ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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 軍需に関係したくないミヤビが純粋な民間作業機を求めた結果、ZZ冒頭でヤザンやジュドーに使われていたプチ・モビルスーツなら絶対大丈夫だろう(フラグ)と考えた場合のIFルート。
 この機体、思い出せないという方は、ガンダム公式 YouTube チャンネル「ガンダムチャンネル」が上げている『MS動画図鑑』動画、
https://www.youtube.com/watch?v=_UlvrW2AJ9M
 このあたりを見るか『機動戦士ガンダムUC』でコロニー中心部に放り出されたミネバ様を助けるためにバナージ君が使ったプチ・モビルスーツ、TOLRO-800トロハチ。
 あれをプラスチックボディの華奢で小型にしたものと考えればOKです。
 何しろ機体構成自体は、ほぼ一緒ですので。


ZZ登場のプチ・モビルスーツを開発した場合 Aパート

 辺境のスペースコロニー、サイド7に降り立った鋼の巨人。

 ジオン公国軍モビルスーツ、ザク。

 

「へっ、怯えていやがるぜ、このタンクもどき」

 

 アムロ少年が起動した地球連邦軍モビルスーツ『ガンタンク』に迫るも、突如として鳴り響く接近警報。

 不意に物陰から飛び出してきた、とても…… とても小さな機体が、ザクの顔面目掛けて、

 

「ファッ!?」

 

 真っ白な、ねばつくものをぶっかけた!

 よろめき、動きを鈍らせるザク。

 そう、その白いゲル状の物質、コロニー補修用のトリモチはザクの機体にまとわりつき、短時間だが拘束することに成功。

 その隙にアムロのガンタンクはサポートAI、サラ=零のアシストを受け後退。

 態勢を立て直す。

 

 それを成し遂げたのは全高2メートル少々のプチ・モビルスーツと呼ばれる機体。

 まるでテルテル坊主のようなシルエット、金魚鉢を逆さにしたようなバブルキャノピーにプラスチックボディ、機体後部に搭載された円筒状のプロペラントタンクとロケットエンジンが付き、ロケットエンジンを備えた前後対称の脚部と三本指のマニピュレーターを備えた民間作業機。

 転生者ミヤビ・ヤシマの前世の記憶では『機動戦士ガンダムΖΖ』序盤でヤザンやジュドーらに使われ、活躍したマシンだった。

 

 

 

(あああああ、怖い怖い怖い!)

 

 本来なら存在しないはずのミライ・ヤシマの姉であるミヤビ・ヤシマはバブルキャノピー越しに見上げるザクの巨体に戦慄する。

 ただのガラス張りとか、アクリル製というわけでは無く、スペースデブリ衝突事故に備えガンタンクの頭部コクピットやガンキャノン、ジムの頭部センサーゴーグルと同じくポリイミド系材料を発展させた多層構造物によるグレイズ・シールドを使用しているとはいえ、当然、通常サイズのモビルスーツからの攻撃に耐えられるようなものではない。

 実際『機動戦士ガンダム』劇中ではジムのゴーグルですらザクマシンガンのストックで叩き割られていたし。

 

(ワイヤーアンカー射出機構を利用したトリモチ弾で何とかガンタンクが後退する隙を稼げはしたけど!)

 

『機動戦士ガンダムΖΖ』登場のプチ・モビルスーツは右手のひらにワイヤーアンカー射出装置が内蔵されていたが、これを利用してコロニー補修用のトリモチ弾が使えないかという要望があり、

 

 先込め式で…… そう、信号銃から発展したカンプピストルやシュツルムピストーレに用意された先込め式の榴弾や成形炸薬弾のようにしてやれば。

 

 という発想でミヤビが用意したものだった。

 見た目、パンツァーファウストやRPG-7の弾頭のようなものを用意し、ワイヤーアンカー射出機構に差し込んで撃つというもの。

 ミヤビの前世、旧21世紀の記憶の中で言えば、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』登場のハイゴッグが手のひらに装着していたハンド・ミサイル・ユニットみたいな感じだろうか。

 水中で使うわけでは無いので整流フェアリングは着けないが。

 

 そして同様にミヤビの前世の記憶の中にあるネットワーク対戦ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』でもリック・ディアスやガンダムMk-Ⅱなどには拳部トリモチ・ランチャーが装備されていて。

 敵機体に張り付くことで即よろけ、命中後5秒間のスピード低下付与という効果があった。

 それと同様の効果を上げてはいたのだが、逆に言えば、それだけ。

 

「敵前……」

 

 作業用のプチ・モビルスーツのコクピットはシートをコンソールごと360度自由に回転できるが、それを180度、真後ろに回転。

 

「大逆走ーっ!!」

 

 前後対称という特徴的な脚部を利用し「逃げるんだよォ!」とばかりに後ろに向かってダッシュする!!

