジェクトなんてものがあれば、たちまち話題になってプレイヤー達が押しかけるだろう。何か未知のクエストか、未発見のダンジョンか、とかいって。

 不自然にモンスターが強すぎる場所とかも同様だな。何かあるとは思われる。

 

 となれば、一番都合がいいのは『公然の秘密』とでも言えるような場所だ。

 

 プレイヤー達が、絶対に立ち入ることができないと……少なくとも簡単には無理なのだと、最初からわかっている場所であれば、そういうスペースを作るにはもってこいだ。

 

 このALOにおいて、そういう意味で疑わしい場所はただ1つ。

 ALOのワールドマップの世界の中心にある巨大な樹木……『世界樹』だ。

 

 あそこは、『グランドクエスト』なる、ALOにおいて最大の攻略目標イベントの舞台である。

 

 それを攻略し、世界樹の上にある天空都市だか空中都市だかに行き、『妖精王オベイロン』なる人物――人物、って言っていいもんかどうか――に謁見することで、それを最初に成し遂げた種族『だけ』が、『光妖精(アルフ)』なる種族に転生することができるようになる。

 そうすると、飛行限界がなくなり、ずっと飛び続けていられるようになるんだとか。

 

 ALOのサービス開始から1年以上が経過している現在、まだ1度もクリアされていないが。

 

 難易度がデタラメだって何度も苦情が出ているらしい。出現するガーディアン(モンスターみたいなもんだろう)の数も強さも滅茶苦茶で、あんなものフルレイドで挑んでもできっこない、って。……運営は全く取り合っていないらしいが。

 

 しかし、問題はその『難易度』ではない。『仕組み』の方だ。

 

 このことを調べた時点で――実はダイブ以前の事前調査でここまでは来ていた――僕と龍馬兄さんは、この点について共通の見解を持っていた。

 

 『どう考えてもおかしいだろ』と。

 

 『グランドクエスト』が、このALOにおける、いわゆるラストダンジョン的な位置にあるものなのはまあ、いいとして……それによる『飛行限界の撤廃』という報酬が、『最初にそれを成し遂げた種族のみに与えられる』っていう点……どう考えても変だ。変な点しかない。

 

 つまり、その時点でその種族と、その他8つの種族の間には、『絶対に超えられない壁』的な差ができてしまう。

 

 1つの種族『のみ』と言っている以上、それ以降、2回目3回目のクエスト達成では、同じ報酬は得られないんだろう。いや、そもそもクエスト自体残るか怪しいものだ。

 

 そんなことになれば……たとえば、ウンディーネがそれを達成したとしよう。そして、ウンディーネは飛行限界がなくなって、いつまでも飛び続けられるようになったとしよう。

 

 ……そんな差ができてしまって以降、新規プレイヤーで、いや下手したら今までいたプレイヤーだって、ウンディーネ以外でプレイしようとする奴がどれだけいるだろうか?

 

 種族間のパワーバランスが、ウンディーネ一強となって滅茶苦茶になってしまう。

 加えて、他の種族の、ゲームをプレイするモチベーションも駄々下がりだろう。

 

 この時点で、2つ以上の種族が共同でこれをクリアしようとする、っていう選択肢が半ば消滅したようなものだ。どれか1種族しか成功報酬を手にできないんじゃな。

 

 それどころか、このグランドクエスト挑戦のためのリソースの争奪戦という形で、種族間の対立をあおる構図になっている。ゲームとはいえ、悪辣なもんだ。

 

 もしかしたら、どこかの種族がクリアした後、『第2のグランドクエスト』とでも言うような、新しい、同じくらい魅力的な報酬をひっさげた新イベントが出てくるのかもしれないが、それまでALOにプレイヤー達が残ってくれていることか怪しいものだ。

 

 それに、そのイベントの種類・内容によっては、『永遠の飛行時間』というアドバンテージを手に入れたウンディーネが、またしてもその優位性を生かすような事態になるかもしれないし、かといってそのイベント自体からウンディーネを締め出すようなことをすれば、今度はウンディーネから不満が出るだろう。

 

 結論。この『グランドクエスト』の仕組みは、どう考えても、ゲームの運営としておかしい。

 1度でもクリアされれば、その時点でゲームの運営自体に影が差してしまうこと間違いなし。

 

 にもかかわらずこうして実装されているということは……絶対にクリアされない自信があるか、あるいは……そもそもクリアさせる気がないか。

 

 仮に後者だとすれば、ゲームを楽しんで、世界樹の上に夢を見ているであろう全てのプレイヤー達に対して、なんたる裏切りだろう。絶対に手の届かないところに極上のごちそうを置いて、それを欲して参加者達が争う様を天上から眺めているわけだ。

