ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第41話 サラツー愛の大勝利! 希望の未来へレディ・ゴーッ! Aパート

 出港するグワジン級宇宙戦艦、グレート・デギン。

 そしてその随伴をする二隻のムサイ。

 今、デギン・ザビ公王はみずから局面を打開すべく、ジオン公国を発進した。

 それを執務室のモニターで見送るギレン。

 そこに通信が入る。

 

「なんだ?」

「技術顧問のアサクラ大佐からです」

 

 取り次いだ秘書のセシリア・アイリーンの答えに、

 

「よし、つなげ」

 

 と指示。

 通信モニターに小太りの技術士官の姿が映し出される。

 

 彼、アサクラ大佐は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の物語上では、キシリアの突撃機動軍に属する海兵上陸部隊(シーマ艦隊)の艦隊司令官をしていた。

 艦隊運用にあたっては自身を遙任とし、代理司令官としてシーマ・ガラハウを置くことでコロニーへの毒ガス攻撃の責任を回避した上、シーマたちの故郷、マハルをコロニーレーザーに変え彼女たちが帰る場所まで無くした。

 そんな、もの凄い悪党とされていた。

 

 しかしアサクラの方からするとまた別の見方がある。

 今、ギレンに従って軍務に従事しているとおり、彼は元々ギレン側の派閥の人間。

 ギレンに対立するキシリアの突撃機動軍への配属は、派閥間の政治取引の結果の望まぬものであり、しかもキシリアはそんな彼を貧困層の集う、ジオン国籍もろくに持たないようなマハルの荒くれ者どもを強制徴兵した海兵隊の艦隊司令へと任じたのである。

 そもそも大佐、それも技術士官である彼に艦隊司令をやらせるという時点でおかしい人事であり、しかも赴任先は愚連隊と言っていい海兵隊、技官の彼が統制できるはずも無く。

 用心した彼は代理司令官を立てて遙任。

 そして開戦したら案の定、海兵隊は毒ガス作戦を実行しやがった、という顛末である。

 

 キシリアにしてみれば、

 

「必要な汚れ仕事は行うが、ギレンの側の人間にも相応に責任を負ってもらうのは当たり前の話だろう?」

 

 という意図での人事、作戦だったのだろう。

 

 しかしそれは巻き込まれたシーマたちにとって酷すぎる話であったのはもちろん。

 アサクラにとっても何とか汚名を被ることを回避したものの、以降、キシリアの下に居たら何をされるか分からない、と身を守る意味でもギレンの元に身を寄せるしかなかったのである。

 それゆえシーマから、

 

「汚れ役を押し付けて逃げやがった!」

 

 と非難されてもアサクラの主観からすれば、

 

「冗談じゃない、押し付けられそうになったのはこっちだ! というか実行犯が何の関与もしていない自分に責任を押し付けようとするんじゃない!」

 

 ということになる。

 それぞれに主張するところがあるのだった。

 

 ミヤビの働きでヤシマがシーマたちを引き取ったせいで、そんな史実とは少しは違った運命をたどったはずのアサクラだったが、

 

『報告いたします。ソーラ・レイは稼動体制に入りました』

 

 と、コロニーレーザーの建設、運用に携わっているのは変わりなかったりする。

 

「うむ」

『二時間後には臨界点に達します、ただ……』

「続けたまえ」

 

 言い淀むアサクラにギレンは即座に続きを促す。

 

『は、臨界透過膜と偏光ミラーが実用テスト用に製作されたものしか使えませんので、ソーラ・レイシステムは一度しか使えません』

 

 これも史実どおり。

 

「能力は? 予定通り出るのか?」

『はい。3秒間の連続照射と、その間12度の角度変化が可能です』

「よくわかった。準備を万全にな」

 

 

 

「私のザクの修理、調整はあと2、30分で」

「うむ、それが直り次第、第二波の攻撃を掛けよ」

「はい」

 

 シャアはキシリアの執務室でテーブルを囲み、チューブ食で栄養補給をしながら今後について打ち合わせを行う。

 

「木馬の隊を破ったら、ただちにア・バオア・クーへ向かう。情報ではレビルの主力艦隊はグラナダを無視すると見えた」

「ほう?」

 

 そして、キシリアの表情が真剣みを増す。

 

「で、その前にひとつ聞いておきたいことがある。お前の打倒ザビ家の行動が変わったのはなぜだ?」

「私の?」

 

