仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory 作:柳川 秀
STAGE 01-01 (side:doctor-H.E.)
「うわっ!? ハァ、ハァ……なんだ、夢か」
跳び起こした上半身をソファに戻して目を閉じる。
なんだかとても暗いような怖いような、イラつくような夢を見た気がするけど、ハッキリとは覚えていない。
「夢だけど夢じゃなかったかもよ?」
「うわぁ!?」
急に耳元でした声に再び跳び起きた。
「やっと起きたみたいだな、永夢」
すぐ右にいたのは貴利矢さんだ。
いつも通りのアロハシャツの上から白衣を着ていて、サングラスで目は見えないけど口は思いっ切りニヤっとしている。
「永夢、大丈夫か?」「エム、大丈夫?」
左側から心配そうな顔をしたパラドとポッピーが同時に聞いてきた。
何のことだろうと思っていると、また次の人が声をかけてくる。
「目覚めたのはお前が最後だ、小児科医」
飛彩さんだ。
前方の少し離れた椅子に腕を組んで座っている。
隣には白衣のポケットに手を突っ込んで鼻を鳴らしていそうな大我さん。
さらに隣には同じポーズ(マネしてるのかな?)をしたニコちゃんもいる。
一昨日くらいにゲームの大会があるとかで帰国していたんだった。
「あれ?」
そこでやっと僕は自分が知らない場所にいることに気付いた。
このメンバーが集まるとすればCRかいつものお好み焼き屋のハズだけど……。
灯りの点いていない室内は薄暗く、木製の壁も床も少し気味悪く見える。
大きなテーブルを挟んで僕がいるのとは別のソファ。
オフィス用の棚には医療関係の本やファイルが詰まっているし、壁に付けられたデスクには顕微鏡とかの器具があるし……。
下への階段もあるから、古いけどちょっと大きめのクリニックの2階かな?
「で? どういうことか説明してもらおうか、
「うえっ!?」
驚いて貴利矢さんの声が向けられた背後へ振り向く。
会議とかに使われる長机に置かれたコンピューター。
そのキーボードを一心不乱に叩き続ける、黒いスーツを着崩した男。
間違いない、黎斗さんだ!
「なんで……あなたは、消滅したんじゃ!?」
ゴッドマキシマムマイティXの解析はまだ途中で、僕たちは消滅した患者さんたちの復元に至っていない。
マイティノベルXの事件ではクロトピーが現れたけど、最初は黒いバグスターでゲームにより黎斗Ⅱの姿を手に入れていた。
だから、
「今調べている」
「とぼけんなよ。いつかの時みたいに、自分のバックアップがいるゲームの中に俺たちを引き込んだんだろ」
モニターに視線を向けたままの黎斗さん(?)にパラドが詰め寄る。
そうか、ゴライダーの事件みたいにこの世界がゲームの中だとしたら、僕たちが知らない場所にいることも全部納得がいく。
「もっともな推理だがハズレだ。……よし、できたぞ」
勢いよくエンターキーが押されると、天井から下がっていたプロジェクターが起動して壁に大きく投影した。
黎斗さん(?)が立ち上がってそこの文や画像を指しながら話し始める。
あ、ニコちゃんがビクッとして大我さんにくっついた。
「今私たちがいるのは見滝原市の鏡総合クリニック。
数年前、鏡先生を中心にここにいるドクターが集まって設立されたことになっている」
飛彩さんが院長か……って、そうじゃない。
「おい、見滝原なんて地名聞いたことねぇぞ。
ここまで発展した都市なら少しくらい有名なハズだろ」
大我さんが見ている窓の外は、産油国の首都にあるような近未来的で特徴的な建物が並んでいた。
僕たちがいた聖都よりも発展しているように見えるけど、日本にこんな場所があるなんて知らない。
「さすが花家先生。そう、ここは地球で日本だが私たちの知る世界ではない。
ゲーム病・バグスター・仮面ライダークロニクル・幻夢コーポレーション……その全ての検索ワードが引っ掛からなかった。
だがその他の情報も歴史も私たちが知る世界と同じであり、今採取したデータ的に物理法則や構成物質なども含め――」
「もぉ~~~っ、ピプペポパニックだよ~っ!」
「……つまり、ここは異世界だ」
黎斗さん(?)は騒ぎ始めたポッピーに説明を続けるのを諦めたらしい。
「異世界って……それこそゲームでもよくある設定ですけど、本当に……?」
「永夢、まだ疑っているようだな。
いいか? 既に復活し自由に動ける時点で、もう君たちを騙す必要はないんだよ。
だから知り得たことを説明しているに過ぎない。
それに、何が起きているか不明な今、現状を把握するのは私にも意味のあることだ。
それとも……私が他のライダー全員を同時に相手するとでも思っているのか?
だとしたら考えなしにも程がある」
たしかに……自分の才能を何よりも大切にする黎斗さんは、自分の身が脅かされる可能性があるなら僕たちと共闘してきた。
今回もそうだと言いたいのか。
「君たちが異世界に来たことを信じないのは勝手だ。
だが私たち全員の前に、誰が現れたことがあると思う?」
「桐生せんt「万丈だ」
……なんかそれ言いたかっただけな気がする。