Masked Rider EVOL 黒の宙   作:湧者ぽこヒコ

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万丈「……ふぁ!?……なんだ、夢かぁ」

美空「どしたの?バカみたいな顔して?」

万丈「うっせ!……よく覚えてねぇんだけどさ」

万丈「夢の中で香澄に会ったんだ。つーかお前らもみんないた」

美空「……あんたがいつまでも落ち込んでるから励ましに来たんだよ!きっと!」

万丈「そうかもな……へっ。なんか怒ってたしな、あいつ」



戦兎「ばんじょー!ちょっと下来てー!」

万丈「はいはい、今行きますよ、っと」



香澄『ふふふ。ちゃーんと見守ってるわよ?私の王子様♪』



万丈「ん?……今なんか……?」


香澄『あらあらまあまあ。戦兎ちゃんが呼んでるから早く行きなさいったら!』


戦兎「はーやーくー!!はよこい!」

万丈「お、おう!今行く!」




万丈「……ていうかどうやって下いくんだ?これ?」

美空「あー、そこ。冷蔵庫。えーっと。ナンバーはね――」





phase,8 乙女の涙と機械仕掛けの蒼い龍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――お、おいおい。なんだよこれ!?」

 

 

 

 

 

 

 

冷蔵庫が地下に行く通路の入口ってだけでこちとらびっくりしてんのによ……

なんだここは……!?

 

 

 

 

 

 

 

「んあ?そーいや初めてだっけ?ここ来んの」

 

 

 

 

 

 

 

いや初めてみたわ。

こんな…こんな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっごいでしょお!ここがわたしが仮面ライダービルドに関する研究・開発してる場所、通称《nascita labo》!実験に関するものも全部揃ってんだよー」

 

 

 

 

 

 

 

呆然としている俺を無視して、戦兎は謎のダンスをし始めている。

いやー……すっげえなおい……

 

 

つうかここに住み始めてもうかなり経つけど、地下室があったのすら知らなかったぞ……

 

 

 

 

 

 

 

「この、タイムマシンみたいのなんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

奥にあるでけー何か。なんだこれ?

……電子レンジついてるけど。なにすんだこれで。

 

 

 

 

 

 

 

「えへん!よく気が付きました!それはボトル浄化装置!」

 

 

 

「このレンジの中にガスを封じ込めたボトルをいれて、この……部屋の中に美空に入ってもらって、このゴーグルをつけてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

ほうほう。全くよくわかんねーけど。

 

 

 

 

 

 

 

「んでもって……と。ドア閉めて、美空がおりゃー!ってやったらチーン!ってなってバァン!ってレンチンされてはい出来上がり、って感じ。簡単でしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

ほー……なるほどなー……

 

 

 

 

 

 

 

「うん。まっっっったく1ミリもわかんねえ」

 

 

 

 

 

 

 

つかなんだレンチンて。

やっぱあれ電子レンジだったのか。

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁぁ……まあしょうがないね。おバカなばんじょーには理解出来ないだろーしさ!」

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず今俺がバカにされたのは何となくわかった。

 

 

 

 

 

 

 

「てめっ、誰がバカだごるあぁぁ!」

 

 

 

「まあまあ落ち着きなさいや。はいコレ」

 

 

 

 

 

 

 

ん?なんだこれ?……蒼い……ボトル?

なんか龍の装飾みたいなのがあるけど……

 

 

 

 

 

 

 

「……香澄さんから抽出したガスの成分を美空に浄化してもらったの。そのボトルは……あんたのボトルだから」

 

 

 

 

 

 

 

……香澄の、か。

 

香澄が俺に遺してくれた形見。あいつの魂そのもの。

香澄が最期に託していった、俺の希望。

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとな、香澄。大事にすっから、さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――そのボトルの名前は《ドラゴンフルボトル》。万丈。あんたに相応しいボトルでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

きっとこのボトルが万丈の力になる。

だって、香澄さんの想いが詰まったボトルだもんね!

