仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀

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STAGE 10-05 (side:doctor-H.E.)

≪テッテレテッテッテー≫

 

「は?」

 

バグスターワープを応用した奇をてらう行動に、呆気に取られるほむらちゃん。

その隙に黎斗さんはサッと銃を奪い取り、腰に巻いたゲーマドライバーを見せつけた。

 

「今私はいつでもハイパームテキを発動できるようセットしている。

 このガシャットは文字通り無敵だ。あらゆる攻撃を一切無効化する。

 もちろん魔法性も与えた。時止めも通じない。無駄な抵抗は止すんだな!」

「なん、ですって……?」

 

ほむらちゃん以外の子たちも驚いているけど、僕以外が使えるのは10秒間だけ、とは言わない。

 

「檀黎斗……」

「美国織莉子……私は君たちが相手していた()ではない。

 しかし引き継いだ者として、君にクリア報酬を授けよう!」

 

黎斗さんの手から差し出された2枚のエナジーアイテムを、織莉子ちゃんは怪しみつつも受け取った。

 

≪回復!≫

 

片方を自分に使い、まだ睨んでくるほむらちゃんを彼に任せ、

 

≪回復!≫

 

ポッピーの所へ走って行ってもう片方をキリカちゃんに使う。

 

「ん、むあ……」

「よかった! 目がさめぐあっ」

「織莉子ぉー! ありがとう織莉子!!

 試合には負けたけど勝負には勝ったってヤツだね!

 私たちの愛は不滅だぁーーーっ!!」

 

キリカちゃんはポッピーの腕から飛び出して織莉子ちゃんに抱き着いた。

織莉子ちゃんは、子どもをあやすようによしよしとキリカちゃんの髪を撫でている。

まだソウルジェムは予断を許さない状態かもしれないけど、一先ずピンチは去ったようだ。

 

「ったーく、色々とやってくれるじゃないの。

 ぜーんぶキッチリ説明してもらうぜ、檀黎斗神?」

「……私が君たちと同時にこの世界へ現れたのは嘘じゃない。

 しかし、何故かプロトオリジンだけは先に流れ着いていた。

 そこから生まれた私の非正規模造品(デッドコピー)が魔法少女殺しの正体だ。

 呉キリカが過失で殺してしまった、と思い込んでいた魔法少女に、彼はゲーム病を感染させた」

()()……遺言は、間違いではなかったのね」

 

納得するマミちゃんに次いでポッピーが喜び出す。

 

「じゃあその子は……!」

「ああ。他の消滅者と同じく、プロトオリジンの中に保存されているよ。

 やがて彼は全ての真実を知り、魔法少女システムをゲームに利用しようとし。

 最終的に、目を付けていた美国織莉子と呉キリカに倒された。

 プロトオリジンをキュゥべえに回収させたのは――」

「ええ、わざとよ。貴方はキュゥべえに注意を向け、未来は徐々に変わった」

「織莉子の筋書き通りにいったね!」

「プロトオリジンを取り戻した私は彼の記憶を吸収し、メモを書き直した。

 最低最悪のエンディングを避けるための攻略手順に、ね。

 悩みの種だった彼女たちの動向も、忘却の魔女のフィルムデータで知ることができた。

 宇宙からずっと魔法少女を記録していたのかも知れないが……定かではない」

「あの気持ち悪い脳みそ魔女ね……」

「あ、オリコたちも映ってたかも!」

 

さやかちゃんの言う通り異形な魔女だったけど、ゆまちゃんはその中で織莉子ちゃんたちを見付けていたらしい。

 

「なんで急に事を起こした?」

「もうすぐワルプルギスの夜が来るからさ」

 

黎斗さんは当たり前というように大我さんの質問に答えた。

 

「私の作ったハイパームテキさえあれば敗北など有り得ない!

 だが敵は自然災害級。優秀なドクターが数人いても手が足りないだろう?

