仮面ライダーエグゼイド×魔法少女まどか☆マギカ [改編]翻転のstory   作:柳川 秀

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このゲーム――最後に勝つのは


ステージ11『僕らの心はexcite』
STAGE 11-01 (side:magica-K.K.)


「きゃ~~~~!!!」

 

普段静かな美国邸に大きな声が響いた。

私にはわかる。織莉子のソレは悲鳴ではなく歓声だ。

 

「やったわ! 初めてスポンジが上手くできた!

 ふかっふかっ。ふっかふかよ!!」

 

ただ、その感謝が向けられるのが私ではないということには少しムッとしてしまうね。

 

「ありがとうポッピーさん!」

「私もケーキを焼くのは初めてだったけど、大成功だね!」

 

まるで母親みたいな優しい目でそう言ったのは、えっと、ポッピーピポパポ。

噛んでしまいそうな名前の、檀黎斗と同じバグスター。

 

私と織莉子が見滝原中を襲って、魔法少女と仮面ライダー……檀黎斗に阻止された次の日。

学校が急遽休みになったので、全員でワルプルギスの夜(ラスボス)に挑む前に親睦会が開かれることになったのだ。

織莉子とポッピーは2人してキッチンで料理を準備している。

 

「お母様がよく作ってくれていたのだけど、ずっと上手くできなかったから……本当にうれしい」

「そっか……どうしても今日、成功させたかったんだね」

「おい、手が止まってるぞ」

 

あと、パラドっていうバグスターもテーブルの準備とか(私もその係だけど)で屋敷の中にいた。

 

「うるさいなー。私にとっては織莉子が最優先なんだ。邪魔しないでもらえるかな?」

「俺たちはその織莉子の協力者だぞ」

「ム。その言い方はズルいね」

 

織莉子以外のなにもかもがどうでもいいのは本当だ。

でも、たしかに彼ら彼女らは織莉子の()()()()()って願いのために必要不可欠な要素。

悔しいけど、私だけじゃ手が足りないんだからゾンザイにもできない。

 

「わかったよー。働かざる者食うべからずとも言うしね」

 

テーブルクロスの皴を伸ばす伸ばす。丁寧に伸ばす。

聞き耳は立てたままだけど。

 

「もっと早く出会えて、もっと早くお話できてたら……なんて、言わない方がいいのかな」

「私は……暁美ほむらと同じ。それがたった一つの道だと信じ込んでいた。

 鹿目まどかを殺すことで全てが解決する、と……。

 そんなことに協力してくれる人が簡単に見つかるハズもないとわかっていた。

 だから誰に頼ることもできなかった。しなかった」

 

唯一私を除いて。

 

「そういえば……予知夢を介してなのかしら?

 何度も何度も、繰り返し私を問い質す声が聞こえていたの。

 ()()()()()()()()()()()() と……。

 あの声はデットコピーのものだったのか、それとも……」

「クロト……?」

「わかりません。今となっては確かめる手段もありませんし……。

 今の彼は、()()と呼んでいいんですか?」

「う~ん。クロトピーみたいなバックアップでもないし、そう、なのかなぁ……」

「貴女でもそれはわからないもの?」

「クロトのこと理解するのってすっごい大変なんだよ!」

「フフ、そうでしょうね。

 不思議な人……未だに、本当は何を考えて何を成そうとしているのかわからない」

「うん……。でもきっと、今は私たちの味方って言っていいと思う」

「――なぁ」

 

椅子を並べながらパラドが再び私に話しかけてきた。

 

「まったくぅ。まだなにか用? 今はちゃんと手を動かしてるだろー?」

「お前が殺したと思ってた奴がゲンムの――デッドコピーの手でガシャットにデータが保存されてるって知った時、どう感じた?」

「……なんだい、その質問?」

 

一瞬だけ手を止めて私を真っ直ぐ見つめると、パラドは働くのを続けつつ語り出す。

 

「俺は元の世界で人を殺した。ソイツらのデータもガシャットの中にある。

 コンティニューできない命の意味を俺はわかってなかった。

 永夢に自分がしでかしたことの大きさを、命の重みを教えられたとき……心が震えた」

「……。だから、私も同じなんじゃないかって?」

「お前が織莉子第一なのはもうわかった。でも、俺たちはチームだ。

 織莉子じゃない、お前自身の気持ちを聞きたい」

 

そんなもの――

 

「決まっているだろう? 嬉しかったさ」

「それは……相手が織莉子の友達だったからか?」

「遠慮もなにもないね君……。一番にあるのはたしかにそうだね。

 けど、それだけじゃない。……織莉子の中には迷いがあった」

 

世界を救うことに対してではなく、そのために何を見捨て何を壊すかに。

その迷いにデッドコピーなのかそうじゃないのか、アイツがつけこんでいた。

 

「誰も犠牲にせず世界を救えるならそれが最高に決まってるだろう?

 もしあのまま互いに心を壊しあって事を進めていたら、私は第二の()()()()()()になっていたかも。

 そうならなくてよかったと心から思うよ。……この答えで満足かい?」

「……ああ」

 

手が差し出された。

握手を求めてくるのが一人、私の前にいた。

 

「君たちは向こうの世界を救ったヒーロー様なんだろう?

 いいさ。私たちが手を組めばきっと不可能なんてないからね!」

「任せとけ! 協力プレイで、決着をつける!」


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