ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第38話 シャア、ぶっちゃける Bパート

「なんだと?」

 

 自分の位置を正確に読んで跳んで来るガンキャノンにシャアは驚愕する。

 慌てて迎撃するが、ガンキャノンはそれすらも見通していたかのように胸部側面にある姿勢制御用スラスターを巧みに使い直撃を回避。

 飛び込んでくる。

 

「しまった!」

 

 ガンキャノンのヒートホークが135ミリ対艦ライフルを両断する!

 

 

 

 着地したガンキャノン。

 アムロは再びヒートホークを振るうが、シャアもまたヒートホークを抜きそれを受ける。

 プラズマ化した刃同士が打ち合い、激しい火花が散る。

 しかし無理な体勢から振るったせいか、ガンキャノンのヒートホークは払いのけられ、空いた腹部にFZ型ザクの前蹴りが炸裂。

 

「ぐぅっ!」

 

 吹き飛ばされる。

 

 

 

 蹴りを使った攻撃。

 シャアの機体の選択肢にはリック・ドムも候補に上がっていたが、末端肥大型の脚部を持つドム系の機体は慣性モーメントの問題から振り回されやすく、このような素早い蹴り技には向かないという短所を持つ。

 それゆえに敬遠されたという面もあった。

 逆に言うと人体に近い体形を持つザク系の機体を選んだがゆえに得られた好機。

 

「止めだガンキャノン!」

 

 ダウンしたガンキャノンに、シャアはヒートホークを振り下ろし追撃を仕掛ける!

 

 

 

 アムロはヒートホークを捨て、横にゴロゴロと転がることで何とか避け続ける。

 

「ああっ、も、もう少し早く反応してくれ!」

 

 

 

 転がりながら避け続けるガンキャノンを追いかけ、勝ちを決めようとするシャアだったが、

 

「なに!?」

 

 ガンキャノンは流れるように起き上がると、左腕による上受けで踏み込んできたFZ型ザクのヒートホークを握った右腕を跳ね上げた!

 そうしてがら空きになったボディにパンチ、中段突きが炸裂する!

 

 

 

「シャア!」

 

 ガンキャノンが見せたのは少林寺拳法における『横転より起き上がり』と呼ばれる体捌きだ。

 投げ技や関節を極められ地面に転倒させられた後、横に転がることで追撃を避け、その回転を利用して足を引きつけ、伸ばし、流れるように起き上がる。

 もちろん追撃に備え起き上がった身体は敵の方を向いており、反撃に転じるという流れだ。

 

 ガンキャノンの教育型コンピュータのライブラリには主要な格闘技、スポーツのデータが入れられていて、ある程度の再現や応用ができる。

 ミヤビが前世での経験から少林寺拳法の技を紹介していたこともあり、アムロはそれを受けてガンキャノンのライブラリから少林寺拳法の主要な技を学習しアクティブに設定していた。

 それがここで生きたのだ!

 

 さらに、

 

「バァルカン!!」

 

 と『機動武闘伝Gガンダム』の主人公ドモン・カッシュのごとく叫びつつトリガーを引き絞るアムロ。

 教育型コンピュータにインストールされたサポートAI、サラシリーズは操縦者のやりたいことを察してフォローしてくれる機能を持つ。

 つまり感情もあらわに叫ぶとAIの読み取り精度が上がり、機体制御が向上するのであり……

 バルカンもまた命中精度が上がり、結果として与えるダメージが上昇するのだ。

 畳みかけるように放ったバルカンの連射が、ザクを捉える!!

 

 

 

 日本では平安、鎌倉時代に馬上で弓を射る騎射戦が主流となり、大鎧と呼ばれる甲冑が生まれた。

 この大鎧には大袖と呼ばれる肩から上腕部を防御する楯状の部品が取り付けられ、矢を射かけられた場合に持ち盾の代わりにかざして身を守るものだった。

 大鎧はそれ以降の戦術の変化により廃れていったが、それでも日本では盾を使用しないことが一般化し、戦場では具足、甲冑の袖を前に垂らすように構えることで防御を行っていたという。

 