 

 なお『敵前大逆走』は無差別格闘早乙女流の真髄である「走・考・攻」を顕著に表している奥義。

「逃げながら反撃の手段を考える」だけに見えて実際には、

・相手の攻撃を防ぎ、避けつつ

・適切な逃走ルートを算出しつつ

・最も適切な相手への攻撃手段を見つけ出す

 ということが必要な、高難易度な奥義である。

 

 一方で、

 

『『未来少年コナン』の万能土木作業用ロボット『ロボノイド』みたいですね』

 

 とプチ・モビルスーツの機体制御用コンピュータにインストールされたサポートAIのサラがささやく。

 確かにアレも主人公が逆方向に暴走させていた。

 

(どうしてこんなことに……っ!)

 

 と嘆くミヤビ。

 まっすぐでつややかな黒髪と硬質な整った顔立ちもあってか『ヤシマの人形姫』などと呼ばれているその表情に変化はないが……

 だがこれは男性から女性へ、いわゆるTS転生したせいでお嬢様らしく扱われ着飾らせられる日々に引きつる顔を無理になだめて生きてきた結果、表情筋が死んだように動かなくなっているだけである。

 

(顔に出ないからってなにも感じてないわけじゃないから!)

 

 彼、いやもう彼女であるミヤビは声を大にしてそう叫びたかった。

 そのミヤビが、なぜ宇宙世紀0079年、一年戦争時に『機動戦士ガンダムΖΖ』登場のプチ・モビルスーツなんぞに乗っているのかというと……

 

 

 

 前世の知識があったところで、それを利用して死の商人になるなどもちろんやりたくないミヤビは、あくまでもモビルスーツ技術の平和利用を考え『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』登場のミドルモビルスーツ、ドラケンEを作業用重機として活用することを考えたのだが……

 

 キロリロリーン!(ニュータイプ音)

 

「はっ!?」

 

 と弾かれたように顔を上げるミヤビ。

 しかし、もちろん彼女にニュータイプの素養など無いので、

 

「サラちゃん?」

『面白いですね、この『モビルフォース ガンガル』』

「ああ、そう……」

 

 サラと名付けられた彼女は未来においてSガンダムに搭載されるルーツ博士開発の人工知能、AIである『ALICE』、その原型となったプログラムから株分けしてもらいミヤビたちが育てた存在だったが。

 情操教育のためつないだネット越しに古い西暦の時代のアニメ(何故かガンダムシリーズだけが『モビルフォース ガンガル』に置き換わっている)を楽しんでいる模様。

 そして深い思索から我に返ったミヤビだったが、

 

「よく考えるとドラケンEも軍用機なのよね」

 

 と思い至る。

『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』劇中にて、中立故に大した武装ができないサイド6、リーア軍が治安目的とはいえ採用していた機体。

 ゆえに、いくらミヤビが平和利用を考えていても軍需に転用されてしまう可能性があった。

 

「まぁ、こんな作業用重機に毛が生えたようなミドルモビルスーツを、フルサイズのモビルスーツと戦わせようなんてバカなことを考える者が居るはずが無い、とも思うけど」

 

 そうつぶやくミヤビだったが、何だかフラグめいたことを言ってしまったような気がして、背筋を震わせる。

 ともあれ、

 

「軍需からの脱却……」

 

 レポート用紙、敢えて紙という古い媒体にペンを走らせ、構想を練る。

 

「ジュニア・モビルスーツはどうかしら?」

 

 カミーユ君がホモアビス…… ミヤビの前世、旧21世紀のガンダムファンからは、「ホモ地獄(アビス)って何だ!?」「カミーユって名前が女性的だからって『男性的』な趣味に傾倒していく彼は次第に……」「確かにホモは男にしかできないが」「空手もやってたけど『空手部・〇の裏技』みたいなところだったり」「よりによって迫真空手部かよ!」「野獣先輩(ヤザンではない)が居そうな気配」「ヤザンも部下のキ〇タマ握っていたんだよなぁ……」などと言われていたシュミとは別に、彼が大会で優勝していたというジュニア・モビルスーツというのはどうだろうか?

