ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件 作:勇樹のぞみ
いえ、ダバ君が「使い易さなら、こっちだ!」とか言って使っている奥の手が……
やあ (´・ω・`)
ようこそ、ペンタゴナワールドへ。
このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って……
「納得できるかーっ!!」
ミヤビです……
今度は『重戦機エルガイム』の世界、ペンタゴナワールドへの転生デス。
しかもミズンの元貴族令嬢…… はい、この時点で反乱軍参加は確定。
ミヤビです…… ミヤビです……
ミヤビです……
「さすが氷の人形姫、両脇に2騎おいての先方装甲突撃(パンツァーカイル)! それも対射撃戦用のパワーランチャーを装備せず、その分速く扱えるランサーを持ち…… 盾を攻城槌のように使って前面のバルブドを食らいまくってやがる! 乱戦によほどの経験が無くば出来ん芸当だ!」
はい、マンガ『ファイブスター物語』の黒騎士、デコース・ワイズメルのパクリ戦術です。
機体は白いけどね!
自分は技術者だから戦場に出るのはヤダ! とダダをこねたものの、出自から、
「旗頭としてただ立ってればいいから!」
と言われて反乱軍の主力B級ヘビーメタル、コピーエルガイムたるディザードに乗せられたわけですけど。
だからと言ってポセイダル軍が自分の首を取りに来るのに、戦場で棒立ちしていたら死んでしまう。
『ファイブスター物語』の某王様のように! 某王様のように!
というわけで自分を守ってくれる肉盾を急募しましたよ。
それが私の機体の両翼をローテーションを組んでガードしてくれている二機のディザードです。
なお、右翼を守って下さる方々には、左利きを採用。
利き手に合わせて盾とパワーランチャーを左右入れ替えて装備してもらってます。
エルガイムと同じく大型の盾、バインダーを装備しているディザードは、重装歩兵戦術(ファランクス)のように盾を並べて互いに僚機を守りながらの集団戦が有効なのですが(脚部のランダムスレートが原型機エルガイムの側面解放から背面解放式に改められているのも横隊を組むのに邪魔にならず向く、というよりこのために変更されたと考えるべき)、これに左利きが混じると隊列を乱すということで強制的に右利き装備の機体で戦闘をさせられていた彼ら。
しかし、私の護衛に際してはファランクスの弱点でもある、右端の兵士の守りが弱いという問題を解決するために、こうさせて頂いています。
その分、私の機体の右半身が盾のカバー範囲から外れるわけですけど「素人の射撃が当たるわけ無いじゃないですか」と最初からパワーランチャーの装備を諦めていた私はランサーで戦うしかなく、光剣を振るうにはある程度のスペースが必要、ということでまぁ、いいかな、と。
「姫様の守りを任せて頂けるとは……」
ミヤビの右翼を任された兵は、感動に震えていた。
反乱軍の旗頭、悲劇の貴族令嬢。
彼女は自分たち、左利きでありながら、右利きに合わせた機体を宛がわれ、本来の力を発揮できないでいた兵たちに活躍の場を、希望を与えてくれた。
それも自機の右半身の守りを犠牲とする、という方法で。
本来なら護衛の損耗など考えず、右利き装備の機体を宛がって、その盾をもって自機の右半身を守るべきだ。
それなのに……
「絶対に…… 絶対に守って見せる!!」
前線の部隊を食い破り、接近してくるポセイダル軍のヘビーメタル。
A級に匹敵する性能を持つとも言われるバルブド。
敵に不足は無い!
「行きます!」
そう叫んで突撃するミヤビの機体に遅れぬようバインダーをかざし、パワーランチャーを乱射しながら突っ込む!!