 

 そして、『空中都市』があるかどうか……それすら疑わしいものだ。

 

 到達させる気がない――到達できないようになっている可能性すらある――世界樹の上に、何があるのか……恐らくこれこそが、さっき僕たちが考えていた疑問の答えなんだろう。

 

 つまり、SAO未帰還者300人は、あそこに監禁されている。

 

 使途不明の広いスペースがあっても怪しまれない場所。

 プレイヤー達の邪魔が絶対に入らない場所。

 誰に何を聞かれても『秘密です』の一言でかわせてしまう場所。

 

 全ての条件を満たすあそここそが、僕らがたどり着くべき場所だ。

 

 ……しかし、それがわかった(あくまで予測だけど)ところで、すぐに手出しできる場所でもないのが厄介だな。

 

 今まで色々な種族が、7人×7パーティのフルレイド49人で挑んできたにも関わらず、クリアすることは叶わなかった。ソロで攻略できるようなもんだとは思えない。

 

 今から急いで、そのグランドクエスト挑戦のための場所である『央都アルン』に行っても、すぐにできることはないということだ。レイドボスをソロで狩るなんてこと……できなくもないというか、SAOでそれに近いことをやってのけた人を知っているが……やはりできるとは思えない。

 というか、そもそも正攻法じゃできないようになってる可能性が高いんだよな。

 

 ……となれば、こっちも正攻法じゃないやり方を準備する必要があるわけだ。

 

 どうやら龍馬兄さんが何かしらの方策を考えているようなので、しばし待ってみようと思う。

 それまでは、プレイに慣れるために色々試してみる日々、かな。

 

 

 

 ちなみに、あの後無事にウンディーネの領地の首都に行けました。

 

 ストレアさんがマップ情報にアクセスできる力を持っていたので。大助かりだ。

 

 彼女がノーム……異種族ってことでちょっと好奇の視線を受けたものの、他種族に対しても寛容な町らしく、特に大きな問題もなく利用できた。

 

 その日は安宿に2人部屋を取って、そこをセーブポイントにしてログアウトした。

 

 

 

【2025年1月12日】

 

 えらいことになった。

 

 調査3日目にして超展開である。

 

 いや、何か進展があったとかいうわけじゃないんだけど……ちょっとその、予想外の人物と予想外の場所で出会った。

 

 このゲーム、種族間で対立しまくってるってのはこないだ考察したところではあるんだけど……PKまで推奨されてるのな。

 

 プレイヤーを倒しても経験値は手に入らないけど、所持金の一部と、持っているアイテム(装備していない武器類を含む)がランダムでドロップして手に入るのだ。

 

 しかも何かこの世界、『領主』やら『将軍』やらっていう職業というか地位まであるらしく、それによってはドロップの内容にも変化があるんだそうだ。

 

 あくまでゲームシステムの1つであるし、死んでもセーブポイントに戻るだけとはいえ……SAOで過ごしてきた身としては、ちょっとばかりPKというものに対して抵抗があるんだよな……

 

 ……なんて考えてたのも最初だけで、今では元気に殺りまくってますけども。

 

 いや、誤解しないで。

 確かにシステムに慣れはした。PKというものについても、ゲームの1つの形だと理解した。

 

 けど、自分からガンガン狩りに行ってるわけじゃないんだよ……向こうからくるんだよ。

 

 いやさあ、ウンディーネの領地の周辺のモンスター狩りとか調査とかあらかた終わったから、他の領地とかに繰り出そう、って話になって……お隣のサラマンダーの領地に来てたんだけどね? 出るわ出るわ、PK目的のプレイヤー達が……。

 

 というかサラマンダーの皆さん!? どいつもこいつも好戦的過ぎませんかね!?

 いや、どっちかっていうと『排他的』っていうべきか? 異種族と見るや襲ってきて、身ぐるみ剥げとばかりに……物騒すぎる、やだあの種族。

 

 ネット見た時点で色々書いてはあったけど……『生産職プレイヤーが行商に行くのすら危ない』とまで言われる治安の悪さはなめてかかっちゃダメだったか。

 

 まあ、今のところ全部返り討ちにしてるけど。

 そしてそのせいで予想外にアイテムとか色々貯まってるけど。

 

 倒しすぎてどれが誰からドロップした品かもうわかんなくなったけど、まあいいや。

 

 そして不幸中の幸い。敵がドロップした武器の中に、いい感じの性能の片手剣と盾があったので、持ち替えた。出番短かったな、刀……。

 

