仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory 作:柳川 秀
「この世界にはスカイウォールの情報もない。
財団Xは存在するようだが……確信もない中手を出すのは得策ではないな」
平行世界移動装置エニグマを使った最上魁星の所属していた謎の組織、財団X。
死の商人であるその存在はドクターとしても許せないけど……。
あの火野映司さんたちでも全貌が掴めていないようだし、慎重にならなきゃいけない。
「うーん……ゲームならミッションとかあんでしょ?
それクリアしたら元の世界に戻れるって感じの」
「フン。そんな単純な話だと楽なんだがな」
「なにそれ!? バカにしてんの!?」
「イッテ!」
ニコちゃんにお尻を蹴られ、大我さんが小さく悲鳴を上げた。
「イチャイチャすんのは後にしてね~」
はやし立てる貴利矢さん。
彼が2人から同時に睨まれることも無視して、飛彩さんが冷静に黎斗さん(?)へ話の続きを促した。
「私たちのいた世界にはなかった事件も、少なくともバグスターやパンドラボックスレベルのものはない」
「ノーヒントということか」
「ヒント程ではないかも知れないが、気になる点ならある」
黎斗さん(?)がコンピューターを操作して、プロジェクターの画面を切り替える。
壁に出された表には、日付・地名・人数が並んでいた。
地名の欄には見滝原市の他に風見野市・あすなろ市などもある。
「近隣の事件か事故の一覧、ですか?」
「ああ。ここ数年で見滝原市周辺に限定しても、これだけの原因が明らかでない事件や事故が起きている」
「原因が明らかでない……?」
「予兆なしの失踪や自殺、唐突な発狂による殺傷などだ。
報じられているものに限るし、何らかの機関が隠蔽していることも考えられる。
いくら私でも、この短時間では省庁のサーバーをハッキングできないからね」
時間があればできるらしい。
衛生省のガサ入れは把握できていなかったけど。
人口が増えればそれだけ母数が増えるから、原因不明の事件や事故が多くなるのも当然だ。
でも、数年間だけで起きた件数にしてはどう見ても多すぎる。
「パッと見綺麗な街かと思わせて、実はすっごく治安悪いってこと!?」
「それか、そこにこの世界特有の異常があるってことか……」
アッチョンブリケ(古い)するポッピーと、窓の外を睨むパラド。
「省庁のサーバーをハッキングするにしてもリスクがある。
どこまで情報が得られるか不確かで、目を付けられる可能性もあるからね。
これ以上は実際に探索してデータを取る方が早く確実だ」
言葉からして黎斗さん(?)自身が出歩いて調べるということか。
怪しい感じもするけど、ほんの僅かな戦闘の間にビルドのデータを取ってガシャットを開発した彼なら、何かと遭遇した時そこから把握できることは多いのだろう。
「だが注意しなければならない。
この世界に呼ばれた時のバグの影響か、ガシャットの殆どが使えないようだ」
「「えっ!?」」
ハイパームテキガシャットとマキシマムマイティXガシャットを取り出してスイッチを押してみるけど、カチッと言うだけで起動しない!
他の皆(大我さんを心配そうに見るニコちゃんを除く)も同じように自分のガシャットのスイッチを押しては、起動しないことに驚いていた。
……待って。それだけじゃない!
「ない、ないっ! マイティノベルがなくなってる!」
「ちょっと! またアンタが何か仕掛けたんじゃないの!?」
大我さんを盾にしながらニコちゃんが黎斗さん(?)を責める。
すると彼は徐に白いガシャット……デンジャラスゾンビを構えた。
けど、それも(まだ人間だった)黎斗さんの適合をリプログラミングで初期化した時と同じように、起動していない。
「この通り、私のガシャットも起動しない。この世界に持ち込めていないガシャットもある」
僕のマイティノベルXと同じで、ゴッドマキシマムマイティXは持ってないようだ。
そしてデンジャラスゾンビも使えないということは、僕たちと同じ状況下にあるということ。
「どうやら、使えるのはレベル1に変身できるガシャットだけみたいですね」
僕のマイティアクションX。
黎斗さん(?)のプロトマイティアクションX。
飛彩さんのタドルクエスト。
大我さんのバンバンシューティング。
貴利矢さんの爆走バイク(1本目)。
パラドとポッピー(とニコちゃん)は変身できない。
「え? じゃあ自分、ゆるキャラかバイクってこと?」
黎斗さん(?)の眉間に皴が寄ったのを見て、貴利矢さんは何か言われるより先に手を打つ。
「で? もちろん修理することはできるんだろ、神の才能を以てすれば」
「当然だ。時間はかかるがな」
「……アンタ、
「九条貴利矢、君にゲームオーバーにされた直前さ」
今度は貴利矢さんの眉間に皴が集まった。
そのセリフが嘘か本当か図りかねている。
本当だとすれば、黎斗さん(暫定。以下普通に黎斗さん)はゴッドマキシマムでゲームを作ることもできないけど……。
「――まっ、そういうことにしといてやるか。
そんじゃ、しばらくはここに住むんだろうし、現地調査のついでに買い出ししますか」
「そうですね……。食糧とか、服もないみたいですし」
「え゛」
次に眉間の皴を濃くしたのはニコちゃんだ。
「ふ、服はアタシたちが買ってくっから! ほら、大我!」
「あ? 服なんざお前がテキトーに買ってくりゃいいだろ」
「荷物持ちが必要でしょ!」
「だったら他の奴m「うっさい!」
またお尻を蹴られる大我さん。
蹴られ過ぎてお尻固くなってそう。
「ここまで発展した都市に中心部と言える場所などないが、かなり巨大な複合商業施設があるな。
人と物が多い場所なら、得られる情報も多いハズだ。
そことは別方向に衣料品店の集まるショッピングモールがある。
かさばるし、花家先生とニコちゃんにはそちらへ向かってもらおう」
「二手に別れるのか。なら、俺も複合商業施設の方へ行こう」
飛彩さん、もしかしてスイーツ専門店を探したいんじゃ……。
「(その2人だとなんか不安なんで)僕も行きます」
「俺は永夢に付いて行く」
「んー。この拠点が狙われるって可能性もあるし、自分は大人しくお留守番しとくか。
判明してることをまとめとく必要もあるしな。この中ならそーいうのは自分の領分っしょ」
「じゃあ、ポッピーはキリヤのお手伝い!」
分担が決まったところで、ポッピーが僕にガシャコンバグヴァイザーⅡを渡してくれた。
「クロトが何かしそうになったら、これでポパピプペナルティだよ♪」
「……」
ポチッ。
「ヴェァァァァァ!」
あ、吸い込めた。
黎斗さんがバグスターであることは間違いないようだ。
「オイ! ココカラダセ! ソトニイナイトデータヲトレナインダゾ!」
「動作確認をと思って」
「エムゥゥゥゥ!」
「ウエッ。マジキモ!」
「シラけるぜ……」
「ピヨる……」