 しかし、

 

「これはゼータでハイパービーム砲が載せられてしまうカテゴリー!」

 

 叫び、レポート用紙をビリッビリッと破き捨てるミヤビ。

 

「このサイズにビーム砲が載せられてしまうなんてやりすぎじゃ…… ウォンさんたちもこんな小さなオープントップ機でハイザックの頭を吹っ飛ばすとか頑張りすぎ」

 

 と頭を抱える。

 まぁ、1年戦争末期でも、ジェネレーター非搭載のジオングヘッドはエネルギーコンデンサに蓄えられたパワーのみでメガ粒子砲が撃てたというし、ゼータの時代にはもっと小型でジェネレーター非搭載のファンネルでビームが撃てた。

 ならばジュニア・モビルスーツサイズでも撃てるのかも知れないが。

 

「もっと未来の機体も候補に挙げて……」

 

 ミヤビの前世の記憶に基づく未来知識、AMBAC(Active Mass Balance Auto Control=能動的質量移動による自動姿勢制御)などといったモビルスーツ向けの技術概念に、ヤシマ重工を筆頭としたヤシマグループ(中にはガンダムの制作に携わった八洲軽金属も含まれる)の持つ技術力、そしてジオンがモビルスーツ作成のカバーストーリーとして外向けに偽装のため出しているモビルワーカー(マンガ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でも一年戦争開始前にシャアが地球上でジャブローの土木作業に使用していた)等からの技術的フィードバックを利用すれば、1年戦争前であっても民間の作業機相当の機体なら作れるはず、と考える。

 一般に軍で開発された最新技術は軍事機密とされるため民需にその応用、スピンオフ技術が反映されるまでかなりの時間がかかるのだから。

 

「逆シャアでロンドベルが使っていたズック」

 

 これも非常に小さな機体でプチ・モビルスーツに該当するカテゴリーの機体だが、

 

「だからこれも軍用機!」

 

 再びレポート用紙をビリッビリッと破き捨てるミヤビ。

 

「元は民間機って話だったけど破壊工作に用いられているし……」

 

 と頭を抱え、猛省する。

 地球連邦軍、なりふり構わずスピンオン(スピンオフの逆で民間の技術を軍事技術に転用するという意味)し過ぎ問題である。

 ボールなんかも、単なる作業用ポッドを拡大設計したものに砲を載せただけだったし。

 

「なら、逆シャアでも民間人であるハサウェイ君が買ってた民間機……」

 

 と、ペンを走らせる。

 

「メッド」

 

 しかし、

 

「これもブライトさんが戦場で使ってた!」

 

 レポート用紙をビリッビリッと破き捨てるミヤビ。

 

「ブライトさん、意外とアグレッシブ。そもそも逆シャアのプチモビはちょっと遊びすぎなんじゃ……」

 

 と頭を抱える。

 ズックはマニピュレーターの先から触手が生えるし、集合体恐怖症、トライポフォビアが反応するレベルで機体にブチ穴が開きすぎ。

(なお、これはデザイナーの出渕先生ではなく、スタッフが後から書き足したと言われている)

 メッドは独自の4足歩行の動きがキモイし。

 

「有力候補を忘れていた……」

 

 さらに新しいレポート用紙に書き込むミヤビ。

 

「TOLRO-800トロハチ」

 

 ユニコーンでコロニー中心部に放り出されたミネバ様を助けるためにバナージ君が使ったプチ・モビルスーツ。

 戦場では使われていないし、本当に重機じみた、THE作業機といった外観。

 しかし、

 

「コロニーに墜落しても無事という頑丈さが逆に不安!」

 

 とレポート用紙をビリッビリッと破き捨てるミヤビ。

 

「トロハチの全高はわずか3メートルだけど、60ミリバルカン砲2門を内蔵した連邦系モビルスーツの頭部は2.5メートル以下」

 

 ジム・スナイパーII、ホワイト・ディンゴ隊仕様用が装備していた外付けバルカンポッドの大きさなどを考えれば、

 