 せっかく『虎徹』なんて強そうな名前だったのに。まあ、機会があったらまた使おう。

 

 そんな感じでプレイしてたんだが、いい加減に嫌になってきたから帰ろうか、って話をストレアさんとしていた時……彼女は現れた。

 

 

 

 突然、上空から悲鳴と共に、1人の女の子が降ってきたのである。

 

 

 

 とっさに僕が受け止め――お姫様抱っこになってしまったのは不可抗力である――ると、その娘は、薄く緑がかった金髪で、背中からは緑色で半透明な羽が生えていた。

 

 ウンディーネでも、ノームでも、サラマンダーでもない。

 緑色の半透明の羽……ということは、シルフか。

 

 ちょっと気の強そうな緑色の目と、顎のあたりで切りそろえたボブカットの髪型が特徴的だ。

 

 よく見ると、左手に一瞬だけ、飛行のための補助コントローラが見えた。すぐ消えちゃったけど……装備も初期装備だし、もしかして初心者か?

 

 とりあえず定番ネタである『親方ぁ! 空から女の子が!』をやってみると……ストレアさんは分からなかったようで『親方って誰?』とのことだったが、落ちて来た女の子の方は……

 

『ば、ばるす……?』

 

 とりあえず、何かしら言おうと努力してくれたらしい意思は伝わった。

 

 そして、それを追って現れたるは、やっぱりというかサラマンダーの皆さん。

 

 『どこへ行こうというのかね』『おっほぉ、女が増えたぜ!』『隊長、やっちまいましょうよ!』なんて、ちょっとばかり低俗な物言いで、こっちを見て言って来た。

 

 おそらく、『そういう意味』で言ってるんじゃなくて……この手のゲームでは、美少女のアバターを好んでPKして楽しむような連中もいるって聞くから、そういう意図だろう。

 

 しかし、僕の腕の中にいるシルフの少女は、やはり怖かったんだろう。

 嫌悪感と恐怖が半々、って感じの表情になっていた。意識してかどうかはわからないけど、僕の服の胸元にすがるようにしている。

 

 あと最初に言ったらしい隊長さん、そのワードチョイス偶然ですかね?

 

 とりあえず、サラマンダーの皆さんは僕やストレアさんもまとめて標的にしているようだったので、憂さ晴らしもかねてそのまま全滅させたわけだが……その後が問題だった。

 

 『大丈夫ですか?』『ありがとうございます。何かお礼を』『いいんですよ』なんて、お決まりと言えばお決まりのやり取りを経て――僕に縋り付いてたのを今更ながら意識したのか、ちょっと顔が赤くなってて可愛かった――もう別れようか、と思ったんだが……ちょっと思いとどまる。

 

 ここはまだサラマンダーの領内だ。ここに彼女を1人放置すれば、またさっきみたいな連中に捕まる恐れがある。そうしたらどうなるかは……火を見るよりも明らかだ。

 

 助けといてそれはちょっと夢見が悪いので、『よかったらシルフの領地へ送りましょうか?』って聞いたんだが……そこからの会話で、彼女がそもそも、このALOどころか、MMO……いや、ゲームそのものについて初心者じゃないか、っていう疑念が出て来たのである。

 

 説明書を読み込んでいたようで、一通りの用語やメニューの操作方法なんかはわかっていたようだが、ちょっと専門的というか、ゲーム用語交じりの会話になるとついてこれなくなったし。単語の意味をいちいち説明する羽目になった。

 

 それで、『ちょっとの間レクチャーしてほしいんです』『厚かましいのは承知ですけど……』と、彼女――エリカさんからの申し出を受けて、僕とストレアさんはそれを了承した。

 

 とりあえず、サラマンダーの領地は物騒すぎるし、シルフの領地に行ったところで、安全ではあるが、初心者であるエリカさんに土地勘はない。

 なので思い切ってウンディーネの領地に連れ帰って、そこで色々教えた。

 

 そして教え始めて思ったんだが……彼女、めちゃめちゃ呑み込みが早い。

 今まではただ知らなかっただけだったんだな、と思い知った。教えれば、スポンジが水を吸収するような勢いで、知識も技術も自分のものにしていく。

 

 戦闘技能においてもそれは同様だった。

 細剣を目にもとまらぬ速さで突き出してモンスターを次々仕留めていく。

 

 相手にしているのが初心者訓練用のザコモンスターだとはいえ――そして彼女が使っている武器も初心者用の店売りの品なのだが――既に相手になっていない。

 蝶のように舞い、蜂のように刺す、を形にしたような……初心者とは思えない剣技だった。

 

