ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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ZZ登場のプチ・モビルスーツを開発した場合 Bパート

「こんな小さな目標に、そうそう当たるもんじゃない!」

 

 とミヤビは半分、自分に言い聞かせるようにつぶやき、全高2メートル少々という小さなボディを生かしコロニー内を逃げ回る。

 相手は120ミリなどというミヤビの前世、旧21世紀の主力戦車の戦車砲並みの砲弾を、マシンガン感覚でばら撒いて来るのだ。

 ザクマシンガンは宇宙での使用を考えて低反動にしたためか低速砲で「すごいスピードで敵の装甲をぶち抜くぞ」という物理な徹甲弾は使えず、そのため火薬の力で超高速噴流(メタルジェット)を作って装甲を破る成型炸薬弾(HEAT:High-Explosive Anti-Tank)を使って来るのだが、これ、爆薬のエネルギーの70%以上がメタルジェットにならずに周囲に飛び散ってしまうもののため、プチ・モビルスーツのような軽機体では直撃しなくとも至近弾を受けただけで爆風により吹き飛ばされかねない。

 まぁ、砲弾の爆風は着弾点から上に向け円錐状に発生するので、全高が低いプチ・モビルスーツは影響を受けづらいのではあるが。

 

 そして軽量なプラスティックのボディを持つがゆえに、1G環境下でも背面ロケットエンジンを利用したジャンプ、短期間の飛行が可能。

 その運動性は搭乗者の操縦次第でザクを凌ぐものとなるのだった。

 

 

 

「な、なんてマシンだ。ライフルでは、まったく追従できません!」

 

 その運動性能と的の小ささに、手を焼くザク。

 そしてプチ・モビルスーツが消えたビルの影に走り込んだその時!

 

 

 

「ワイヤーアンカー射出!」

 

 左腕に移設されたワイヤーウインチユニットからワイヤーアンカーをザクの頭部に向け、発射。

 ザクのモノアイスリット側面の支柱に巻きつけるミヤビ。

 

「ウィンチ巻き取り!」

 

 内蔵されたウィンチでワイヤーを高速で巻き取ることで、ザクの頭めがけて飛んで行くプチ・モビルスーツ。

 

(こんな『コードギアス』のKMFの装備、スラッシュハーケンのような曲芸じみた使い方をするために作ったんじゃないけれど!)

 

 と内心ぼやくミヤビ。

 この装備、本来は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で登場人物たちがモビルスーツデッキ等での移動に使っていたワイヤーガンのように宇宙空間作業時、推進剤を消費せずに移動を行うためのもの。

 そのために先端アンカーにはマグネットも装備されている。

 しかし…… その用途ゆえに自重を支えるほどの強度を有しており、こんな真似もできてしまうのだった。

 そしてワイヤーだけではなく、超硬スチール合金製のザクの装甲に足裏のマグネットで吸着し機体を固定、取り付く。

 

「輻射波動!」

 

 右腕上腕がシリンダー状に伸び、モノアイレールを守るバイザーシールドに三本指のマニピュレーターを持つ手のひらを押し当てる。

 そこに遅れてザクのカメラが移動し、直近にあるプチ・モビルスーツの姿を捉えようとするが、

 

「ナイスタイミングとしか言いようが」

『可哀想としか言いようが』

 

 ミヤビが、そしてサラがつぶやくとおり、ワイヤーウインチユニットを左手側に移設し、空いた右腕に搭載された作業用オプション、レーザートーチが、

 

「こんにちは、死ね!」

 

 とばかりに目が合った瞬間には全力で作動!

 モノアイカメラを焼き切る!

 

 

 

「目がぁぁ~! 目がぁぁぁぁあっ!!」

 

 至近のレーザー照射にモニターが焼かれ、直後にカメラが破壊されたことによりブラックアウトした視界。

 ザクのパイロット、ジーンは悲鳴を上げる。

 

 

 

「あれが、あの小型機の威力なのか? あんな小さな機体が……」

 

 ジーンを引き留めようとしていた上官、デニムも驚愕する。

 

 

 

「ミヤビ君、新しい武器だ!」

 

 いつの間にか近づいていた軍用トラック、テム・レイ博士からの提供。

 その荷台に飛び乗り、

 

「これは?」

 

 と確認するが、

 

「トリモチ弾頭射出機構を利用したパンツァーファウスト弾頭だ。これならザクにダメージを与えられる」

「………」

 

 トリモチ弾を使用するためミヤビが参考にしたのは、カンプピストルやシュツルムピストーレに用意された先込め式の成形炸薬弾なのだから、軍に採用されたら当然こういうのも用意されるよなぁ、という話ではある。

 インガオホー!

