悪役転生にもほどがある!   作:無虚無虚

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第3ラウンド

 当然、日本は喜んで捕虜交換に応じた。

『フェン王国の戦い』の翌日、朝田()と篠原が第1外務局を訪問してきた。

「捕虜交換は皇女殿下のご提案だったとうかがっています」

 朝田()の態度には余裕が感じられる。

「それは嫌味のつもりか?」

 今の俺は体のコントロールを手放している。コントロールを握り続けるのは、精神的な消耗が激しいのだ。

「いいえ。きわめて賢明なご判断だと思います。あの提案があればこそ、両国の関係はまだ修復可能です」

 朝田()レミール()を褒めているつもりなのは分かる。だがレミール()はそうは受け取らないことも分かる。日本人の、いや旧世界の感覚で皇国人(新世界人)の感情を推し量るのは危険だ。

「もともと存在しないものを、どうやって修復するのだ?」

 レミール()は相当キレてるな。こんな発言、自分にとってもマイナスにしかならないことが分からないとは。

「では両国の間に新たに建設的な関係を築くため、我が国から提案をさせていただきます」

 朝田()がそう言うと、篠原が書状を取り出す。レミール()はそれに目を通した。

 

〇 フェン王国に対し損害を与えたため、公式に謝罪し、賠償を行うこと。

  なお、賠償については建物に与えた実被害額の二十倍を支払うこと。

〇 日本人の拘束に関し、公式に謝罪し、賠償を行うこと。

  賠償額については、被害者一人につき百万パソ分を金に代え支払うこと。

〇 フェン王国の戦いに掛かった、フェン・日本連合軍の戦費を負担すること……

 

「──!! 何だこれは!?」

「我が国は民主国家であり、世論というものがございます。戦後処理としてこの程度はして頂かないと、国民が納得しません」

「皇国に賠償を要求するとは……列強にでもなったつもりかっ!?」

「『列強』の定義はよく存じませんが、我が国としては妥当な水準だと考えます」

「……そうか、やはりそうなのだな」

 レミール()は『ムー黒幕説』を確信したようだ。だが当然、朝田()と篠原には分からない。キョトンとマヌケな顔をしている。

「やはり後ろにいるのはムーか? ひょっとして神聖ミリシアル帝国か?」

「……何のことでしょう?」

「文明圏外の蛮族が、局地戦とはいえ皇軍に勝ったり、皇国に要求などできるはずがない。日本の背後には他の列強がついているのであろう!」

 朝田()と篠原は目が点になっている。無理もないが。

 それにしても相手に面と向かって切り出すとは……レミール()は外交官としては下だな。(前世で)虐殺を止められなかった俺も他人──今は本人か──のことは言えないが。

「我が国は主権を持った独立国です。列強の属国ではありません」

「あくまでしらを切るつもりか」

 外交ではそれが当たり前だし、そもそもしらなんか切っていない。

「これは本当のことです。何か勘違いをされておられるようだ」

 ここで朝田()はちょっと考える様子を見せた。

「それでは日本に使節を派遣して頂けないでしょうか?」

「使節だと?」

「はい。信頼できる人物を日本に派遣して頂きたいのです。その人物にじかに日本を見て頂くのです。私どもの言葉は信用できなくても、その人物の言葉なら信用できるでしょう」

 よし、ここで横取りだ。このままだと「文明圏外になど行けるか!」なんて言いかねないからな。

「……よかろう。私が直接出向いてやろう」

 朝田()と篠原は、明らかに驚いた。

「皇女殿下が、ですか!?」

「そうだ。私が直々に化けの皮を剥いでやる。詳しい日程は文官に決めさせる。どうせ日本の船や飛行機械なら、数日で着くのであろう。……それとも使節が私では不満か?」

「……いいえ、日本は皇女殿下を歓迎いたします」

 これはリップサービスだな。

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