ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件 作:勇樹のぞみ
辺境のスペースコロニー、サイド7に降り立った鋼の巨人。
ジオン公国軍モビルスーツ、ザク。
「へっ、怯えていやがるぜ、このタンクもどき」
アムロ少年が起動した地球連邦軍モビルスーツ『ガンタンク』に迫るも、突如として鳴り響く接近警報。
不意に物陰から飛び出してきた、とても…… とても小さな機体が、ザクの股直下に潜り込み30ミリ機関砲を乱射。
「アババババーッ!」
アニメ『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』においてシロー・アマダが携帯式の歩兵用ロケットランチャーでザクIの同じ個所を攻撃し見事擱座させたように、そこはモビルスーツの急所!
スカート装甲下、股関節部に集中して着弾が走り、数発が
「アオオオオオオオーーーーーーーーーッ!?!?!?」
腰を引き気味にして、よろよろとその場に前のめりに倒れ込むザク。
その快挙を成し遂げ即座に離脱するのは、全高3メートルにも満たない小さな機体。
ヤシマ重工製プチモビルスーツ、スコープドッグ・ショーティだった。
(あああああ、怖い怖い怖い!)
本来なら存在しないはずのミライ・ヤシマの姉であるミヤビ・ヤシマは耐圧服…… ノーマルスーツのヘルメットに取り付けられたゴーグル越しに目にするジオン軍モビルスーツ、ザクの姿に恐れおののいていた。
まっすぐでつややかな黒髪と硬質な整った顔立ちもあってか『ヤシマの人形姫』などと呼ばれているその表情に変化はない。
だがこれは男性から女性へ、いわゆるTS転生したせいでお嬢様らしく扱われ着飾らせられる日々に引きつる顔を無理になだめて生きてきた結果、表情筋が死んだように動かなくなっているだけである。
(顔に出ないからってなにも感じてないわけじゃないから!)
彼、いやもう彼女であるミヤビは声を大にしてそう叫びたかった。
そのミヤビが、なぜ宇宙世紀世界で短足ゴリラ体形に低全高カスタム化されたスコープドッグに乗っているのかというと……
「うむ? 人工筋肉駆動用の液体というのは普通、不燃性ではなかったかね?」
と言ったのは当時、RX計画が立ち上がる前のテム・レイ博士。
そして、その会話の相手、
「ああ、しかし高価なのでコストがね」
と答えるのはメカニカルアーム、機械義肢の権威であるディック・ルムンバ氏。
『機動戦士ガンダム0080』でガンダムNT-1、アレックスの開発責任者だった車椅子の男性である。
どうして二人がこの時期に顔を合わせているのかというと、民需、プチモビルスーツについて先んじて手を打っておきたいミヤビがコネを作り、彼らの間を取り持って技術交換という体で交流会を開催したのである。
話題となっているのは当時、新開発された人工筋肉とその駆動用液体。
「通常の人工筋肉溶液と比べたら1/5位の価格なのだが、揮発性の可燃液体だというのが何ともね……」
というように、お互いの業界の最新技術トピックを語り合う二人だったが、そこでミヤビのサポートをしていたAIサラが、
「ポリマーリンゲル液とマッスルシリンダーみたいですね」
と言ってしまったのが、まずかった。
興味を持った二人に、サラは、
「ええと、昔のアニメなんですが」
と、この時代ではもう遥か昔に過去の物となっている古臭い手書きのアニメーション『装甲騎兵ボトムズ』と、その主役メカ、アーマードトルーパーについて、タブレット端末に資料と動画を表示させて説明する。
まぁ、それはそれとしてミヤビは、
「そもそも昔戦車に使われていたガソリンだって揮発性の可燃液体。現在、燃料電池駆動の車両や作業ポッドに使われている水素ガスだって可燃性・引火性ガスですし」
旧21世紀、西暦の時代でも取り扱いには危険物乙4とか高圧ガスとかの免許が必要な、とびっきりの危険物である。
それでも利便性があるなら技術力で安全性を高めインフラを整備し使うのが人類。