 いや、その辺は全然変わっていないわけであるが……

 

「私は4歳ごろのキャスバル坊やと遊んであげたことがあるんだよ。お忘れか?」

 

 そう問うキシリアにシャアは己の手のひらを差し出して見せ、

 

「キシリア様に呼ばれた時からいつかこのような時が来るとは思っていましたが、いざとなると恐いものです、手の震えが止まりません」

 

 などと演技する。

 キシリアはそれに乗せられたのか、あるいは見破った上で乗って来るのか、

 

「あたしだってそうだ、お前の素性を知った時にはな」

 

 とうなずく。

 

「それを、またなぜ?」

 

 まぁ、ガルマを助けたことでそう見えるようになったか、とシャアは考えるが、キシリアは、

 

「ララァだ。お前はフラナガン機関にララァを送り込んでいたな。そのお前の先読みする能力を知って徹底的に調べさせた訳だ。お前もララァによってニュータイプの存在を信じ、打倒ザビ家以上のことを考えだした」

「……どうも」

 

 考え過ぎだよね、という話ではあるが、キシリアにとってはシャアがぶっちゃけて開き直った、とするよりは、そのように考えたとした方が理解できるのだろう。

 人は他人を計るのに自分の持っている物差ししか使えない。

 当人が理解できたと思った意味が当人にとっての答えなのだから。

 

「ギレンはア・バオア・クーで指揮をとる」

「はい」

「そのあとの事はすべて連邦に勝ってからのこと。よろしいか?」

「は、確かに」

 

 と、シャアはうなずくことで、その場を乗り切るのだった。

 

 

 

「仕上がったわ。黒いガンキャノンに勝つためのセッティング」

 

 シャアのFZ型ザクの修理と調整を終え、アルレットはつぶやく。

 

「FZのスペックを変えたのか、アルレット。どんな具合に変更したんだ?」

 

 相棒であるダントンの問いに、アルレットは悪戯っぽい笑みを浮かべ答える。

 

「教えてあげるわ。聞いて驚かないでよダントン……」

 

 

 

 先行していた艦隊と合流したホワイトベースのブリッジ。

 詰襟のホックを外し、胸元をゆるめながらブライトは問う。

 

「ニュータイプか。超能力者とは違うという訳だな?」

「ええ」

 

 それに答えるのは、父ダイクンが出現を預言した、ということで詳しいセイラ。

 だが、ブライトは納得いかないように、

 

「しかし、アムロの話を総合すると超能力的な敵としか思えんが」

 

 と主張。

 戦闘の合間の休息。

 例の肌にぴったり張り付いたノーマルスーツ姿のセイラは、チューブ食片手に、

 

「今はそう考えていいのじゃなくて?」

 

 と非現実的な格好をしている割には現実的な答えを返す。

 

「そんなのが相手じゃ俺たちに歯が立つ訳ないじゃないか」

 

 体を休めているカイは、お手上げだというように言う。

 

「やれやれだな……」

 

 スレッガーもまた肩をすくめた。

 ミライは、

 

「でも、それほど深刻じゃないわ」

 

 そう言って皆をなだめるが、

 

「あのピンクのモビルアーマーがまた出てきたらアムロには気の毒だけど」

 

 と続ける。

 

「そ、それはそうです、今となっては」

 

 そう答えるアムロにミライは、

 

「そうね。今のアムロはそのニュータイプの現れ方をしているから」

 

 と言う。

 その言葉にアムロはうつむきながら、

 

「そうとでも考えなければ説明のつかない事が多すぎるんです、僕の中に」

 

 と答える。

 ミライは彼を気遣うように、

 

「頑張ってね」

 

 そう声をかけるが、アムロは立ち上がり、

 

「でも、ニュータイプっていっても僕は特別な人間じゃありませんよ。これだけ戦い抜いてこられたホワイトベースのみんながニュータイプです。でなければ勝ち抜けなかったはずです」

 

 と皆に言う。

 ブライトは、

 

「それは、そうかもしれん」

 

 そううなずくものの、

 

「しかし、アムロには特別何かを感じるな」

 

 と正直に言わざるを得ない。

 アムロもそれが分かっているのか、

 

「……ええ、否定しません。ことにあのピンクのモビルアーマーと接触してそう思えるんです」

 

 と答える。

 一方、ミヤビは、

 

「姉さんはどう思うの?」

 

 とオッパ…… 妹、ミライから話を振られ、

 

「私?」

 