 そしてミヤビの前世の記憶の中にあるアニメ『機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線』ではベン・バーバリー中尉麾下の対MS特技兵小隊が対戦車ミサイルをスケールアップして急造された歩兵用の兵器、対MS重誘導弾“リジーナ”がザクにダメージを与えていたが。

 リジーナの発射機は据え置きの大型のものだったが、ミサイル自体はそれを収めたケーシングごと、歩兵が一人で二発、基本的な歩兵用兵装と一緒に背負えるようなもの。

 このプチ・モビルスーツ用パンツァーファウストと弾頭の大きさ、威力は大差無く、つまりこれはザクにも通じるのだ。

 実際、地球ではベン・バーバリー中尉麾下の対MS特技兵小隊もこのプチ・モビルスーツとパンツァーファウスト弾頭を使って戦果を挙げているという話だ。

 まぁ、生身で戦っていた史実よりはかなりマシで、そこにこの機体を採用した連邦軍の先見性みたいなものがあるのだろうが。

 

 ミヤビは、左手側に移設されたワイヤーアンカー射出装置に、成形炸薬弾頭の尻から伸びているスティック状の部分を差し込み、発射準備をする。

 手榴弾に棒をつけて銃口に差し込み空砲で射出する小銃擲弾、ライフルグレネードに形状は似ているが、動作原理は異なる。

 

 

 

「ジーン、スレンダーが待っている所までジャンプできるか?」

「補助カメラが使えますから、見えます。ジャンプします」

 

 離脱を図ろうとするザクに迫るプチ・モビルスーツ。

 

 

 

「行けっ!」

 

 パンツァーファウスト弾頭を装填した左腕をザクに向け、そして発射。

 ワイヤーアンカー射出機構を使って撃ち出されるため、歩兵携行用のロケットランチャーと違い発射時の後方噴射(バックブラスト)が無く、射手の位置が判明し難いのが利点である。

 そうして射出された弾頭は安全距離を脱した後、ロケットモーターに点火、飛翔を開始する。

 RPG-7と一緒でスティック状の部分に推進剤が入っているが、噴射口はスティック部分の尻ではなく、弾頭の尻、スティック前側にあり、傘状にロケット噴射することで推進、弾道の安定化を図るようになっている(ので、射出後スティック部に展開する安定翼の効果が無い宇宙空間でも真っすぐ飛ぶようになっている)

 そうしてザク目掛け飛んで行くパンツァーファウスト弾頭!

 

 

 

「うわあーっ」

 

 ミヤビのプチ・モビルスーツの放ったパンツァーファウスト弾頭は、脱出しようとしたザクの比較的薄い背面装甲に命中。

 これを行動不能とする。

 

 

 

「よくもジーンを!」

 

 激情のままに追いかけてくる、もう一機のザクだったが、脚部ロケットエンジンを使い横滑りするように動くプチ・モビルスーツにひらりと躱され、とっさには止まれず行き過ぎてしまった、と思った瞬間、

 

「おおっ、ああっ!」

 

 足元に張られたワイヤーに脚を取られ転倒する!

 

 

 

「さっすが宇宙工学素材活用の超高強度ワイヤー」

 

 機体を右に回避させると同時に反対方向、左に射出、固定物に巻きつけザクの足元に張っていたワイヤーをワイヤーウインチユニットに巻き戻し、ミヤビはつぶやく。

 ミヤビの前世の記憶の中にあるアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』冒頭で、同様にプチ・モビルスーツから射出されたワイヤーがゼータガンダムを転ばせていたように、宇宙世紀の技術で造られたワイヤーの強度は伊達ではない。

 それでも立ち上がろうとするザクに、ミヤビはプチ・モビルスーツが右手に持っていたもう一発のパンツァーファウスト弾頭を左腕ワイヤーウインチ射出機構に装填。

 射出する!