そもそもモビルスーツなぞ核融合炉搭載で、それが爆発する危険性を持つ兵器なのだし。
「ですから人間用の機械義肢には向かなくとも、作業機械にはアリなんじゃないですかね」
と言っておく。
もちろん運が悪ければ一発被弾しただけで即火だるまという兵器アーマードトルーパー、スコープドッグを作って軍に売ろうという話ではなく、作業用機械であるプチモビルスーツになら、扱いはガソリン駆動の土木機械と変わらないんだから使えるんじゃない、という提案だったのだが……
やけに食いついて来た二人と、あと当時ミヤビのサポートをしていたヤシマ重工の担当者、ついでにサラでその後の懇親会はアニメ『装甲騎兵ボトムズ』鑑賞会になってしまい、
「なるほど足の裏にタイヤを内蔵させるのか。全高4メートルにも満たない小型人型兵器だから取れる手法だ」
「実現も簡単ですね」
「ああ、インホイールモーターと軍用のランフラット・タイヤを脚部に組み込むだけでいい」
「回転数制御は個別分散式VVVFインバータを用いれば良いだろう」
「おおっ、腕が伸びてパンチを!?」
「薬莢が飛び出る辺り、火薬式のカタパルトのような伸縮機能か? すごい発想だ!」
「ミヤビ君?」
「は、はい。それはアームパンチと言って……」
などと盛り上がる少年の心を忘れないおっさんたち。
そんなこんなで、その日はお開きに。
以降は時々、ネット越しに、
tem=0:スコープドッグの装甲厚は6ミリからもっとも厚いところでも14ミリというが、腰部装甲等を見ると完全にそれをオーバーしているのだが?
MiyaBe:そこはボルトオンフレーム式装甲という話ですね。ムクの一枚板ではなく、枠の上に薄板を張っているだけ、という。
MiyaBe:誤解が無いように言っておきますが、この腰部装甲はこれでも20ミリ弾を想定して設計されているという話ですよ。
Dick_L:そんなもので20ミリに耐える? いや、そもそもスコープドッグの装甲は一番厚いところでも14ミリしかないという話だろう。それでどうやって?
MiyaBe:ええ、繰り返しになりますが腰部装甲など一部では想定して設計されているという話です。第二次世界大戦中のドイツ四号戦車が対戦車ライフルへの対応策として付けた増加装甲、シュルツェンと同じ理屈です。あれは厚さ数ミリの薄い、防弾処理もされていない軟鉄製だったという話ですが効果は十分でしたから。
MiyaBe:シュルツェンはドイツ語でエプロンを意味する言葉ですが、この場合は戦車の砲塔や側面に追加された、対戦車ライフル向けの増加装甲を指します。戦車本体の装甲とあわせて空間装甲を形成でき、成型炸薬弾にも有効です。
tem=0:本体の装甲?
MiyaBe:スコープドッグで言えば、腰部装甲の下には太ももの装甲がありますよね。
MiyaBe:この空間装甲ですが、HESH、粘着榴弾なら外側の装甲に命中した際に起爆し、装甲間の空間によって衝撃波の伝播が弱められ、破片も主装甲で受け止められる上、機体内への衝撃波による被害もまた減少します。
MiyaBe:火薬の力が産み出すメタルジェットで装甲を穿つ弾頭、成形炸薬弾(HEAT弾:High-Explosive Anti-Tank)でも、外側の装甲に命中した際に起爆させれば、そのメタルジェットは減衰します。装甲車に金網を追加したスラット装甲などを見ても分かるようにこの目的では、強度は必要とされませんから薄板でも十分です。
まぁ現代のHEAT弾は著しく性能が向上しているので多少離して爆発させても効果は薄い。
ただ元々スコープドッグが想定しているのは20ミリ、火砲としては小口径な砲弾で、弾頭直径に比例するメタルジェットの有効距離も短いため、これに対しての防護としては十分ということなのだろう。
それ以上の火砲に対する防護は考えられていないし、歩兵が使うミサイルやロケットなどで弾頭が大きく炸薬量が多いものについては、歩兵に肉薄攻撃を許すほど近づけるのが悪い。
