Masked Rider EVOL 黒の宙   作:湧者ぽこヒコ

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黄羽『……んんん?』

黄羽『ここどこだろ?』

黄羽『あたし……あれ?戦兎ねえは?』

黄羽『んんん?夢?』




香澄『あらあらまあまあ』

香澄『確か龍我の所の……』

香澄『黄羽ちゃんだったかしら?』





黄羽『なんか居心地のいいとこだあ』

香澄『ほら!何してるの!』

黄羽『んんん?あんただーれー?』

香澄『いーから!ほら!早く戻りなさい!』

黄羽『いたっ!あたたた!け、蹴らないでー!!」

香澄『ふふふ。まだ早いわよ』







黄羽「ん……ん?」




phase,42 敵なんですけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……貴方ですか」

 

 

 

 

 

 

 

もうカシラたちとバイバイなんだな、と悟った時。

あたしの真上におぞましく輝くナイフは。

 

 

 

その勢いであたしの肉体に抉りこむことは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

……状況が飲み込めない。

 

見た事ある気がする男の人が入ってきて、あたしに死ねって言って、おっきいナイフがあたしの上にいて……

 

 

 

それであたしはみんなに会いたかったな、もっとお喋りしたり、お出かけしたりしたかったなとか考えて。

 

 

 

……もう死ぬんだな、ってわかっちゃって。

 

 

 

 

 

 

 

なんであたしは生きてるの……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やたらと物騒なモン持ってんじゃねェかよ?』

 

 

 

 

 

 

 

低くて恐ろしくて、まるで地獄から聞こえてくるような声が聞こえる。

多分、あたしは聞いた事が無い声。

 

 

 

 

 

 

 

誰……?

あたしを助けに来てくれたの……?

 

 

 

 

 

 

 

『俺も混ぜてくれよ、な?いいだろ?』

 

 

 

 

 

 

 

……あ、だめだ。この人もあたしを殺す気だ。

 

 

 

 

 

 

 

涙でぼやけてた視界が徐々に鮮やかなモノへと変わってきて、多分あたしを殺すのを手伝いに来た正体がわかってくる。

 

 

 

 

 

 

 

蛇……?

 

 

 

真っ赤な、まるで血で染められたような蛇。

見た感じカシラや戦兎ねえの仮面ライダーに似てるような気もするけど……

 

 

 

 

 

 

 

でもこの人?からはなんだか、物凄く恐ろしい感じがする。

それと同時にちょっとあのお姉ちゃんみたいな感じもするような……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……手伝いなら不要ですよ。僕1人で充分です」

 

 

 

 

 

 

 

そんな事考えてる場合じゃなかった。

今のこの感じ。2人ともあたしの命を狙ってる。

 

 

 

誰かが助けにきてくれたと思ったのに……

 

 

 

 

 

 

 

誰が助けてえぇぇぇ!!!

変な男と変な蛇に殺されるうぅぅぅ!!!

 

やっぱり死にたくないよおぉぉぉ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だれか、たすけ、て……」

 

 

 

 

 

 

 

少しずつ声は出せるようになったきたけど、大きな声はやっぱり出せない。

悲鳴を出して誰かに気付いてほしいけど、か細い声しか出ない。

 

 

 

 

 

 

 

カシラ……赤羽、青羽……

 

 

戦兎ねえ……みーたん……

 

 

 

 

 

 

 

誰かぁ、正義のヒーロー……

あたしを……助けて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おいおい。仲間外れは泣いちゃうぜ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣きたいのはあたしの方なんですけどおおお!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだ……まだ生きたいよ……」

 

 

 

 

 

 

 

あたしは怪物だけど……

やっぱりまだ、死にたくないよぉ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度諦めた命。

でも生きてたって事がわかって、やっぱり縋りついてしまう。

 

 

 

希望を、求めてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すまない、本当に」

 

 

 

 

 

 

 

改めてそのナイフがあたしの命を刈り取ろうとした時、あたしはもう一度死の恐怖に襲われた。

 

 

 

1回死んだと思って、でも生きてて、もう一度殺される。

 

 

 

 

 

 

 

