仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀

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STAGE 01-02 (side:magica-K.M.)

「ふ、ふわっ!? ……はうぅ。夢オチ?」

 

がばっと跳び起きて手を伸ばし、けたたましい音を出す目覚まし時計を止めます。

なんだかとても暗いような怖いような、ちょっとムッとするような夢を見た気がするけど、ハッキリとは覚えていません。

 

出窓を開けて朝の光と風を浴びて、下を見てみれば小さな家庭菜園にエプロン姿のパパ。

 

「おはよー、パパ」

「おはよう、まどか」

「ママは?」

「タツヤが行ってる。手伝ってやって」

「はぁーい」

 

タツヤはわたしの弟で、三才で、とっても元気でかわいい子です。

手伝ってってパパが言ったのは、我が家の毎日の恒例行事。

 

「マ~マっ! あ~さ、あ~さっ! おきてぇ~!」

 

廊下を駆けて、寝ているママとその上でポカポカ叩いてるタツヤがいる部屋のドアを勢いよく開けます。

カーテンを全開にして、タツヤに退いてもらって、掛け布団を掴んだら……今日もやるぞーっ!

 

「おっきろ~~~!!」

「ヴェア~~~ア~~~ア~~~ァ~~~ゥゥゥ……あれっ?」

 

一気に布団をひっぺ返して大きく一言!

ママはいつも面白いリアクションで跳び起きてくれます。

でも、なんだかその叫び方は聞き覚えがあるような、ないような……。

多分気のせいです。

 

 

 

「――で? 昨日なんか相談がどうとか」

「うん。あのね、仁美ちゃんにまたラブレターが届いたよ。今月になってもう2通目!」

「へー。今でもあるもんなんだー」

 

ママと並んで歯を磨いています。

 

仁美ちゃんはわたしの友達で、上品なお嬢様。

スタイルも良くてモテモテで、ちょっとうらやましいな、なんて。

 

「それでね、どう返事したらいいのか悩んでて……ママに聞いてみてほしいって」

「直にコクるだけの根性もねぇ男はダメだな」

「アハハ……」

「あと、自分の夢とか仕事にしか目がいかない男もダメ」

「ふぅん」

「素直じゃなくて悪ぶっててポエミーな男もダメ」

「うんうん」

「嘘吐きでサングラスかけててアロハシャツ着ててレザージャケット羽織ってる男もダメ」

「うん、うん……?」

「自信家で才能溢れてる男は突っ走るから特にダメ!」

「ええ……」

「やっぱ優しくて温かくて穏やかな男が一番だな」

 

それってパパのことじゃん……。

 

「ああ、和子のヤツはどう?」

 

わたしの担任でママの高校時代からの友達、早乙女和子先生は34歳の華の独身なのです。

 

「先生はまだ続いてるみたい。ホームルームでノロケまくりだよー。

 今週で3ヵ月目だから記録更新だよね」

「さぁどうだか。今が一番危なっかしい頃合いだよ。

 本物じゃなかったら大体この辺でボロが出るもんさ。

 まぁ、乗り切ったら1年はもつだろうけど」

 

本物――。本物って何だろう?

本物の恋人、本当の友達……。

どこまでが知り合いで、どこまでが友達で、どこまでが恋人なのかな?

わたしは、誰かの本当の友達になれてるのかな?

 

「完成♪」

 

そんなこと考えてる内に、ママはもう女優さんみたいに綺麗にメイクを完成させていました。

母娘なのにどうしてこんなに要領の良さが違うんだろう……。

わたしはやっと顔を洗って、なんとか寝癖を直して、茶色と赤色のリボンを手にして固まってしまいます。

 

「リボンどっちかなぁ?」

「こっち」

「赤? 派手過ぎない?」

「それぐらいでいいのさ。女は外見でナメられたら終わりだよ?」

 

髪に結んで鏡を見てみるけど……なんか派手過ぎな気がする。

でもママはにっこりと微笑んでいるのでした。

 

それから、キッチンでパパの準備してくれた朝ごはんを食べました。

 

「コーヒー、おかわりは?」

「あぁ、いいや」

 

パパに聞かれて軽く答えたママは、新聞を畳んでコーヒーを飲み干して……。

家を出る前にタツヤのほっぺにキス、パパとキス、わたしとはハイタッチ。

 

「おっし! じゃあ行ってくる!」

「「いってらっしゃーい!」」

 

いつかわたしもママみたいにかっこよくなれるのかな?

 

「さぁ、まどかも急がないと」

「え? うわ、遅刻しちゃうよぉ~!」

 

 

 

「おっはよ~ぅ!」

「おはようございます」

「まどか、おそーい!」

 

通学路でわたしを待っていてくれたのは、仁美ちゃんと小学校から一緒のさやかちゃん。

 

「おお? 可愛いリボン!」

「そ、そうかな……派手過ぎない?」

「とても素敵ですわ!」

 

そう言われるとちょっと安心できちゃいます。

そのまま3人で歩き始めました。

仁美ちゃんが照れくさそうに昨日の相談について聞いてきたので、わたしはママに言われたことを伝えます。

 

「――でね? 直に告白できるようでなきゃダメだって」

「やっぱり、そうですよね……」

「あと、えーと、自分の仕事にしか目がいかない人とか、素直じゃなくてポエミーな人とか、アロハシャツの人とか、突っ走っちゃう人もダメだって」

「はい?」

「相変わらずまどかのママはかっこいいなー。美人だしバリキャリだし、ホント憧れちゃうよ!」

 

さやかちゃんが憧れるくらい、ママはかっこいいけど……。

ママが褒められれば褒められる程、わたしにはちょっとプレッシャーにもなってしまうのでした。

ママは自分の考えをすぐ言えて、すぐ行動に移せて、迷わず進めるのに。

わたしは大事な決断だと思うと、うじうじしてしまって真っ直ぐ進むことができなくなります。

 

「しっかし、羨ましい悩みだねぇ~」

「わたしももらってみたいなぁ、ラブレター……あっ」

 

考え事をしていたからかわたしは思わず呟いてしまいました。

さやかちゃんは聞き逃すハズもなく、ニヤニヤしながらにじり寄って来ます。

 

「ほーう? 仁美みたいなモテモテの美少女に変身したいと~?

 そこでリボンからイメチェンですかな~?」

「ち、違うよぅ! これはママが!」

「さてはママからモテる秘訣を教わったな~? けしからーんっ!

 そんなハレンチな子はぁ~こうだぁっ!」

 

逃げようとしたわたしを後ろから捕まえて、あちこちくすぐり始めるさかやちゃん。

 

「やッ、あんッ、ちょっと! さやかちゃん、やめっ……きゃはははは!」

「うへへへ、可愛いヤツめ。

 でも男子にモテようなんて許さんぞー! まどかはあたしの嫁になるのだぁー!」

「いやーっ」

「……コホン」

 

仁美ちゃんの咳払いで、やっとわたしたちはたくさんの生徒たちに目を丸くして見られていることに気が付くのでした。


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