仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory 作:柳川 秀
STAGE 04-01 (side:doctor-H.T.)
「魔法少女である巴マミのピンチに、あの檀黎斗が助けに入った……。
しかもデンジャラスゾンビに変身して、か。
自分の爆走バイクも白髪先生のバンバンシューティングも放って調整してたのか?
ゲーマドライバーで変身したのはバグヴァイザーがないからだとして……。
だったらなんでプロトマイティオリジンと2本差しにしなかった?
先にそっちを調整するべきだ。なのにそうしなかったってことは――」
「こんな夜更けまでまとめとは……精が出るな、九条貴利矢」
「……へぇ。噂をすれば影って? 何の用だ、檀黎斗」
「どうだ? 休憩しないか?」
「休憩?」
「労いのプレゼントをあげるよ」
「ガシャットは調整中じゃなかったのかよ……てかそれデンジャラスゾンビじゃねーか!」
「このガシャットの試用をしてもらいたい」
「いやノらねーから! って、自分いつの間にゲーマドライバー付けた!?」
「踊れ」
「この身体が勝手に動かされるの覚えがあるぅーッ!」
「ガシャットをドライバーに挿入」
「悪ノリが過ぎるぞぉ!」
「君は知り過ぎた……。真実と共に、闇に追放してやるゥ!」
「死のデータが!? やめろーーーッ!」
「やめろーーーって! あっ? また夢かよ!?」
「いや、喧しいぞレーザー!」
鏡総合クリニックの3階、階段を上がって左の大部屋。
今は男部屋として使われているそこに、本来は患者を寝かせるためのベッドが6台。
その1つから跳び起きたレーザーに怒鳴って、俺は再び横になった。
医者の不養生なんて言葉がある。
昔は碌に眠れないことも多かったし別にそれで構わなかったが、今ではしっかり7時間睡眠だ。
ブレイブ・エグゼイド・パラド・ゲンムは起きていない。
ゲンムにはまだ聞きたいことが山程あったが、頑なに答えようとしなかった。
結局ポッピーピポパポに割って入られ、就寝となった。
ハッキリ言って、大人数で泊まるってのは好きじゃない。
質の良い睡眠は静かな環境で深く眠ることで手に入る。
ニコがゲーム病クリニックから去った後は落ち着いて眠れる日が続いたんだが、まさかコイツらと同じ屋根の下に住むことになるとはな。
さて、夜も明けていないが再び眠るにはまだ時間がかかりそうだ。
睡眠の導入代わりに、俺は昨日の出来事をぼんやりと思い返すことにした。
エグゼイドたちが帰ってきたのは、レーザーがトゥーフーとか呟きながら絹ごし豆腐を切り分けている時だった。
泣き腫らした目の女子中学生3人も一緒だったから、最初は何事かと思ったもんだ。
すぐ話に聞いていた魔法少女とその候補だってのはわかったが。
それより驚かされたのは、ゲンムがデンジャラスゾンビに変身してマミを助けたことだ。
その場で俺たちのガシャットは後回しかと掴み掛かりたかったが、いくら俺でも子どもの前で荒っぽいマネはしない。
……ニコの前は例外だ。
「それで、全部明かすのか?」
クリニックの2階。
大テーブルのソファに座った女子中学生たちを見ながらパラドが俺たち全員に聞く。
ブレイブがマミに信頼しろと言った手前、こっちの事情を隠しておく訳にもいかない。
「僕たちのことをもっと信じてもらうためにも、明かした方がいいと思います」
「ああ。それで何か支障が起きることもないだろう」
「確かに。必要ない嘘ってのは、なるべく吐かない方がいいもんなぁ?」
「アタシたちの話の方を信じられるかはわかんないけどね」
「魔法があるんだし、きっと信じてもらえるよ!」
レーザー・ニコ・ポッピーピポパポ(仮野明日那の姿)も了承している。
俺もわざわざ反対する気はない、が――
「テメェはどうなんだ?」
「私も異論はない。魔法に関するデータは充分得られたからね」
懸念の対象だったゲンムも賛成のようだ。
今までは怪しまれずデータを収集するために猫を被ってたってことか。
幻夢コーポレーション社長だった頃といい、やろうとすれば外面を良くすることもできるらしいしな。
「じゃあ、僕から説明するね」
エグゼイドが置いてけぼりだった3人に説明を始める。
俺たちが異世界からこの世界に召喚されたこと、元の世界でも戦っていたこと、ガシャットの修正、バグスター……。
「コンピューターウイルスが人体に感染するなんて……」
「まぁそうなるよね。あ、ちなみにこのパラドが僕に感染してる、世界で最初のバグスターだよ」
パラドがエグゼイドの中に入ってみせると、女子中学生たちは目を丸くする。
「ええ!? ちょっ、大丈夫なんですか!?」
「良性のバグスターもいるし、パラドやポッピーはそうだからね」
「ポッピー……?」
「コスチュームチェンジ~! 明日那っていうのは偽名で、私がポッピーだよ♪」
今度はポッピーピポパポが普通の人間から姿を変えたのを見て、さらに仰天している。
「あとは、ポチッと」
「ヴェァァァァァ!」
「「!?」」
「この通り、黎斗さんもバグスターなんだ」
「ワザワザヤラナクテモイイダロ!」
「うえ……。アタシたちのことは信じてもいいけど、コイツは絶対悪性だから気を付けてね」
「不信感煽ってどうすんだ。悪性だとは思うがな」
というかエグゼイド、お前もしかしてそれ少しハマってないか?
そこから、俺たちとバグスターの戦い、仮面ライダークロニクルのことを説明した。
細かいことまで語ればキリがないから、要点をまとめてだ。
ただ、エグゼイドはマイティノベルのことを――あの雨の日の事故についてを話さなかった。