あたしは2回目の死を受け入れられる程、強くはないみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やだぁ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死を拒んだ時、よく分からない光景があたしの視界に広がっていた。

 

 

 

命を奪うナイフを振り上げていた男。

手伝いに来たのであろう変な蛇。

 

 

 

 

 

 

 

多分、あの蛇はあの男の仲間のはずなのに――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――何の真似ですか、スターク様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタークと呼ばれた謎の蛇は、あたしの肉体に入り込む寸前のナイフの刀身を握りしめていた。

 

 

 

それはまるで、あたしの事を護るかのように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

「何して、るの……?」

 

 

 

 

 

 

 

このあまりに理解し難い状況に、蛇の神経を疑ってしまうような言葉が口から出てしまう。

あたしの頭はクエスチョンマークで溢れてる。

 

 

 

 

 

 

 

この蛇はこの男の仲間なはずじゃ?

あたしを殺そうとしているはずじゃ……?

 

 

 

 

 

 

 

だってさっき、俺も混ぜろ、って……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あんまはしゃぐなよ。なァ?』

 

 

 

 

 

 

 

まるで狂った嗤いのように吐き出す蛇に、あたしは更に訳が分からなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

あたしは一体どうなるの!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……仰っている意味が、よくわかりませんが」

 

 

 

 

 

 

 

んんん!あたしが一番よくわかんないよ!!

 

あたしは殺されるの!?

それとも助けてもらえるの!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わかんねェ?……ハッハッハァ!!そうかそうか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『舐めた事ぬかしてんじゃねえぞ、小僧』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇の口調が急に恐ろしく、怒りに満ち満ちたように感じた。

それはこの場の空間全てを支配するような。

 

 

 

恐怖で支配されていくような。

 

 

 

 

 

 

 

多分、きっと助けて?もらったのであろうあたしですら、怯え震えてしまう。

 

 

 

あたしの命を消し去ろうとする刃が砕ける程に握りしめている、この命の恩人であろう蛇が。

 

 

 

 

 

 

 

永遠とも思える闇の底で、怪しく微笑むかのように感じてしまう人でない何かが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐ろしいまでの絶望と感じてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スターク様、貴方は――」

 

 

 

『勝手にふざけた事をやりたい放題しやがって。俺の事を舐め腐ってんのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喧嘩……?

やっぱりこの人たちは仲間じゃないの……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺は全てのゲームメーカーだ。このあらゆる全てを支配し進めるモノだ。勝手に乱す事など絶対に許さん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム……メーカー?

何を言っているんだろ……?

 

 

 

この蛇は何を……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何度言っても聞かない連中ばかり……俺もそろそろ我慢の限界だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度言っても?

聞かない連中?

我慢の限界?

 

 

 

一体あたしは何に巻き込まれてるの……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前ら全員、嬲り殺すぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひっ……」

 

 

 

 

 

 

 

空間全てを貫くような。

その蛇から噴き出す絶望的な殺意があたしに襲い、つい恐怖に怯えたような声が出てしまう。

 

 

 

きっとあたしにむけられたモノではない殺意。

きっとあたしに死を運ぼうとしたこの男に向けた殺意。

 

 

 

 

 

 

 

その圧倒的で支配的な殺意が、恐ろしくて仕方ない。

寒いわけでは無いのに、身体が震えるのを止めてくれない。

 

 

 

 

 

 

 

怖いよ……カシラぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……申し訳ありません、スターク様」

 

 

 

 

 

 

 

こんなにも怯え震えるような殺意を向けられているはずなのにも関わらず、この冷たい顔をした男からはどこか、安らぎすら感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

まるで、あたしを殺すのを止めてもらって感謝しているような。

この男からはそんな風に感じ取れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わかれば今回だけは許してやる……今回だけは、だ。次は絶対に無い。絶対に、だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この言葉も恐らく、あたしが言われたモノではないと思う。

でもなんだかあたしが言われているような気がして、恐怖で包まれてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

あたしの命を奪おうとしたこの冷たい男より。

あたしの命を救ってくれたこの鮮血の蛇の方が、圧倒的に怖い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶望的に、命の危険を感じてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます、スターク様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当に、助かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この凍りついたような男は、どこか安堵しているように見える。

 