「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)!!」
攻撃は最大の防御というより、怖いから攻撃されるより先に倒してしまえの精神で、目の前に敵が来たら、守りと射撃は両翼の護衛に任せて遮二無二突っ込むミヤビ。
ノリはそう、アレ。
シューティングゲームで敵が画面上に現れた瞬間に撃ち込んで撃破、攻撃させないってやつ。
なお彼女が扱っているランサーは本来、伸びた柄の両側から光剣が生成されるものだが、そんなの扱いきれるわけがなく、ミヤビは片側だけを使って、長柄のセイバーのようにして使っている。
だったらセイバーでいいじゃん、という話だが、どこに触れても切れる光剣。
切れない柄の部分が長い方が怖くなくて扱いやすい、ただそれだけである。
大太刀を扱いやすくするために柄を長くしたという長巻のような感じだろうか。
アレは両手持ちのためのものだが。
しかし、
「ぬおおおっ!」
片方だけ光剣を形成させていたミヤビの機体の武装をセイバーだと思って突進してきたバルブドのパイロットは、しかし柄が伸びている分、リーチが伸びていること。
さらにはミヤビの機体がパワーランチャーを装備していない分、右腕が自由に、かつ軽く素早く振れる。
その違いが致命的な見切りの誤りを生みだし、機体を両断される。
「ばっ、バカなぁぁぁっ!?」
過去、幾多の勇名を馳せた武人たちが果てた場はほとんど乱戦だ。
流れ弾…… 雑兵の振るった偶然の一太刀。
戦争とはそんな場面の集合体だ。
だがミヤビは両翼に護衛のディザードを置くことで、どんな状況でも、敵が何機居て、戦場がどんなに入り乱れようとも、常に正面に敵を置いて一対一で戦うことができる。
射撃を捨てた近接オンリーの武装。
しかしディザードの大盾と護衛の存在が斬り込むまでの守りを可能とし、そして斬り込んでしまえば近接に特化した故の有利さで勝利する。
本当は、彼女の機体を完璧に守り通す左右の護衛の方がよほど大変なことをしているのだが、その護衛の人間も含めて周囲にはそれが理解されていない。
無理をさせ、損耗が激しいからと護衛の兵にローテーションを組ませているのも、姫様は優しいなぁ、とますます彼らを心酔させるだけであった。
まぁ、そのローテーションのお陰で、護衛たちの損耗は少なくて済んでいるのだが。
「もらったぁ!」
倒したバルブドの影から、もう一機が襲い掛かる。
ランサーを振り切っていたミヤビの機体に、回避できる余地は無い!
と思われたが、
「はい」
ランサーから出していた光剣を消し、柄の反対側から光剣を創り出せば、逆手に構えたセイバーもどきのできあがり。
そこに敵が吸い込まれるように突っ込んで来て突き刺さる!
ランサーにはこういう奇術めいた使い方もあるということ。
なお、この斬り返しはミヤビの腕によるものではなく、技術者ゆえに「こういう使い方もあるよね」という発想でショートカットマクロ的に切り替え操作をプログラミングして組み込んでおいただけのもの。
ミヤビはタイミングよくショートカットを叩いて実行するゲームプレイヤーみたいなことをやっているに過ぎない。
ゆえに、
「はっ!」
さらに両側の光剣を展開して、バトンのように手の内で回せば、回転する光剣の旋回に敵の機体は切り刻まれる。
パワーランチャーを装備していないからこそできる技。
装備していたらパワーランチャーの砲身が輪切りになってしまうのだから。
しかし、こんな戦い方をしていれば当然目立つわけで、
「お前たち、フォローはするなっ! 損害が増える!」
隊長格の機体がこれ以上の部隊の損耗は許容できないとばかりに戦いを挑んできた。
そのバルブドはパワーランチャーを捨て、右腕をフリーにすると斬りかかって来る!
「剣のみの勝負! いいねぇ!!」
それを辛うじて受けるミヤビ機にオープンチャンネルで呼びかけながら、
「お互い元は貴族だったんだ! 正々堂々、決闘と行こうじゃないかぁ!」
と連撃を繰り出す。
どうやら彼も元貴族だったようだ。
「くっ!」
敵の斬撃をランサーとバインダーで防ぐものの、腕利きの相手にかなうはずもなく防戦一方に追い込まれるミヤビ。
しかし、
「!!」
不意にバルブドの腹部に衝撃が走る。
「隊長!?」
「この俺に攻撃が見切れなかっただと!? まさか噂のストラト・ブレード!? やつの手元に注意しろ!!」
そこにミヤビからの通話が入る。
「さすが、一太刀ごとに手の内が剥かれていきますか」
そして彼は見た!
