ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第41話 サラツー愛の大勝利! 希望の未来へレディ・ゴーッ! Cパート

「ララァ! 奴とのざれごとはやめろ!!」

 

 刹那、そこに割って入るシャアのFZ型ザク。

 ぶっちゃけ開き直ったシャアにしてみれば、自分のプライドを傷つけた木馬の黒いガンキャノンには対抗心こそあれ、史実ほどこだわっているわけでは無い。

 しかし、

 

「ララァを手放す訳にはゆかん」

 

 ララァを誑かそうとするなら話は別だ。

 

「ガルマ、君からの贈り物、使わせてもらうぞ!」

 

 シャアはバックパック側面に装備された二基のロケットブースター、ラケーテン・ガルデンに点火!

 これは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場し、F2型ザクを短時間ながら飛ばせてペガサス級強襲揚陸艦『アルビオン』に特攻をかけるために使用されたもの。

『機動戦士ガンダムUC』ではデザート・ゲルググが装備しており、トリントン湾岸基地所属のバイアラン・カスタムへ空中戦を挑むために使用されていたものである。

 基本的に地球上で使用される装備だったが、シャアのFZ型ザクにはガルマから送られてきたこれがアルレットの手により加速用ブースターとして取り付けられていた。

 

「ぐうううっ!」

 

 爆発的な加速、そのGに呻くシャア。

 元々、FZ型ザクはミヤビの前世の記憶の中にある高機動型ゲルググを上回る推力比を持つ機体。

 それにモビルスーツに空を飛ばせる推力を持つラケーテン・ガルデンの推力をプラスすれば、短期間ながらケタ違いのスピードを出すことができるのだ。

 さらに、

 

「遅い!」

 

 シャアはガンキャノンからの射撃をかわしてみせる。

 FZ型ザクは全身に12基もの姿勢制御スラスターを持つ。

 それをフルに使ったマニューバだった。

 

 そう、FZ型ザクの反応性は、マグネットコーティングを受けたガンキャノンより悪く遅い。

 つまり手足をぶん回してその反動で行うAMBAC(Active Mass Balance Autocontrol 能動的質量移動による自動姿勢制御)による姿勢制御性能も劣る。

 

 だがFZ型ザクの方が優れている点もある。

 それが圧倒的な推力比と、全身に配された姿勢制御スラスターたち。

 

 今までシャアはAMBACにより素早く正確無比な機動を行える自信があるからこそ、スラスターに頼らない戦闘スタイルを構築してきた。

 ミヤビの前世の記憶でも、元々ザクIIは基本となるF型の時点で姿勢制御用スラスターが必要最低限しか装備されておらず、熱線の放出を抑え敵の索敵を回避するように設計されていたという資料があった。

 これによって艦船の照準をかいくぐり、開戦初期は戦果を挙げたのだという。

 シャアの従来のマニューバはこれを極限まで突き詰め、完成させたもの。

 

「それがここにきて機体制御におけるAMBACが受け持つ割合を減らし、スラスターの出力に頼ることになるとはな……」

 

 このチューニングの指示を聞いた時のアルレットの複雑そうな表情を思い起こす。

 彼女に対しては、

 

「理由はどうあれ今回のデチューンは私にとっては屈辱だ。プライドをかなぐり捨ててでも負けるわけにはいかないと感じているのさ……」

 

 そう答えたものだったが。

 そして長大で取り回しに難があり機動戦に向かない135ミリ対艦ライフルに代わり、ガルマが送ってきたもう一つの装備、

 

「食らえ、ガンキャノン!」

 

 マゼラ・トップ砲からペネトレーター弾と呼称されるAPFSDS、装弾筒付翼安定徹甲弾を放つ。

『機動戦士ガンダム第08MS小隊』において、陸戦型ガンダムのルナ・チタニウム製の脚部正面装甲を貫いたもので、これを受ければガンキャノンとて無傷では済まない。

 それをかわし、追いすがるガンキャノンだったが、シャアは回避運動を取りながらも操縦桿のスイッチに指を躍らせ、コマンド入力。

 FZ型ザクの右サイドスカートのラックに搭載されたハンドグレネードの信管に点火。

 同時にラックが解放され、3発のハンドグレネードがその場に落とされたところにガンキャノンが突っ込む。

 そして遅延信管の働きにより遅れて爆発!

 

「ララァ、止めだ!」

『お手伝いします、お手伝いします、大佐』

 

 

 

「うわあっ!」

 

 ニュータイプの直感で回避するものの、ハンドグレネードの効力範囲は広く、なぎ倒され、吹き飛ばされるガンキャノン。

 そこにブラレロのオールレンジ攻撃が襲い掛かる。

 加えて、それをフォローするシャアのFZ型ザクからのマゼラ・トップ砲による狙撃も。

 

『なんてやつらなの……!! つ…… 強すぎる!!』

 

 懸命にアムロをアシストしながらも苦鳴を上げるサラツー。

 アムロ自身も勝ち筋が見えない。

 弱い考えしか浮かばない──ッ!!!

 

 そこに、

 

『天下のニュータイプが負けるつもりか?』

 

 渋い男の声で通信が入る。

 接近する味方機の反応。

 スレッガーのドラケンE改可翔式だ。

 

『んなわけねーよな!!!』

 

 聞き慣れた皮肉屋の少年の声と共に接近するガンキャノンL、ロングレンジタイプ。

 そして!!

