仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory 作:柳川 秀
巴マミに魔女本体の巨大な口が迫った、と思った瞬間。
頭部を噛みつかれかけ、両腕でそれを防いでいたのは、ゲンム――デンジャラスゾンビだった。
「檀黎斗!?」
「ゲンム!?」
「何をしてるんだ!?」
変身音の後からワープで現れたパラドも、俺と共に使い魔と戦っていた小児科医もその行動に声を上げる。
しかし、俺たちよりも驚いているのは助けられた巴マミと物陰から見ている女子中学生たちだ。
「白いエグゼイド……?」
「白いエグゼイド、だと……? 私は、仮面ライダーゲンム・ゾンビゲーマーレベル
「テンって、10? 3から9すっ飛ばして、いきなりレベル10!?」
俺たちからしてみれば、何故レベルが
何故ガシャコンバグヴァイザーではなくゲーマドライバーで変身できているのか疑問だが、今はそれどころではない。
「ヴェーエエエッ!」
魔女の顔を殴り飛ばし気味の悪い動きで戦い始めた檀黎斗と、それを追う小児科医。
パラドに女子中学生たちを任せ、その間に俺は尻餅をついて固まった巴マミへ駆け寄る。
「無事か!?」
「あ、ああ……」
その体は恐怖に震え、大きく見開かれた目からは涙が零れ落ちていた。
「鹿目さんが、一緒に戦ってくれるって聞いて、浮かれて、それで……」
――俺は、患者の私情に深入りすることを禁物だと考えている。
今から救おうとする患者が誰か、何を感じ生きてきたのかなど関係ない。
オペにおける最大の魔物は己の感情なのだから。
依然として私情を詮索することはしていない。
他者の心に土足で踏み込むなど以ての外だ。
だが、マイティノベルXの一件で何も思うことがなかった訳ではない。
「浮かれてしまうことは誰にでもあることだ。それでピンチに陥ることも。
しかし、辛い時は辛いと言っていい。泣きたい時には泣けばいい。
抱え込めば抱え込む程、溢れ弾けた際の勢いは激しくなる……。
強がって自分を奮い立たせることも時には必要だろう。
涙を仮面で隠し、孤独と戦いながら進むことも。
それでも、その仮面が重くなった時には外して誰かに寄りかかってもいいんだ」
「鏡先生……」
「もっと周りをよく見ろ! お前のことを大切に思っている人間は、たくさんいるだろう!?」
ただひとりで生きていける程、俺たち人間は強くない。
だからこそ人間は協力するし頼り合う。
手を伸ばせば握り返してくれる誰かがいるし、そうしていけば自分の腕はどこまでも届く。
小児科医の過去……いや。
俺が周りをよく見ていなかったせいで消滅した小姫のことが、その考えを与えてくれた。
「そうだよ! マミさんは今までだって、これからだってひとりじゃないっ!」
「あたしこんなだけど、愚痴でも何でも聞くから! だからもっと話してよっ!」
鹿目まどかと美樹さやかも、堪らず泣きながら走ってきて巴マミを抱き締めた。
「鹿目さん、美樹さん……。そう……こうすればひとりぼっちじゃないってわかったのね」
「ヴェッハアアアアアアア!!」
台無しだ。
≪ガッシューン≫
魔女と戦っていた檀黎斗の体に紫の電が走り変身が解除される。
同時にゲーマドライバーからデンジャラスゾンビガシャットが弾き出された。
死のデータを克服できていないからなのか、バグが修正し切れていないからなのか。
ともかく単体では変身にかなり負荷があるらしく、檀黎斗は前のめりに地面へ倒れ込んだ。
魔女は小児科医のエグゼイドとまだ戦っているが、かなり消耗している様子だ。
さすがレベル
キュゥべえに4人掛かりでないと倒せない可能性を指摘された魔女をたった2人でここまでにするとは。
「……よくやった、檀黎斗」
あの瞬間、デンジャラスゾンビで助けに入らなければ巴マミは魔女に食われていただろう。
お前もやはり仮面ライダーなのだな。
信用はしないが。
「もう少しなのに……!」
「……」
決定打を与え切れずにいる小児科医だが、魔女にはどこからともなく現れた暁美ほむらの援護射撃が加わった。
彼女は一瞬こちらを見ていたが、俺はそれに気付かず、そして魔女の隙の方は見逃さない。
橙色と水色の炎が纏われたガシャコンソード。
放たれた斬撃は魔女を一閃する。
裂けた体は爆散し、結界は崩壊を始めるのだった。
no fear(ノーフィアー):恐くない。口語的には逆にダメだという意味もある。
「もう何も恐くない」と「もうダメだ」のダブルミーニングになっているかも。
愛の前に立つ限りは前者の意味になるのかも。
もう日本語の方の解説は諦めたのかも。
d←古代ローマで満足できる・納得できる行動をした者にだけ与えられる仕草。