「トロハチにも外付けのバルカンポッドぐらいなら搭載できそう」

 

 ミヤビの前世の記憶の中にある書籍『機動戦士ガンダム公式設定集 アナハイム・ジャーナル U.C.0083-0099』でもトルロ社のプチ・モビルスーツ、ベル・トロシリーズを「頑丈なフレームとパワフルな駆動系には定評がある」と紹介していたように、トルロ社はそういう機体が得意なメーカーなのだろう。

 小さかろうとも、そんな風に頑丈でパワフルな機体にはバルカンポッドが積めてしまう可能性がある。

 

「どれもだめだ。どれも安全じゃない……」

 

 そうして、ミヤビはふと思い出す。

 

「トロハチと言えば、ZZでジュドーやヤザン氏が乗っていたプチ・モビルスーツ、あれもトルロ社のものだったのかしら?」

 

 金魚鉢を逆さにしたようなバブルキャノピー、機体後部に円筒状のプロペラントタンクとロケットエンジンが付き、前後対称、ロケットエンジンを備えた脚部と三本指のマニピュレーターという機体構成がまったく一緒なのだ。

 永野護先生デザインで『重戦機エルガイム』のマシンナリィ風の華奢なシルエット、ボディもプラスティック製とされていた。

『機動戦士ガンダムΖΖ』序盤でヤザンやジュドーらにドタバタ的に戦闘に用いられたものの、軍用とは程遠い扱いだったし。

 

「ここはやっぱりトルロ社と技術提携よね?」

 

 そんなわけで、トルロ社と提携してみることに。

 調べてみるとこの時代、トルロ社はまだプチ・モビルスーツの業界には進出しておらず。

 普通の宇宙作業機メーカーだったが、注目すべきはトロハチやZZのプチモビと同じ機体構成の、原型となっただろうという機種は存在していた。

 なるほど、これにAMBAC(Active Mass Balance Auto Control=能動的質量移動による自動姿勢制御)など、モビルスーツの技術を加えることで、プチ・モビルスーツとしての体裁を整え、製品化したということだろうか。

 ただ、トロハチのように頑丈さを追求していくと軍用に用いられてしまいそうな悪寒…… 予感がしたので、ここはあくまでも華奢な『機動戦士ガンダムΖΖ』登場のプチ・モビルスーツを再現するということで、

 

「製品コンセプトは必要最低限。安価を突き詰めた合理性のみの機体です」

 

 とする。

 

「ですが、それは一人でも多くの人にモビルスーツという新たな製品が持つ可能性を体験してもらい、役立つという誇りであり自負です」

 

 そういった方針で開発を進める。

 そう、ミヤビの前世、西暦の時代の日本で言うとスズキの軽乗用車、

 

「目標達成のためなら灰皿やスペアタイヤ、エンジンまでも外せ」

 

 との叱咤を受け、助手席ドアのキーシリンダーすら廃して自動車業界初の全国統一価格「47万円」を実現した初代アルト。

 そのノリである。

 

「宇宙空間作業時、推進剤を消費せずに移動を行うためのワイヤーアンカーを手のひらに内蔵させましょう」

 

 アルトが運転席側のドアにしかキーシリンダーを持たなかったように、

 

「ただし右腕だけ」

 

 などといった具合に。

 まぁ、アルトが助手席側にもキーシリンダーをはめ込む凹みは残してあったように、左腕にも取り付け可能なスペースは残しておいたが。

 その他にも、

 

「後方カメラ? バックミラーでいいでしょ」

 

 しかもキャノピー外にトラックに見られるような縦長大型のものを二つ備えていたトロハチとは違い、コクピット内にコンソールから伸ばした片側ミラーを設置するだけというおそろしくシンプルなもの。

 ミヤビの前世、西暦の時代でも古い原付にしか使われていなかった、それこそスズキの原付スクーター、チョイノリがごときコストダウンである。

 まぁ、プチ・モビルスーツのコクピットは作業に合わせ360度自由に向きを変えられるので、コンソールから伸ばすことにより、どちらを向いてもバックミラーが機能する、という点で優秀ではあったのだが。

 

 トルロ社の技術担当の重役には、

 

「しかし意外でしたな、ヤシマ重工なら、もっと重厚長大な大型機を推し進めるものだと思いましたが」

 

