折角なんでこのままにして活かしたいと思います。
台湾から日本への飛行機内にて
日本人の家族4人(父、母、男女の双子)
長期連休を利用し、台湾に訪れていた。
以前、単身赴任で台湾にいた父が通訳兼ガイドをし家族水入らずで3泊4日の旅行の帰りである。
「ねぇ…あなた、ちょっと」
「ん~、どうしたんだ??」
「この前スマホ機種変したあと、前のスマホ…どうした?」
「スマホ?すぐ売りに行ったよ?
ちょっと小遣い欲しかったから(苦笑)」
「じゃあ、 たかあき が使ってるスマホは…?」
「えっ…スマホ?( ̄O ̄)」
私は視線を妻から息子に移す、その手には確かにスマホらしき物があり、操作している。
一緒に荷造りをしているので、息子の荷物は把握している…それに、自分と妻のスマホは互いに持っていたので、まさか盗んできたのでは?という結論に至った。
怒りと困惑が入り交じった気持ちを一先ず抑え、息子に問いかける。
「たかあき…それ、どうしたんだ?」
息子は答えるどころか、こちらに目もくれない。
「ちょっと、たかあき!?」
妻が息子の肩を揺らし、呼びかけると…。
普段からは想像も出来ない冷たい視線で此方を一瞥し、すぐさまスマホに視線を戻した。
妻と顔を見合わすと、私と同じく信じられないといった表情を浮かべていた。
一瞬、困惑したが悪びれもしないその態度に怒りの方が強くなった。
「おい、たかあき…それどっから持ってきたんだ!」
機内だったので声は抑えつつも、近くの者なら「この人怒ってる」と認識出来る声色…
だが、怒りを向けられている当の息子は何処吹く風
頭に来てスマホを取り上げた。
「たかあき!これはどこから持ってきたんだ!?」
漸く此方を向いた息子の目を見ながら問いただしていると…
「還!!(返せ)」
予想外のことに目を丸くしてしまった。恐らく、妻もだろう…
だが、私の場合は息子が聞き取りも出来ないであろう台湾語でハッキリ「かえせ」と言ったからだ。
呆気に取られている内に私の手からスマホをかっさらい、先程の様に操作し始めた。
別人のような息子の態度に訳がわからず、怒りは霧散した。
「あなた…」
妻が不安そうに問いかけてくる…
どう答えたものかと思考していると、出発を伝えるアナウンスが聞こえてきた。
「本当は良くないが、まずは帰ろう…。あとであのスマホに入ってる連絡先から持ち主を探して詫びを入れよう」
「う、うん」
本来ならその場でそれを実行しなければならないのだろうが、妻も私も息子に対しての不安からか問題を先送りにしてしまった…
「これ、あげる」
不意に娘が手を差し出してきた
開かれた手には飴玉が二つ…
「あ、ありがと…」
私はぎこちなく答え、妻も飴を口に入れた
こんな飴買ったか?と思いながら娘の方を見ると、そこには私の子供達ではなく少女が二人座っていた
唖然としている私に妻が
「どうしたの?」
「いや、だって…」
子供たちを指差しながら答えるが、そこに居たのは私の子供たちだった
「ごめん、なんでもない…」
「そう…」
きっと帰って落ち着けば大丈夫だ、と無理やり自分を納得させ日本に着くまで私は仮眠を取った
次回 作者死す?