仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】

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試練が終わる。叛逆が始まる。


ステージ8『Real heartと向き合えますか?』
STAGE 08-01 (side:magica-K.M.)


もしこの世界にヒーローが存在するとすれば、ああいう人たちのことを言うんだと思います。

どんな逆境でも決して諦めずに立ち向かい、人の命を救う。

そんなヒーローにわたしたちは守られています。

 

わたしもそんなヒーローに憧れていました。

大事な決断だと思うと、うじうじしてしまって真っ直ぐ進むことができなくなる自分から、変身したい。

自分の考えをすぐ言えて、すぐ行動に移せて、迷わず進めるようになりたい。

 

でも――あなたならどうですか?

憧れ続けていたものがやっと見つかっても、それが夢幻のように儚く砕けてしまったら。

自分の中で疼く不安や絶望……本当の気持ちと向き合えますか?

 

わたしは、何もできずにただ泣いています。

 

 

 

「……ママだ」

 

午前二時過ぎ。丑三つ時。

玄関が開く音、控えめな足音、シャワーの音が聞こえてきました。

しばらくしてから、ベッドを抜けて部屋を出て涙をゴシゴシ拭って、わたしは階段を降ります。

キッチンのテーブルには

 

「お疲れ様。冷蔵庫にポテトサラダあります」

 

という、パパの書き置き。

 

「おっ、まどか? ただいま。眠れないのかい?」

「うん、おかえり。……ちょっといい?」

「もちろん」

 

すぐにそう返してくれたママはバスローブ姿で、タオルで髪を拭いています。

書き置きを見て微笑むと、冷蔵庫からポテトサラダと氷とリンゴジュース、棚からウイスキーとグラス2つを出してくれました。

 

「……お疲れ様」

「お疲れ様」

 

静寂と月明りと、少しの眠気。

お酒とジュースがそれぞれ注がれたグラスが合わさって鳴る、軽くて高い音。

母娘水入らずの晩酌は、いつもは話せないことでも話せてしまう、そんな不思議な雰囲気があります。

 

「……友達がね、大変なの。やってることも言ってることも多分間違ってなくて。

 なのに、正しいことを頑張ろうとすればする程、どんどんひどいことになっていくの」

「よくあることさ」

 

アッサリと言われてわたしは少し驚いてしまいました。

 

「悔しいけどね、正しいことだけ積み上げてけばハッピーエンドが手に入るって訳じゃない。

 寧ろみんながみんな自分の正しさを信じ込んで意固地になる程に、幸せって遠ざかってくもんだよ」

「間違ってないのに幸せになれないなんて……ひどいよ」

 

うん、と静かに頷くママ。

 

「わたし、どうしたらいいんだろ……」

「そいつばかりは、他人が口を突っ込んでも綺麗な解決はつかないねぇ」

 

友達は、他人なのかな?

それとも、友達になれてないから他人なのかな……?

 

「たとえ綺麗じゃない方法だとしても、解決したいかい?」

「――うん」

「なら間違えればいいさ」

「え……?」

 

理解できなくて困惑するわたしの頭を、ママは撫でて微笑みます。

 

「正し過ぎるその子の分まで誰かが間違えてあげればいい。

 ずるい嘘吐いたり怖いものから逃げ出したり……。

 でもそれが後になってみたら正解だったってわかることがある。

 本当に他にどうしようもない程どん詰まりになったら、いっそ思い切って間違えちゃうのも手なんだよ」

「それがその子のためになるって、わかってもらえるかな……?」

「わかってもらえない時もある。特にすぐにはね。言ったろ、綺麗な解決じゃないって。

 その子のこと諦めるか誤解されるか、どっちがマシだい?」

「……」

 

答えられませんでした。どっちがマシか、まだわかりませんでした。

でもそんな時、マミさんやさやかちゃん、ドクターのみんなの姿が浮かんで。

そしてどうしてか、ほむらちゃんもその中に……。

 

「まどか、アンタはいい子に育った。嘘も吐かないし、悪いこともしない。

 いつだって正しくあろうとして頑張ってる。子どもとしてはもう合格だ」

 

ママはわたしの頭から手を離して、お酒を一口飲みます。

わたしも真似するようにリンゴジュースを口にして。

褒められた嬉しさと、まだ合格じゃないって言いたくなる思いがせめぎ合うのを受け入れようとします。

 

「だからさ。大人になる前に、今度は間違え方もちゃんと勉強しておきな?」

「勉強、なの?」

「若い内は怪我の治りも早い。上手な転び方覚えといたら後々きっと役に立つよ?

 大人になっちゃうとね、どんどん間違うのが難しくなっちゃうんだ。

 背負ったものが増える程ヘタを打てなくなってく。

 ひたすら正しくあろうとして、空っぽの自分を隠そうとする奴だっている」

 

人を救うためだけの存在、特別な聖人君子。

 

「それって、辛くない……?」

「生きてりゃ誰だって辛いのさ。

 でも、気軽にやめたいなんて思うんじゃないよ? 大事なのは続けることだ」

「……うん!」

 

……少し酸っぱくて、けど甘い。

わたしはそこでやっとリンゴジュースの味を感じられました。

いつの間にか目からポロポロ涙が零れていたことにも気付きました。

 

この溢れてくる気持ちはきっと、無視したり止めたり、捨てたり壊したりしちゃいけないものなんだ。

素直のままで素顔のままの、わたしの本当の気持ち。

 

運命をひっくり返すだけの奇跡を起こす力がわたしにあるなんて信じられないけど。

もし本当に夢や幻を掴む力があるなら、わたしは――

続編を三人称にしようか一人称にしようか迷っています。一場面でのキャラが増えるので三人称もいいですし、今まで通りキャラ毎の一人称も捨てがたい……。どちらが良いでしょうか?

  • 三人称
  • 一人称
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