「……かような事情で、私が直接赴いて、日本の化けの皮を剥がしたいと存じます」
「……カイオスがよかろう」
「は?」
「使節はカイオスがよかろう。文明圏外は元々は外3の担当だ。局長クラスであれば、特使としても十分な格だ。そなたの意欲は評価するが、皇族が軽々に外国、それも敵対国に足を運ぶものではない」
やっぱりダメか。まあ使節を出すことを認めさせるのが本命だから、これはこれでいい。
「先走った真似をいたしました。申し訳ありません」
──コンコン
ドアのノックの音が響き、続いてドアの向こうから声が聞こえる。
『アルデです。お召しに従い参上しました』
「入れ」
皇帝が入室を命じると、アルデが書類を持って入ってきた。
「では、私は失礼します」
「ちょうどよい。レミールも同席せよ」
退室しようとした
「これがフェン王国再侵攻計画です」
アルデが文官に書類の束を渡す。
げっ! 皇帝はまだ諦めていなかったのか!?
「概略を申しますと、侵攻部隊の再編制と補給に、およそ二ヵ月は必要です。艦隊を一度エストシラント港に集結させ、その後直接フェン王国に差し向けます。低速の揚陸艦や輸送艦も含みますので、航海には一ヵ月を見込んでいます」
「うむ。差し向ける戦力は」
「戦列艦三五〇隻、竜母三〇隻、揚陸艦二〇〇隻、陸戦部隊六千人、地竜六四頭が主力でございます」
おいおいおい!!
「陛下! 皇国を滅ぼすおつもりですか!?」
しまった! 思わずコントロールを取ってしまった!!
ルディアスがぎろりと
「レミール、余の采配に不服があるのか?」
「いえ……日本の背後にはムーがいるかもしれません。軽挙は禁物かと……」
「余の采配を軽挙と申すか」
「……」
拙い、皇帝に疑われた。
「余からもそなたに問いたいことがある」
「……何でしょうか?」
皇帝は手元の書類をめくった。
「日本の外交官との会談の議事録を読んでいて気がついた。そなたはこう申しているな。『どうせ日本の船や飛行機械なら、数日で着くのであろう』。そなたが何故、日本の船の性能を知っているのだ? 日本が飛行機械を使っていると確信しているのだ?」
「……」
そんなこと……言ったな。拙い、拙いぞ!
「そもそも最初からおかしいと思っていたのだ。そなたが蛮族への『教育』をためらうなど、これまでなかった。捕虜交換も気前が良すぎた。普段のそなたなら、もっと条件闘争をしたはずだ。そなたは日本に対しては、ことさら甘い」
皇帝が椅子から身を乗り出す。
「答えてくれ、レミール。そなたと日本の間には、何があるのだ?」
「な、何もありません!」
「日本に行くと言い出したのも、亡命が目的ではないか?」
「そ、そんなことはありません!!」
皇帝は乗り出した身を元に戻し、椅子に深く座った。
「そなたには失望した」
扉が開いて数人の近衛兵が入ってくる。私/俺を拘束する。
「陛下、誤解です!」
「黙らせろ」
私/俺は気を失った。