 と戸惑う。

 

「理屈で言うならスペクトラム、連続的に分布している資質だと思うけど」

「スペクトラム?」

「要するにニュータイプ的な要素は誰でも持っていて、その中でアムロのように強くその傾向を持っている人、セイラのようにそれに次いで強い人、また中間の人、そして私のようにごく弱い、というか無に等しい人なんかが連続的に分布しているわけ」

 

 だからアムロの言う「ホワイトベースのみんながニュータイプです」も間違いでは無いということ。

 学術的に検査方法と閾値が定められ「これ以上をニュータイプと呼びます」などと定義されたらまた話は変わって来るが。

 しかし、

 

「ミヤビさんが弱い人?」

 

 と本題とは違った部分に反応するアムロ。

 ミヤビはそんなにおかしいことを言ったかと、頬に指をあて、小さく首を傾げながら答える。

 

「それはそうよ。ニュータイプは『人が宇宙に出たことで三次元の空間認識能力に目覚めるとともに、人並外れた直感を得て、離れていても他者やその状況を正確に認識し意思疎通をする能力を持つ者』とされるわよね、セイラ」

「ええ」

 

 ミヤビに話を振られ、戸惑いながらも答えるセイラ。

 そしてミヤビは皆に向き直ると言う。

 

「私、地下鉄駅の立体構造を構内図を見ても頭の中に描けない、把握できないタイプよ」

 

 これは前世も同じで苦労した。

 新宿駅や渋谷駅、出張で行った大阪、梅田駅や名古屋駅などといったダンジョン駅呼ばわりされるものは特に。

 

「そうは見えませんが……」

「それはサラちゃんが居るから。私自身はポンコツだけど、自覚しているなら補う方法は色々あるでしょう?」

 

 ミヤビは前世でも紙のスケジュール帳から始まって、PDA、スマホといった外付けの外部記憶媒体や情報機器を活用して自分に足りないものを補い、生活してきた。

 そうやって、

 

「苦手な部分を他に補ってもらって、強みの部分で勝負してるから多少、有能に見えるかも知れないけど私は凡才よ?」

 

 ということ。

 少々脱線したが、

 

「いや、私のことはどうでもいいとして、人は色んな資質を色んなレベルで持っていて、それが評価されたりされなかったりするのは、優れているから、劣っているから、ではなく現状に適応しているかそうでないかってこと」

「はい?」

「『人が宇宙に出たことで三次元の空間認識能力に目覚めた』のではなくて、『三次元の空間認識能力について優れた素養を持った人間は元々一定の割合でこれまでも居たけれど、地球上で普通に暮らす分には目立って役に立つことは無いし、磨かれることも無いから宝の持ち腐れになっていただけ』という考え方ね」

 

 評価されない項目ってやつである。

 

「現状に適応しているから有利とされているだけで、『狩りが得意なライオンと狩りが下手なライオン』の話のように、状況が変わればまた評価も変わるのだから、そこに優劣はないわ」

「狩りの下手なライオン? それってダメなんじゃ」

 

 いぶかしげに問うのは、アムロの強さにコンプレックスを抱くハヤト。

 

「そうかしら?」

 

 ミヤビは人形のように動かぬ表情の元、声だけでもと柔らかく聞こえるよう意識して語る。

 

「ある日、ライオンたちが暮らす草原に干ばつが訪れたとするわ。そうすると川は枯れ、地は裂け、植物がしおれて、それを食べる草食動物も減ってしまうでしょう?」

「はい」

「狩りが得意なライオンは、餌になる動物を早々に狩り尽くして飢え死にしてしまう」

「えっ?」

「でも、狩りが苦手なライオンは死滅しなかった。獲物を食べ尽くすということが無いから、細々とでも、生き残ることができる」

「ダメなライオンなのにですか?」

「そう、どこも優れたところのない、誰が見ても劣っていると思われる者の方が生き残ることもある。それが私たちの生きる世界なの」

 

 それゆえ、

 

「『あらゆる状況で、この性質が絶対的に優れている』なんてことはないの。そして環境というのは劇的に変わるわ。隕石の落下による地球寒冷化や火山活動による気候変動、新型ウィルスの世界的流行(パンデミック)」

「ウィルス耐性の有無、かしら?」

 

 そこに反応するのはやはり医学を学んでいたセイラ。

 ミヤビは、

 