 

 

 

「ロケット弾ごときで!」

 

 立ち上がったところに迫るパンツァーファウスト弾頭。

 足を止められたここからダッシュで避けることは難しいと見たザクは身を沈めることによってそれを躱そうとする。

『機動戦士ガンダム』第一話でも、そんな風に身のこなしだけで移動せずともミサイルエレカーの有線誘導ミサイルをかわしていたザクである。

 直進するだけのロケット弾くらい、それで避けることが可能だが、

 

 

 

『まっがーれ↓』

 

 パンツァーファウストの弾頭をコントロール、軌道をお辞儀させるサラ。

 ミヤビはワイヤーアンカーをパンツァーファウスト弾頭スティック部分の尻にマグネットで吸着させ、ワイヤーを曳かせて放ったのだ。

 このワイヤーを巻き取ったり送ったり、さらにはムチのようにしごくことで、ワイヤー越しに力を伝達させ、ある程度弾道をコントロールすることができるのだ。

 

 

 

「なに!?」

 

 無誘導のはずのロケット弾の弾道が、突如として変化した。

 ザクのパイロット、デニムは驚きながらも戦術コンピュータの補助によりパンツァーファウスト弾頭を回避しようとするが、計算エラーと脅威警報に目を見張る。

 

「これは!」

 

 乱数が2つもある!

 弾道の解析ができない!

 パイロット自身の能力で見切るしかない、だとぉ!?

 

 

 

『このパンツァーファウスト弾頭の有線誘導はパイロットの操作をサポートAIである私、サラがアシストすることで実現しているんですよ。つまりミヤビさんと相方(パートナー)である私の、愛の共同作業です!』

(このAI何言ってるの!?)

 

 サラの言葉に呆れながらも、ミヤビは左の操縦桿で弾頭をコントロールし続ける。

 トリモチ弾頭を用意した時点でやればできるかな程度の考えで試してみたものだったが、サラのサポートもあり意外なまでに優秀、というか物理的に力を伝達するためロケットモーターの制御で弾道をコントロールするミサイルよりダイナミックかつトリッキーな動作ができるということで注目を浴びていたりする。

 当時のミヤビは大道芸的なお遊びと感じていたのだが、このように成形炸薬弾頭などというものを用意されると確かに有用だった。

 ……こんなことをしているから軍に制式採用されてしまうのだが。

 そして命中!

 動きを止め、倒れ伏すザク。

 

(ザクの急所は把握しているわ)

 

 ミヤビが命中させたのはアニメ『機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線』でベン・バーバリー中尉麾下の対MS特技兵小隊が対MS重誘導弾“リジーナ”でザクを沈黙させていた左胸部分。

 核融合炉を爆発させ、コロニー外壁に穴を開けるわけには行かないためにそこを狙ったのだが、上手く行ったようだった……

 

 

 

次回予告

 ホワイトベースで脱出を図るミヤビたちを待ち受けていたシャアは、ついに赤い彗星の本領を発揮してプチ・モビルスーツに迫る。

 それはシャアにとっても、ミヤビにとっても、初めて体験する恐ろしい戦いであった。

 

「こんなこともあろうかと! プチモビの背面プロペラントタンクをコア・ファイターにも搭載されている空対空ミサイルAIM-79を左右互い違いに4発搭載したものに交換しておいたのだ!!」

 

(よりによってミサイルを何で推進剤タンクの中に装備しやがるんですか!

 シェル・チューブ型熱交換器みたいに推進剤タンクシェルにチューブを貫通させてミサイル発射筒にしてる、タンク内の推進剤と隔離してるのは分かるけど……

 いや違う、これ本当に熱交換器だ!

 ミサイルの発射炎による熱をミサイル発射筒のチューブ越しにタンク内に伝えて推進剤の加熱に使ってる。

 これにより加速性能と燃費が一時的に向上、同時に推進剤を冷却媒体にすることでミサイル発射に伴う機体の加熱を抑えている、熱ステルス性を向上させているのか!

 でも、左右発射できるミサイル背負ってって『マクロス』のクァドラン・ローですか!?

 AIM-79はグフの正面装甲も破って撃破できていた、ザクにも通じるってことではあるのだけれど!!)

 

 次回『プチモビ破壊命令』

 ミヤビは生き延びることができるか?




 ZZ登場のプチ・モビルスーツを開発した場合のIFルートでした。
 元々、ワイヤーの射出機構やら腕の伸縮機構やら面白いギミックが満載な機体なので、それを生かしたアクションが映えますね。
 今回はパイロット版ということで、駆け足で一気に見せてますけど、連載するなら一話に一つずつ見せて(魅せて)行くってことになりそうです。

 このお話もアムロはガンタンクに乗せて以前紹介した機動戦士ガンタンクルートと統合、ということになります。
 戦車と、戦車のスピードに合わせて進軍できる随伴歩兵みたいな、むせるお話になりそうでいて、プチモビの気の抜けるような絵面からシリアスになり切れない、みたいなことになりそうですが。

 ではまた。
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