Masked Rider EVOL 黒の宙   作:湧者ぽこヒコ

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美空「私が行くし!!」

兵士A「いや、危ないですから」

兵士B「なんとかなるようこちらで……」

美空「人足りないでしょ!?わーたーしがいーくーし!!」

兵士A「ちょ!?美空さん!?」

兵士B「わかりましたから!私たちが着いていきますから!勝手に行かないでくださーい!!」


美空「……ほら!早く行くし!」




兵士A・B (どっかの総隊長にそっくりだ……)





phase,36 傷だらけのしゅわしゅわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……後ろのきみたち。美空連れて逃げて」

 

 

 

 

 

 

 

恐らくこの状況がよく飲み込めてないであろう野兎の兵士2人に命令を送る。

護りながら戦うなんて不可能だ。

 

 

 

相手は3人。それもスマッシュ。

しかも自我を持ってて、あのリーゼントの話を鵜呑みにするなら今までのスマッシュの倍以上強いとか……

 

 

 

 

 

 

 

かんっぺきに崖っぷちだ。

ついさっきあのバカと戦って疲労も残ってるし……やばいな。

 

 

 

 

 

 

 

「……我らも戦います、総隊長」

 

 

 

 

 

 

 

どれだけ危ない事なのか理解出来ていなさそうな兵士が、頼りがいのある言葉を呟く。

 

 

 

でも今の状況じゃ、その判断は間違ってる。

まずこの3人を避難させないと。

 

 

 

 

 

 

 

「相手は多分、わたしと同等かそれ以上に強い……だから、美空を連れて早く避難して!!!」

 

 

 

 

 

 

 

懇願ではない。命令だ。

 

上官から檄を飛ばされた兵は、不満ながらも納得したよう。

……そう。それでいい。

 

 

 

 

 

 

 

わたしだってかなりまずい。

なんとか策を考えなきゃな……

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん……気をつけてね……!!」

 

 

 

 

 

 

 

兵士に連れられる美空が、わたしへの激励を残し去っていく。

……こんな所で死ぬわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

「お別れは済んだみてぇだなぁ!?……そしたら、殺りあおうぜぇ!?」

 

 

 

 

 

 

 

眼前の3人組はもう既に臨戦態勢に入っている。

先程のふざけた空気が嘘のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

……美空たちが避難するまで待っててくれるなんてね。

敵の風上にも置けないやつだ。

 

 

 

 

 

 

 

このぎりぎりの状況で、そんなふざけた事を考えて笑うわたしはきっと。かなり疲れきっているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「派手にぶちかまそうぜぇ!?行くぞぉ!!青羽!!黄羽ぁ!!!」

 

 

 

「悪ぃけどよぉ、倒させて貰うぜぇ?」

 

 

 

「さくーっとおねんねさせてあげるから!安心してねん!」

 

 

 

 

 

 

 

3人が思い思いの戦いの始まりを告げると、自身の左腕に禍々しいボトルを突き刺した。

 

突き刺されたボトルは、まるで元々身体の一部だったかのように肉体に取り込まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。その邪なる力を取り込んだ者は。

自らを異形のモノへと、粛々と変貌させる。

 

 

 

まるで殺戮のためだけに創られたような。

物凄く物騒で、破壊的な存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤羽は敵の侵攻を許さない兵器を搭載した、堅牢な赤の城塞のような。

 

 

 

青羽は対峙する者を真っ二つに切り裂く、刃の権化にも見える青の鍬形虫のような。

 

 

 

黄羽は逃げ惑う標的を逃さず索敵し、闇夜の空を支配する山吹の梟のような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までのスマッシュとは違い、体色がある。

それはまるで、食物連鎖の戦いを生き抜くために進化した生物のよう。

 

 

 

そして共通して、バックル部分には北都のモチーフである福寿草。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさにそれは。

北都の生体兵器である事を告げていた。

 

 

 

 

 

 

 

「んんん!おねーさん!……さくっと終わらせよ?ね?」

 

 

 

 

 

 

 

禍々しい3人の身体からは。

身震いしそうな程の殺気に溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――滾らねえ。火が点かねえ。

 

 

 

 

 

 

 

……心火が、燃えねえよ。

 

 

 

 

 

 

 

……周りは傷付いた民間人だらけ。

兵士や政府の連中はその避難にてんてこ舞いみたいだ。

 

 

 

俺が望む祭りはこんなんじゃねえ。

……戦争なんてもんは、こういうもんだって知ってるけどよ。

 

 

 

 

 

 

 

それでも……想いが震えねえよ。

俺は、何をやってんだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの3バカたちが迷子になって探している道中。

ずっとこの光景を目にする。

 

 

消えてしまった、誰かの名を呼ぶ者。

親が見当たらず、泣き叫ぶ子供。

傷付いた恋人を……抱きしめ、壊れる者。

 

 

 

 

 

 

 

ここは、地獄の一丁目だな。

そう想うと、心に冷たい風が吹いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……だが、北都はもっと悲惨だ。

 

 

 

一瞬で全てが終わらされた。

感情を与えられる暇すらも許されず、消し炭にされた。

 

 

 

