ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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 タイトルどおりグフを主役機に抜擢したIFルート案のパイロット版です。


スペースグフだ

 辺境のスペースコロニー、サイド7に降り立った鋼の巨人。

 ジオン公国軍モビルスーツ、ザク。

 搬入途中の地球連邦軍モビルスーツを次々に破壊し、唯一アムロ少年が起動に成功した『ガンタンク』に迫る。

 

 

 

「クッ、これか?」

 

 不慣れなモビルスーツの操縦。

 さらには教育型コンピュータにインストールされたサポートAI、サラ=レイの補助があるとは言っても本来二人乗りのガンタンクを一人で操作しなければならない負担。

 アムロは40ミリ4連装ボップ・ミサイル・ランチャーでザクを牽制するも、

 

「あっ、弾が切れた」

 

 あっさりとミサイルを撃ち尽くし、

 

「き、来た。う、ああ……」

 

 

 

「へっ、怯えていやがるぜ、このタンクもどき」

 

 後ずさるガンタンクを見下ろし、興奮で引き攣ったような笑みを浮かべるザクのパイロット、ジーン。

 搬入途中の地球連邦軍モビルスーツはこのガンタンクを除き破壊し尽くした。

 後退したところで援軍は無い。

 

「無駄だ、もうお前を守るモビルスーツはいない」

 

 だが!

 

 

 

『いますよっ、ここに一機ね!!』

 

 

 

 不意に通信機越しにジーンたちに告げられる声!

 そしてアニメのオープニング曲のイントロが流れ出す!

 

「ん?」

 

 連邦のモビルスーツか?

 いや、とジーンは気づく。

 

「俺は詳しいんだ、これは我が軍の軍用周波数による通信だ」

 

 その発信源にモノアイを走らせ、そしてここに居るはずもない左腕に銃を持つモビルスーツの姿を捉える!

 

 

 

 その姿はガンタンクのアムロにも見つけられていた。

 

「なんだ敵の援軍か……」

 

 落胆するアムロだったが、しかし教育型コンピュータにインストールされていたサポートAIサラ=レイが、

 

『いや待って、この孤独なSilhouetteは……?』

 

 と単騎で敵のザク二機に相対しているモビルスーツの姿に息を飲む。

 そう……

 それは、まぎれもなくヤツだ!

 

 

 

 グフじゃねーか!

 

 

 

(……って突っ込んでるんでしょうねぇ)

 

 そのMS-07Bグフのコクピットで内心ぼやきながらも、ミヤビはトリガーを絞る!

 

『5連フィンガーマシンガン斉射!!』

 

 戦術コンピュータにインストールされたサポートAIサラのアシストにより、連続射撃ではなく5門の75ミリフィンガーマシンガンをザクに向け同時発射!

 ミヤビの前世の記憶の中にあるネットワーク対戦ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』ではグフ重装型が85ミリに砲口径をアップしたフィンガーマシンガンを両手で斉射し、ショットガンのように蓄積される衝撃でよろけを取って敵の動きを止めていたが。

 

(は?)

 

 どてっ腹に大穴を開けて吹っ飛ぶザク!

 

 グフはジオン軍が開発したザクに続くモビルスーツ。

 いずれ現れるだろう、地球連邦軍のモビルスーツとの戦いも視野に入れて開発されていたという。

 いずれ、ということは開発時点では地球連邦軍のモビルスーツは居ないわけで。

 じゃあグフが搭載している内装武器、75ミリフィンガーマシンガンの威力って何を基準に開発、搭載されたの?