 

『ああ!!』

「みんな──!!!」

 

 

 

 エレメントを組んで相互に補完しつつ戦うリュウとハヤトのコア・ブースター。

 

「行くぞ、ハヤト!」

「はい、リュウさん!」

 

 派手に放ったミサイル斉射の弾幕。

 飽和攻撃が一時的にシャアのFZ型ザクを引き離す。

 まぁ、マクロスシリーズにおける『板野サーカス』ばりのマニューバでそれをよけ、腰後ろにマウントしていたMMP-80、90ミリマシンガンを抜いて片手撃ちで墜としていくシャアもシャアだが。

 

 

 

 カイとセイラのガンキャノンLがアムロの黒いガンキャノンに並ぶ。

 手にしたビームスプレーガンをひょいとかざし、

 

「加勢するかい、アムロ先生?」

 

 相変わらずの調子で問うカイに、

 

『カイさん……』

「軽口が過ぎてよ、カイ」

 

 サラスリーとセイラも呆れ気味だ。

 

 

 

「要りませんよ。こんな変顔のモビルアーマー……」

 

 アムロはブラレロの攻撃を回避しながら答える。

 

「二対一じゃなきゃ、シャアさえ抑えてもらえれば、僕一人で……」

 

 そこまで言ってモニターの片隅、戦闘の邪魔にならないようアイコンのように最小化され表示されるサラツーに気付き、

 

「サラツーと二人で十分です!!」

『アムロ……』

 

 その言葉に瞳を潤ませるサラツー。

 

 

 

「チッ、邪魔が入ったか」

 

 舌打ちしつつも、1対4の戦闘を平然と続けるシャア。

 

 

 

 アムロの操るガンキャノンはマグネットコーティングの威力で素早くブラレロの迎撃を回避し、その懐に飛び込む。

 

「こう近付けば四方からの攻撃は無理だな」

 

 

 

「あっ」

 

 反射的にヒートナタで斬りつけるララァ。

 

 

 

 接近戦に備えビームライフルは左手に、空いた右手で腰後ろのラッチから抜いていたヒートホークで防御するアムロ。

 しかし、

 

 

 

「連邦のニュータイプ!」

 

 ブラレロの複座の座席から、ガンキャノンの動きを間近で目撃するシムス。

 

「確かに速い。しかしこのブラレロのサイコミュは、オールレンジ攻撃のためだけにあるのではないぞ!」

 

 彼女が言うようにブラレロは高速機動を取り、周囲に展開するモブ、もとい量産型ガンキャノンたちを斬り飛ばし、撃ち落としながらアムロのガンキャノンと何度も打ち合うが、負けていない。

 

 

 

 ミヤビのドラケンE改は引き続きアムロのガンキャノンのモニターを任されていたが、

 

『マグネットコーティングを受けたガンキャノンのスピードを上回ってる!?』

 

 データ解析を進めるサラが、驚愕の声を上げる。

 

「そうね、ガンキャノンの関節を駆動させるフィールドモーターの反応スピードは約3倍にまで跳ね上がっているけど」

 

 ミヤビは唸る。

 

「反応の初動が、動きの立ち上がりが向こうの方が早いわ。これがニュータイプ専用の操縦装置として開発されたサイ・コミュニケーター、つまりサイコミュ……」

 

 元々サイコミュは操縦桿やフットペダルといった物理的なインターフェイスを介さず、思考による機体制御を可能とするためのテクノロジーである。

 そう、Zガンダムやジ・Oといったオールレンジ攻撃機能を持たない機体でも準サイコミュ装置、バイオセンサーが導入されていたように、ニュータイプの思考を機械語に翻訳し、ダイレクトに機体制御に反映させることができるのだ。

 それゆえにブラレロはマグネットコーティングを受けたアムロのガンキャノンとも対等に、いやそれどころか勝る動きで戦うことができていた。

 

『頭で考えたとおりに動く!? そっ、そんなの勝ち目無いじゃないですか!』

「考えるより先に身体が動くタイプならワンチャン」

『そんな人居ませんよ!!』

 

 いや、結構居るよ。

『機動戦士Ζガンダム』に登場した『野獣』と称されるヤザン・ゲーブルとか……

 

「でも大丈夫」

 

 ミヤビは言う。

 

「アムロとサラツーの間に結ばれた絆はきっと、いいえ、絶対サイコミュなんかに負けたりしない」

 

 

 

『アムロ、心を開いて。もっと闘志を声に、表情に出して』

「ミヤビさん?」

『サラツーを信じて……』

 

 ミヤビからの短い通信が、ガンキャノンに届く。

 それがララァとの交感に、内面に深く沈降していたアムロの意識を引き上げた。

 

「そうか!」

 

 直感するアムロ。

 

「行くぞ、サラツー!!」

 

 声に出し、自分をサポートしてくれる彼女に呼びかける。

 

『ええ、アムロ!!』

 

 応えるサラツー。

 

「『はああぁぁぁぁぁぁっ!!』」

 

 二人の声が、心が今一つになる!!




 シャアのFZ型ザクのセッティングは、相手より劣っている部分を頑張って引き上げよう、ではなく、優れている部分で勝負しようという発想ですね。
 まぁ、AMBACとスラスターの併用というのは一年戦争末期以降は普通になって行くので、正当な論法ですけど。
 そしてまた、友人から譲られた装備を使って、というのは最終決戦仕様の醍醐味ですよね。

 次回はサブタイトルの回収、そして決着ですが。
 以前も解説したとおり、これ愛の奇跡とかそういうものじゃなくて理屈に裏打ちされたお話ですからね。
 ご期待ください。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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