 

 

 

 

北都をこれ以上、傷付けさせるわけにはいかねえ。

だから俺は、修羅になる。

 

 

 

……俺の護るべきモノのために。

 

 

 

 

 

 

 

俺は戦争の道具になるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても、軍服なんぞ着なくて本当によかった。

辺り一面東都の軍人だらけだ。

 

 

 

あの服、着心地悪ぃっつうか。

俺じゃない何かを着せられてる感じが凄くて、嫌いだ。

 

 

 

 

 

 

 

……さっさと終わらせねーと。

こんなくそも楽しくねえ祭りなんぞまっぴらだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのためにも早く、あの3バカを見つけねーと。

……本当にどこ行ったんだ?あいつら――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――くっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

城塞の兵器から放たれる波動砲が、わたしに直撃する。

今まで味わった事の無い、痛烈な一撃。

 

 

 

 

 

 

 

「休んでる暇はないぜぇ?おらぁ!」

 

 

 

 

 

 

青い剣士のような昆虫が、背後から切りかかる。

変身していなかったら恐らく、今頃真っ二つだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね、おねーさん?……でもすぐに終わるからさっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

滑空していた黄色の梟が、両腕に纏わせていた球体状の武具でわたしに追撃してくる。

規則性が無く、攻撃が読めない。

 

 

 

 

 

 

 

「か、はあぁぁ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

怒涛の連撃で、わたしの身体は既にボロボロだ。

1人1人の強さも遥かに高いが、何より凄まじい連携の攻撃。

 

 

 

まるで全員が意思疎通しているような。

お互いが何を考え、次に何を行動するのか完全に理解しているような。

 

 

 

 

 

 

 

戦いにおいて一番基本的な事であり、一番難しい事。

それを、平然と完璧にこなしている。

 

 

 

 

 

 

 

「……おいおい!!大したことねぇなぁ!?弱すぎるぜぇ!?おいぃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

あんたらが強過ぎんだよ!!

くそっ。1人1人はともかくとして……3人揃うとばんじょーよりも強いかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はあ。こんなダメージ喰らってる中で使いたくなかったけど……

しゃーなし。やるしかない――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――んんん?なあにそれ?……ジュースの缶?」

 

 

 

 

 

 

 

空をうざったく飛んでいた梟が地へと舞い戻り、反応する。

わたしの、新作の子に。

 

 

 

 

 

 

 

「なんだぁ!?……もしかして疲れて水分補給ってやつか?お?」

 

 

 

 

 

 

……バカは黙っててもらっていいですかね。

 

 

 

 

 

 

 

「……もしかしてあれかぁ?花火みたいな感じのやつかぁ?目くらましかぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

……違います。

なんでそういう風に感じ取れるんだ。

 

さてはやっぱりこの青いのもバカだな。

 

 

 

 

 

 

 

……黄色の女もちょっとバカっぽいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ……開けてみてからのお楽しみだよ!」

 

 

 

 

 

 

缶状のこの子を振ると、辺りにしゅわしゅわっと小気味のよい音が鳴り響く。

 

 

 

更に。搭載されているプルタブ型のスイッチを押すと、炭酸が弾ける清々しい音を奏でる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉい!?そんなに振ったら中身が――」

 

 

 

「しゅわしゅわっと行くからさ?……弾け過ぎないように気をつけてよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

正式名称《ラビットタンクスパークリング》。

通称ビルド缶の超強炭酸、存分に召し上がれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ラビットタンク スパークリング!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Are you Ready?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喉越し爽快!ビルドアップ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【シュワっと弾ける!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ラビットタンクスパークリング!!】

 

 

 

 

 

 

 

【yeah!!yeah!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしの周りに、炭酸の泡が踊り出す。

その姿は弾ける炭酸の刺激のよう。

 

 

 

身体中がトゲトゲしくギザギザしく。

刺激の強めな、わたしの新しい力だ。

 

 

 

 

 

 

 

わたしの愛飲しているレモンスカッシュからヒントを得たこの子。

その強さは爽快なんてもんじゃない!!

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい……まさかそうなるとはねぇ」

 

 

 

「んんん!なんか強そうだあ!!」

 

 

 

「騙しやがったなぁ?……おぉい!!」

 

 

 

 

 

 

 

勝手に勘違いしたのあんたらでしょ。

……バカに付き合ってる暇は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ。実験を始めよう……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程とは比べ物にならない速さで迫る、炭酸の戦士。

物凄い速度で懐に詰められた城塞の赤に、弾けるような鉄拳を脇腹に撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

「おぉう!?」

 

 

 

 

 

 

 

そのまま城塞の怪物に、強烈な回し蹴りをお見舞いしふっ飛ばした後、標的を青の剣士へと変える。

 

 

 

 

 

 

 

「がはっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

反応が出来なかった鍬形の怪物は、そのまま顔面に爆ぜるような蹴りを与えられ、城塞の怪物の元へと飛ばされた。

 

まるで仲間をクッション代わりにするように。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと!?やだあ!!来ないでよお!!」

 

 

 

 

 

 

 

仲間を2人共圧倒された黄色の梟は、天に逃げようとするが。

 