 という話。

 当たり前だが、正解は既にあるモビルスーツ、つまりザクが基準にされている。

「ザクに通用する威力を持つこと」

 ということである。

 実際、自軍の兵器を基準に新兵器を開発するのはよくあること。

 自軍の従来の主力戦車の砲に耐えられる複合装甲、とか、逆に自軍の従来の主力戦車を正面から撃破できる戦車砲とか。

 

 マンガ『機動戦士ガンダム GROUND ZERO コロニーの落ちた地で』でもヴィッシュ・ドナヒュー中尉の駆る受領したてのノーマルなグフが至近から5門の水平撃ちを陸戦型ガンキャノンのルナ・チタニウム製の胴体に食らわせ、上下泣き別れにしていたほどのもの。

 それはグフの内装火器を知らない相手のザクに対し不意打ちで5門同時発射し全弾命中させればそうなるよな、という結果であった。

 逆に融合炉が爆発しなくて良かった、という話まである。

 ともあれ……

 

(何でグフが地球連邦軍で制式採用されているのかしらね)

 

 ということ。

 ミヤビが乗っているこの機体、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』にて登場した連邦軍に接収されたザクII F2型と同様、連邦軍マークを入れられたうえ白系の塗装で仕上げられている。

 白いグフと言えばグフ・カスタムではあるが『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』に登場したランス・ガーフィールド中佐専用機「ヴァイス・ローゼ(白薔薇)」か、アナザーではあるが『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するグフイグナイテッド、イザーク・ジュール機かといったところだが……

 

 ミヤビの前世の記憶の中でもグフの制作時期については諸説あり、書籍によっては開戦間もない宇宙世紀0079年初頭に制式採用されたという記載もあった。

 ゆえに今日、0079年09月18日にこの機体が存在したとしても問題は無いのだろうが、だからといって、どうしてこのようにグフが地球連邦軍で制式採用されているのか?

 それはもちろんミヤビ・ヤシマってやつのせいである。

 

 

 

 戦争回避のために『コロニー・リフレッシュプロジェクト』を手がけ、そして見事に失敗したミヤビは、父に、

 

「じゃけん軍需の仕事をしましょうね~」

 

 とばかりに、きれいごとだけではなく現実見て来いという具合にジオンに送られた。

 そうして……

 

 

 

「これがツィマット社の誇るモビルスーツ、ヅダですか」

 

 何も知らずに傍から見れば楚々とした名家の令嬢、といった風情のミヤビは、背部に巨大なロケットノズルを持った人型機動兵器を見上げ、内心嘆息する。

 彼女の前世の記憶の中で陸戦型ガンダム等で使用されていたコンパクトで取り回しの良いヤシマ重工製100ミリマシンガン、YHI YF-MG100。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるメカニカルの考証企画『機動戦士ガンダム MSD(Mobile Suit Discovery)』では、そのYHI YF-MG100の先行モデルがMS-04ブグやプロトタイプグフ機動実証機で使用されていたが。

 ミヤビが転生した世界でも同様に、この武装の提供が成されており、その縁で主力モビルスーツを巡る競争試作に備え開発中のヅダの見学が可能となったのだ。

 有力な兵器技術提供元のヤシマ重工にツィマット社側が取り入りたかったから、とも言う。

 

「主機の出力が凄そうですが、機体強度は大丈夫ですか? 人型は空気抵抗や慣性モーメントが大きいです。超硬スチール合金ではもたないのでは?」

 

 正しく、開発陣の危惧していたことをずばりと言い当てられ、ミヤビを案内していた開発主任は、冷や汗を流した。

 目の前のご令嬢が失敗したとはいえ『コロニー・リフレッシュプロジェクト』を主導し、しかしそれに腐ることなく前を見続けている才女であることを、改めて実感したのだ。

 もっともミヤビの発言は彼女の未来知識あってのもので、彼女自身は、

 

(コンペで空中爆発してたこれを放置するのも目覚めが悪すぎるし……)

 

 ということから、いかにしてそれを防止すべきか腐心していたところだった。

 先ほどの発言も彼女が望んだ答えを引き出す為のもので、それに対する開発主任の反応はミヤビにとって渡りに船だった。

 

「これなら最悪、リミッターをかけてトライアルに臨んでも十分ではないでしょうか」

「リミッター?」

「ええ、先ほどの話に戻りますが、機体性能が凄過ぎるので、私にはかえって機体剛性に不安が感じられるのです」

 