さもなくば機動力で狙いを付けさせるな、弾速が遅いのだから撃たれても避けろ(当たらなければどうということは無い)、という考え方である。
MiyaBe:最後に運動エネルギーで貫くタイプの徹甲弾ですが、これは小口径…… 砲としては小口径の20ミリや、重機関銃、アンチマテリアルライフルに用いられる.50口径、12.7ミリ弾では、表面の装甲を貫通した後、主装甲への命中角が変わって浅くなり貫通力を落とす場合があります。
Dick_ L:横転した弾丸は貫通力が落ちるのと一緒か。
MiyaBe:そんな感じです。これは先に挙げたドイツ戦車のシュルツェンが対戦車ライフル対策で実際に効果を上げているものですね。
MiyaBe:以上のように、スコープドッグの腰部装甲のような空間装甲では、外側表面のものはシュルツェン同様、強度はさほど必要としない、ということです。
MiyaBe:ただ、薄板をそのまま吊り下げると周囲に引っ掛けるなどして簡単に曲がり、障害になる恐れがあります。ドイツ戦車のシュルツェンではこれにより履帯や転輪に絡まることがあり、戦車兵には嫌われたと言いますし。
MiyaBe:だからしっかりとした強度のある枠、フレームを用意して、それにボルトで取り付けるようにしてあるのです。
tem=0:その外枠のせいで、14ミリ以上の厚さのある装甲に見えていただけ、ということか。
などといったやり取りをしていた。
もちろんミヤビはこれを、同好の趣味を持ったアニメファン同士の私的なお付き合い。
悪く言えば業務外の接待、ミヤビの前世で言うサラリーマンの接待ゴルフのようなものであると認識していたのだが……
(まさかこれが開発仕様決定のための意見交換だとは思わないでしょう!!)
当時ミヤビは別件で忙しくしていたことと時差があったため気付かなかったのだが、テム・レイ博士たちが発信していたのは彼らの平日勤務時間帯であり。
気付いた時にはテム・レイ博士とディック・ルムンバ氏、そしてヤシマ重工との間で開発が進められていたスコープドッグが完成、生産されていたという。
「何を言ってるのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった…」状態になってしまったミヤビ。
しかも、それに地球連邦軍が興味を示し採用されてしまったというオチである。
どうしてこうなった……
(ひいいいぃぃぃっ!!)
ミヤビは変わらぬ表情で、しかし内心悲鳴を上げる。
男子、タマヒュン案件な金的攻撃を受けたザクが、
僕の、僕の大事なタマをぉー!!
とばかりにマシンガンを乱射しながら怒った様子で追いかけてくるのだ。
まぁ、多少なりともダメージを与えているのでその動きはぎこちなかった、というか少々内股気味なのがアレではあったが。
「ローラーダッシュ!」
アクセルをベタ踏みし、スコープドッグ・ショーティの足裏に設置されたタイヤ、グライディングホイールを使ったローラーダッシュ走行で逃げる逃げる。
この機体は完成した全高3804ミリのスコープドッグを前に、
(プチモビルスーツと言うには少し大き過ぎかな? 前世でも大河原邦男先生が制作された1/1スコープドッグを見て、まだ大き過ぎると感じたって言ってたし)
と考え手を入れた結果、生まれたもの。
スコープドッグは降着機構を支える1本のバー状のフレームでひざ下と接続されているわけだが、それを超ショートフレームに交換することでカカトの関節と接続。
これにより頭頂高が3メートルを割る2930ミリ、ライト級ATツヴァーク並みの低身長と同時に軽量化を実現したのがこのスコープドッグ・ショーティと呼ばれるカスタムモデルなのだ。
それゆえ一見、ひざ下に直に足首が付いているようにも見えるが、実際にはヒザ関節とカカトの関節は別に存在している。
低身長を実現するのに「体のあちこちからちょっとずつ切って縮める『なんてことしなくてもいい』んだー これなら、そーんなにムズかしくないし、らくしょーだねっ!」というお手軽カスタムである。