 曰く、以前たしなみ程度にフェンシングの経験があるらしいんだが……あきらかに嗜みどころじゃないんだけど、と言いたい。技術だけなら、SAOの中堅どころにも迫る勢いだぞ。

 

 そのエリカさんは、初めてだというVRMMOがいたく気に入ったようで、目に映るもの、やること全てを存分に楽しんでいるのが伝わってきた。

 

 戦闘で、剣を振るってモンスターを倒し、

 

 その結果として、ウィンドウに表示される、お金とドロップアイテムの入手。

 

 その、自分で稼いだお金を使っての、ショップでの買い物や、レストランでの食事。

 

 そして何より、現実では絶対にできない、羽を使って空を飛ぶという経験。

 随意飛行すらすぐにマスターし、飛行制限ギリギリまで飛び回っていた。

 

 最初はおっかなびっくりだったエリカさんだが、気づけばすごく楽しそうな、無邪気な表情になっていた。喜んでくれたようで何よりだ。

 

 それに気づくと、慌ててたたずまいを直して、姿勢を正していたけど。そんな堅苦しい風にしなくていいのに、って、僕もストレアさんも苦笑していた。

 

 何か、いい意味でちぐはぐな人だな。出会った当初のしゃべり方や、食事の時のテーブルマナーを見る限り、そういう作法をきちっとした大人の女性、みたいな雰囲気を感じた。

 かと思えば、生まれて初めての経験に、子供みたいにはしゃいだりもするし……。

 

 アバターがランダム作成だから、年齢とか当てにできないんだよな。まあ、リアル情報の詮索はそもそもマナー違反だけど。

 

 

 ……というか……この、エリカさんの雰囲気と言い立ち回りといい、似たような感じの人物を知ってる気がするんだが……?

 

 

 『すごい、すごいよエリカー!』と、相変わらずのフレンドリーさを発揮しているストレアさんと、そのスキンシップに戸惑っているエリカさんを見て、僕は密かに唸っていたわけなんだが……その正体は、この後すぐ明かされることとなった。

 

 狩りを終えた僕らが、使ってしまった消耗品の補充のために、NPCのショップに来ていた時のことで……メッセージが届いたのだ。

 

 送り主は、龍馬兄さんである。例のスパイウェアを使って、ゲームの外から送ってきたようで……『世界樹に関する資料』という題名だった。ネットとか色々見て回って調べてくれたらしい。

 

 テキスト形式になっている色々な情報に加えて、世界樹関連のスクリーンショットなんかも何枚も添付されていて……すぐに見終えられる量じゃなかった。

 

 なので、後で宿ででもゆっくり見るか、と思ったんだが……メールを閉じようとしたその直前、スクリーンショットの中に、見逃せないものが紛れ込んでいることに気づいた。

 

 龍馬兄さんは、僕から聞いた範囲でしか、SAOの中のことを知らない。

 当然、プレイヤーの顔やら名前なんかも知らない。

 

 ゆえに、見逃してしまったんだろう……これを。

 

 それは、通常の画質のスクリーンショットの一部分を、限界まで拡大したような、画質がいいとは言えない絵で……そこに、1人の少女が映っていた。

 画質が悪いから、確信は持てなかったが、その姿はどう見ても……似ていた。僕が知っている、ある少女に。

 

 だから、思わずその名前を呼んでしまったのだ。3人同時に。

 

 

「アスナ……さん?」

「アスナだ!」

「明日奈!?」

 

 

「「「…………え?」」」

 

 

 ストレアさんと、もう1人。

 

 いつの間にか後ろにいて、肩越しにSSを覗き込んでいた……エリカさんと一緒に。

 

 

 

 僕らが、彼女の正体が……アスナさんのリアルの母親である、結城京子教授だと知る、3分前の出来事だった。

 

 

 




……以前、この作品でアスナさんが言ってたことを覚えているでしょうか。
アインクラッド編の第31話。キリト君との結婚の直後、『女子会』の時に、ヨルコさんの恋バナを聞いて、彼女は最後にこう言っていました。


「……そう、この時の私には……まだ、想像もできなかったのだ。」
「まさか……あんなことになるなんて。」


ええ、思わなかったでしょうとも。
まさか……自分の母親がヒロイン(かもしれない)として参戦してくるなどとは……。

そんなわけで、アスナママもとい『エリカ』参戦決定。
この世界線では、『エリカ』が最初から彼女のアバターになります。
マザロザ編で出て来た時はヘイト担当キャラだった気がしますが……ぶっちゃけエリカかわいいと思います。
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