Masked Rider EVOL 黒の宙   作:湧者ぽこヒコ

41 / 60




紗羽「あら?私に用なんて珍しいですこと」

惣一「おう。ちょっと、な」

紗羽「?……なぁに、一体」

惣一「実はな……」




紗羽「これを飲めばいいの?」

惣一「おう。新作の《nascitaで死ナシタ》」

惣一「めっちゃ美味いから!ほら!ぐぐっと!」

紗羽「なんかやだ物騒……それじゃ、頂きます」



戦兎・美空「「飲んじゃだめえええ!!」」


紗羽「え?……ごくん」



紗羽「……あっ」



紗羽「いし……き、が……」




惣一「うーん。やっぱりだめか」

戦兎「マスター……あんたそれ兵器だから」

美空「本当だし!大量破壊兵器だよ」

惣一「……北都に落ちたやつとどっちがやばい?」



戦兎・美空「「それ笑えねえからやめろ」」





phase,37 非情な古参

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……ん……」

 

 

 

 

 

 

 

酷く傷付いた身体に追い討ちをかけられ、意識を落としていたわたしが目を覚ますと、先程の戦いの場が視界に広がっていた。

 

 

 

戦闘の影響で、辺りは瓦礫の山であったり、壊された物で散乱している。

 

 

 

 

 

 

 

多分、ほんの少ししか気を失ってはいないと思うけど……

 

 

 

 

……なぜ?なぜだ?

 

 

 

 

 

 

 

なぜわたしは、トドメを刺されなかった……?

というか、この状況は一体――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、起きたか。……悪かったな、うちの連中がはしゃいじまったみたいでよ」

 

 

 

 

 

 

 

話しかけてきたのは、さっき意識を失う前に目に映っていた見慣れない……恐らく初対面であろうこの男。

 

 

 

あの3人組に、カシラと呼ばれていた男。

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ大丈夫そうだな……おい!帰んぞお前ら」

 

 

 

 

 

 

 

その呼びかけで、男の近くにいた3人組が反応する。

あのスマッシュだった3人組が、主に従う忠実なる臣下、のようにも見える。

 

 

 

 

 

 

 

「……お前らな。いくら兵士相手でも女にこんな事するんじゃ――」

 

 

 

「待って!!!」

 

 

 

 

 

 

 

わたしの放った轟音によって、この謎の男とわたしをボロボロにした3人組が視線をこちらに移す。

 

 

 

謎の男の目は、とても冷たく感じられる。

 

 

 

 

 

 

 

「あんた……カシラ、とか呼ばれてるみたいだけど……何者?」

 

 

 

 

 

 

 

この3人組は確か、首相官邸を襲おうとしていたはず。

その連中からカシラだとか呼ばれてるんだから、間違いなくこいつらのリーダー格。

 

という事は間違いなく北風の兵士。

 

 

 

 

 

 

 

しかもこの3人組はあろう事かスマッシュだ。

もしかしたらこいつも自我を持つスマッシュ……?

 

 

 

 

 

 

 

「名前を聞く時はまず自分から、だろ?……まぁいいけどな。俺は猿渡 一海だ」

 

 

 

 

 

 

 

猿渡、一海。

 

……聞いた事は無いと思うけど。

 

 

 

だけど名前を聞きたいわけじゃない。

あんたの持つその肩書きが知りたいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「わたしは桐生 戦兎。……野兎 総隊長であり、仮面ライダービルド」

 

 

 

 

 

 

 

わたしの名前を聞いたこの猿渡、って男が微かに反応した気がした。

まるで探していたモノを見つけ、喜んでいるような。

 

 

 

 

 

 

 

「……そうか。お前が桐生 戦兎、か。なるほどなぁ……ふーん……」

 

 

 

 

 

 

 

値踏みをするかのように視線を刺してくる猿渡。

あの青羽とかいうやつとはまた違う、ぞっとする目。

 

 

 

 

 

 

 

「だから言ったじゃんカシラぁ!しょーがなかったんだってえ!!」

 

 

 

 

 

 

 

はしゃいでるようにも見える女……もとい女の子の言葉に疑問が浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

 

言ったじゃん、とは何……?

