仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀

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STAGE 06-06 (side:magica-T.M.)

「ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手にいこうじゃない」

 

九条先生が見かけた場所からさらに移動していた美樹さんと佐倉さん。

2人を発見して、同時に宝生先生・鹿目さん・九条先生(最初バイクだった)と合流したのは、夜の歩道橋の上だった。

もう話し合いで解決する気はないのね……っ!

 

「ダメだ、さやかちゃん!!」

「2人ともやめなさい!!」

 

美樹さんが少し躊躇いを見せたけど

 

「話が違うわ」

 

突然の暁美さんの登場に、キッとした表情に戻ってしまう。

 

「あんた、やっぱグルだったのね!」

「私は――」

「さやかちゃん、ごめんっ!」

 

反論しようとした暁美さんに美樹さんが気を取られている隙を突いて。

彼女の手からソウルジェムを奪い取る鹿目さん。

 

「なっ!?」

「えぃ!」

 

投げ捨てた!?

あ……丁度通りかかったトラックの荷台に……。

いえ、それでほっとするのもどうかと思うけれど。

 

「ッ!」

「……ほむらちゃん?」

 

その瞬間に暁美さんが姿を消したのには、宝生先生だけが反応できていた。

でも、彼の注目もすぐ美樹さんに戻ることになる。

 

「まどか! あんたなんてことを!」

「だってこうしないと――さやかちゃん?」

 

鹿目さんが急に倒れてくる彼女を抱き留めた。

その力がふっと抜けていく様は、操り人形の糸が切れたようで。

 

「なに……?」「なんだよ……?」

 

何が起きたのかわからず、私も佐倉さんも固まってしまう。

 

『今のはマズかったよ、まどか』

 

暗闇に浮かび上がる真っ赤な目。

欄干に座っていたのは、あの白い体は……キュゥべえ?

 

『よりにもよって友達を放り投げるなんて、どうかしてるよ』

 

その間に花家先生と鏡先生が鹿目さんに駆け寄って、彼女から美樹さんを引き受けて。

そっと抱えて呼吸や脈、そして瞳孔を確認する。

 

「ッ――!」「これは――!」

 

言葉を呑み込んだ2人のドクター。

でも、宝生先生と九条先生への目配せは、何だって言うの……?

怒りと哀しみで壊れそうな、その目は――!!

 

「そんな……!?」

「何がどうなってやがんだ……オイッ!」

『君たち魔法少女が身体をコントロールできるのは、せいぜい100メートル圏内が限度だからね』

「100メートル!?」

「なんのことだ!?」

「どういう意味だ!?」

 

西馬さん、九条先生、パラドさんがそれぞれに声を荒げてもキュゥべえの様子は変わらない。

 

『普段は当然肌身離さず持ち歩いてるんだから、こういう事故は滅多にあることじゃないんだけど』

「何言ってるのよキュゥべえ!? 助けてよ! さやかちゃんを死なせないでっ!!」

『はぁ……。まどか、そっちはさやかじゃなくてただの抜け殻なんだって』

「えっ?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「な、なんだと!?」

 

佐倉さんが胸の赤い宝石に手を当てる。

 

「どういうこと……!?」

 

無意識の内に私も自分のソウルジェムを握り締めていた。

 

……怖い! 逃げたい! 聞きたくない! ()()()()()()()()

 

『ただの人間と同じ壊れやすい身体のまま魔女と戦ってくれなんて、とてもお願いできないよ。

 君たち魔法少女にとって、元の身体なんていうのは()()()()()()でしかないんだ。

 本体としての魂には、魔力をより効率よく運用できるコンパクトで安全な姿が与えられている。

 魔法少女との契約を取り結ぶ……僕の役目はね――君たちの魂を抜き取ってソフトフェアに変えることなのさ

 

その一言から、ほんの僅かな間。

世界から色と音が消えたように感じた。

 

「それがソウルジェム!!」

「テッメェ!!」

 

鏡先生が真実を理解する。花家先生が怒りに震える。

 

『便利だろう? 心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても。

 その身体は魔力で修理すればすぐまた動くようになる。

 弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか』

()()()()()()()()()()()()()()ってか!?」

「ふざけるなッ!!!」

 

九条先生の指摘の後、血走った目の宝生先生が掴み上げても、キュゥべえの顔はいつもと同じまま。

動揺どころか元々感情なんて持ち合わせていないかのよう。

 

魔法少女になる契約のせいで、生きたいという願いのせいで、ソウルジェムが生まれて――。

本当は、私はあの事故で……青空とガソリンの匂いの中で死んでいたの?

今震えている足も、肩も、手も、全部全部入れ物なの!?

そんなの……この身体は、もう生きているなんて言えないじゃない!!

 

「嘘よ……嘘よッ!!!」

『君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする。

 わけがわからないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処に拘るんだい?』

 

「君も、魔法少女だけど人間でしょ?」

 

あの時の先生の言葉が頭の中で反響して、私の心をじわりと抉っていく。

 

「それじゃアタシたち、まるで――」

 

 

 

()()()()()()()()

 

 

See you Next story

 


 

次回、翻転のstory!

 

騙してたのね

本当のクリア条件

図ったのか?

何が起きてやがる!

使い魔がたくさん

やっつけてやる

もうやめてっ!

あなたこそ黙っててください

その気になれば痛みなんて

こんな浮かばれない最期があるか?

 

 

Fellow soldier(仲間)なんていないんだぞ

 

 

 

有限の生命など陳腐だ

 

 

 




hero(ヒーロー):英雄。語源は神話の中の英雄を意味するηρωσ。
「もしこの世界にヒーローが存在するとすれば、彼らのことを言うんだろう。
 どんな逆境でも決して諦めずに立ち向かい、人の命を救う。
 そんなヒーローに僕たちは守られている」

I don't wanna know(アイ ドント ワナ ノウ):僕は知りたくない。
下手な真実なら知らないくらいがいいということもある。
「これから君が始めようとしている物語は、その真実に直面する物語だ」

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