仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory 作:柳川 秀
「あのさぁ……キュゥべえがそんな嘘吐いて、一体何の得がある訳?」
「それは……。私にもよくわからなくて……」
「あたしたちに妙なこと吹き込んで、仲間割れでもさせたいの?
まさかあんた……ホントはあの杏子とかいう奴とグルなんじゃないでしょうね?」
「ち、違うわ!」
「さやかちゃん……それこそ仲間割れだよ」
「はぁ……どっちにしろ、あたしこの子とチーム組むの反対だわ。
いきなり目の前で爆発とかちょっと勘弁して欲しいんだよね。
2人は飛び道具だから平気だろうけど、あたし何度巻き込まれそうになったことか……」
「美樹さんの話にも一理あるわね……。暁美さんには爆弾以外の武器ってないのかしら?」
「……ちょっと、考えてみます」
「大丈夫、美樹さん?」
「あ……う、うん……」
「後は
「……うん」
「あ、オイっ!?」
(体が軽い!)
「マミ、ひとりで出過ぎだぞ!」
(心が躍る!)
「巴さん、力を合わせないと!」
(重い荷物がなくなっちゃったみたい!)
「なんか、変じゃない……?」
(こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて!)
「……マミさん?」
(ひとりぼっちじゃないもの!)
「マミさんが死んじゃった時、仁美と恭介のことで頭がいっぱいで、ボーっとしてたんだ。
しっかりしてれば、マミさんを助けることくらい本当はできたんだ」
「なんで……なんでお前が自分を責めなきゃならないんだよ……?」
「誰も悪くなんかないよ! マミさんが死んじゃったのはすごく悲しいけど……。
でもそれはさやかちゃんのせいじゃないよ!」
「……まどかは優しいよね。
いつもフォローしてくれるのは嬉しいけど、そういうの時々ちょっとつらいっていうかさ。
こんなあたしでもま一緒に組めるって言うなら、あんたたちのこと幻滅するかも」
「っ! 美樹さん、そのソウルジェム――」
「どうなってやがんだ……!?」
「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって、いつだったかあんた言ってたよね。
今ならそれよくわかるよ。確かにあたしは何人か救いもしたけどさ。
誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。
あたしたち魔法少女って、そういう仕組みだったんだね」
「テメェ一体何なんだ!? さやかに何しやがった!?」
「さやかちゃん、やめて! お願い、思い出してっ!
こんなこと、さやかちゃんだってイヤだったはずだよ!? ああっ!!」
「鹿目さん! しっかりして、ねぇ!?」
「――一度くらい、幸せな夢見させてよ」
「佐倉さん……?」
「行きな。コイツはアタシが引き受ける」
「で、でも――」
「アンタにとって、よっぽど大事なお友達なんだろ?
だったら行きなよ。ただ一つだけ、守りたいものを最後まで守り通せばいい。
……ハハハ、なんだかなぁ。アタシだって今までずっとそうしてきたハズだったのに。
それに……不出来な先輩が――家族が一因のことだ。尻拭いくらい、任せてくれ」
「っ……。ごめん、なさい……」
「――心配すんなよさやか。ひとりぼっちは、さみしいもんな」
灰色の空の下、崩れいく街の中。
私たちは結局ふたりだけで強大な存在に挑む。
多くの火器と多くの策を以てすれば、必ず倒すことができる。
古から幾度も現れ、人々には自然災害として認識されている程の存在。
一度は倒したことのある相手だ。対策だって立ててきた。
鹿目さんが涙を堪えて矢を放ち続ける。
私はあるだけの爆弾を全て投降して、残弾も全て撃ち切る。
いつどのタイミングでか、ハッキリと覚える余裕はなかった。
見滝原は壊滅状態だけど、ともかくワルプルギスの夜は倒せた。
でも、寄せ合った手の平のソウルジェムは、2つとも濁り切っている。
「わたしたちも、もうおしまいだね……」
「……グリーフシードは?」
首を横に振る鹿目さん。
「そう……。ねぇ、私たちこのままふたりで怪物になって……。
こんな世界、何もかも滅茶苦茶にしちゃおっか……?」
その視線が自分に向いたことがわかって、私は言葉を続ける。
「嫌なことも悲しいことも、全部無かったことにしちゃえるぐらい壊して、壊しまくってさ。
それはそれで、いいと思わない?」
辛いことの多い人生を送ってきた。
弱い心臓のせいで普通の子と同じように生きてこれなかった。
普通の子たちの笑顔が憎く見えてしまうことさえあった。
そしてその度に、そう考えてしまう自分を嫌いになった。
そんな極寒の私の世界に、あなたは春の陽だまりを注いでくれた。
もし終わる運命が避けられないとすれば、その瞬間はあなたと一緒に終わりたいと、そう思ってしまうのだ。
「え……?」
コツンと、何かが私のソウルジェムにぶつかる。
隣を見れば、嘆きの種の向こうに春のような温かい笑みが一凛咲いていた。
「さっきのは嘘。1個だけ取っておいたんだ」
「そんな……なんで私に!?」
「わたしにはできなくて、ほむらちゃんにできること……お願いしたいから。
ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?
こんな終わり方にならないように、歴史を変えられるって、言ってたよね?」
零れ落ちた涙が頬を伝う。
握り締めた手から、少しずつ温もりが消えていく。
「キュゥべえに騙される前のバカなわたしを、助けてあげてくれないかな?」
「……約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。
何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!」
「よかった……。もう一つ、頼んでいい? わたし、魔女にはなりたくない。
嫌なことも悲しいこともあったけど、守りたいものだってたくさんこの世界にはあったから。
たとえここで終わる時間でも、わたし、この世界を破壊したくなんてないから……」
「っ……まどか!」
「ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。嬉しいな……」
「ああ! うっ……うわあああああああああああああ!!!!」
黒く濁っていくまどかの水晶を、私は撃ち砕いた。