 

 

 

きっと大丈夫。万丈なら使いこなせるはず。

 

 

 

 

 

 

 

「ドラゴンフルボトル……まさに俺のためにあるようなボトルだな!……こいつがあれば負ける気がしねーよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

あはは。良かった。元気になってくれて。

 

 

 

 

 

 

 

「もー。ほんっとにバカっぽいなばんじょーくんは!そんな君に!もう1つプレゼントがあるのだよ。ほれ!おいでおいで!」

 

 

 

 

 

 

 

わたしの呼びかけに反応して現れる、機械仕掛けの蒼き龍。

こいつこそ万丈の力になってくれるはず!

 

 

 

 

 

 

 

「うわ!?なんだこいつ!?火ぃ吹いてんぞ!?」

 

 

 

 

 

 

 

なんだとは失礼だな!可愛いでしょうが!

 

 

 

 

 

 

 

「この子の名前は《クローズドラゴン》。これから万丈の力になってくれる子だよ」

 

 

 

「クローズ……ドラゴン?」

 

 

 

 

 

 

 

ふっふっふ。私の叡智を余すことなく結集した傑作!!

いやぁ……ふつくしい……

 

 

 

 

 

 

 

「んーなんか弱そうじゃねー?こいつ?」

 

 

 

 

 

 

 

おい。私の可愛い子供のクロちゃんをバカにするのかこの脳筋バカ。

 

 

 

 

 

 

 

【〜♪ヽ(`Д´)ノ】

 

 

 

「あちっ!あちちっ!!なんだよこいつ!?怒ってんのか?熱っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ほれみろ。クロちゃん怒っちゃったじゃんか。

クロちゃんは万丈と違って繊細だからねー。

 

 

 

 

 

 

 

「ごほんっ!クロちゃんはね。A.I.、つまり人工知能が搭載されてるの」

 

 

 

「だからクロちゃんをバカにしたらそりゃクロちゃんも怒るでしょーが!ほれ!早く謝れ!」

 

 

 

 

 

 

 

そう……このてぇんさぁい!物理学者の桐生 戦兎だからこそ創り出せた至高の作品!

 

 

 

 

 

 

 

……万丈はあからさまに嫌がってんな。よし行けクロちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

「いって!?おい、噛み付くなって!痛い痛い痛い!!わかった!わかったよ!!俺が悪かった!!!ごめん!ごめんて!!」

 

 

 

 

 

 

 

半泣き万丈。自業自得じゃ!

 

 

 

 

 

 

 

……まあ早いとこ絆を深めて貰いたいんだけどねー。

 

 

 

 

 

 

 

「そしてクロちゃんにはもう1つ。役目があんの」

 

 

 

「あ?役目?」

 

 

 

 

 

 

 

そう。この暴走機関車みたいな野蛮人のための!

 

 

 

 

 

 

 

「そう!この子はね、あんたのお目付役でもある!」

 

 

 

「なんだよそれ……」

 

 

 

 

 

 

 

急にテンションガタ落ちの万丈。

いや、しょうがないでしょ。急に走り出したりするし。

 

 

 

万丈はちょいちょい暴走気味になるからね。

……あの時も変だったし。

 

 

 

 

 

 

 

「あんたが一番よくわかってると思うけど、時々自分が自分じゃなくなりそうになったりしてたでしょ?」

 

 

 

「……クロちゃんはその時に万丈を止めてくれる。抑止力、ってやつ?」

 

 

 

 

 

 

 

……ちっちゃいけど、めちゃめちゃ強いから気をつけなさいよバカ。

 

 

 

 

 

 

 

「……まあ、そうだな。おい!よろしくな!クロ!」

 

 

 

【〜♪( ˙³˙)】

 

 

 

 

 

 

 

……やっぱりすぐには無理か。

 

 

 

 

 

 

 

「あと。これが重要。クロちゃんと万丈が本当の意味でシンクロした時、その時に本来の力を発揮するから」

 

 

 

 

 

 

 

それが、私が万丈に渡せる“護れる力”。

きっと万丈なら……ちゃんと使ってくれると思う。

 

 

 

 

 

 

 

「シンクロ?なんだそれ?食いもんか?」

 

 

 

 

 

 

 

