Masked Rider EVOL 黒の宙   作:湧者ぽこヒコ

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惣一「うーむむ。」

美空「どしたの?」

惣一「いやさ。コーヒーが不味くなるってことは紅茶も不味いのかな、って思ったんだよ」

美空「うん。不味そう」

惣一「それがさ、美味いの」

美空「うそぉ!?」

惣一「いや……まじ。飲んでみ」

美空「う、うん……いやまっずぅ!!」

惣一「やっぱり不味いか。ちっ!」

美空「騙して人体実験してんじゃないし!!!」

惣一「はーい。本編はじまりまーす!」





phase,11 月夜の雨

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ最近ずっと、雨が止まない。

ずっと、ずっとずっと。俺の心には雨が降り続けてる。

 

 

 

雨は、嫌いだ。

俺の心を流すような、そんな雨が嫌いだ。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと思う。いつまでもあのまま暮らしてたいと。

ふと考える。あの平穏を終わらせたくないと。

ふと願う。こんな宿命が、無くなればいいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかってんだけどなぁ……でも、やっぱり嫌だなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

俺に課された運命。俺が背負う十字架。

泣き言は言ってられない。

 

 

 

 

 

 

 

「……長く居過ぎたからかな」

 

 

 

 

 

 

 

全てを投げ出して、実は全部嘘でしたー!とか。

誰にも邪魔されずに。細々とでいいから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付かぬ内に、頬に一粒の涙が滑り落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辛い。苦しい。悲しい。切ない。

 

 

 

 

 

 

 

……誰かに、助けて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けてくれよ、正義のヒーロー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――過去の大事な記憶が無い俺は、この世界が全てだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、この世界も。

……俺の世界じゃない、か。

 

 

 

 

 

 

 

恐らくあの瞬間、死ぬはずだった俺。

そして目覚めた場所は……地獄。

 

 

 

きっと前の世界の行いが悪くて、地獄に落とされたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

じゃなきゃ、こんな運命を課す場所には来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切な人が。出来過ぎてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも。止まれはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息が出来ない感覚になる。

出口の無い水の中で、永遠に溺れているかのような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙がとめどなく溢れる。

家族たちが脳裏を過る。

 

 

 

美空、戦兎、万丈。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつらの最大にして最凶の敵になる日は。

決してもう遠くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……わかってるけど、辛いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一粒の涙が堕ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは俺の、悪の物語――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――おい桐生?聞いているのか?」

 

 

 

 

 

 

 

後ろから聞き慣れた声がする。

あー。メガネサイボーグか。

 

 

 

 

 

 

 

「……聞いてますよん。なんですか?メガッ……ナリさん」

 

 

 

 

 

 

 

このメガネは内海 成彰。

ここ東都先端物質学研究所の所長、氷室 幻徳の秘書。

通称メガネサイボーグだ。

 

 

 

わたしは愛を込めてナリさんと呼んでいる。表向きは。

 

 

 

 

 

 

 

「おい、メガッとはなんだ。完全に蔑称しようとしただろう。」

 

 

 

 

 

 

 

うるさいなーメガネ。

黙ってて欲しいんですけど。

 

 

 

そんなメガネは何やらぎょうさん書類の束を持ってきている。凄まじく嫌な予感がするんですけど。

 

 

 

 

 

 

 

はあ。めんどいけどいいか――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――という訳だ。今日までに終わらせて欲しい」

 

 

 

 

 

 

 

何やら新しくパンドラボックスとかいう未知のエネルギーの解析チームが立ち上がり、わたしは、そこに無理やり組み込まれてるらしい。

 

 

 

で、過去のデータに目を通しカンファレンス用の書類を作れと。

 

 

 

 

 

 

 

知らんし。興味ないわ。

そんな気分じゃないんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あの、無力を痛感したあの日。

大切な弟を連れ戻せなかった、あの夜――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――え?嘘でしょ?万丈が?」

 

 

 

 

 

 

 

目に水溜りを浮かべる美空。ごめんね。

わたしは、何も出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「うん……強くなるために、って」

 

 

 

 

 

 

 

本当ならお姉ちゃんの私がしっかりすべきなのに。

言葉が、感情が定まらない。

 

 

 

……何が天才だよ。

 

 

 

 

 

 

 

「……だ、大丈夫!すぐ帰ってくるよ!だ、だってあいつの帰る場所はここだから……」

 

 

 

 

 

 

 

震えながら言葉を創る美空。強がりな妹。

 

 

 

ごめんね、お姉ちゃんのせいで。

我慢しなくていいから。

 

 

 

 

 

 

 

優しく、優しく美空を抱き締める。

せめて、姉として。このくらいはしないと。

 

 

 

わたしがしっかりしないと。

 

 

 

 

 

 

 

