Masked Rider EVOL 黒の宙   作:湧者ぽこヒコ

26 / 60




※本編とは関係ございません……多分。
このお話は、美空たちの幸せな日のお話です。





惣一「ほー……クリスマスイブかぁ」

惣一「忘れてたな」

惣一「ほー……あー。なるほど」

惣一「……よし」




phase SPECIAL 聖夜前にはご用心!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行き交う人々は聖夜の前夜祭を楽しむ。

それは2日間だけの夢の日。

 

 

 

この2日間だけは、喧騒を忘れる。

そんな。そんな平和な日常。

 

 

 

 

 

 

 

もちろん彼、彼女らにも平等に訪れる。

そんな、愛に満ち溢れる日――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ごるあぁぁぁぁ!まだだめだし!!!」

 

 

 

「ひぃ!?ごめんなさああい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ……あ!どうも石動 美空です!

うーん。こっちの方がわかりやすいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『みーんなのアイドルぅ♡みーたんだよっ♡』

 

 

 

 

 

 

 

……あ゛ぁっ。うん。忘れて下さい。

 

 

 

今さっきケーキやら何やらをつまみ食いしよーとしてたのは桐生 戦兎。私のお姉ちゃんです。

食欲旺盛な牛……こほん!女の子です♪

 

 

 

 

 

 

 

そんな事はどうでもいいとして、今日はクリスマスイブなんですよねー!

なので皆でパーティをやろうということになりまして。

 

 

 

私が色々と準備をする事になったし!

 

 

 

 

 

 

 

……やべっ。素が出たし。

 

 

 

まあもういいか。疲れたし。

 

 

 

 

 

 

 

という訳で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Masked Rider EVOL 黒の宙】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなのパーティが始まるしっ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ん?今のなに?

 

 

 

何言ってんだ私?疲れてるのかな――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――行き交う人々。幸せそうなカップル。

 

 

 

皆、幸せそうだ。

どこを向いても笑顔に溢れてら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――俺は万丈 龍我。今は北都に居んだ。

 

 

 

 

 

 

 

……まぁ色々あってな。察してくれ。

 

 

 

それにしても歩いてる連中はみんな楽しそうだ。

 

 

 

……そりゃそうだよな。今日はクリスマスイブ。

 

 

 

 

 

 

 

みんなそれぞれ家族や恋人、友人と過ごすんだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ゛ー!羨ましいなーちくしょー!

俺もあいつらと過ごしたかったな。

 

 

 

本当なら……香澄とも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はあぁぁぁ……

マスター、戦兎、美空。何してんだろうなぁ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――よォ万丈?元気してっか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この心の底からいらつく声。

ずっと憎むべき相手。朱の蛇。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何の用だよ……スターク!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺や戦兎、美空そしてマスターの敵。

てめぇ……今ここで俺が――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ちょっと今日は違うんだよ。悪ぃな!』

 

 

 

「おい!?何す……んだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタークが俺の顔の前に手を出し、そこで俺の意識は無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うっし。1人目完了!っと』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ふぅ」

 

 

 

 

 

 

 

膨大な量の書類に目を通し終わり、一息つく。

 

……首相代理というのも楽じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

俺の名は氷室 幻徳。

この国、東都の首相代理という立場の人間だ。

 

 

 

元々、父が首相だったが……

まぁそれはどうでもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし本当に仕事が山積みだ。

 

会議、会見、会食、裏の仕事などなど……

分刻みのスケジュールだ。全く。

 

 

 

まぁ自分がなりたくてなったのだ。

弱音を吐いている場合ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……しかし。世間はクリスマスイブだというのに俺は仕事か。

 

 

 

 

 

 

 

どこかで一杯、酒を引っ掛けたいものだな。

内藤さんが生きていればなぁ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よォ幻徳。暇してそうだな?ん?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこからともなく現れたこの男。

 

 

 

……男なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こいつはブラッドスターク。通称スターク。

俺の裏の方の協力者なのだが……油断ならないやつだ。

 

 

 

 

 

 

 

ここには来るなと言っているのに、全く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は本当に。ここに来るな……と……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタークの掌が現れたと思った時、俺の意識は暗く染まっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はいはい。うるせーな。はい。2人目』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――みーたんだよっ♡ぷんぷんっ♡』

 

 

 

 

 

 

 

はぁぁぁぁ♡みーたん!本当に女神!!

