仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】

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STAGE 07-02 (side:magica-T.M.)

「騙してたのね、私たちを……」

 

部屋の電気を点ける気力もない。

……むしろ、今はなんだか明るい方が苦しくなってしまいそう。

 

『僕は魔法少女になってくれって、きちんとお願いしたハズだよ?

 実際の姿がどういうものか説明を省略したけれど』

 

ソウルジェムをテーブルに転がして、責めるように……呪うように言っても。

床に座るキュゥべえは悪びれる様子もなく淡々と言葉を返してきて、それが余計に私を逆撫でする。

 

「どうして教えてくれなかったの!?」

『聞かれなかったからさ。知らなければ知らないままで何の不都合もないからね』

 

なにをわかりきったことを一々聞いてきてるんだ。

そんなことまでわざわざ聞くなんて、エネルギーを無駄に消費するだけだよ。

そうとでも思っているとしか感じられない。

自分のした行為を悪と考えていない、合理的なものだという態度。

 

『そもそも君たち人間は、魂の存在なんて最初から自覚できてないんだろう?

 脳は神経細胞の集まりでしかないし、胴体は循環器系の中枢があるだけ。

 そのクセ、生命が維持できなくなると人間は精神まで消滅してしまう。

 そうならないよう僕は君たちの魂を実体化し、手に取ってきちんと守れる形にしてあげた。

 少しでも安全に魔女と戦えるように、ね。

 ドクターが仮面ライダーに変身して戦うのと変わりないよ』

 

私たちが魔法少女になることが、仮面ライダーに変身するのと同じ?

いいえ……違う、違うっ!

彼らは仮面ライダーになっても、ガシャットさえ抜けばまた元の身体に戻ることができる。

私たちはもう、戻れない……!

 

『良かったじゃないか、有限の生命という概念から脱出できて

「大きなお世話よ! そんな余計なこと……」

『はぁ……。君に甘いところがあったのは知ってたけど、戦いに関しては違うと思ってたよ』

 

キュゥべえはわざとらしく溜め息を吐いて、テーブルに上がり、ソウルジェムに近付くと

 

『例えばお腹を銃で撃ち抜かれた場合、肉体の痛覚がどれだけの刺激を受けるかって言うとね』

 

前足でそれを踏みつけた。

黄色い光が漏れて、そして

 

「あッ……うう、アアっ!」

 

お腹を激痛が襲う。

あまりの衝撃に私は立っていられなくなって、床に崩れ落ちた。

 

『これが本来の痛みだよ。ただの一発でも動けやしないだろう?

 君がこれまで戦っていられたのは、強過ぎる苦痛がカットされていたからさ』

「やめて……お願いっ」

『君の意識が肉体と直結していないからこそ可能なことだ。

 おかげで君は多くの魔女を討ち、生き延びて人々を救うことができた』

「やめ、てぇ……!」

 

キュゥべえが前足を退ければ、光も痛みも治まった。

それでも涙が溢れるのは、痛かったからもあるし、怖かったからもあるけれど。

一番はキュゥべえに助けを請うしかなかった自分の醜態が、情けなく悔しかったから。

 

『やろうと思えば完全に痛みを遮断することもできるよ。

 もっとも、それはそれで動きが鈍るからあまりオススメはしないけど』

 

アドバイスのつもりで言葉を続けるキュゥべえが、ひどく憎い。憎い……。

 

「なんで……どうして、私たちをこんな目に……っ」

『どうしても何も、君が自分で選んだんだろう?』

 

嗚咽で辛くなる息が、ヒッと止まってしまった。

 

『君たちの人生は一本道じゃない。喩えるなら木だ。

 スタートである地面からその幹を登っていくけど、やがて枝分かれに出会う。

 その中から一本の枝を選んで、さらに進んで、また枝分かれ……。

 そうして辿り着いた先から見える景色が必ずしも見晴らしのいいものとは限らない。

 でも、間違いなくその景色は君が選択して手に入れた運命そのものだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕と契約して、魔法少女になってよ』

 

≪はい≫  ≪いいえ≫

 

 

 

 

 

≪はい≫

 

 

 

 

 

 

 

 

私が、選択して手に入れた。

私が自分でこうなる運命を選んできたのが悪いって言うの……!?

 

『戦いの運命を受け入れてまで、君には叶えたい望みがあったろう?

 それは間違いなく実現した。君が手に入れた運命じゃないか』

 

――家族でドライブに出かけた帰り。

反対車線から横転してぶつかってくる車。

呼び続けても、ピクリとも動かない両親。

割れた窓ガラスの先……澄み渡るような青と、ガソリンの匂いと、涙の味と、私を見つめる真っ赤な目。

 

もしたったひとつの願い事をやり直せるとしたら、迷わず家族の命を繋ぎ留めたいと祈るだろう。

こんなことになった今でも、私はそう思ってしまう。

 

『あくまで生物種として生まれながらに持ち合わせた身体に拘るなら……。

 人間からバグスターになった彼、檀黎斗も否定するのかい?』

 

どうして黎斗さんのことを……?

パラドさんとポッピーさんもバグスターだけど、それは元からそうなのであって、確かに彼だけは――。

 

……戦うための変身。前科の多さ。()()仮面ライダー。そして、デンジャラス()()()

 

『ああそうだ。ついでだから誤解を解いておこうかな』

「誤解、ですって……?」

『僕は以前、ゲームについて娯楽としての価値しか見出せなかった。でも今は断言できるよ』

 

まただ……。また、真っ赤な瞳が私を映している。

 

 

『檀黎斗のゲームは、人類を救うための物だ』

 

 

続編を三人称にしようか一人称にしようか迷っています。一場面でのキャラが増えるので三人称もいいですし、今まで通りキャラ毎の一人称も捨てがたい……。どちらが良いでしょうか?

  • 三人称
  • 一人称
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