仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory 作:柳川 秀
「さやかちゃん!?」
まどかを襲っていた、あたしの攻撃で少し距離を取った4体の使い魔。
あたしは白いマントを翻してそこへ飛び掛かった。
「ハアアアアッ!」
怯んでいる隙に1体、2体と切り伏せていく。
「どうなってんだ!?」
その間に残りの2体は仮面ライダーが撃ち落としていた。
隣にはニコさんがいるから、大我先生?
紺色の体に黄色いスカーフ(マフラー?)をしていて、黄色い前髪みたいなのもある。
「本体が!」
ニコさんの声で本体の魔女へ向きを変える仮面ライダー。
飛んできた弾を避けた魔女を、近付いたあたしが剣で切り飛ばす。
まどかのピンチを教えてくれたキュゥべえからのテレパシーだと、性質は憧憬。
古いモニターにはなにかが映し出されているようだけど、高速で動くあたしにはよく見えなかった。
「大我先生! トドメをっ!」
「ッ!」
ライフルのような武器から放たれた弾が魔女を撃ち抜く。
奇声と血しぶきを上げて魔女が消滅していく。
結界は水が蒸発するみたいに、上から崩壊していく。
「あっ!」「お前たち!」
戻ってきた廃工場では、丁度永夢先生と飛彩先生とマミさんがやって来たところだった。
キュゥべえに聞いて来たのかな?
「さやかちゃん、その格好は……!?」
まだ気絶して倒れている仁美たちを診察しながら、永夢先生が目を丸くする。
まどかも仁美を診察する飛彩先生に近付きながら、チラチラとあたしを見ていた。
「ん? あー……アハハ。まぁなに? 心境の変化って言うんですかね」
「どうしてあなたまで……」
マミさんは自分のソウルジェムをぎゅっと胸で握り締めて、かなしそうで、不安そうで。
「大丈夫ですって! 初めてにしちゃ上手くやった方でしょ、あたし?」
「でも……」
たとえ仮面ライダーが元の世界に帰っちゃっても、もうマミさんはひとりじゃない。
あたしまだなったばかりの新米だけど……これで本当に、いっしょに戦える仲間ができたんだよ。
≪ガッシューン≫
後ろで聞こえた、仮面ライダーが変身を解いた音。
振り向くと、大我先生が今にも掴みかかってきそうな顔をしていた。
「ふざけんなッ! 俺たちは遊びでやってるんじゃねえんだよ!!
魔女と戦うのがどんなに危険か、その目で見たんだろ!?」
「っ! 遊びなんかじゃない!!」
勢いに反発して思わず叫び返す。
さらに叫び返してきそうな大我先生の腕を、ニコさんが引っ張って止めた。
「上条恭介のことを願ったのか」
飛彩先生の目を、今は真っ直ぐ見ることができない。
「……ごめんなさい。でも、あたしにできることってこれしかなかったから」
そう、あたしにはこれしかなかったんだ。
他人任せにして気長に待っても彼を救うことはできなかった。
あたしが動けば……たった一つあたしが願いさえすれば救えるんだから、そうしただけ。
「あたしの運命は、あたしが切り開く」
見つめ返された飛彩先生も、永夢先生もハッとした顔をしていて。
マミさんとまどかは泣き出してしまいそうな顔をしていて。
大我先生はギリリと歯を食いしばっていて、ニコさんがそれを心配そうに見ていた。
「――ここまでは筋書き通りという訳か?」
『僕の筋書きからは少し外れつつあるようだ。……主に君のせいでね』
「フン。それで? 口止めにでも来たのか? 私が魔法少女や魔女、そして君について知ったことの」
『へぇ。そこまで知れたのかい?』
「非常に難解なプロテクトだったが、神の才能を持つ私の手に掛かれば不可能はないッ!
君に直接的な戦闘能力がないことも、その体内に何があるのかもわかっているゥ!」
『僕に注意していたのは、怪しんでるからだけじゃなかったんだね。
でもまさか、僕を解析してみせる人間がいるなんて。いや、君はバグスターだったっけ?』
「ほう。マミたちがここに来て永夢から話を聞いていた時、君はいなかったハズだが?」
『僕も君を真似てみたのさ。他者のデータを採取し解析する。
そしてその結果、君がバグスターであることも、君たちがこの世界の住人ではないこともわかった』
「深淵を覗く時深淵もまたこちらを覗いているのだ、か。
私のプロテクトを抜けるとは、やるじゃないかァ……」
『――やはり君は、
「……ヴァハハハハハハハ!!
さて、私が魔法少女殺しの犯人だと、永夢やまどかたちに言う気か?」
『そうしてもいいけど、聞いておきたいことがあるんだ。一体君は、何が目的だい?』
「……その答えはただ一つ」
magic(マジック):魔法。語源はマグスの技術という意味のmagikēらしい。
マグスの複数形がマギで、神官……即ち「神」に仕える者を意味するらしい。
奇跡(きせき):常識では起こりえないとされること。
特に、「神」が起こすものについて言われる。