何処かの超能力者の1ページ

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何処にでもいる能力者

 今私は所々に霜がついた倉庫のなかで、本を読みつつ時間が経つのを待っていた。ギッギーと冷えてるからなのか、ドアが大きく軋んだ音とともに開く。

 

「いやぁゴメンね?夜までには着くから」

 

 モコモコとした防寒具を着たまま、今回の依頼人が現れる。何処と無く頼りない優柔不断そうな顔と腰の低さが特徴的な人だ。

 

「気にしなくて良いですよ。お金貰ってるので」

 

 私を気づかっているのか、ちょこちょこ顔を出してくれるのだが、耐えきれずに何度も倉庫から出ていっている。

 

「……ほんとに平気なんだね。そんな学校ジャージで」

 

「元々こっちの能力の方が得意でしたから」

 

 私の能力は温度操作。よくわからないが、念動力の親戚、発火能力の分類になるらしい。

 元々は自覚が無くて、自分の回りの気温を一定に保つように能力を使っていた……らしい。今では練習するうちにエアコンのように空間を冷やしたり温めたり出きるのだけど、自分の周りの温度のコントロールは今でも出来ず常に適温に保たれている。

 

「……自分の能力と取り替えたいな。この船の冷凍室を能力だけで冷やせるとか便利すぎ」

 

「どんな能力何ですか?」

 

「何の面白味もないテレポートだよ」

 

 テレポートは十分有用な能力……というか私のより便利そうに感じる。

 

「昔はねー、遅刻しないとか、お金儲けたり旅行し放題と思ってたんだけどね。海外のお金無いし、旅行する休みも取れないし、テレポートで運び屋って自分で仕事受けないといけないし……。結局は出社や買い物が楽なくらいかな?」

 

「……いや、便利すぎません?私の能力なんて機械で代用できますよ」

 

「機械で代用できるってことは、機械の代わりになれるってこと。……テレポートは今の社会だと証拠が残らなすぎてね。証拠が無いってことは何もしてないって扱われちゃうんだよ。……寒くなってきた」

 

「すみません。私あんまり細かく調整できないので自分とそれ以外くらいしか区別、調整が出来ないんですよ」

 

「それじゃあまた……」

 

 依頼人がまた部屋から出ていく。

 普通、人はテレポートなんて能力を持っていても冷凍室の寒さの中長時間過ごすことはできない。

 私は手元の文庫本に再び目を落としてゆっくり読む。中では世界征服を目論む悪の超能力集団がかませっぽい不良どもを3ページ程使いボコボコにしていた。

 

「私の能力なら燃やすか凍らすからこの不良たち一行で死んじゃうな」

 

 ペラペラ読み進める。今度は悪の超能力が昔発火能力者に家族を殺された過去を話始めた。

 

「私ならそんな酷いことしないよ」

 

 だから

 

「そんなに発火能力を悪者扱いにしないでよー差別だよー」

 

 私は超能力者な高校生。



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