 誰も落とさず、しかも更なる戦力を得る必要があった」

「初めから協力してって言えばいいじゃん!」

「見滝原・風見野・あすなろ……他にも魔法少女がいるだろ?」

「下手に真実を語れば一気に絶望が加速しかねない。

 噂話として広まれば、誇張が加わり混乱を招く恐れもある」

 

ニコちゃんとパラドの言うこともわかるけど、黎斗さんの返しにも一理ある。

 

「それに、私が頻繁に単独行動していれば君たちが黙っていなかったハズだ。

 だから鹿目まどかと出会い、自ずと真実を知る魔法少女に絞った。

 美国織莉子はもちろん、呉キリカと佐倉杏子も優秀な戦力だよ」

「裏があるとは思ってたが……アタシたちは駒扱いかよ」

「院長として聞く。デッドコピーとやらはこうなることを予測していたのか?」

「敢えてゲーム病に感染させ、レベル1で魔女の成分ごと切り離させ、戦力にする……。

 彼がこの未来を予知していたかは不明だ。

 私の姿をしただけの他人と言っても過言ではないのだからね。

 2人の動向を探り、万全の準備をし、襲撃と妨害のタイミングを調整したのはこの私だ!」

「……僕たちに黙ってたのはどうしてですか?」

「君たちに邪魔されず自由に動くため、というのもあるが……。

 一番の理由は、暁美ほむらにさとられず彼女の魔法を解明するため。

 美国織莉子と戦わせ、彼女の魔法に関するデータを集めるためさ」

「ほむらちゃんの魔法って……時を止める魔法?」

 

まどかちゃんの呟きの後、ほむらちゃんから少し距離を取る黎斗さん。

 

「時を止めると一口に言っても理屈は様々だ。

 喩えるなら、時間の流れは走り続ける車。

 エンジンを破壊する、ブレーキを掛けさせる、パンクさせる……。

 タイヤを止めるという結果は同じでも過程は異なる。

 暁美ほむらは何をしているか……確証を得るまで苦労した甲斐はある。

 彼女の魔法では時間の流れる力に変化はない。タイヤは止められていない。

 走り続けようとする車を、魔法という腕を使い無理矢理押し止めている。

 では――止めるに留まらず()()()()()()()()()()としたら?」

「そんなことしたら、車は後ろに――」

 

自分の言葉に、仮面ライダークロノスの姿が……檀正宗の姿が脳裏を過った。

 

「君の隙のなさは本当に私を手こずらせてくれたよ……」

 

黎斗さんがほむらちゃんを真っ直ぐに指差す。

かつて僕がゲーム病であることを暴露した時のように。

 

「「ッ!!!」」

 

あのセリフを知っている人は全員が身構えた。

様子の変化に気付いて、魔法少女たちとまどかちゃん、ゆまちゃんも疑心に満ちた目を黎斗さんに向ける。

けど僕は――。

 

「鹿目まどかを魔法少女にさせない……君はそう動いていた。

 今こそ君の旅が終わる時だ。その真実を、明かす!」

 

 

 

宝生永夢()檀黎斗()はとてもよく似ている。

命を尊び、独り善がりで、ひとりで遊び相手(Player)を求め祈り(Prayer)続ける悲しさを抱く。

 

 

 

 

 

だからこそ、黎斗さんは僕が――僕が信じなきゃ(I gotta believe)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暁美ほむらゥ!

 何故君がキュゥべえと契約せずに、魔法少女に変身できたのか。

 何故秘められた事情に詳しいのか。

 何故時に関する魔法を司るのくわァ!」

「っ、それ以上言うな!」

「その答えはただ一つ……」

「やめなさい!」

「アハァー♡ 暁美ほむらゥ!」

「ッ!!」

「君が! 時間を押し戻し、

 鹿目まどかを救おうとしている少女だからだぁーーーッ!!

 ハハハハハッ!!

 ヴェーハッハッハッハッハッハッハ!!!」

「ほむらちゃんが、時間を……!?」

「わたしを救おうとしてる!?」

「……もう、全て話す時よ」

 

 

 

ポーズ、リセット、リスタート、コンテニュー。

膝から崩れたほむらちゃんが明かすのは、彼方からの(dream)

友達を救うために運命へ叛逆した少女の物語。

 

 

 


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