 

なんなんだろうなこの子は。本当に人間なのか。

実は天使じゃないのか。そもそもこんな清純な人間存在してるのか――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あ?あぁ。俺は猿渡 一海だ。

気軽にカズミンって呼んでくれよ。

 

 

 

まぁ今日は非番でな。

特にやる事もねえし、いつものようにみーたんネットを見てるってわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――え?みーたんネットを知らない?

おいおい嘘だろ。みーたんネット知らないのかよ。

 

みーたんネットって言えば北都で……

いや日本で知らないやつはいねえぞ?

 

 

 

みーたんっていう美少女……いや違うな神か。女神だな。美少女神が居てだな。そのお方が配信なさってる動画だ。

 

 

 

いや本当に素晴らしいんだぞ。

何ていうか……心が洗われるっていうかな……♡

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに俺は会員番号0000013番だ。

凄いだろ!?2桁会員だぞ!?古参の中の古参だ!!

 

 

 

いやもう推しなんてレベルじゃないな。

この前もグッズを買ったんだがよ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――というわけだ!!

中々だろ?俺の熱意が伝わったか?

 

 

 

 

 

 

 

わかるか?こういったものはしっかりと心火を燃やして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うるせーやつだなお前は。ほれ』

 

 

 

 

 

 

 

「あ?何すんだコ……ラ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みーたんの事を思いつつ、俺の意識は燃え散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こいつどんだけ美空のファンなんだよ……やばいかなこいつ?……まあ、3人目完了っと。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――クリスマスイブかぁ……私には関係ないか」

 

 

 

 

 

 

 

私の名前は滝川 紗羽。

フリーでジャーナリストをしてるわ。

 

最近はね、東都のヒーロー仮面ライダービルドを密着取材中!

 

 

 

まぁ色々あるんだけどね……そんな話は無し無し。

 

 

 

 

 

 

 

本当は今日、戦兎ちゃんと美空ちゃんにクリスマスイブのパーティにお呼ばれしたんだけど……お仕事、でね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……行きたかったあ!!!

 

可愛い可愛い戦兎ちゃんと美空ちゃん。

 

 

 

そう言えばあともう1人来るらしいけど、誰かしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……はあ。それにしてもあの2人にお呼ばれしたのに……辛い。

 

結構へこむわね……だってね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスといったらサンタじゃない!

サンタコスしかないでしょ!?

 

 

 

こういう時のために、せっかくサンタコス用意してたのにな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……やだ。想像したら鼻血出ちゃったわ。

 

 

 

 

 

 

 

戦兎ちゃんのサンタコス……やだもお♡

強調するお山にきゅっとしたボディライン……♡

 

 

 

美空ちゃんもいいわよね♡

控えめだけど凄いスレンダーだし、美を纏う天使みたい……♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……やだ。涎が。

はーあ。楽しみにしてたのにな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……お前……うん。いいや。ほい』

 

 

 

「え!?何!?ちょ……っと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の意識は、戦兎ちゃんと美空ちゃんのサンタコスを妄想しながら遠のいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……こいつが一番危ないだろ。どう扱えばいいんだこれ。4人目捕獲っと』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――まだかなあ。せんとおねえちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

わたしのなまえはなべしま かなです!

きょうは、せんとおねえちゃんのおうちで、パーティなの!

 

 

 

たのしみだなあ!わくわく!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よォちびっ子。……佳奈ちゃん?』

 

 

 

「うん!かな!……だれ?まっかなへびさん?」

 

 

 

『うん。そうだよ。へびさん』

 

 

 

 

 

 

 

まっかっか!つよそう!

 

 

 

 

 

 

 

かっこいい……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よしよし。いい子いい子。そろそろ行こっか?』

 

 

 

「どこにー?……あれ、ねむ……い……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは、ねちゃった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……幼女誘拐完了。5人目おっけ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――やっと来たか」

 

 

 

『おう。待ってた?葛城のおっさん』

 

 

 

「ほら、早くしろ」

 

 

 

『ほーい。そーれ!』

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よしよし6人目っと』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――やばいいい!どうしよ!美空にばれた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?あー。どもども。

 

 

 

よしよし。う゛ぅんっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしこそは!てぇんさぁい!物理学者の桐生 戦兎様なのだ!