前言撤回。このバカには一生無理な気がしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……クロちゃんは!万丈の!想いの強さに!想いの!強さに!!反応して力を授けるの!!」

 

 

 

「そして!クロちゃんと!!万丈の!心を通わせる!!!わかった!?」

 

 

 

 

 

 

 

いやわかれよ。わかってくれよバカ。

わかって下さいお願いしますバカ。バーカ。

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん……つまりあれか!クロとドォン!とバァン!とシャキーン!ってなりゃいいんだろ?おっけおっけ!大丈夫だ!」

 

 

 

 

 

 

 

うん。なんかわたしは全くよくわかんないし大丈夫な面が1ミリもないと思うんだけどまあ万丈がわかったならそれでいいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――おうお前ら。随分賑やかだな?おかえり。そしてただいま!」

 

 

 

 

 

 

 

あ!マスター!!帰ってきたんだ!!!

なんか最近忙しいみたいで全然構ってくんないし……

 

 

 

もうわたしもちゃんと働いてるんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

「マスター!おかただま!おみやげー!おみやげー!!」

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりだし、もちろんおみやげあるよね!?

何かな何かな。パティスリー鴻上かな!?

 

 

 

 

 

 

 

「おかただまってなんだよ……ちゃんと言いなさいちゃんと。ほれ、パティスリー鴻上のケーキ」

 

 

 

 

 

 

 

ひゃっふぅ!きたあ!!パティスリー鴻上のケーキ!!!

あそこって店主は変人だけど、味は最高なんだよねん♪

 

 

 

 

 

 

 

「万丈は何が好きなのかよくわかんねーからとりあえずほれ、フルーツタルト」

 

 

 

「……香澄が大好きだったんだよな、フルーツタルト。……ありがとな!マスター!」

 

 

 

 

 

 

 

本当に香澄さんが大好きなんだなあ。万丈は。

 

 

 

 

 

 

 

なんか羨ましいな。わたしも、いつかそんな風に思える人が……

 

 

 

 

 

「んあ?なんだよ戦兎?俺の顔になんかついてっか?」

 

 

 

 

 

 

 

ないない!この中年だけはないわ。絶対にない。

てゆか何で!?何でわたしは今マスターを見てたの!?

 

ありえないから!!絶対それはない!

だってマスターだし、わたしはマスターの娘だし、そんなこと、ない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ほんとに絶対に……ない……のかな。

 

 

 

 

 

 

 

わたしがもし万丈の立場で、マスターがああやって消えちゃったらやだな……

 

 

 

多分そしたらわたしも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ"ー!もう食べてるしー!!私のこと待っててよー!!」

 

 

 

 

 

 

 

……あ。美空ごめん。忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ごちそうさまでした」」」」

 

 

 

 

 

 

 

やー。美味かった。やっぱこのダークチョコケーキは絶品だわ。

廃止になるとか、あの噂まじなのかな……

 

……どうしよ。

これから俺はどうやって生きてけばいいんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「あー、おっほん!そう言えばね、新しい発明品があります!」

 

 

 

 

 

 

 

お、また戦兎がなんか開発したか。今度はなんだ?

前回は確か全自動卵割り機だったっけ。

 

……え?手で割った方が早くない?って言ったら戦兎のやつ大泣きして3日近く口聞いてくれなくなったんだよな……気をつけよ。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃーん!まずはこのスマホ!名付けて《ビルドフォン》!」

 

 

 

 

 

 

 

お、おう。なんだ。遂にスマホ作ったのか。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、戦兎ー。俺の携帯も作っといてくれね?」

 

 

 

 

 

 

 

おい万丈。そこか。そこなのか。

違うだろ、驚かないのかお前は。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば私のもちょっと調子悪いんだー。戦兎直してしー」

 

 

 

 

 

 

 

待て美空。お前のはあれか、修理か。修理なのか。

遂に戦兎は修理屋さんになったのか。

 

 

 

 

 

 

 

「うんわかったやっとくー。……そしてそしてこちらにあるのはついこの前に美空が浄化してくれた《ライオンフルボトル》!」

 

 

 

 

 

 

