仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】

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STAGE 08-02 (side:doctor-K.K.)

「これも才能の旅か?」

 

17時過ぎの鏡総合クリニック2階。終業から夕飯までの間のパトロールに出る前。

ガシャットギア デュアルを受け取ったパラドが、作業机の椅子に座る檀黎斗に問う。

大先生と白髪先生もβを1本ずつ手にしていて、永夢はマキシマムマイティX、自分は2本目の爆走バイクを渡された。

 

「はぁ~、まだ私のことを疑っているのか。何度言わせれば気が済むんだ?

 この世界は私の作ったゲームの中ではないし、私は魔法少女の契約に携わっていない。

 そして魔法少女や魔女のことを看過する気もない」

 

微塵の動揺も見せない。余裕の態度を崩さない。あと嘲笑。この前と同じ。

 

「でも、神の才能を持つ黎斗さんなら、僕たちがまだ知らないことにもとっくに気付いてるんですよね?」

「見え透いた挑発だな。……魔女と使い魔が急増している」

「そんなことは俺たちでも知っている」

 

早く結論を言えと言いたそうな大先生。

 

「ではその理由は?」

「! テメェ、知ってて黙って――」

 

詰め寄る白髪先生を檀黎斗は腕を伸ばして制止する。

 

「焦る気持ちはわかるが、人の話は最後まで聞いてもらおうか。

 もっとも、私は()ではないが。魔法少女と同じようにね」

「……ゴチャゴチャ勿体つけないで早く教えてくれませんかねぇ、()()?」

 

今度はフンとふてぶてしく鼻を鳴らして腕を組み直した。

 

「この説で間違いないという確証はないが、考えられる理由は多くない。

 私が特に疑っているのは、より強力な魔女の接近に()()()()()()()可能性だ」

「ワルプルギスの夜……今のコレがラスボス前のザコラッシュってこと!?」

 

自然災害とまで認識されるようなヤベーイ魔女。話には聞いていた。

なるほどソイツが近付いてきてる影響なら合点がいく、が

 

「まるでゲームの最終ステージみたいだなぁ?」

「やれやれ。そう言われると思って黙っていたんだ。

 私に隠し事があるのは事実だが、君たちも私に伝えていない情報がたくさんあるだろ?

 そのワルプルギスの夜の話も、私は聞いていない」

「テメェにベラベラ話す訳ねぇだろ」

 

しまった、という感じのニコちゃんを透かさずフォローする白髪先生。さっすが~。

 

「情報の共有は生存戦略における鉄則と、ドクターの君たちならよく知っているハズだが?」

「お前に情報渡したら、それこそ致命傷を招くだろ」

「パラドの仰る通りだわ」

「ワルプルギスの夜について心当たりはあるんですか?」

「……ヨーロッパで4月から5月に変わる夜に行われる祭りの名前だ。

 意味合いは様々だが、基本的には魔女たちの宴――サバトが行われるとされる」

 

檀黎斗の手の上でクルクル回されるマジックザウィザードガシャット。久し振りに見た気がする。

 

「Ich denke doch, das war recht klug gemacht:

 Zum Brocken wandeln wir in der Walpurgisnacht, Um uns beliebig nun hieselbst zu isolieren.*1

 ゲーテのファウスト内でも描写され、創作物でもよくモチーフにされているね」

 

ガシャットを弄ぶのを止めて立ち上がったその行く手は、大先生が阻んだ。

 

「お前のウンチクも出撃もノーサンキューだ。

 強力な魔女が近付いているというのなら、ハイパームテキガシャットの修正が最優先だろう。

 夕食作り兼監視役のポッピーピポパポと残り作業を続けろ。……これは院長命令だ」

 

やれやれと椅子に戻る檀黎斗。浮かない顔のポッピー。

階段を降りていく大先生に白髪先生とニコちゃん。

何か考えてからそれに続く永夢とパラド。

 

「――最後に1つだけ答えろ」

 

ついて行くフリを一瞬して、自分は振り返る。

 

お前は本当に檀黎斗なのか?

「……()()()()か。難しい質問だな」

「あ?」

「母親の胎内から産まれたそのままの存在は既にいない。パラドに消滅させられたのだからね。

 だがデータはプロトガシャットに保存されていて、私はバグスターとして復活を果たした。

 システムは完璧だ。消滅者の人格は完全に保存されている。最近で言うところの魂か。

 しかし、器に拘る君たちからすれば、復活した私を()()()()と呼べるのか?」

 

当たり前と言えば当たり前のハナシ、死んだらもう何も食べられない。

ロコモコもビーフストロガノフもイチゴリゾットも、二度と。

それと同じくらい当たり前のハナシ、死んだ人間は生き返らない。

だがその常識は、たったひとりの男によって揺らがされてしまった。

 

「君も同じだろう、九条貴利矢?

 私のリプログラミングで人間に戻ったが、君は本当に九条貴利矢なのか?

 

監察医の自分が、不可逆な死への叛逆を一番近くで経験する。

皮肉にしてはあまりにも残酷過ぎだ。

 

グーパーしようとすればできるし、ちゃんと触感もある。

この目は手を見れているし、話は聴こえるし、消毒液の匂いがしてるのもわかる。

口の中も、さっき飲んだ砂糖たっぷりのコーヒーの味が少し残ってるような気がする。

 

この身体と感覚、心は確かに自分のものだ。

あの雨の日のことも、単なる記憶じゃなく明確な実感がある。

死んだ実感はあるのに、今自分は生きている。

 

「私の場合、さらに引っ掛かりとなる点がもう1つある。

 君にバグスターとしてもゲームオーバーにされたハズなのだからね。

 にも拘らず今ここにいる私を()()()()と呼べるかとなると、一概には答えられない。

 ……だか、それでもハッキリと答えておこう」

 

 

「間違いなく私は檀黎斗だ」

 

 

 

 

 

それは神の名を捨てたという明言だったのか。

それとも、自分たちへの宣戦布告だったのか。

*1
だが随分気の利いたやり方だと思うよ。ワルプルギスの夜にブロッケン山へ来て、勝手にこんな方角へ避けてしまうとは。

続編を三人称にしようか一人称にしようか迷っています。一場面でのキャラが増えるので三人称もいいですし、今まで通りキャラ毎の一人称も捨てがたい……。どちらが良いでしょうか?

  • 三人称
  • 一人称
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