副次的効果としてその分、軽量化が成されており重量出力比、パワーウェイトレシオは向上。
ボトムズファンなら高速化カスタムというと、ジェットローラーダッシュ機構を組み込んだターボカスタムを思い浮かべるだろうが……
実際にはOVA『ビッグバトル』に登場した装甲を極限まで減らして軽量化を図ったモデル、ATM-09-LCライト・スコープドッグの方が速かったりする。
ライト・スコープドッグはさらに両足に1基ずつグライディングホイールを追加したモデルであるが、一方、このスコープドッグ・ショーティは軽量化に加え、全高が低くなった結果、前方投影面積が減っているので空気抵抗が減少している。
それゆえに単純比較はできないもののライト・スコープドッグやターボカスタムに迫る加速、最高速を素で持ち合わせていた。
だからザクから逃げきれている、という話であった。
「こんな小さな目標に、そうそう当たるもんじゃない!」
とミヤビは半分、自分に言い聞かせるようにつぶやき、全高3メートル以下という小さなボディを生かしコロニー内を逃げ回る。
相手は120ミリなどというミヤビの前世、旧21世紀の主力戦車の戦車砲並みの砲弾を、マシンガン感覚でばら撒いて来るのだ。
ザクマシンガンは宇宙での使用を考えて低反動にしたためか低速砲で「すごいスピードで敵の装甲をぶち抜くぞ」という物理な徹甲弾は使えず、そのため火薬の力で超高速噴流(メタルジェット)を作って装甲を破る成型炸薬弾(HEAT:High-Explosive Anti-Tank)を使って来るのだが、これ、爆薬のエネルギーの70%以上がメタルジェットにならずに周囲に飛び散ってしまうもののため、スコープドッグのような軽機体では直撃しなくとも至近弾を受けただけで爆風で吹き飛ばされかねない。
まぁ、砲弾の爆風は着弾点から上に向け円錐状に発生するので、ノーマルなスコープドッグより全高が低いスコープドッグ・ショーティは、ローラーダッシュするために身を沈めていることもあって、影響は受けづらいのではあるが。
そして脚が短くなっている分、低重心化による安定性、走行性能の向上がなされているため、同じ高速型でも操作性が劣悪で一般のパイロットには制御しかねるターボカスタムと違い、ミヤビでも十分制御が可能。
同時に、その運動性は搭乗者の操縦次第でザクを凌ぐものとなるのだった。
「な、なんてマシンだ。ライフルでは、まったく追従できません!」
その運動性能と的の小ささに、手を焼くザク。
そしてスコープドッグ・ショーティが消えたビルの影に走り込んだその時!
「ワイヤーウインチ射出!」
スコープドッグのバリエーション、バウンティドッグよろしく左腕に設置されたワイヤーウインチユニットの射出口をザクの頭部に向け、発射。
ザクのモノアイスリット側面の支柱に巻きつけるミヤビ。
「ウィンチ巻き取り!」
内蔵されたウィンチでワイヤーを高速で巻き取ることで、ザクの頭めがけて飛んで行くスコープドッグ・ショーティ。
(こんな『コードギアス』のKMFの装備、スラッシュハーケンのような曲芸じみた使い方をするために作ったんじゃないけれど!)
と内心ぼやくミヤビ。
この装備、本来は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で登場人物たちがモビルスーツデッキ等での移動に使っていたワイヤーガンのように宇宙空間作業時、推進剤を消費せずに移動を行うためのもの。
そのために先端アンカーにはマグネットも装備されている。
しかし…… その用途ゆえに自重を支えるほどの強度を有しており、こんな真似もできてしまうのだった。
そしてワイヤーだけではなく、超硬スチール合金製のザクの装甲に足裏のマグネットで吸着し機体を固定、取り付く。
「アームパンチ!」
モノアイレールを守るバイザーシールドに、火薬の爆発力で伸縮する拳、右手のアームパンチを叩き込む!
民生用のプチモビルスーツ、作業機械として開発されたはずの、この世界のスコープドッグに内装兵器?