 

 

 

今日はね。クリスマスイブという事でね。

みんなでパーティなのですよお!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言っても美空とわたしと佳奈ちゃんの3人だけどね。

万丈は北都だし、紗羽嬢は仕事らしいし、マスターは帰って来ないし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寂しいな……マスター……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ま!でも女子3人集まれば楽しいし!

 

それに佳奈ちゃんも来るしねー!!

 

 

 

ちなみに鍋島さん夫妻は……デートらしいよ♡

久々の再会だからねえ!楽しんでほしいな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デート……カップル……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちっ!爆発しろ!はぁん!!

鍋島さん夫妻はわかるよ?いいと思うよ?

 

 

 

いやでもさ。いやいや。

正義のヒーローがクリスマスイブに寂しい思いしてんのに世の皆々様はいちゃついてんでしょ?え?

 

 

 

どーせあれでしょ?幸せなんでしょ?

恋人と聖なる夜を……♡とかやっちゃってんでしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発しろ。そして跡形もなく滅びろ。

全て無に帰してしまえ。

 

 

 

わたしが寂しい思いしてんのに。

世間がらぶらぶオーラとか本当にありえないから。

 

 

 

 

 

 

 

どうすっか。今からリア充殲滅計画でも立てるか。

PROJECT立てるか。殲滅の。いや本当に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……」

 

 

 

 

 

 

 

宙を見上げると雪が降ってきた。

ふわふわして、冷たい結晶。

 

 

 

頬に当たるとなんだかちょっとひりっとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスター……何してるのかな。

同じ雪、見てるかな。

 

 

 

そう思うと、少しくしゃっと笑えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よっ。戦兎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懐かしい声だなぁ……ん。

 

 

 

 

 

 

 

んん?んんん!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほれ、行くぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えぇ、ちょっと!なんで!?

え!?帰ってきたの!?

 

 

 

えっえっえっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、時間ねえから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょ、待って何!?

え、マスターいつの間に!?

 

 

 

ちょっと待って言わなきゃいけないことがあああ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おか……えり……マス……ター……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスターの笑顔が見えたと思ったら、意識がゆっくりと沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちらりと見えた空は、平和に満ちた白の宙だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ただいま。戦兎。……うし!7人目っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ふう!あともうちょっとだし!」

 

 

 

 

 

 

 

ケーキは既に完成!

後は七面鳥の焼き具合見ないとな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はあっ!ほんとに!戦兎は料理手伝わないし!

全部私がやらなきゃいけないもんなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……楽しいからいいけどね。ふふふ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、ほんとなら……

お父さんと万丈も一緒に、が良かったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……だめだめ!我慢我慢!

 

それに佳奈ちゃんも来るし!

戦兎曰く、目に入れても痛くないなんてレベルじゃないくらい可愛いくて良い子って言ってたし……楽しみ♡

 

 

 

 

 

 

 

さーて!次は部屋の飾り付けを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よお美空!……元気だったか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え……お父さん!?

嘘でしょ……!?

 

 

 

 

 

 

 

おと……うさん……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……寂しかったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙が溢れる。

ずっとずっと我慢してた思いが込み上げる。

 

 

 

お父さん、私のお父さん。

ずっと居なかった、私たちのお父さん。

 

 

 

 

 

 

 

やっと……帰って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし行くぞ美空!みんなでパーティだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の意識は、幸せに包まれて暖かく消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!全員確保!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――これはクリスマスイブのお話。

 

 

 

 

 

 

 

この先は。聖夜のお話で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― phase SPECIAL Xmas!…… Ciao♪

 

 








聖夜。それは愛が揺らめく日。
聖夜。それは争いを忘れる日。

聖夜。それは、幸せの詰まった日。








「さあ!パーティの始まりだよ!」






「「「「「「「えっ!?」」」」」」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。