時すでに遅し。

飛びかけた梟は、背中に痛烈な蹴りを喰らい地面に叩き落とされた。

 

 

 

先程までとは形勢逆転。

圧倒していた3人組は、弾ける戦士によって地に伏せられてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ……刺激が強過ぎたかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――よし。いける。

 

 

 

身体はかなりきついけど、このまますぐに終わらせればなんとかなりそう。

やっぱり強いなあ……この子は♡

 

 

 

 

 

 

 

「……ちっ。舐めんじゃ……ねぇぞ、こらぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

先程まで倒れていた赤い城が動き出す。

まるで陥落を許さない要塞のように。

 

 

 

 

 

 

 

「多少痛ぇけどなぁ……?俺らはこんなもんじゃ……ねぇ、ぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

起き上がり首を鳴らす鍬形虫。

その言葉に、虚勢は感じられない。

 

 

 

 

 

 

 

「……あたし帰りたい。やだ痛いの。もおやだあああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんだろう。この子にだけ親近感が湧くんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

「ちったぁ我慢しろよう黄羽ぁ?……アレ、いくぞ」

 

 

 

「……これ終わったら帰る。カシラ連れて帰るから」

 

 

 

 

 

 

 

そう言うと、3人組はわたしの周りをトライアングル状に囲んでいた。

獲物を逃さずに、今すぐ刈り取るように。

 

 

 

 

 

 

 

「悪ぃなぁ、おぉい?……これでしまいだぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

そう赤い城が吠えると、3人組は球体状のエネルギーへと姿を変え、わたしに襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

 

 

回避しようとしても、先程までとは比べ物にならない攻撃が死角から襲ってくる。

 

既に万丈との戦いで激しく傷付いていたわたしには、反応する事が出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

「うっ……あああぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

降り注ぐ果てしない攻撃の雨。

戦いの前から既にボロボロだったわたしには、致命的な攻撃だった。

 

 

 

 

 

 

 

「これで終わりだあああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

そう梟が叫ぶと、3人が同時にわたしに襲いかかり、わたしは身体を地に打ち付けながら飛ばされ、地に伏した。

 

変身も強制解除され、ビルドではなく、ただの桐生 戦兎に戻ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう満身創痍。身体を起こす事すら辛い。

 

 

 

 

 

 

 

……やばい。

もう、だめかもこれ……

 

 

 

 

 

 

 

「悪ぃな。俺らも止まってる暇は無いんだよい」

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか球体状のモノから元の鍬形に戻っていた剣士。

よく見れば他の2人も戻っている。

 

 

 

 

 

 

 

だめだ。意識も朦朧としてる……

どうしよ……このままじゃ殺されちゃう……

 

 

 

 

 

 

 

まだ殺されるわけにはいかないのに……

 

 

 

 

 

 

 

「……ねえ。もおよくない?おねーさんボロボロだし、あたしたちももう――」

 

 

 

 

 

 

 

「お。やっと見つけたぞ、おめえら」

 

 

 

 

 

 

 

意識が暗闇に落ちようとしている中、ある声が聞こえた。

戦場には似つかわしくない、ファーのついたコートを着た男。

 

 

 

 

 

 

 

「え!?……カシラぁ!!どこ行ってたんですかあ!?探しましたよぉう!!!」

 

 

 

「ったくぅ……カシラは本当に俺らが着いてないとだめなんですから」

 

 

 

「探したよカシラ!!もう帰ろ!!ボロボロだよもう!」

 

 

 

 

 

 

 

ついさっきまでわたしを嬲っていた3人組の雰囲気が、暖かいモノへと変わる。

まるで大切な何かをやっと発見できたような、そんな風に。

 

 

 

 

 

 

 

「おめえらが勝手にどこか行ったんだろうが……ん?そこに倒れてる女……なんだ一体?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭と呼ばれている男がわたしに、一瞥をくれた所を確認出来た所で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしの視界は暗くなり、深い深淵へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 

 

 







黄羽「あちゃー……おねーさん、気失っちゃったよ」

青羽「あー……やり過ぎたかねぇ?」



一海「お、お前らまさか……こんな女の子を……」

赤羽「ちげえってカシラぁ!?これにはわけが――」

一海「言い訳なんぞ聞くかコラぁ!!てめえら!正座!!」

青羽「いや、本当にこれには――」

一海「うるせえ!!!早くしろ!!」

黄羽「や、や、や!あのねカシラ?このおねーさんは――」

一海「それになぁ!てめえがそんな事するやつだとは思わなかったぞ!?」

黄羽「え……?」

黄羽「だって……だって……」


黄羽「ふぇ……ふぇ……」




黄羽「えぇーん!!!カシラのばかぁ!!うわーん!!!」


一海「ちょ、お前泣くなよ!?お前が悪ぃんだろうが!」

赤羽「あーあ。カシラ泣かしちゃったぜぇ、おぉい」

青羽「……こりゃ当分泣き止まねぇなぁ」






一海「わかった!わかったから!!泣くなって!」

黄羽「うえぇーん!!カシラのばか!あほ!おたんこなす!!うわぁーん!!!」


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