という話だが、そもそも『装甲騎兵ボトムズ』のアーマードトルーパーに装備されていたアームパンチ機構自体、狭い閉鎖空間での障害物除去用の衝撃破壊装置(インパクト・デバステイター)として搭載されていたものが戦闘に転用され、接近戦時の最後の武器として使われるようになった、という説が流布していた。
このヤシマ重工製スコープドッグにもまた、作業機としての性質上、スペースデブリなどの排除や事故時の障害物撤去用にという名目で搭載され……
そしてこのように戦闘にも用いられるようになっていた。
動作の度に使用済みの金属薬莢が排莢され、はじけ飛ぶ!
一発目でバイザーシールドにひびが入り、二発目で粉砕。
そこに遅れてザクのカメラが移動し、直近にあるスコープドッグ・ショーティの姿を捉えようとするが、
「ナイスタイミングとしか言いようが」
『可哀想としか言いようが』
ミヤビが、そしてスコープドッグ・ショーティのミッションディスクプログラムに組み込まれたサポートAIサラがつぶやくとおり、アームパンチを放つために左腕に持ち替えていた短銃身のGAT-22Cヘビィマシンガン改は、もう一度右手に戻され構えられており、
「
もしくは、
「こんにちは、死ね!」
とばかりに目が合った瞬間にはガンガンと吐き出された銃弾が割れたバイザーシールド内でモノアイカメラを粉砕!
さらに内部を跳弾が跳ね回り頭部機能をズタズタに破壊する!!
「目がぁぁ~! 目がぁぁぁぁあっ!!」
至近のマズルフラッシュにモニターが焼かれ、直後にカメラが粉砕されたことによりブラックアウトした視界。
ザクのパイロット、ジーンは悲鳴を上げる。
「あれが、あの小型機の威力なのか? あんな小さな機体が……」
ジーンを引き留めようとしていた上官、デニムも驚愕する。
ワイヤーウインチユニットを利用して地上に降りたスコープドッグ・ショーティは、すぐさまジーンのザクの背面に回り込んで、その機体を盾にもう一体のザクからの射線を切る。
さらに念を入れてFPSやミヤビの前世であったオンライン対戦ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』においてレレレ撃ちと呼ばれていた左右に機体を振る回避行動を併用しながらの射撃で30ミリマシンガンをザクのランドセル、ロケットエンジンに連射。
『バーリバリバリ……』
とサラが楽しそうに言うように潰していく。
ミヤビの前世の記憶の中にあるアニメ『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』でもゲリラの歩兵用ロケットランチャーからの一撃で、ザクのロケット噴射による跳躍が潰されていたように、たとえ30ミリの砲弾であっても、ピンポイントで叩き込めば局部破壊は可能だ。
最後は後退しながらの退き撃ちでザクマシンガンを狙って弾薬誘爆を目論み、やはり歩兵用のロケットランチャーでそれを破壊してみせたシロー・アマダのように見事成し遂げる。
そうやって戦闘能力を奪ったのだった。
「よくもジーンを!」
激情のままに追いかけてくる、もう一機のザクだったが、横滑りするように動くスコープドッグ・ショーティにひらりと躱され、とっさには止まれず行き過ぎてしまった、と思った瞬間、
「おおっ、ああっ!」
足元に張られたワイヤーに脚を取られ転倒する!
「さっすが宇宙工学素材活用の超高強度ワイヤー」
機体を右に回避させると同時に反対方向、左に射出、固定物に巻きつけザクの足元に張っていたワイヤーをワイヤーウインチユニットに巻き戻し、ミヤビはつぶやく。
ミヤビの前世の記憶の中にあるアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』冒頭で、同様にプチモビルスーツから射出されたワイヤーがゼータガンダムを転ばせていたように、宇宙世紀の技術で造られたワイヤーの強度は伊達ではない。
それでも立ち上がろうとするザクだったが、しかし、
『
とサラ。
散々追い回されたせいか妙にハイに、いや、最高に「ハイ!」ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハハーッ、みたいになっている彼女は、
『あなたはミヤビさんとの知恵比べに負けたのですッ! 私たちが逃げ込んだこの場所に見覚えはありませんか? 初めてこのコロニーを訪れたあなたの目にはどの風景も同じに見えるのですか?』
実際、コロニーの人工の大地は人の手によるものであるがゆえに、特に変化を付けて造成された場所以外は類似していて迷いやすいものではあるのだが……
そして別方向からの砲撃がザクに炸裂する!