 考え過ぎかもしれませんがね、と相手の機嫌を損ねないように言い添えて言葉を継ぐ。

 そしてミヤビはちょっとした駆け引きを行う。

 

「ジオニック社の方は……」

 

 と言いかけ、少し慌てたように口をつぐむ演技をする。

 そうしてから、しかし思い直したように表情を整え、

 

「機体強度に不安が残るようでしたら、リミッターで主機の上限を制限するのも手かと思うのです。何しろ、そうしてみた所でこのヅダの高性能さは揺るぎないものと思いますから」

 

 そう告げるにとどめる。

 YHI YF-MG100先行モデルの提供は、もちろんツィマット社のライバル、ザクの開発元であるジオニック社にも行われている。

 つまりツィマットがミヤビをこの場に招いたのと同様、ジオニックもまたザクの見学、そして情報提供を行っている可能性は多分にある。

 そのミヤビがジオニック社側の情報を口にしかけ、慌てたように飲み込み、しかしヅダに対しては高い評価を下す。

 ということは、実際にリミッターかけて安全サイドに振ったとしてもこのコンペ、行けるのでは?

 いや、行けるに違いない、という確信を技術陣に抱かせる。

 そもそも、その辺を探るためにもミヤビをこの場に招いて、敢えてヅダの情報を見せたということもあるのだから。

 

 もっとも、

 

(……実際には私は注意深く、その手の情報との接触は最小限に止めているわけだけれど)

 

 と変わらぬ表情の下、内心でつぶやくミヤビ。

 小心者であると同時に、企業倫理にこだわる彼女。

 実際にはジオニック、そしてザクの情報に深く接触していないからこそ……

 先ほどの発言を咎められ「情報漏洩しただろう!」と責められても「いや、そもそもジオニックの内部情報と接触していないから。調べてもらっても結構ですよ」と言える状況だからこそ、逆に知っているようなふり、ほのめかしができたのだ。

 

 こうしてミヤビはヅダの空中分解事故を防ぐべく手を尽くして。

 実際にリミッターをかけてコンペに臨んだEMS-04ヅダは事故を起こすことなく、重元素を推進剤とする熱核ロケットエンジンである木星エンジンの性能を遺憾なく引き出して次期主力兵器競合試験においてザクに対し優位に立った。

 もっともザクの約二倍という高コストが会計監査院から問題視された結果、正式採用は見送られ史上初の実戦用モビルスーツの座をザクIに明け渡すこととなったのだが。

 

 ともあれ、事故が起きなくてほっとしたミヤビだったが、しかし彼女は前世の記憶の中にある彼の存在を忘れていた。

 そう、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』でヅダと共に登場したジャン・リュック・デュバル少佐のことである。

 ヅダがコンペで空中分解して、その欠陥から不採用が決まっても尚それをジオニック社の裏工作によるものとして断じて認めようとはしなかった彼。

『機動戦士ガンダム MS IGLOO』でも、

 

「ジオニック社のやり口だ!ツィマッド社が先進的技術を開発すれば産業スパイを送り込みそれを盗む、ザクとヅダの制式化競争の時には政治的圧力!! ザビ家に近いというだけでのし上がってきた汚い企業だ!」

 

 と主張していたこの人物が、事故が無くても却下された、この状況でどう思うか。

 さらに公国軍の『第1期陸戦用MS開発計画』においてツィマット社はYMS-08A高機動型試作機を開発したのだが、これが再びジオニック社の競作機に敗れるという事態に発展する。

 このジオニックの競作機というのが、ミヤビの前世の記憶の中でも、

 

ガルマ「グフとか要らないんじゃあないか」

シャア「えっ」

 

 で有名なグフだったのが災いした。

 固定武装などでガンダムファンからはいろいろ貶され、二次創作ではこれを飛ばしてモビルスーツ製造するのが技術チートの定番と化していた機体。

 そんな機体に負けたということは、デュバル少佐のヘイトをさらに燃え上がらせるには十分すぎる状況であった。

 ゆえに彼は史実とは違い、グフの量産化を阻止するために動き出した。

 具体的には地球で指揮を執るガルマ・ザビ大佐に情報リークしたのだ。

 結果、本当に、

 