 と言われたが、

 

「ヤシマ、いいえ、そのルーツである日本人だからこそですよ」

 

 ミヤビは答える。

 

「日本人は弱さの自覚があります。体力も資源にも恵まれず、過去の大戦でも負けましたし……」

 

 すらりとしたと言えば聞こえはいいが、女性的な豊満さとは無縁な、己のスレンダーで小柄な身体を見下ろして言う。

 しかしミヤビは昂然と顔を上げ、

 

「でも昔から弱いからこそ創意工夫でいかに強大な相手に勝つかを模索してきました」

 

 つまり、

 

「『逆転のカタルシス』これが日本人の魂の本質なんです。ゼロ戦やヨタハチ…… エンジンの力に頼らない飛行機屋の空力と軽量化の極限。このプチモビはかつて力なき者が大空を、速さを目指した技術と魂の欠片を受け継ぐものなんです」

 

 そして、

 

「その結果、1G環境下でもジャンプ、短期間の飛行が可能なほどの運動性を確保しています」

 

 これは『機動戦士ガンダムΖΖ』登場のプチ・モビルスーツと同じ。

 つまり約10年先の機体の再現に成功したということ。

 

「力に、出力頼りの機体にこの熱さがありますか? 日本は『力と数』ではなく『芸と技』で魅せる国です。そこにこそ魂が宿る」

 

 だから、

 

「熱いのですよ、そうやって作られたモノは。だから時が経ち技術が進んでも込めた魂は色褪せない。その想いは時を超えて未来の機体に受け継がれる」

 

 仕上がった機体は『プチ・モビルスーツ』というそのまんまなネーミングで発売された。

 そもそもプチ・モビルスーツというジャンル自体が未形成であるため、分かりやすさと市場づくりを何より優先したのだ。

 後に無限軌道、履帯をすべてキャタピラーと呼ぶがごとく、いや、オカンがゲーム機を何でもファミコンと言うがごとくで、このネーミングは狭義にはこの機体を意味するが、広義にはカテゴリー全体を指す名称となるのだが、それはまた先の話。

 

 ミヤビの熱い語りが地球連邦軍のお偉方の関心を買い、制式採用されてしまうのもまた別の話……

 このミヤビの語りは彼女が前世で読んだ自動車擬人化マンガ『ウチクル!?ウチのクルマがこんなに可愛いわけがない!?』のパクリであり、そんなのを意気揚々と語ったバチが当たったのかも知れないが。

 

 ともあれ、

 

(アホかああぁぁぁっ!?)

 

 という話。

 そもそもミヤビは技術に関してはロマンチストであるが、同時にリアリストでもある。

 

(戦闘機なんかでも格闘戦向け軽量機なんて仮に活躍できてもそれは一瞬。機体にアップデートを反映させる余地が無いから、すぐ陳腐化するでしょ!)

 

 比較的、製品寿命の短い民間機ならいいが、作ったら問題が無い限りアップデートを重ねながら使う、寿命の長い軍用機では致命的だ。

 ミヤビの知る旧20世紀から21世紀にかけてのジェット戦闘機を例に取ると分かりやすいだろう。

 アップデートしながら長く使えていたのはF-4ファントムIIやF-15イーグルなど大型で拡張の余地がある機体ばかり。

 軽戦闘機は開発時点ではその軽便さを生かした性能がもてはやされるが、時代が流れると機体にアップデートを施す余地が無くて詰む。

 そのためF/A-18ホーネットを拡大設計したF/A-18E/FスーパーホーネットやF-16ファイティング・ファルコンを拡大設計した日本のF-2のように元の機体から再設計、大型化して対応するというのが普通だ。

 ほぼ別物の機体になるので、開発費が多少圧縮できるという利点しかないが。

 そういった意味でミヤビの前世の記憶においてジェガンが長らく使われていたのは大型機で拡張の余地が大きかったため、とも言えるだろう。

 

 そんなわけで、軍需向けに作った機体では無いのだ、このプチ・モビルスーツは!




 ZZ登場のプチ・モビルスーツを開発した場合のIFルートでした。
 小型軽量機という話では、これが極限ですか。
 ミヤビが語ったとおり、ロマンがありますよね。

 少々、長くなり過ぎましたのでA、Bパート、二部構成でお届けしようと思います。
 次回更新をお待ちください。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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