 

 

それは自分が見逃してもらえたからなのかもしれない。

でもその顔は、凄く安らかなように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……あの婆にも今の事を伝えておけ。それと。後でわざわざ出向いてやるから待っていろ、ともな』

 

 

 

 

 

 

 

「畏まりました。間違いの無いように、確かに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を場に遺して、あたしを葬ろうとしていた男はどこかに行ってしまった。

 

あたしの命を攫おうとした、あのナイフを持って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……よォ、お嬢さん?悪ぃな、怖かったかァ?ん?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしが身を委ねているベットの横にポツンと存在する椅子に腰掛けたこの蛇からは、先程の殺気の塊のような。絶望を形にしたような。

 

そんな風に、全身で恐怖を覚えたモノには見えない。

 

 

 

 

 

 

 

今の蛇からは何というか。

 

まるで子供に話しかける優しい人のような。

でも内の狂気が隠しきれないような。

 

 

 

 

 

 

 

上手く言えないけど1つだけ言えるのは、今の蛇から命の危険を感じる事は無いって事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ったく……散々だったなァ、お嬢さんもよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで世間話のように普通に語りかけるこの蛇から、違和感を感じるのはきっと、間違いじゃない。

 

 

 

そんな風に感じるあたしはきっと異常じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

でも……でもあたしは……

多分、もしかしてきっとだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて、くれて……あり、がと……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ん?……あァ、気にすんな。つーか痛かったろ、おい?……まァゆっくり休めよ、な?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助かったあ!!!

あたし、あたし生きてるよ!!!!

 

 

 

死んでない、またみんなに会える!!

赤羽や青羽にも、猿渡ファームのみんなにも!!

 

それに戦兎ねえやみーたんにも!!!

またいっぱいお喋りして、お出かけとかも……

 

 

 

 

 

 

 

それに……カシラともまた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ……ふぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

安心しきって、目が熱くなる。

身体中が痛いからなのかもしれない。

 

 

 

でも。多分きっと。

生きてまた大好きなみんなに会えるんだ、っていう希望があたしを包んだからだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お、おい!?泣くなよぉ!?大丈夫だって。お嬢さんのお仲間が帰ってくるまでは一応ここに居るからよ?な?だから安心しろって』

 

 

 

『それにこんなとこ誰かに見られたら泣いちゃうぜ、俺も?』

 

 

 

 

 

 

 

あたふたする蛇……スタークさんがなんだか面白くて、泣きながら笑ってしまう。

 

 

 

さっきのスタークさんとは大違いで。

 

まるで泣き出した娘をどうしたらいいのかわからないような感じで。

そんなスタークさんが、ちょっと可愛く思えちゃう。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ……本当に、ありが、と!スタークさん……!」

 

 

 

 

 

 

 

この真っ赤な蛇さんはちょっと怖い所もあるけど。

でも、あたしの命の恩人。

 

 

 

この人は……男の人なのかな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハッハッハ!まさかこの姿でお礼を言われるたぁな……それにスタークさんてよ!ハッハッハ!』

 

 

 

 

 

 

 

スタークさんは何が面白いのか、爆笑中。

でもその笑いも、さっきみたいな邪悪には感じなかった。

 

 

 

優しい人なのかな?ほんとは。

さっきはちょっと怖かったけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、いえば、カシラたち……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の身の危険が過ぎ去って、やっと周りの人たちへの事に思考が回る。

つい口に出てしまったのは、寂しいからかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

というかさ。ほんとーに!!

 

カシラや、赤羽や青羽は!?

あたしがこんな状態なのに!!

なにしてんのあの人たちは!!!

 

 

 

付き添ってくれてもいーのに……

薄情な人たちだよ!全く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『頭?……あァ。あいつらか』

 

 

 

 

 

 

 

ずーっと笑いっぱなしだったスタークさんは、何かを思い出したようにぽろぽろと呟き始めた。

 

 

 

スタークさんはカシラたちの事も知っているのだろーか。

この人?は本当にナニモノなのだろーか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お嬢さんのお仲間はちょっと、な?まァ心配すんな。あいつを煽っといたし……その内帰ってくる。だからまァ寝てろよ』

 

 

 

 

 

 

 

スタークさんの言葉がちょっと冷たくなった気がした。

 

 

 

ちょっと?