どういう事なんだろうか。状況が理解出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな。そういう事か……おい女!俺は北風の第1師団 団長だ。……また今度、会おうぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

万丈と同じ、北風の団長……

やっぱりそのクラスの男だったか。

 

しかもスマッシュを引き連れてるって事は、連中と同じでこいつも――

 

 

 

 

 

 

 

「あんたもそいつらと同じスマッシュ、ってわけ?」

 

 

 

 

 

 

 

自我を持つスマッシュ。

3人だけでもめちゃ厄介なのに。

 

 

 

これは本当にもっと早く真犯人を見つけださないと……

 

 

 

 

 

 

 

「……俺はスマッシュじゃねえよ。だけどな、こいつらよりも強い」

 

 

 

 

 

 

 

冷ややかな笑を浮かべながらわたしを見る猿渡。

睨む、というよりも観察しているように思える。

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん……随分自信満々だね」

 

 

 

 

 

 

 

余裕に満ちたこの男の表情。

きっと何か隠し持っているはず。

 

 

 

 

 

 

 

まさか、もしかして仮面ライダー……?

 

 

 

 

 

 

 

 

……いや。こいつが仮面ライダーじゃなかったとしても、しゅわしゅわモードのビルドでやっと立ち回れる程に強力なスマッシュが3体。

 

 

 

 

 

 

 

「それと……もしかして首相官邸を襲うつもり?」

 

 

 

 

 

 

 

現在、東都の被害の全てを管理しているあそこに行かせるわけにいかない。

 

 

 

 

 

 

……だからと言ってわたしももう、限界振り切っちゃってはいるけど。

 

だけど、このままみすみす見逃すわけにはいかないから。

 

 

 

 

 

 

 

「あー……どうすっかな。そうしてもいいんだけどよー……」

 

 

 

 

 

 

 

冷たい笑を浮かべ続ける男。

その口調には冷酷な意思を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

「もし行くってんなら……わたしがここで止める」

 

 

 

 

 

 

 

もうぼろぼろだし、変身して身体が持つかどうかも怪しいけど。

わたしたちの希望の砦を壊されるわけにはいかない。

 

 

 

……死んでも止めてやる。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ……くくく……はっはははは!!」

 

 

 

 

 

 

 

突如大声で笑い始める猿渡に、わたしの脳が理解に苦しむ。

 

 

 

……こいつも……バカ、なのか。

 

 

 

 

 

 

 

「な、なに!?何がおかし――」

 

 

 

「そんなボロボロで何が出来んだよ」

 

 

 

 

 

 

 

今の爆笑や、先程の笑の時の表情が嘘のように。

凍りついたような顔で、わたしに視線を突き刺してくる。

 

 

 

 

 

 

 

「ただの犬死なんて愚か者のする事だ……今、ボロ雑巾みてえなお前に何が出来る?」

 

 

 

 

 

 

 

……言葉も無い。

 

 

 

先程まで気を失ってた今のわたしには、何かを護れる力は無いに等しい。

この男の言う通りだ。

 

 

 

 

 

 

 

……でも。だからと言って退くわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

「いくら全身ボロボロでも……この国を壊されるわけにはいかない!!」

 

 

 

 

 

 

 

場にわたしの声が震える。

北都軍の兵士4人と、東都の兵士のわたし1人しかいない、この場に。

 

 

 

 

 

 

 

「よく言うぜ……最初に喧嘩売ってきたのはてめえらだろうが」

 

 

 

 

 

 

 

猿渡の言葉に怒りがこもる。

 

その目にも、顔にも、気迫にも。

修羅の如き憤怒の相が伺えた。

 

 

 

 

 

 

 

「……それは違う!わたしたちは、東都はそんなことはやってない!!」

 

 

 

 

 

 

 

考えられない程の痛みが、悲しみが、恨みが。

今も尚、北都で渦巻き続けてるのはわかる。

 

 

 

 

 