『そうです。ガンタンクからの砲撃支援を受けるための『逃走経路』です!』
そこはスコープドッグ・ショーティが乱入するまでザクたちがガンタンクと戦っていた場所。
ミヤビはあらかじめ、ガンタンクのアムロに砲撃要請をした上で、サラに命じて設定させたキルゾーンにザクを誘導。
前世であったオンライン対戦ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』よろしく、よろけを取ってザクの回避を潰した上で、砲撃させたのだった。
(バトオペ2でも素ザクには緊急回避制御付いてなかったしね)
などとメタなことを考えているミヤビ。
もう遅い! 脱出不可能よッ!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ
とばかりにガンタンクの砲撃でタコ殴りにされるザクを横目で見つつ、
「まぁ、内部故障を狙う粘着榴弾(HESH)だから、パイロットは死んではいないんだろうけど」
とつぶやく。
『鹵獲機をニコイチすれば稼働機体をでっちあげることができますかね?』
とサラ。
ヤシマ重工MS用可搬型兵器の粘着榴弾(HESH)を使った不殺化を推し進めるべく動いたミヤビだったが、彼女の前世の記憶でもRX計画にキャノン砲を納めたメーカーとしてヤシマ重工が挙げられている書籍資料があった。
転生したこの世界で調べてみたら、実際にガンタンクの120ミリ低反動キャノン砲にもヤシマ重工が関わっていたため、ついでに粘着榴弾(HESH)を用意して不殺、敵機の鹵獲を推し進めた経緯にある。
そしてこの世界のスコープドッグは、そもそも民需の作業用にと作られた機体。
機体を制御するサラの助けがあれば、ザクの修復も問題なく行えるだろう。
ともあれ、
(何でガンダムでもガンキャノンでもなくガンタンク? 機動戦士ガンタンクにスコープドッグを足してむせる話にでもなったりするわけ?)
ということではあるのだが。
次回予告
ホワイトベースで脱出を図るミヤビたちを待ち受けていたシャアは、ついに赤い彗星の本領を発揮してスコープドッグ・ショーティに迫る。
それはシャアにとってもミヤビにとっても、初めて体験する恐ろしい戦いであった。
「みんな丸太は持ったな!!」
(GAT-35 Log Gun(ロッグガン、Log=丸太)のことでしょうけど、変に省略しないで!)
「ス、スレンダー。い、一撃で、一撃で撃破か。なんということだ、あの小型機は戦艦並のビーム砲を持っているのか」
(とか思ってるんでしょうけど、あのロッグガンは
次回『ガンタンク破壊命令?』
君は生き延びることができるか?
本当にスコープドッグが作られてしまった場合のIFルート案でした。
ついでにアムロはガンタンクに乗せて以前紹介した機動戦士ガンタンクルートと統合、よりむせる話に。
第1話なので主兵装を30ミリマシンガンだけで済ませましたけど、スパロボのキリコならともかく凡人のミヤビにはそれだけでは厳しいので、続けるならモビルスーツに通用する武器を用意しなくてはいけませんね。
第2話では予告通りチャージ式の大火力兵器ロッグガンを登場させればいいとして、簡単なのは本編でツヴァークに使わせたHRAT-23ハンドロケットランチャーの発射管に4発のAIM-79、コア・ファイターに搭載されていた、グフの正面装甲を破ることができるミサイルを積めばいいでしょうか。
あとは背面ミッションパック接続のミサイルランチャーとか。
まぁ、自分でダメージを取ることにこだわらず、今回のラストのようにバトオペ2で言うところのよろけを取って支援機、アムロのガンタンクの砲撃で止めを刺してもらうというのも渋いし戦術的にはよろしいかも知れませんが。
それではまた。