ガルマ「グフとか要らないんじゃあないか」

シャア「えっ」

 

 という話が発生し、ガルマと軍上層部との間で喧々諤々の議論が交わされることになった。

 そしてジオニックへのヘイトに燃えるデュバル少佐はダメ押しの工作を行う。

『第1期陸戦用MS開発計画』においてコンペに負けたツィマット社のYMS-08A高機動型試作機だったが、その後はプロトタイプグフに計画が統合されていた。

 つまりツィマット側の伝手がグフ開発陣にはあり、そこを通じて協議中のグフの量産化取りやめがもう決まったことであるかのように伝え、それに憤慨した一部技術者の離反、グフの開発データを持ち出しての連邦への亡命を誘導することに成功する!

 

 その結果、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 重力戦線』に登場した陸戦強襲型ガンタンクが情報をジオンに流されたせいで開発凍結されてしまったように、グフもまた量産化を見送られることになってしまったのだった。

 

 

 

 一方、棚ぼたでグフの開発者と開発データを入手した地球連邦軍上層部はこう考えた。

 

連邦軍のえらいひと「ガンダムとかジムとか要らないんじゃあないか」

テム・レイ博士「えっ」

 

 モビルスーツの運用を前提に戦略・戦術を組んでいたジオン公国軍と違い、この時期の地球連邦軍にとってモビルスーツとは単にジオンのザクへの対抗策、兵種の一つでしかない。

 だからソロモンやア・バオア・クー戦でもモビルスーツと一緒にマゼランやサラミスを突っ込ませていたし、さらには『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の時代でも、バーミンガム級戦艦やマゼラン改級戦艦、サラミス改級巡洋艦といったモビルスーツ運用能力を持たない大艦巨砲主義に回帰した艦艇が建造、運用されていた。

 そんな軍の首脳陣にしてみれば、ザク以上の性能を持つグフを手に入れた時点で、

 

「無理に自力で開発せずともグフを量産したら十分では? だってザクに対抗できるどころか勝てちゃうんでしょ?」

 

 という認識なのだ。

 グフは地上専用機だったが『機動戦士Ζガンダム』では同じく地上機のザクキャノンを連邦軍が宇宙に配備していたように改修は可能。

 そんなわけでグフは地球連邦軍主力モビルスーツとして採用されてしまったのだ!!

 

 そして、なぜミヤビがここに居るのかと言うと……

 ヤシマ重工のMS用可搬型兵器構想。

 RX-79[G]陸戦型ガンダムやRGM-79[G] 陸戦型ジムといった先行量産機向けに供給された各種武装、100mmマシンガンや180mmキャノン、ロケットランチャーなどの実弾系武装類。

 これがグフの量産化決定に伴いガンダム、ジムが不採用になった結果、ビーム兵器のモビルスーツ搭載が頓挫し、実弾兵器がにわかに脚光を浴びることになってしまったのだ。

 ヤシマ重工にはモビルスーツ用ビーム兵器の開発が上手く行かなかった場合の予備計画、デザート・ジムや陸戦用ジムに採用されていたアレもあるし……

 そんなわけで、これらの売り込みのためにヤシマ重工から出向していた技術者、ミヤビ・ヤシマは、テストベッドとして地球連邦軍から提供されたグフの先行生産機を使ってテスト項目を消化していたが……

 そこに目を付けられ、既に半ばまで開発されていたRXシリーズとの比較検証作業のためホワイトベースに乗せられ、ここまで連れて来られてしまった、という話だった。

 

 

 

「よくもジーンを!」

 

 突進してくる敵のザクだが、

 

「ヒートワイヤー射出!」

『はい、置きアンカー』

 

 突っ込んでくるところに置くように射出されるアンカー付きワイヤーがカウンターで決まる。

 ミヤビの前世のネットワーク対戦ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』でもヒートワイヤーを始めとしたアンカー系の射出武器を使った戦法として利用されていたもの。