 

切り替えはえーな。

なんだろう。こいつ面白いぞ。

 

 

 

 

 

 

 

「このビルドフォンにぃ……ライオンフルボトルをセッティン!すると……ほらどーよ!」

 

 

 

 

 

 

 

おぉ、すげえ。バイクになったぞ。

 

 

 

 

 

 

 

「マシンビルダーモードに超変形!!ねえねえ?凄いでしょ?最高でしょ?てんっさいでしょお!?」

 

 

 

「……ふぁーあ。眠いし私、寝るし。邪魔したら刻むし。おやすみー」

 

 

 

「あちっ!あちちっ!おいクロ待て!財布返せ!おい!!」

 

 

 

 

 

 

 

……ふぅ。ここはお父さんが決めてやるか。しょうがない。

 

 

 

 

 

 

 

「うん凄い凄い。でもこんな所にバイクあっても邪魔だから早く元に戻してな?」

 

 

 

 

 

 

 

どーよ?さすがお父さんだろ?

何年父親やってると思ってんだ!

 

……美空が目覚めたのは最近だけども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……知らない!ばーか!ばーか!」

 

 

 

 

 

 

 

……え?まじかよ。嘘じゃん。

どこで間違えたの俺。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?戦兎どっか行ったのマスター?」

 

 

 

【〜♪(´・ω・`)】

 

 

 

 

 

 

 

……はあ。こっちの気も知らないでよお。

つーかなんだその変な蒼い龍。戦兎の発明品か?

 

 

 

美空は爆睡してるし……よし。俺が迎えに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

「ちっとばかし娘を捕まえてくるわ。留守番頼むな」

 

 

 

 

 

 

 

蒼い龍とじゃれあってる万丈に伝える。

なんだ楽しそうだなおい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――いたいた。ここに居ると思ったよ。

なんか嫌な事とかあると戦兎は絶対ここに来るからな。

 

満点の星空がよく見える、高台のこの公園に。

 

 

 

 

 

 

 

「よう戦兎。……隣、いいか?」

 

 

 

 

 

 

 

完全に俺に気付いてやがった癖に、無視しやがった戦兎に悪戯っぽく呟く。

わかりやすいなー。俺の娘は。

 

 

 

 

 

 

 

「どした?拗ねてんのか?」

 

 

 

 

 

 

 

頭を軽くぽんぽんと叩きながらお転婆姫に訊ねる。

こいつは頭叩かれんの好きだからなぁ。

 

ほんと、世話のやける大きい娘だ。

 

 

 

 

 

 

 

「……最近マスター全然居ない。せっかく会えたから、ちゃんと褒めてほしかったのに」

 

 

 

「……バイトバイトって。わたしももうちゃんと働いてるからそんなにバイトしなくていーのにさ」

 

 

 

 

 

 

 

戦兎がぶすっとした顔で、口を尖らせる。

くくく。本当にちびっ子みてーだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、新しく息子が出来たしよ。稼がねーとさ。あいつは冤罪だとしても指名手配中だから働く事も出来ねーし。それに、お前らの好きなケーキも買ってきたいからさ」

 

 

 

 

 

 

 

お前らの笑顔が俺の一番の癒しだからな。

……頑張ろうって思えんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

「わかってるけどさ。……なんか、変な事言うけど。……マスターがどっかに行っちゃう気がするんだ」

 

 

 

 

 

 

 

おいおい。エスパーかよ。

もしかして何か勘づかれてんのか?

 

 

 

 

 

 

 

……いや、そんなはずはない。

 

 

 

 

 

 

 

「俺が、か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

なるべく、なるべく平静を保って。

 

 

 

 

 

 

 

「うん。……よくわかんないんだけど、たまにマスターが何処か遠くに行っちゃうような気かする」

 

 

 

「わたしたちの手が届かない所へ。手を伸ばしても、伸ばしても伸ばしても……もう届かないの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……大丈夫。まだ大丈夫だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってって言ってるのに。行かないでって言ってるのに。置いていかないでって言ってるのに。マスターは後ろをチラッと振り返って、にこって笑うの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、そのまま追い付けない速さで遠くに行っちゃうの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1つ1つ言葉を生み出すように、涙を零しながら戦兎は話す。

