仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】

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STAGE 06-02 (side:magica-S.K.)

ムカつく、ムカつく。

帰り際に丁度魔女と出くわしたのは好都合だった。

歯応えのない奴だったけど、ストレス発散にはなったから問題なし。

問題があるとすれば、その時たまたま巻き込まれたガキを助けちまったことだ。

 

「お前の親を殺したのは魔女っていうバケモンさ。アタシはソイツらと戦う魔法少女ってヤツ」

「魔女……魔法少女……? ()()()()()()は、正義の味方なの?」

 

おねえちゃん、おねえちゃん、おねえちゃん。

――モモのことさえ思い出さなければ、放っておけたのに。

 

「……そんないいモンじゃないよ」

 

7歳くらいのこのガキは、親の死体の前でも泣き喚かなかったクセして、ヤケに腹を空かせていたようで。

食うかい? と近くのベンチで塩パンを与えてやれば、バクバクと平らげやがった。

 

「愛と勇気に溢れてる訳でも、救いがある訳でもない。

 壊されたモンも殺されたモンも戻ってきやしない。

 だから食い物だって、これからはお前ひとりで――」

「ゆま」

「アン?」

()()じゃなくて、()()

 

このガキ……。

 

「ひとりなんてムリだもん……だってパパもママも死んじゃったもん!

 わたしもうどこにも行くところないもん!!

 おねえちゃん、だってわたし……ひとりじゃ……、だって……」

 

ここで泣き始めるのかよ……ああクソッ、なんでだ。

 

「――ったく、マジでしょーがないガキだね。

 アタシは()()()()()()じゃない。()()()()だ」

「キョーコ?」

「ひとりで生きる術ならアタシが教えてやる」

 

 

 

「ゆま、ホテル初めて! すごいすごい! ベッドふかふかっ!」

「あんまり騒ぐなよ。目付けられるからね」

 

「迷子のフリしてともかく泣いてな。気が取られてる隙にアタシが盗む」

「う、うえーん、うえーん。ママぁどこー?」

 

「シャンプー目に入ったぁ!」

「死にゃあしないよ。我慢しな」

 

「ご、ごめんなさい。次は上手にやるから……失敗しないから……」

「背伸びすんな。一人前になるまで、一人で勝手に動くんじゃないよ」

 

「おいこらっ! 枕取るな!」

「だってー、キョーコの髪の毛鼻にかかってムズムズするんだもん」

 

「キョーコ! ちゃんと全部食べたよ!」

「ハイハイ、ゴクローさん。……まぁ、こういうのも悪くないかな」

「なに? なにが悪くないの?」

「なんでもないよ。ほら、口拭いてやる」

 

 

 

「ゆま! 大丈夫か!?」

「う、うん……」

 

魔女を殺った後駆け寄るとゆまの顔面に血が付いていた。

慌てて拭くが、ただ魔女のが散って付いただけだったらしい。

 

「なんだ、ビックリさせやがって――」

 

一瞬ホッとして、でもすぐに前髪で隠されていた額の傷を見つけ、息を呑む。

魔女にやられたケガじゃない。火傷――タバコを押し付けられた跡、か?

 

「……親か?」

 

その一言でゆまはアタシが何に気付いたのか察して、両手をギュっと胸の前で握って。

カタカタと全身を震わせ始める。

初めて会った時、ひとりで生きていけって言った時と同じ……急な反応だ。

 

「……話したくなけりゃ、聞かないけどさ」

 

よく知らないけどPTSDとかいうヤツなんだろう。

無理に聞き出そうとしても、多分トラウマを抉るだけになる。

 

「――わたし、ホントはパパもママも好きじゃなかった」

 

けど、しばらく黙り込んでから、ゆまはゆっくりと声を絞り出した。

 

「パパとママはケンカばっかり。パパは家に全然いないし、ママはゆまにイジワルするの。

 生まなきゃよかったって、すごくイジワルするの」

「……親に裏切られる気持ちなら、わからなくもないよ。アタシも似たようなもんさ」

 

世知辛い話だ。

子は親を選べない。なのに親は子を平気で否定するし、そのクセ誰かに託そうともしない。

捨てられないように媚びて、突き放されて、でも他に居場所を知らないから逃げ出せない。

 

「ねぇ、キョーコが強いのは魔法少女だから? ゆまがイジメられるのは、ゆまが弱いから?

 わたしは強くなりたいっ! 魔法少女になって、変身したい!!」

「ゆま……。魔法少女になろうなんて考えるな

「……なんで? なんでダメって言うの? キョーコも、ゆまのこと役立たずだって思ってるの!?」

 

パニクったのか、頭を押さえながら唸り始めるゆま。

 

「ゆまっは……! 役立たず……ない……。役立たずなんかじゃないっ!!

 キョーコの役に立つ! 言うことなんでも聞く! 好き嫌いだって言わない!

 だから――ゆまをひとりにしないで

 

ああ、なんでそんな泣いてんだよ。なんで怖がってんだよ。

 

「バカだなぁ……他人のために魔法少女になんかなったって、何にもなりゃしないのに……」

「うっ……? キョーコ、泣いてるの?」

「バーカ。泣いてなんかないよ。……ゆま、よーく聞きな」

 

 

「誰かのためにいい子になる必要なんかない」

 

 

「誰かに好かれるために我慢ばかりしたって、自分が辛くなるだけだ。

 もしゆまがアタシに好かれるために魔法少女なっても、ゆまは我慢し続けることになるし、そんなのアタシは嬉しくない。

 自分のことが嫌いでも……ゆまはゆまのまま、なりたい自分に変身すりゃあいい」

「ゆまのまま……」

 

それは、アタシにはできなかったことだから。

 

「……キョーコ」

「ん?」

「キョーコは正義の味方じゃないって言ったけど……。

 でもキョーコはぜったい――わたしのヒーローだよ

続編を三人称にしようか一人称にしようか迷っています。一場面でのキャラが増えるので三人称もいいですし、今まで通りキャラ毎の一人称も捨てがたい……。どちらが良いでしょうか?

  • 三人称
  • 一人称
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