「そういうのもあるかも知れないけど、例えば『人付き合いが苦手な人』って社会生活をする上では評価されないけど、パンデミックが起こって人との接触を避けなければいけない場合、孤独への耐性が強い彼らは、孤独によるストレスを溜めてしまう社交的な人より有利になるでしょう?」

 

 何しろ一人でゆっくりするのが癒しになるのだから。

 

「まぁ、それはさておき、ここで言いたいのは環境は地球規模で激変する可能性はあるけれど、生物ってそんな短期間に進化したりしないでしょう? ならどうやってそれを乗り越えるかというと、従来の環境では不要、あるいは不利とされる資質を持った個体であっても一定の割合で生み出し多様性として維持する。それが生物の持つ生き残り戦略なわけ」

 

 つまりは、

 

「ニュータイプも進化した新人類ではなくて、人の持つ多様性が元々内包していた、今まで評価されなかった資質が環境の変化で表面化しただけ、っていうのが実際のところでしょう」

 

 ミヤビは皆を見回して言う。

 

「だからニュータイプは優れていてオールドタイプは劣っているとか、ギレン・ザビ氏が唱える『優性人類生存説』とかって意味が無いの。今の環境で、あるいは今の時代で評価されない、不利とされる資質であっても、環境が変化すれば必要とされるかもしれない。人という種族の維持に欠かすことのできない存在であるのだから」

 

 ミヤビの前世でも『多様性絶対否定マン』みたいな人物が居たものだったが、それでは急変する環境に対応できないのだ。

 

「まぁ、アムロレベルだと『足が速い』なんていう資質をオリンピック選手レベルで持っているようなものだけど、オリンピック選手だって人間。進化した新人類ではないでしょう? しょせん才能かよ、とか言う人も居るかも知れないけど」

 

 でも、とミヤビは語る。

 

「大事なのは『自分の強みをどこまで伸ばせるか』よ。自分の弱点を解消して並みのレベルになろうと頑張るより、1つの突出した強みを活かした方が、実社会で活躍できる可能性が広がるわ。だからアムロは他のことなんか気にせず、その突出したニュータイプとしての力を生かせばいいと思うの」

 

 それで私を守ってくれると嬉しーな、とか不純なことを考えるのではあるが、しかしミヤビの表情筋はそれを表面に出すことが無いので他から悟られることは無い。

 まぁ、ミヤビは気づいていないがアムロのニュータイプ能力で心を読まれるという可能性もあるが……

 憧れの年上の美しい女性に「私を守って!」と頼られて悪い気になる少年は居ないので問題は無かったりする。

 それはともかく、

 

「豊かさって言うのはね、自分が楽に生み出せる価値、余っている価値を皆に分け与えることで生まれるわ。逆に貧乏な人って、辛い努力を積み重ねて生んだ、自分にとって希少で貴重な価値を切り売りするから貧乏になるわけで」

 

 ということだった。




 ソーラ・レイとかデギンとか、史実どおりに見えて実際には違う、というお話なんですが。
 史実どおりに見えている部分を書いている段階では「原作そのままじゃん!」になってしまうのが悩みですね。
 ネタばらしをする時を楽しみに何とか耐えるわけですし、これまでもそうでしたが推理小説のようにネタはちゃんと提示されている、もしくは書籍やWikipedia等で考察されている内容から類推できる内容ですので、予測できる人には予測できたりするのでしょうけど。
 うーん……


> 彼、アサクラ大佐は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の物語上では、キシリアの突撃機動軍に属する海兵上陸部隊(シーマ艦隊)の艦隊司令官をしていた。

 CDシネマ『宇宙(そら)の蜉蝣』等で語られた内容ですね。
 これ聞くとシーマ様可哀想過ぎて泣けてくるし、アサクラ大佐が凄い悪人に思えてくるのですが。


>「冗談じゃない、押し付けられそうになったのはこっちだ! というか実行犯が何の関与もしていない自分に責任を押し付けようとするんじゃない!」

 マンガ『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』あたりの解釈だと、バリバリに関与していたような描写がありましたが。
 しかしギレンサイドの技官で、遙任してまで(シーマ自身『宇宙の蜉蝣』で遙任の意味を「遥か遠い所で形だけ任命を受ける」と語っていましたし)責任回避したのに、わざわざそうする意味があるのかは疑問だったり。
 まぁ、このマンガはオリジナル要素が強い、本編とは別物(そこが売りでそこが良い)と言われている作品ですからね……


 次回はいよいよ戦闘の開始です。
 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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