無意識のうちに、わかってんのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだ。やだやだやだ……どこにも行かないで。美空も、万丈も、マスターが必要なの。それにわたしにも!桐生 戦兎にもマスターが居なきゃダメなんだよ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

消えそうな声で号泣する戦兎。

まるで小さな子供のように。

 

 

 

色々、辛かったんだな。そうだよな。

まだたかだか20歳そこそこの女の子には、重すぎるよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしどこかへ行っちゃうなら……わたしも連れてって。何か1人でやろうとしてるなら……わたしも一緒にやる。だから、わたしの事を見捨てないで……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦兎……。

絶対にお前の事を見捨てたりなんかしない。

 

お前は俺の大切な人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから一緒には行けない。

お前が、何よりも大切な人間の1人だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦兎……戦兎?大丈夫。どこにも行かないよ。ずっと、ずっとずっと戦兎の傍に居る。美空や万丈の傍に居る。お前たちは俺の一番大切な家族だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見捨てたりなんかしない。絶対にお前たちを……戦兎を1人ぼっちになんかさせない。お前らが、ずっと笑顔で居られる日を、俺は心から望んでるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

絶対にお前たちを1人ぼっちになんかさせないから。

……大丈夫。安心してくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぐすっ。ひっぐ。ひっぐ。その中に……その日の中に……マスターはわたしの隣に居るの……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ごめん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ。居るとも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……約束、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マスターは……ひっぐ。わたしのこと、好き?」

 

 

 

 

 

 

 

あのなぁ。あたりめーだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなこと決まってんだろ?もちろん俺は、全身全霊で戦兎の事を愛してるよ」

 

 

 

 

 

 

 

親っていうのは、そういうもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「うん……うん!わたしもマスターの事愛してるー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ちょ!?おい!?鼻水垂らしたまま抱き着くな!!

服が、服があああああ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――はあ。ちょっと落ち着いた」

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに思いっきり泣いたらちょっとスッキリした。

でも……それ以上にわたしの脳に何かがひっかかる。

 

 

 

 

 

 

 

「あーそー……良かったですね……」

 

 

 

 

 

 

 

あはは。マスターまだ落ち込んでる。お気に入りの服だったもんね。

……初任給入ったらプレゼントしたげようかな。

 

 

 

 

 

 

 

「……多分さ、万丈の恋人の香澄さんが、亡くなっちゃったでしょ?……わたしも目の前で見てたから」

 

 

 

「……それで、マスターと香澄さんを重ねちゃってさ、マスターがどっかいっちゃったらどうしよう、って多分思っちゃってたんだよね……最近バイトが忙しいみたいでなかなか構ってくれなかったし」

 

 

 

 

 

 

 

ほんとは、それだけじゃない。

多分マスターはきっと何か隠してる気がする。

 

 

何があった訳じゃない、ただ、そんな気がするだけ。

多分それが、ひっかかる正体。

 

 

 

 

 

 

 

「悪かったな。多分これからも……忙しくなっちゃうんだけどさ、なるべくお前らと過ごせるようにお父さん頑張る!ははは」

 

 

 

 

 

 

 

何か隠してるなら、わたしだけにでもいいから教えてよ。

そんなに頼りにならないかな?

 

 

 

わたしなら全部受け止められる。

わたしならあなたを……

 

 

 

 

 

 

 

「っし!そろそろ行くか!心配してるだろうしよ。つうかあのヘンテコな蒼い龍、戦兎が創ったやつだろ?万丈とじゃれてたぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きっとわたしならあなたの力になれる。

わたしに名前をくれた、あなたの力になりたい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ヘンテコじゃないもん。クローズドラゴンだもん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっとずっとあなたの声を一番近くで聞いていたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか。クローズドラゴンっていうのかあいつ。まさに万丈の相棒、って感じだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっとずっとずっとあなたの目を見つめていたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でしょ?機能もばっちりなんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっとずっとずっとずっとあなたの、傍に居たい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、帰るぞ!……その前に。パティスリー鴻上寄ってくか?もちろん美空と万丈には内緒でな♪」