 そして電撃が流れ、電装系がやられたザクが沈黙する。

 

「ヒートロッドと違って振りかぶらなくても素早く射出できるのは利点ね」

 

 とミヤビ。

 本来、グフにはヒートロッドが装備されているのだが、ジオン驚異のメカニズムの量産化に手間取ったせいで、簡易生産型としてグフカスタムタイプのヒートワイヤーが代わりに装備されているのだ。

 ワイヤーアンカー自体はアクア・ジムや水中型ガンダムにハンドアンカーが搭載されていたように一年戦争当時の地球連邦軍でも開発製造ができる技術だったりするし。

 一方で、

 

「ヒートロッドと違って薙ぎ払いや溶断ができないから一概に良い悪いは言えないのだけれど……」

 

 ということもあるが。

 

『でも、電気ビリビリで電装系が壊れちゃったらお終いですよね?』

 

 とサラが言うとおりでもある。

 

 

 

 なお、ヒートワイヤーを採用するにあたって、軍の高官の一部には、その効果を頭から信じない人物が居たりしていた。

 

 雷が発生した時には自動車内への避難が推奨される。

 これは鉄の箱である自動車は『ファラデーケージ』であり、内部に影響が出ないため。

 同様に電撃攻撃など金属製の機体を持つモビルスーツには効かない。

 

 と主張する人物である。

 前世でもこういう人とか居たな、と思いつつもミヤビが、

 

「厳密に言うと落雷を受けたら車ならボディーが傷ついたり電気の通り道になったタイヤがバーストしたり、乗っていても金属部分に触れていたら感電する、ということもあるので絶対安全というわけでもありません。

 電子機器などへの被害もあるし」

 

 という私見でも何でもない、ごく一般に言われていることを説明しても、

 

「物理的・現実的に起こり得ない事は、有り得ないと言っても良いかと。例えばファラデーケージの中の物を感電させるとか」

 

 と取り合わない。

 

 まぁ、実際には自動車が被雷したら乗員は助かるかも知れないが、搭載している電気回路に影響は出る。

 ミヤビの前世、旧21世紀にJAFが行ったハイブリッド自動車と電気自動車の実験でも、電装系にそもそも走れなくなるほどの損害が出ていたし。

「物理的・現実的に起こり得ない事」どころか実験で再現できる、事象の再現性が簡単に確認できる(実験する側にとっても、さらに言えば一般人でもネットでちょっと検索した程度で調べられる)レベルの話である。

 

 つまり『機動戦士ガンダム第08MS小隊』にて、グフ・カスタムのヒートワイヤーを受けシロー・アマダは感電死を免れたもののガンダムEz8は電装系がやられて沈黙していたのと同様、現実の乗用車でも起こる、ファンタジーでも何でもない実際にありうる話なのだ。

 

 理論上あり得ないのに、と思われるかもしれないが、ミヤビのように技術の仕事、技術検討を業務としてやっていればこんなことは珍しいものではない。

 

「理論どおりに作ってあるはずなのに、理論どおりにならない。何故だ!?」

 

 ということは業務上、頻繁に起こり得るし、それを解明するのが技術者だからだ。

 ゆえにミヤビにも答えが容易に想像できて(もちろんファラデーケージの理論が間違っているとか否定しようとかそういう方向ではなく)、彼女が前世でネット検索をかけた程度でもすぐにその事実に基づいた大学教授の研究実験論文資料が出てきていた。

 そう、研究者には当たり前すぎて、その事実自体を立証しようなんてことすら考えられていなかった周知の話。

 つまり、

 

「自動車のファラデーケージは完全なものではない」

 

 ということ。

 不完全でも効果があるから乗員は守られるし、不完全だから電装系にダメージが出る。

 ただ、それだけの話であるのだが。

 

(自分が理論に基づいて正しいことを言っているって思ってる人って、頭っからこっちが間違っているって前提で自分の考えを疑いもしないから基本人の話は聞かないし、自分に都合のいい部分だけで話が完結してしまっているから議論にもならないんだよなぁ……)

