仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀

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STAGE 03-03 (side:magica-T.M.)

「わざわざこんな時間に呼び出して、何の用かしら?」

 

夜、そろそろお風呂に入ろうかと考えていた時。

私は暁美さんに近くの公園へ呼び出されていた。

辺りには誰もおらず、霧で街灯の光がぼやけている。

 

「……鹿目まどかと美樹さやか、あの2人をいつまで連れ回す気?」

 

ソウルジェムで探知していたにも拘らず、一瞬の間に背後へ現れていた暁美さん。

 

「わかっているの? あなたは、無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」

 

淡々とした彼女に驚きを悟られないよう、落ち着いて振り向く。

 

「彼女たちはキュゥべえに選ばれたのよ。もう無関係じゃないわ」

「選ばれただけで契約は済ませていない。

 その先の選択にあなたが干渉するべきじゃない。

 なのに、あなたは2人を魔法少女になるよう誘導している」

「私は考える時間をあげてるだけよ」

「――それは、あなたには考える余裕さえなかったから?」

「っ!」

 

キュゥべえから聞いたとは考えにくい。

あの時、暁美さんは問いも脅しもなくキュゥべえを狙っていた。

なのに、この子、どうしてそのことを知っているの……!?

 

「迷惑よ。特に鹿目まどか」

 

動揺に足が震えていたけど、幸いにも彼女の方から話題を戻される。

 

「……ふぅん。そう、あなたも気付いてたのね、あの子の素質に」

「彼女だけは契約させる訳にはいかない」

「自分より強い相手は邪魔者って訳? イジメられっ子の発想ね」

 

反撃の意も込めてそう返すと、暁美さんの目はさらに鋭くなった。

 

もし鹿目さんが契約すればおそらく私や暁美さんよりも強力な魔法少女になることができる。

願い事にも依るけど、それだけの魔法的素質を彼女は持っている。

自分ではどうにもならないライバルが現れるという恐れが図星だったのだ。

 

「……1つの街に魔法少女は1人で充分よ。今ここに2人いるだけでも多過ぎる」

「同意しかねる言葉だけれど、あなたの前だと頷きたくなるわね」

 

私は畳み掛けるように、最初にあのショッピングモールで暁美さんの姿を見た時から思っていたことを口にする。

 

「少し前、この近くで魔法少女が殺される事件があったのを知っているかしら?」

 

ビクッと、初めて彼女の血の気が引く反応を見た。見逃さなかった。

 

「キュゥべえが見つけたのだけど、魔女にやられたにしてはまだ意識も身体も残っていた。

 そして、殺された子が遺したのは一言。()()

「……あなたは戦いに向いていない。身を退くべきよ」

 

私はすぐにソウルジェムを構える。

 

「ハッキリしたみたいね」

「あなたとは、戦いたくないのだけれど」

「……なら、二度と会うことのないよう努力して」

 

一触即発の空気の中。

踵を返して立ち去ろうとするのは、少し勇気が必要だった。

 

「話し合いだけで事が済むのは、きっと今夜で最後だろうから」

 

 

 

『あまり感心できないね。

 もし彼女があの場で襲い掛かってきていたら、どうするつもりだったんだい?』

「……もちろん、応戦して返り討ちにしていたわ」

 

帰宅後。

キュゥべえにブラッシングをしてあげながら話している。

 

魔法少女殺しの犯人は、残念だけどきっと暁美ほむら。

あの場でさらに追い詰めなかったのはまだ決定的な証拠がないことと、彼女の魔法がわからないこと。

そして、戦いたくないと言った彼女の目が揺れて見えたことがあったから。

私にはその感情まで推し量ることができなかった。

 

『犯人だと気付かれたと思っているなら、暁美ほむらは君を放ってはおかないだろう。

 もちろん、君と繋がっている鹿目まどかも美樹さやかも、ドクターたちも、檀黎斗もね』

「――檀、黎斗」

 

チラッと、鞄から取り出して放置していた携帯ゲームを見た。

 

「今は人類を救うためのゲームという説明に留めておこう」

 

ゲームによる仮面ライダーへの変身システムの開発・改良。

 

「今の戦闘のおかげで、必要なデータは得られた……!」

 

魔法に並ぶ技術による戦闘データの採取。

 

「ゴッドマキシマムマイティは持ってないんじゃなかったのか!?」

 

ドクターたちからも、まるで監視され警戒されているような人物。

 

「私は、仮面ライダーゲンム・ウィザードゲーマーレベル2……」

 

檀黎斗が変身する、()()仮面ライダー

 

「まさか――!」

 

繋がりかけていた糸が解け、別の結び目になる。

 

『どうしたんだい、マミ?』

「檀黎斗がいつから鏡先生のクリニックにいるか、わかる?」

『……さぁ? でも、ひとつだけ言えることがあるよ』

 

キュゥべえの赤い瞳が輝いた。

 

『ドクターたちはともかく、檀黎斗という男には何か得体の知れない目的があるらしい』

「目的? 人類を救うこと?」

『別のことかもしれないよ。

 だって、人類を救うためならわざわざゲームである必要があるのかい?

 僕も何人かの魔法少女に付き添ってきて、その家にお邪魔して。

 何度か彼女たちがゲームで遊んでいる姿を見たことがある。

 でも、それはあくまで娯楽だ。楽しむための物だ。

 それに君も見ただろう? マジックザウィザードガシャットを構える彼の、嬉しそうな顔を』

 

檀黎斗は、ゲームのために――遊ぶために、魔法少女の戦いを楽しんでいる?


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