自分の斬撃を受けたランサーを握るディザードの右腕内側。
設置されたセイバーラックから伸びる奥の手、ハンドランチャーが放つ光芒を!
「卑怯、な……」
「貴族だった…… 昔の話です」
動きを止めた彼の機体を、ミヤビのディザードのランサーが無慈悲に切り捨てた。
「ふぅ……」
爆散する敵機、そこから後退しながらため息をつくミヤビ。
彼女にデコースが得意としていた七音剣(ストラト・ブレード)、剣戟を交している最中にそれを囮として相手が気付かない内に腹部に攻撃を加える、手刀あるいは指の動きだけで放つ至近距離からのソニックブレード、そんな技など放てるわけがない。
それは奥の手、射撃武器を装備していないと見せかけ、射撃が得意でないミヤビでも外すはずの無い超至近距離から放つハンドランチャーの存在を隠すため、ミヤビ自身が流したブラフである。
設定上、ディザードの腕にはセイバーラックは無かったはずだが、ミヤビの前世の記憶の中にある『重戦機エルガイム』本編では、使われているカットがあった。
実際にはオプションで用意されていたため、ミヤビは右腕にこれを取り付け、ハンドランチャーを装備していたのだった。
「ご無事でしたか、姫!」
主力を率いていたギャブレット・ギャブレーが、戦略目的を果たした上で無事、戻ってきたようだ。
主人公、ダバのライバルとしてポセイダル軍に居たこの男、何故かミヤビに心酔した様子で反乱軍に寝返っていた。
なお、その際、
「反逆者となるのは私1人でいい。お前たちは正規軍の指揮下へ戻れ」
「なぜです、ギャブレー殿!?」
「フッ、私はギャブレット・ギャブレーだ……! 義に死してこそ華だと思わんか!!」
というドタバタの末、配下のイレーネ・イルスに、
「はぁ…… 何と能天気な……」
と呆れられ、しかし世話が焼けるとばかりにフォローされていたりする。
「まぁ、能力的には極めて有能だし、二枚目なマスクをしつつもギャグキャラ体質のコメディリリーフで……」
ミヤビの前世の記憶の中にあるアニメ『重戦機エルガイム』劇中においても、後半どんどんシリアス、というか暗くなっていくストーリーで彼だけが安定してバカキャラをやっていて。
その明るさは視聴者に笑いと癒しを与えていた。
そして、それはそのまま今の自分と反乱軍に対しても言えることでもある。
ミヤビはこういう、能天気で自信家、ついでに女好きというキャラに前世から弱かった。
『超時空世紀オーガス』の桂木桂、『マクロスプラス』のイサム・ダイソンなどといった、シリアスなストーリーを吹き飛ばすかのような明るさと、それを支える確固たる実力と自信。
理系脳で考え過ぎてしまうミヤビにとって、自分に無いものを持つ憧れのような存在なのだろう。
ゆえに男性から女性に、TS転生をして、女性らしく着飾らなければならなかった過去から表情筋が死んで……
メス堕ち? いや、無理だから。
アイデンティティの形成なんて前世で終わってるから。
自分が男と恋愛するなんて、そんなの……
自分が、恋する少女みたいな甘い顔で男に笑いかけるなんて……
そんなのありえない、ありえないでしょう……
などと考えているミヤビだったが、ギャブレーに対してだけは、そういう憧れ的な想いもあって、
「ありがとう、ギャブレー殿。いつも頼りにしています」
自然な、心からの笑みを浮かべることができていた。
そう、氷の人形姫が浮かべる希少な、本当の笑顔。
それがギャブレーの心を鷲掴みにし、墜としたのだとミヤビは気づいていないのだった……
『スーパーロボット大戦30』エルガイム参戦記念作でした。
エルガイムの奥の手、ハンドランチャーのような武器って大好きなんですよね。
ダバ君が「使い易さなら、こっちだ!」とか言って使っていて、思わずこのお話を書いちゃいました。
なお、ミヤビはメス堕ちしたりはしない…… はず。
それではまた。