仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory 作:柳川 秀@尾上 愛【新人Vtuber】
STAGE 09-01 (side:magica-A.H.)
「はーい、それじゃあ自己紹介いってみよー」
黒板の前に立てばクラス中の視線が私に集まる。
怒られてる訳じゃないのに、同じように喉がキュッと閉まって声が上手く出せなくなる。
「あ……あのっ、ああ暁美、ほっほむらです……。
その……どうか、よろしくお願いします……」
「暁美さんは心臓の病気でずっと入院していたの。
久し振りの学校だから色々と戸惑うことも多いでしょう。みんな助けてあげてね」
最初から私の代わりに言ってくれればいいのに、と少し恨めしくなった。
もちろん早乙女先生に悪気なんてないのはわかってる。
彼女は黒板に私の名前を5文字丁寧に書いた。
暁美ほむら――私は私の名前が嫌いだった。
漢字にすれば焔。一昔前の不良グループや暴走族みたい。
今時三つ編み眼鏡の私にとって、嫌がらせのようにも思えることがあった。
「ほむらってすごい名前だね」
それにほら、ホームルームが終われば早速私はクラスメイトに囲まれて、質問攻めに遭う。
「前はどこの学校だったの?」「部活とかやってた?」「毎朝編むの大変じゃない?」
「あの、私、その……」
「暁美さん。休み時間には保健室でお薬飲まないといけないんでしょ?
みんなごめんね。わたし保健係だから、案内しなくちゃ」
誰からも恨みを買ことなくその場を収めて、私を教室から連れ出してくれたのは。
春の陽だまりのような心に染み入る笑顔の少女だった。
「ごめんね。みんな悪気はないんだけど……転校生なんて珍しいからはしゃいじゃって」
「いえ! その……ありがとうございます」
「そんな緊張しなくていいよー。クラスメイトなんだから。
わたし、鹿目まどか。まどかって呼んで」
鹿目まどか――まどか。まるいとか穏やかな様子を意味する名前。
その微笑みは私の心の壁を擦り抜けて、優しく輝きを放つかのよう。
「わたしも、ほむらちゃんって呼んでいいかな?」
「私、あんまり名前で呼ばれたことってなくて……すごく変な名前だし……」
「え~? そんなことないよ。
なんかさ、燃え上がれー! って感じでカッコイイと思うなぁ」
「……名前負け、してます」
「そんなの勿体ないよ。せっかく素敵な名前なんだから――。
ほむらちゃんもカッコよく変身しちゃえばいいんだよ」
「君は休学してたんだっけな。友達からノートを借りておくように」
「準備体操だけで貧血ってヤバイよね」
「半年もずっと寝てたんじゃ仕方ないんじゃない?」
無理だよ……私、なんにもできない。
得意な学科とか人に自慢できる才能とか、なにもない。
どうして私だけこんな身体なんだろう?
どうして私だけこんなに苦しい人生なんだろう?
人に迷惑ばっかりかけて、恥かいて、どうしてなの?
私、これからもずっとこのままなの?
「だったらいっそ、死んだ方がいいよね」
「死んだ方がいいかな……」
「そう、死んじゃえばいいんだよ」
「死んでしまえば――はっ!?」
橋の上を歩いて帰っていたハズなのに、私はいつの間にか別の空間にいた。
赤い空には雲が斑に混じっていて、地鳴りと共に巨大な石造りの門がそびえる。
そこから下書きのような線で出来た人型が現れて、よろよろと私に近付いてきた。
「いやあああああああっ!!」
死を覚悟して叫んだ瞬間、私は光に包まれていることに気付く。
「間一髪ってところね」
目の前には黄色を基調にした衣装の少女と
「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん」
ピンクを基調にしたフリフリで可愛らしい衣装の、小柄の少女。
その笑顔は包み込んでくれるようで、まだこんな所にいるのに安心できてしまう。
『彼女たちは魔法少女。魔女を狩る者たちさ』
見たこともない真っ白な生物が隣に座っていて、口も動かさずそう言う。
「いきなり秘密がバレちゃったね」
ピンクの魔法少女は――鹿目まどかさんは、照れたように微笑んだ。
「クラスのみんなには、内緒だよっ!」
灰色の空の下、崩れいく街の中。
たったひとりで強大な存在に挑もうとしている少女を、私は心配して見ている。
「じゃあ、行ってくるね」
「そんな……巴さん、死んじゃったのに……!?」
どれだけ彼女が多くの火器と多くの策を以てしても、倒すことはできないだろう。
古から幾度も現れ、人々には自然災害として認識されている程の存在。
巴マミさんですら敗れてしまったのに、ひとりで倒すことができるハズない。
「だからだよ。もうワルプルギスの夜を止められるのは、わたしだけしかいないから」
「無理よ! ひとりだけであんなのに勝てっこない! 鹿目さんまで死んじゃうよ!?」
「それでも……わたしは魔法少女だから。みんなのこと、守らなきゃいけないから」
「ねぇ、逃げようよ……。だって仕方ないよ……。誰も鹿目さんを恨んだりしないよ……」
「ほむらちゃん。わたしね、あなたと友達になれて嬉しかった。
あなたが魔女に襲われた時、間に合って。今でもそれが自慢なの。
だから……魔法少女になって本当によかったって、そう思うんだ」
春のような温かい笑みが、冷たく凍り付いた世界に一凛だけ咲いた。
「さよなら、ほむらちゃん。元気でね」
愚かで脆弱な人間には絶対に届かない運命というものがある。
「ひどい!」「こんなのってないよ!」と嘆いても、今の私にこの運命を変える力はない。
ひとつの契約を結ばない限り……。
私にも、避けようのない滅びの結末をひっくり返すだけの奇跡を起こすことができるなら――
「私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。
彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい」
次の瞬間、私の意識がプツリと消えた。
続編を三人称にしようか一人称にしようか迷っています。一場面でのキャラが増えるので三人称もいいですし、今まで通りキャラ毎の一人称も捨てがたい……。どちらが良いでしょうか?
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三人称
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一人称