「ば、万丈、嫌になっちゃったのかな……」

 

 

 

 

 

 

 

美空は、嫌われる事を極端に嫌う。

わたしと、少しだけ似てる。

 

 

 

少しだけ似てて、全く違う。

 

 

 

 

 

 

 

美空のはもっと純粋なもの。

 

 

 

 

 

 

 

「そんなはずない。そんなことない。きっと、万丈には万丈の考えがあるんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

交わる道ではないとしても。

見てる方向はきっと一緒だよね、万丈……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美空。今日はお姉ちゃんがご飯つくったげる」

 

 

 

「うん……お姉ちゃんのパスタ……食べたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしようもなく、物語は残酷だ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――はぁーあ。美空の手前ああは言ったけど、結構きついなあ。

 

 

 

 

 

 

 

山の様な書類に目を通す。

見ただけで絶望できる量だ。

 

早く終わらせて美空と美味しいものでも……ん?

 

 

 

 

 

 

 

「パンドラボックスによる人体への影響と臨床試験プロジェクト……責任者、葛城 月乃……」

 

 

 

 

 

 

 

葛城……月乃?

はて?この名前どこかで――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【そんな時に鍋島って人に出会ったの……あの葛城 月乃って人の所に行けば龍我が格闘技に復帰出来るって……】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そーだ。香澄さんが言ってた人だ。

 

 

 

確か万丈が呼び出されて、実際に会ったら既に亡くなってた、って人。

 

 

 

 

 

 

 

でもこの話。なんかひっかかる。

 

 

 

 

まずそもそも香澄さんにこの話をした男、鍋島ってやつは万丈が居た刑務所の看守。

 

で、背後から万丈の事を襲い気を失わせ、ファウストの人体実験場に連れてきた、って事だった。

 

 

 

つまり、この鍋島って男は多かれ少なかれファウストとの繋がりがあったって事になる。

 

そんな男が紹介したこの葛城 月乃って言う人物は……一体何者?

 

 

 

ファウストにとって都合の悪い人物で消されたのか……それともそもそもファウスト側の人間なのか。

 

 

 

 

 

 

 

……調べてみる価値はありそうな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし。なになに?パンドラボックスから発生したガスからは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――月が照らす静寂に暮れる街並。

軋んだ歯車が少しずつ、進んでゆく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま……」

 

 

 

「あ!おかえり戦兎!遅かったね!今日はね、シチュー作ったんだ……し?どしたの?」

 

 

 

「……ごめんね、ちょっと確認しなきゃいけない事あるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしそうならば、わたしは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ちょ、ちょっと戦兎さん!?何やってんの!?」

 

 

 

 

 

 

 

……丁度よかった。

聞きたいこと、あるし。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと!?壁に恨みでもあるの!?な、何してんの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしのこの考えが当たっているのか、確かめないと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――マスター。これ、何?」

 

 

 

 

 

 

 

壁に埋め込まれてた一枚のパネル。

最初はただの飾りだと思ってた。

 

でも、これはそんなもんじゃない。

 

 

 

これが何か、知ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――そうか。真相に、気付いたのか。戦兎」

 

 

 

 

 

 

 

マスターが煙草に火を点けながらわたしを見る。

気付いた、ってどういう事なの……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そいつは、《パンドラパネル》……パンドラボックスの表面にあった6面のパネルの内の1枚だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、知ってる。全部調べた。

わたしがマスターの口から知りたいのはそんな事じゃないんだよ、マスター。

 

 

 

 

 

 

 

「……東都先端物質学研究所の葛城 月乃が遺していたデータ、全部見たの」

 

 

 

 

 

 

 

これだけ言えば、マスターわかるかな。

お願い、わかってよ……

 

 

 

 

 

 

 

「……そうか。月乃のデータを見たのか」

 

 

 

 

 

 

 

マスター、知り合いだったんだ。

もう変な嫉妬はしないよ?あはは……

 

 

 

 

 

 

 

「お父さん……どうしたの?なんか変だよ、戦兎も……」

 

 

 

 

 

 

 

ごめんね、美空。

美空には酷だよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美空、お姉ちゃんさ。マスターと話あるからちょっと表に――」

 

 

 

「いや、美空も聞きなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは、美空にも関わる話なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 








戦兎「あり?今回早いね随分」

美空「いやーなんかねー?」

美空「この前が長かったから今回は短くって言ってたらしーし」

戦兎「え、誰が?なにそれ」

惣一「そりゃあお前あれだよ、天の声のあれだよ」

戦兎「まさかのスッ○リ!?」




美空「つーか万丈どしたんだし。寝てんの?」

惣一「あいつなら修行してるぞ。ほれ、あそこ」

万丈「うおー!!気合!根性!努力!!」

戦兎「うわっ暑苦しっ」

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