 

 

……でも、それを引き起こしたのは東都じゃない。

だからこそ早く、こんな事は止めなきゃいけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「……言い訳はたくさんだ」

 

 

 

「言い訳じゃない!!本当に――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らが何と言おうと、俺らにも護るべきモノがある。護りたいモノがある……だから、俺らも退くわけにはいかねえ」

 

 

 

 

 

 

 

……やっぱり。大変な勘違いが巻き起こってる。

 

 

 

 

 

 

 

早く、早く早く早くこの誤解を解かないと――

 

 

 

 

 

 

 

「だから、戦うんだ。自分自身のモノのために。……他がどうなっても、な」

 

 

 

 

 

 

 

……なんでだろう。

 

 

 

 

 

 

 

こんな時に、こんな状況なのに。

1つの考えが脳を彷徨う。

 

 

 

 

 

 

 

こいつは、万丈に少し似ている気がする。

考え方、というか。想い、というか。

 

 

 

……でも、それは間違ってる。

 

 

 

 

 

 

 

「……だからと言って関係の無い人を巻き込んで、傷付けるなんて絶対に許されない……わたしは絶対そんなこと認めない」

 

 

 

 

 

 

 

静かに対峙するわたしと猿渡。

……きっと相容れない、2人。

 

 

 

 

 

 

 

「甘いな……甘々だよ。戦争ってもんはそんなに甘くねえ。……てめえの大切なモンを本当に護りたかったらな、そんな事気にしてる余裕なんてねえんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

……まただ。

 

 

 

 

 

 

 

また1つ、脳を過る。

 

 

 

 

 

 

こいつは、この東都を侵略国家へと変貌させようとしていた、あの男にも似ている気がする。

 

 

 

 

 

 

 

東都の大罪人にして漆黒の蝙蝠、氷室……幻徳。

 

 

 

 

 

 

 

「犠牲無くして護りたい……そんなおとぎ話はな、この世の中に存在しないんだ。……甘ちゃんはとっとと帰れ」

 

 

 

 

 

 

 

そして、多分こいつは。

美空が救ってくれた前の、あの日のわたしに似ている。

 

 

 

 

 

 

 

「わたしは……おとぎ話だろうがなんだろうが、絶対に諦めない。綺麗事だろうが、夢見勝ちだろうが関係無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それを真正面から突き進んでいく。それが正義のヒーローで……仮面ライダーだ」

 

 

 

 

 

 

 

わたしはもう、絶対に間違えない。

間違えたら多くの笑顔と希望が消え去ってしまう。

 

 

 

わたしは仮面ライダービルド。

この国の平和そのものなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

だから、諦めてやるわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ、いい。……首相官邸とやらも襲わねーよ。こいつらもお前との遊びでフラフラだしな」

 

 

 

 

 

 

 

信じていいかわかんないけど、とりあえず助かった……

わたしもこんな状態だったし……

 

 

 

 

 

 

 

「お前もボロボロだしな……また今度、だ。お前との祭りを楽しみにしてるぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

否応無く問いかける言葉。

 

それは、再会の証。

それは、戦いへの証。

 

 

 

 

 

 

 

「俺はさっき言ったみたいにスマッシュじゃ、ねえ。でも、普通の兵士とも違う……俺はな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「北都最強の男、仮面ライダーグリスだ。……心火を燃やして待ってるぜ?……仮面ライダービルド」

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダー……グリス。

 

北都の2人目の仮面ライダー。

謎に包まれた、仮面ライダー。

 

 

 

 

 

 

 

……まさかとは思ったけど。

一日で2つのさいっあくに出会うなんてね。

 

 

 

 

 

 

 

「お前を倒すのはこの俺だ。……あのエビフライ頭には悪ぃけどな」

 

 

 

 

 

 

 

誰かの事をエビフライ頭と言った猿渡の表情が、少し和らぐ。

きっとそのエビフライってやつが、相当面白いやつだからなのだろうか。

 

 

 