 

 

 

「うん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

気付いちゃったよ、マスター。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……わたしは、マスターを愛してる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父親としてじゃなくて、1人の男として。

石動 惣一をどうしようもなく愛してるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたは、わたしのことを。

娘の桐生 戦兎としてじゃなくて、1人の女としての桐生 戦兎を愛してくれるかな――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――はい……確認致しました。えぇ。そうです。仮面ライダービルド……はい、桐生 戦兎です……えぇ、はい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石動 惣一、エボルトも確認致しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚めのいい清々しい朝。小鳥が囀る声がまるで狂想曲のよう。

そう。土砂降りの雨の日――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はわわわわわわわわわわわ。

うっわ。うわうわうわうわ。

 

昨日のあれなんだったんだ。わたしは何を考えてた!?

思い出したらめちゃくちゃ恥ずかしくなってきた。

 

 

 

やだやだやだやだ。

……え?わたしが?マスターを?いやいや、いやいやいや。

 

 

 

 

 

 

 

確かにぃ?マスターのことは大好きだよ?

いやぁ、でもそれとこれはさ……

 

 

 

 

 

 

 

まだまだ開店前のnascitaのカウンターに腰掛け、コーヒーを啜る。

やっぱマスターのコーヒーとは違うなあ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってまたマスター!?

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ……おはよ、戦兎……随分早いね……顔真っ赤だよ?どしたの?」

 

 

 

「ひゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

な、なんだ、美空か……びっくりした……

マ、ママ、マスターかと思った……

 

 

 

 

 

 

 

「変なの。私また寝るし。おやすみー」

 

 

 

 

 

 

 

大きな伸びをして美空は部屋に戻ってった。

はあぁぁぁ。心臓に悪い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……わ、わたし、本当にマスターの事を好きになっちゃったのかな……?

 

いやでもマスターはわたしの親みたいなもんだし、そもそもマスターはわたしの事を娘だと思ってるから脈無しだし、ていうかやっぱ歳の差が離れ過ぎてるけど、あーでも今の時代歳の差婚とかもよくあるよね……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってちがああああう!!え!?結婚!?

いまわたしマスターとの結婚考えてた!?

 

いやいや。いやいやいや。

それじゃあ美空はわたしの娘に……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だめだ。脳がおかしい。

……やっぱりわたし、好きなのかな、マスターのこと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かが扉を開けた音がした。

こんなに朝早くに。まだ開店前だというのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え!?マスター!?……いや、マスターは上で寝てるし、誰だろ。

まだ開店前なのにな……てかお客さんとか珍しーな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、ごめんなさい。まだ開店前なんですよねー」

 

 

 

 

 

 

 

そうそう、だから早く帰れ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして。私の名前は《滝川 紗羽》。貴女が桐生 戦兎さんね?「

 

 

 

「は、はぁ。そうですけど……」

 

 

 

 

 

 

 

何この人?わたしの名前なんで知ってるん?

もしかして研究所の人かな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ。私はね、ジャーナリストなの。あー……あなたのことはこう呼んだ方がいいかしら?正義のヒーロー《仮面ライダービルド》さん♪」

 

 

 

 

 

 

 

あー。はいはい。

そうですわたしが仮面ライダービルド……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで知ってるのおおおおお!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んふふ♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 








戦兎「はー。やだやだ……もぉ……」

惣一「ん?どした戦兎?」

戦兎「ひょお!!マママ、マスター!」

惣一「なんだお前変な声だして」


惣一「徹夜のし過ぎで遂に壊れたか?」

戦兎「……あははー。そ、そうかもー。はは……」

惣一「ふーん……最近肌荒れてんじゃねえの?」

惣一「しっかり寝とけよ。美容の大敵だぞ」

戦兎「人の気も知らないで……しゃー!!!!!」

惣一「お、おお。なんだよ。悪かったよ……おやすみ」



戦兎「はぁはぁはぁ。くそっ!」




万丈「うーん……かすみぃ……むにゃむにゃ」
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