仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀

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STAGE 10-02 (side:magica-M.O.)

『僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ』

 

「私は、私が生きる意味を知りたい」

 

 

 

かつて私はそう祈り、確かに願い事は叶えられた。

私の行く末は予知能力によって示された。

でもそれは絶望の未来。

 

ワルプルギスの夜さえ凌ぐ力を持つ魔女。

ピンク色の魔法少女が変身した、世界の破壊者の誕生。

終末を避けたければ……あの少女が死ねばいい。

同時に、再び悪事を成す恐れのある()()()を排除しなければならない。

 

異世界から仮面ライダーが来訪することも予知していた。

巴マミの死、美樹さやかの魔女化、佐倉杏子の脱落……。

私の予知夢とはかなり異なった運命を歩んできたことも知っている。

あの男が逃走したことも。

 

 

 

「檀黎斗ォ!

 何故貴方が宝生永夢たちの、その後の物語を知らないのか。

 何故その程度のゲームしか思いつかないのか。

 何故キュゥべえ如きに敬服するのかァ!

 その答えはただ一つ……ハァハァ。

 檀黎斗ォ!

 貴方が! 本物の檀黎斗の、Dead Copyだからだぁー-ーッ!!」

 

プロトマイティアクションXガシャットオリジン。

ドクターたちが来訪する前にこの世界へ流れ着いた異物。

そのバグから生まれた檀黎斗の非正規模造品(デッドコピー)浅古小巻(青い魔法少女)と行方晶をゲーム病によって消滅させた。

美国織莉子()と呉キリカは遊び手(Player)として彼のゲームに挑み、祈り(Prayer)を遂げた。*1

 

キュゥべえにプロトマイティアクションXガシャットオリジンを拾わせたのはわざとだ。

結果、檀黎斗は彼に注意を向け

 

「ゴッドマキシマムマイティは持ってないんじゃなかったのか!?」

「私が開発したガシャットにも、魔法を扱える物はあるんだよ」

 

仮面ライダーに魔法性を与えることに成功し

 

≪DANGER DANGER≫

≪DEATH THE CRISIS≫

≪DANGEROUS ZOMBIE≫

 

巴マミの死を回避し

 

『一体君は、何が目的だい?』

「……その答えはただ一つ。私のガシャットを返してもらおうか」

 

キュゥべえからガシャットを回収し

 

「私のゲームは必ず人類を救うよ」

 

魔法少女の真実を知って

 

「私に絶望は訪れない! もう何があっても挫けない!!

 即ち――コンテニューしてでもクリアする」

 

美樹さやかの魔女化と佐倉杏子の脱落を防いでみせた。

 

「……アンタ、どの時点での檀黎斗なんだ?」

「九条貴利矢、君にゲームオーバーにされた直前さ」

 

終末の未来を、神の才能を持ち命を尊ぶあの男ならどうにかできるかもしれない。

愚かで脆弱な人間には絶対に届かない運命を、ひっくり返してくれるかもしれない。

そう少しは思っていた、のに――檀黎斗はドクターたちの前から姿を消した。

 

仮面ライダーと魔法少女の物語は、結局あの男によって水泡に帰するのか。

あの少女のエンディングは、インキュベーターの筋書き通りとなってしまうのか。

そんなことは許さない。許せない。

だから、ずっと息を潜めていた私たちは今こうして再び動き出した。

 

 

全ては私の世界を守るために――今度こそ鹿目まどか(あの少女)を殺そう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市立見滝原中学校は中世西洋風の外観とガラス張りの現代的な内装が合わさった、とても美しい場所だ。

血で染めるのは心が痛むけど、やめはしない。

もちろん生み出す犠牲は最小限に留めるつもりだけど。

 

「ヨシ! この先生、ちゃんと気絶してるよね?」

「教師に暴力を働いたなんて知れたら、休学は免れないわね」

「ハハ! 織莉子、そういう冗談も言えるんだ!

 私たち、これから鹿目まどかを殺すんだよ?

 それに……この先生、前からちょっと気に入らなかったし」

「あらあら」

 

私の右腕――友達のキリカが見滝原中の生徒で良かった。

予知の魔法を使うまでもなく中へ侵入し、朝礼前の放送室を占拠できた。

 

「準備はいい?」

「まさか。こんなこと、心の準備なんてできっこないわ。

 たとえ世界を救ってもきっと赦されない」

「織莉子は誰に赦されたいの?」

「キリカ……貴女、結構イジワルよね」

「と、友達の扱いっていうのに慣れてないんだよー!」

「……ごめんなさい」

「……私もキミも赦されないが、それでもやるんだろう?」

「ええ。今のが、私が口にする最後の懺悔」

 

放送ボタンに手を伸ばすと、そこにキリカの手が重ねられた。

これから失われるそのぬくもりを、今はそっと覚えておこう。

 

「皆さんには、愛する人がいますか?」

 

もしこの世界にヒーローが存在するとすれば、私の行いを認めはしないだろう。

 

「家族、恋人、友人……心から慈しみ、自らを投げ打ってでも守りたい人がいますか?

 そして、その人たちを守るに至らぬ自分の無力を嘆いたことはありますか?」

 

どんな逆境でも決して諦めずに立ち向かい、人の命を救う。

 

「世界は危機に陥っています。

 絶対的な悪意と暴力、それが形成した者が降りようとしています。

 しかし私は戦う……! 私の世界を守るために!!」

 

そんなヒーローが予知すら超えた未来にいるとしても――

 

 

 

「来るがいい、最悪の絶望」

 

 

 

私たちはこの手で、運命の連鎖を断ち切る。

*1
『[裏技] 仮面ライダーゲンムVS魔法少女おりこ☆マギカ ロンリー・プレイヤー』(https://syosetu.org/novel/178743)


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