 

 自分と逆の考え方を持っていても、たとえ間違いであっても、それはそれでいいとミヤビは思っている。

 意見を交わすことができるのなら問題を掘り下げ、理解を深めることにつながるし、何より討論自体が面白いからだ。

 

 ミクロ視点では正しくても、一歩引いたマクロな視点では話が違って来ること。

 マクロ視点では正しくても、詳細を詰めたミクロな視点での限定した範囲ではまた話が違ってくること。

 

『正しい』とは奥が深く、だからこそ専門家や技術者は簡単には断言したりしない。

 だから難しく、だから面白い。

 

 そんな訳で、前世も今世も技術者であるミヤビはこのような電気技術談義の相手に飢えていたのだが……

 グフのヒートワイヤーを切っ掛けに話し込んだアムロとの交流が思った以上にハマってしまい。

 そこから唯一無二のパートナーという間柄に発展していくことを、この時のミヤビはまだ知る由も無かった。

 

 

 

次回予告

 ホワイトベースで脱出を図るミヤビたちを待ち受けていたシャアは、ついに赤い彗星の本領を発揮してグフに迫る。

 それはシャアにとってもミヤビたちにとっても、初めて体験する恐ろしい戦いであった。

 

(コウ・ウラキと紫b……ニナ嬢と違ってAMBACのプログラムをきちんと入れていてGP01ガンダムやMS IGLOOのJザクみたいに宇宙でも溺れないとはいえ、やっぱり素グフで宇宙はきついっ、ていうかコクピットの気密が無くて耐圧服頼りってどこのスコープドッグ!?)

 

「なんということだ、あのモビルスーツは戦艦並のビーム砲を持っているのか」

 

(って思ってるんだろうけど、コレ、モビルスーツ搭載のビーム兵器が上手く行かなかった場合のために造られてたウチの艦船技術の応用、つまりデザート・ジムや陸戦用ジムに採用されていたアレなのよねぇ…… まぁ、プラズマ化した銃撃が飛び交う様はビームのようにも見えるだろうけど)

 

 次回『グフとか要らないんじゃあないか』

 グフは生き延びることができるか?




「デュバル少佐まーたスレ立てたんですか」
「デュバル少佐成仏しろ」
 とよく言われる方の活躍により連邦軍でグフ採用というこれまでにないIF話でした。
『機動戦士Ζガンダム』に登場したグフ飛行試験型(地球連邦軍仕様)みたいにホバー機として開発してジムのホバー機『装甲強化型ジム』の代わりに登場させるとか。
 宇宙機はそのまま改修か、それとも『ガンダムビルドファイターズ』登場のグフR35辺りにするか。
 グフ・カスタムは開発するのか。
 といったグフ尽くしで夢が広がりますね。
 あとヒートワイヤーでビリビリしてジオン機の鹵獲も進むでしょうし。


> ミヤビの前世、旧21世紀にJAFが行ったハイブリッド自動車と電気自動車の実験でも、電装系にそもそも走れなくなるほどの損害が出ていたし。

落雷時、車や車内にいる人への影響は?(JAFユーザーテスト)
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/submerge/thunderbolt

 ですね。
 従来は自動車メーカーに遠慮してか、

 屋内実験場で、屋内だから実際の雷の1/4程度の出力で。
 それでも「人体に電流が流れない」のは実験できますよね?
 あー、車内への影響もカーナビがリセットされる程度ですねー。

 みたいに誤魔化してきたところがありますけど、さすがJAFさん、遠慮なく実際の雷のエネルギーに即した出力を当てて破壊しています。
 車メーカーがこんな発表をしたら、
「人が感電しなくても走行中に動かなくなったら事故るだろ、対策しろ!」
 ってがなり立てられますからね。
 実際には機械ってフェールセーフ、ぶっ壊れたら燃料弁が閉まるとか、安全に停止するような方向に動作するようにできているので。
 電装系が壊れても止まるぐらいはできますので、それで十分って考え方なんでしょうけどね。


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 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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