煽っといた?

 

 

 

んんん。意味わかんね。

もしかしてあたしを置いてどこかお出かけに……!?

 

 

 

 

 

 

 

なんなの!酷いよ!!

あたしの事はどうでもいーのか!!

 

 

 

 

 

 

 

……帰ってきたらパフェ創ってもらわねば。

 

 

 

そうでもなきゃこの怒りは収まらないぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺もここに居るんだしよ。もう命の危険はねェから安心して、な』

 

 

 

 

 

 

 

スタークさんがついている。

 

あたしはこの人?と初めて会ったはずなのに、なぜかその言葉にとても安心してしまう。

 

 

 

あぁ、もう大丈夫だ。と。

 

 

 

 

 

 

 

……でも。でもでもでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ね!スタークさん、って……何歳なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徐々に普通に喋れるようになってきた。

それのおかげで聞きたいことや話したい事がいっぱい出てくる。

 

 

 

スタークさんって何者なんだろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はァ!?これで歳聞かれるなんざ初めてだぞ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……相当寂しい人なのかな。

 

 

 

もしかして友達がいないとか……!

んんん。ひとりぼっちの可哀想な人なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

しょうがないな!うん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんん!スタークさん!あたしが、お友達に、なったげるね!」

 

 

 

 

 

 

 

もしかしたらかなり年上なのかもだけど。

この人?とは仲良くなれそーな気がする!

 

 

 

戦兎ねえと、みーたんと、スタークさん。

この3人でお出かけかあ……♪

 

 

 

 

 

 

 

……でもさすがにそのままの姿じゃ、ちょっとなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はァ!?お友達!?何言ってんだお嬢――」

 

 

 

「いーのいーの!気にしなくて、大丈夫だから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタークさんはちょっと困惑してるけど。

きっと嬉しくて困っちゃってるのかな?

 

 

 

ふふふ。カシラにも紹介してあげないとな。

あたし友達増えたよ、って。

 

 

 

 

 

 

 

みんなとも会えるの、楽しみだなあ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おいおい!?俺はなァ、お前ら人類の――』

 

 

 

「スタークさん!あのね、あたしの友達も今度紹介してあげるから!」

 

 

 

 

 

 

 

『おい!待て!俺はな?お前らの――』

 

 

 

「んんん!お腹減った!スタークさんそこのリンゴ剥いてよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はァ!?……ふっ、わーったよ。ちょっと待ってろ』

 

 

 

「わーい!やったあ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタークさんって見た目怖いけど。

なんだか良い人だなあ。

 

 

 

 

 

 

 

早く帰ってこないかな、カシラ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――早く。早く早く急がないと!!!

 

 

 

このままじゃ大変な事になっちまう。

あいつは……あいつだけはダメだ!!!

 

 

 

 

 

 

 

なんであいつが……いや、そんな事考えてる場合じゃねー。

早く、急がねーと!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今から行くから、頼むから無事でいてくれよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな雫が俺に降り注ぐ。

まるで行く手を阻むかのように。

 

 

 

俺をその場に向かうことを許さないかのように。

 

 

 

 

 

 

 

このままじゃあいつは……戦兎は死んじまう。

きっと聞いた話からして、今のあいつは怒り狂ってるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急がねーと……

早く、あいつの元へ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦兎、今助けに行くからな……!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 








黄羽「ねーねー!スタークさん!」

スターク『あァ?なんだよ?』

黄羽「好きなご飯はー?」

スターク『あのなァ、だから俺は――』

黄羽「すーきーなーごーはーんーはっ!?」

スターク『……苦いものが好きです』

黄羽「ふむふむ。オトナだね!」




スターク『……お嬢さんは。何が好きなんだ?』

黄羽「あたし?あたしはねー。カシラのご飯!」

スターク『お、おう……例えばどんなのだよ?ん?』

黄羽「んー……カシラのご飯ならなんでも!」

スターク『さっきから頭ばっかだなおい』

黄羽「んんん?あ!後はさ、スタークさんって――」




――これは。人外もタジタジな女の子のお話。


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