 ザクの右肩に固定されたシールドは日本の甲冑の大袖、袖と呼ばれる部品と同じく、両手を使って武器を操りつつも上手くかざすことで防御を行うことができるものだ。

 もっともミヤビの記憶の中にある『機動戦士ガンダム』劇中ではシャアがガンダムのバルカンをこれで受けていたが、それ以外のパイロットが活用していた描写は少なく、利用には技術が必要だったということが見て取れた。

 そのせいかガンダムのゲームではザクにシールド防御が無いとされたものもあったぐらいである。

 

 一方『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』劇中のFZ型ザクの描写では、このシールドは割とフレキシブルに動いており、それを再現するためにプラモデル『RE/100 ザクII改』では肩とシールドを接続するパーツとして自在に動くアームジョイントが配されていた。

 後に連邦軍でもジェスタやグスタフカールなどが、バックパックから伸ばしたサブアームでシールドを肩口に保持していたが、それに準じた機構が採用されていたと言えよう。

 

 シャアはガンキャノンのパンチを受け後方に弾き飛ばされながらも、このシールドを保持するアーム機構を利用し、右肩のシールドを機体の前にかざして防御する。

 それによりある程度は防ぐことに成功するが、しかしそれでも庇いきれない部位に着弾が走る。

 

「チィッ!」

 

 統合整備計画の適用によって生産されたFZ型ザクの装甲は従来の超硬スチール合金からチタン合金・セラミック複合材に変更されているが、アムロのガンキャノンの頭部60ミリバルカン砲もまた、ジャブローでのアップデートで史実のガンダムNT-1アレックス搭載の新型と同等のものに改められている。

 この至近距離での直撃はシャアの機体に結構なダメージをもたらしていた。

 

「ええい、慣らし運転もしないで使うと!!」

 

 とっさに離脱を図るシャア。

 

 

 

「逃がすか!」

 

 地面に転がっていたヒートホークを拾い上げ、シャアを追おうとするアムロだったが、

 

「ああっ」

 

 ジャンプの途中で姿勢を崩し、膝をつく。

 

『アムロ、残念だけどだいぶ機体が消耗して……』

 

 済まなそうに告げるサラツー。

 

「もう一息だったのに」

 

 視界から消えていくFZ型ザクの機影にアムロも悔しげだったが、

 

「あっ!?」

 

 シャアのFZ型ザクが逃げて行った方向で爆発が上がる。

 

「や、やったのか? でも、あのシャアが……?」

 

 

 

「だいぶやられたな。偽の爆発であのパイロットをだませたとも思えんが」

 

 もちろんシャアは無事で、先ほどの爆発はFZ型ザクの右腰に装備された3発の柄付き手榴弾、ハンドグレネードの残り二発をまとめて爆発させたものだ。

 シャアは機体のハッチを開けると、脱出する。

 

 

 

「……FZ型ザクか」

 

 ミヤビは赤いザクの機体を思い起こしながらつぶやく。

 今日はソロモン戦の翌日、12月25日。

 ミヤビの前世の記憶の中にある『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』にてバーニィのFZ型ザクとアレックスが相打ちになった日であり、この機体があってもおかしくはないが。

 

 

 

「よし、全機敵艦隊に攻撃を仕掛けられる位置についたな」

 

 スクリーン上に敵艦の配置、そして味方の機体の待機状態を映し出し、うなずくブライト。

 

「よくやってくれたわね、サラちゃんたち」

 

 とミライが言うとおり、予備機のドラケンE改やツヴァークを無人偵察機として出して敵艦の位置を特定した後に、デブリの影、敵の死角を伝うようにガンキャノンL、ロングレンジタイプとコア・ブースター、ドラケンE改可翔式をそれぞれ誘導し、配置させたのだ。

 これら機体により奇襲をかけ、デブリから追い出されたところをホワイトベースが攻撃するという作戦である。

 

 このテキサスゾーンでの戦い、ミヤビの前世の記憶の中にある史実では、ジオン側が待っていた援軍がワッケイン大佐のマゼランの奇襲を受け、それを助けるために敵艦隊が動いたところをホワイトベース隊に沈められるというものだった。

 しかし、そんなタイミング良く事が運ぶとは限らないし、何よりホワイトベースがソロモンから出る際にミヤビが確認した結果、史実とは違いワッケインのマゼランは小破して修理中であるということが分かっていた。