それとも。心が安らぐ相手なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「退かない、って言うならわたしも退かない。絶対にあんたたちに――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねぇぇちゃあああん!!助けにきたよおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

 

わたしの声を遮った馴染みの深い声がした方に視線を移すと、こちらに向かってくる車の助手席の窓から、美空が顔を出し、手を振っていた。

 

その車には美空の他にも、先程の兵士やこの場には居なかった兵士も乗り込んでいて、もしかしたら美空が連れて来たのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

そして美空を乗せたその車はわたしの後方へと停り、場を乱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん早く乗って!!泰山さんにも連絡いれたし、逃げるよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

きっと急いで色々やってくれたのであろう。

その様子が、顔や身体から滲み出ている。

 

 

 

 

 

 

 

「さっすが美空たん!!……というわけだから。また、ね」

 

 

 

 

 

 

 

車に乗り込みながらもう1人の仮面ライダー、そしてあの三馬鹿を一瞥すると、なぜかあの非情な男、猿渡の顔色が先程までとはうってかわっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……みー……お?おぉう……」

 

 

 

 

 

 

 

なんだ。こいつにもなんかあるのか。

もしかしてこいつも三馬鹿と同じ感じなのか。

 

 

 

 

 

 

 

猿渡の呆けた、まるで万丈みたいなバカ面を見たわたしはそんな事を感じて。

 

 

 

 

 

 

 

北都の戦力をその身で改めて思い知りながら、連中を残したまま。美空たちと帰路へと着いた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――カシラ?おいカシラぁ?……どうしたんだぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

あれは……

あの、助手席に居た、あの女の子は……

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとカシラぁ!?どうしたんすかぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

ま、ままま、まままま間違いないはず。

 

 

 

あの顔、あの髪色、あの髪型。

声はなんだかいつもとちょっと違ったけど、間違いない。俺が間違えるはずがない!!!

 

 

 

 

 

 

 

「んんん。やっぱりあの子、どっかで見た事あるよーな気がするんだよなあ。あたし……」

 

 

 

 

 

 

 

いや、でもなぜ?なぜあの仮面ライダービルドと?

しかもお姉ちゃんって呼んでなかったか?

 

 

 

……お姉様が居るなんて初耳なんだが。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり見間違えたのか……人違いだったのか……

そうだよなぁ。まさかこんな場所に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……俺の脳がフル回転する。

心火を燃やし、俺の推しパワーが発動する。

 

 

 

何億回……いや何兆回繰り返し見たのであろう、あのお人が……俺の想いを滾らせる……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【みーんなのアイドルぅ!みーたんだよぉ♡ぷんぷんっ♡】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ま、まままま、ままままま……

ま、間違いない。あの顔、どこか違う気もするけどやっぱりあの声……

 

 

 

 

 

 

 

俺の心のオアシス。

俺の全てを癒してくれる美少女。

俺の悪い部分を優しく包む天使。

俺が落ち込んでいる時に微笑む女神。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉい……カシラぁー……?」

 

 

 

 

 

 

 

そうだ、間違えるはずがない……

 

推しの女性を!!

あの全知全能の美少女神を!!!

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃあ?どうしちまったかねぇ。……カシ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのお方はみー!たん!だあああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉう……?」

 

 

 

「えぇぇ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんん!!そうだあ!みーたんだよあの子!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 

 








【みーんなのアイドルぅ!みーたんだよぉ♡】



一海「ふへへ……♡みーたん……♡」

万丈「何見てんだお前……気持ち悪ぃな……」

一海「あ゛?……お前も見てみろ、ほら」

万丈「今忙しいんだよ!ったく暇なやつは羨ましいぜ全く……」

一海「けっ!……みーたん……♡」




美空「へくちっ!」

戦兎「どしたの?風邪ひいた?」

美空「いやなんか寒気が……」

戦兎「だいじょぶ?なんか暖かいの飲む?」

美空「いや、大丈夫……なんかキモい事されてる気がするだけ」

戦兎「なにそれ?へんなの」

美空「……悪寒が」




一海「ほわあああ♡みーたん……♡」


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。