 そのためにミヤビが頭をひねって考え付いた献策なのだった。

 だが、

 

『新たな敵艦が接近してきます! チベ1!』

 

 展開中の部隊とのレーザー通信路を確保するため中継機として残したドラケンE改のサラから報告。

 

「敵の援軍か……」

 

 このタイミングに、と臍を噛むブライトだったが、

 

「よし、主攻と助攻を逆にする。ホワイトベースは新たに接近する敵艦を攻撃!」

「ブライト、それだとまんまと敵の策にはまるようなものでしょう? こちらが動くことを待っていた敵艦隊にやられてしまうわ」

 

 ミライが止めるが、

 

「そこが逆に狙い目だ。敵艦隊の注意がホワイトベースに向き、集中して無防備になった瞬間に配置しているモビルスーツ隊に襲わせる」

 

 ブライトはそう答える。

 

『カイさんたちは了解してます』

 

 と通信を中継するドラケンE改のサラ。

 

「よし、ホワイトベース前進」

「はい」

 

 ミライの操作で進み出すホワイトベース。

 

「砲撃戦に入る! 目標、新たに向かって来る敵重巡洋艦! 他には一切目をくれるな、スレッガー中尉たちを信じるんだ!!」

 

 

 

「木馬、デブリより出て砲撃を開始しました。目標はこちらではありません。バロム司令の予定コース上です」

 

 ジオンの艦隊もホワイトベースの動きを察知。

 

「勝ったな」

 

 艦隊を率いるデラミンはニヤリと笑うと、命じる。

 

「全艦、木馬を追撃せよ!!」

 

 そうして全速でホワイトベースを追い始めようとする、その瞬間、船体に走る衝撃!!

 

「何だ!?」

「高速熱源体接近中! 敵モビルスーツです!!」

 

 嵌められた、と状況を理解した瞬間、更なる砲撃がブリッジを襲った。

 ガンキャノンLの両肩に装備された120ミリ低反動キャノン砲による狙撃だった……

 

 

 

「いきなり直撃かよ……」

 

 呆れるカイを、セイラが注意する。

 

「呆けている暇は無くてよ、カイ」

「へいへい」

『チベの弱点はここです』

 

 サラスリーのサポートで、モニター上に映るチベの映像に弱点部位が拡張現実(Augmented Reality、オーグメンテッド・リアリティ、AR)により表示される。

 

「了解、っと」

 

 ブリッジに直撃を受け効果的な反撃をできなくなったチベに、ガンキャノンLは急接近。

 側面からビームスプレーガンを次々に叩き込むカイ!

 

 

 

 チベと同様、ホワイトベースへと意識を集中していたムサイに対し、デブリの影から躍り出て急速接近するドラケンE改可翔式!!

 

『スレッガーさん!』

「最高のタイミングで横あいから思いきり殴りつける!!」

 

 スレッガーはドラケンE改可翔式の背面、コア・フライトユニットの翼下パイロンに装着した空対空ミサイルAIM-77D、2発でムサイを攻撃。

 内装式のAIM-79より大型で威力もまた高く、エンジン部に直撃したそれのおかげで敵艦は航行不能に。

 

「こいつももってけ!」

『お代わりです!』

 

 AIM-77Dを撃ち終え、主翼を展開。

 

【挿絵表示】

 

 それによって解放されたコア・フライトユニット胴部上面発射口から今度は空対空ミサイルAIM-79を連射。

 ムサイの主砲、そして艦橋へと次々に撃ち込み破壊する。

 

 

 

「捉まえた!」

『今ですリュウさん!』

 

 コア・ブースターが装備している強力なメガ粒子砲が敵艦を捉え、装甲を撃ち抜く!

 

 

 

『やりましたね、セイラさん』

「ええ、あっけないものね」

 

 沈んでいく敵艦隊の姿を眺め、セイラはつぶやく。

 

「向こうも勝負が付きそうだな」

 

 というカイの声にホワイトベース側を確かめると、後から来た緑色のチベ一隻が撃沈されるところだった。




 シャアとの戦闘、およびホワイトベース側の戦闘もこれで決着。
 次回からはセイラとシャアの再会ですね。
 あとハヤトに更なる追撃を仕掛けるサラナインと、それを見せつけられるフラウとか……

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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